ECサイト構築のAtoZ全28回

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Lesson1 基礎編

2ECサイトをとりまく現状と今後の展望未学習

ここで学ぶ概要

この講座は約11分で読めます


ECサイトに関心があるけれども、「そもそも今のECサイト市場ってどうなってるの?」「これからどうなるの?」と思っている方。
ECサイトの現状とこれからを正確に理解するには、

  • ECの市場規模を把握する
  • EC化率の推移を知る
  • 国際的なEC動向を捉える

というポイントを押さえておくことは欠かせません。
とはいえ、数字や専門用語も多そうだし、ちゃんと理解できるかどうか不安ですよね。
そこで、この記事では、

  • ECの現状を知るために必要な「EC化率」と「EC市場の種類」を学ぶ
  • 「EC市場」と「EC化率」の変化を見る
  • 「越境EC」について学ぶ

この順番で、ECをとりまく現状について学んでいきます。

用語だけ見ると難しそうに感じますが、意味さえ理解してしまばカンタンなことばかりです。
まずはこの記事で、ECサイトをとりまく現状と今後の展望について理解しましょう。

「EC化率」と「EC市場の種類」について学ぼう!

このトピックでは、「EC化率」と「EC市場の種類」についてお伝えします。
まずはEC化率からお伝えしますね。

EC化率は「全商取引のうち電子商取引が占める割合」

EC化率とは、「全商取引のうち電子商取引が占める割合」のことをさします。
つまり、EC化率が高ければ高いほど、ECでの商取引が多く用いられているということです。EC化率は、ECの浸透度合いを知るバロメーターといってもよいでしょう。
具体的に「化粧品、医薬品」分野でのEC化率を見てみましょう。
2016年経済産業省データによると、2016年の「化粧品、医薬品」分野の全商取引は5,268億円で、そのうちECサイトでの商取引が274億円です。
EC化率とは「全商取引のうち電子商取引(ECサイト)が占める割合」でしたので、EC化率は5.02%と計算できます。計算式は以下の通りです。

「電子商取引(ECサイト)274億円」÷「全商取引5,268億円」=EC化率5.02%
つまるところ、「化粧品、医薬品」分野においては、全体の商取引の約5%がECサイトを通じて行われています。

EC市場の種類は3つに分けられる

EC市場の種類は、

  • BtoB(Business to Business)
  • BtoC(Business to Consumer)
  • CtoC(Customer to Customer)

の3つに分けられます。

一つずつ説明していきますね。

BtoB(Business to Business)

BtoBは、企業が企業に向けて商品を販売する取引です。
例えば、さまざまな業種の検査や分析をするサイトの「分蔵検蔵」。この場合は、企業が企業に対してサービスを提供しているのでBtoBにあたります。

 

BtoC(Business to Consumer)

BtoCは、企業が個人に対して商品を販売する取引です。
例えば、アパレルのオンラインショッピングサイトである「ZOZOTOWN」。この場合は、企業が個人に対してモノを売っているのでBtoCにあたります。

 

CtoC(Customer to Customer)

CtoCは、個人が個人に商品を売るビジネスモデルです。
例えば、スマートフォンで利用されるオークションアプリである「メルカリ」。この場合は、個人が個人にモノを売っているのでCtoCにあたります。

 

このように「売り手」と「買い手」の組み合わせに応じて、EC市場は3つに分けられます。
そして、それぞれの市場の推移を見ることで、EC市場の現状をより正確に把握することが可能です。

トピックまとめ:3つの市場に分けて見ることで、より正確に現状を把握できる

このトピックでは、まず「EC化率とは何か」を学びました。
EC化率とはすべての商取引のうち電子商取引が占める割合でしたね。
EC化率はECの浸透度でもあり、高ければ高いほどその分野においてECサイトが利用されています。
そしてEC市場は「売り手」と「買い手」の組み合わせに応じて「BtoB」「BtoC」「CtoC」の3つに分けられ、それぞれの市場の推移を見ることで、市場の現状をより正確に知ることができましたね。

〈ここをチェック!〉EC市場の種類は3つある!
EC市場は、
  • BtoB(Business to Business)
  • BtoC(Business to Consumer)
  • CtoC(Customer to Customer)
の3つに分けられます。
BtoBは「企業と企業」、BtoCは「企業と個人」、CtoCは「個人と個人」への商取引を意味しました。

【2017年最新版】EC市場とEC化率の現状を確認!

ここでは、経済産業省が2017年4月に発表した「2016年の日本のEC市場に関する市場調査」をもとに、ECサイトをとりまく現状を確認していきます。
EC市場の現状を、

  1. BtoB市場
  2. BtoC市場
  3. CtoC市場

の順に見ていきましょう。

1. BtoB市場の現状


BtoBのEC市場は、291兆170億円(前年比1.3%増)と、とても大きな市場です。
EC化率は28.3%(前年比0.9%増)と、約3割がEC市場で取引されています。
ただし、BtoBのEC化率においては各業種ごとに使用しているEDI※という電子帳票処理システムがECに算入されているため、実際の数値よりも高いです。
※Electronic Data Interchange:企業間の商取引において発生する帳票処理(注文、請求、決済など)を電子的に交換し自動化する仕組み。

2. BtoC市場の現状

BtoCのEC市場は15兆1,358億円(前年比9.9%増)となっており、2010年が7兆7,880億円だったことを考えると6年間で約2倍に増えたことになります。物販系分野のEC化率は5.43%(前年比0.68%増)となり、初の5%超えとなりました。しかし米国のEC化率約7%や、中国のEC化率が15%を超えていることを考えると、まだまだ伸びしろのあるEC市場だと考えられます。

3. CtoC市場の現状

CtoC市場は「メルカリ」など、スマートフォンアプリによって急速に拡大しています。
2016年のCtoCのリユース市場においてはネットオークションが3,458億円、フリマアプリが3,052億円です。フリマアプリが誕生したのが2012年であることを考えると、わずか4年で3,000億円を超える市場規模を作り出しました。
また、あらたな経済活動の動きとして「シェアリングエコノミー」に注目が集まっています。シェアリングエコノミーとは、場所・乗りもの・モノ・人・お金などの「使われていない資産」を、個人間でシェアしていくあたらしい経済の動きです。このような経済活動は今後も増えていくと予想されており、市場規模はさらに大きくなることが考えられます。

トピックまとめ:EC市場はまだまだ成長を続けている

このトピックではEC市場とEC化率の具体的な数字について確認してきました。
3つの市場におけるポイントは、

  • BtoB:取引高約291兆円、EC化率約30%、最も大きいEC市場
  • BtoC:取引高約15兆円、物販系EC化率約5%、伸びしろのあるEC市場
  • CtoC:リユース市場取引高約6,500億円、急成長しているEC市場

です。
いずれも前年を上回る推移となっており、今後もEC市場は拡大していくことが予測されます。

〈ここをチェック!〉シェアリングエコノミーがCtoC市場をつくる
急成長しているCtoC市場は、シェアリングエコノミーが基盤となっていることが理解できました。シェアリングエコノミーにおけるシェアの領域は以下の5つに分類されます。
  1. モノ(フリマ・レンタルサービス)
  2. 空間(ホームシェア・農地・駐車場・会議室)
  3. スキル(家事代行・介護・育児・知識・料理)
  4. 移動(カーシェア・ライドシェア・コストシェア)
  5. お金(クラウドファンディング)

メルカリなど、シェアリングエコノミーではすでに具体的なサービスが提供されており、日本における経済効果は10兆円台とも予想されています。これからさらに拡大するCtoC EC市場から目が離せません。

越境ECは「インターネットを使った、国際的な商品の取引」

越境ECとは「消費者と、当該消費者が居住している国以外に国籍を持つ事業者との電子商取引」と定義されています。
簡単にいうと「インターネットを使った、国際的な商品の取引」ということです。

越境ECは2015年頃から盛り上がりを見せ、今後も伸び続けることが予想されています。
以下では、越境ECが注目される理由について詳しく見ていきます。

越境ECが注目される3つの理由

越境ECが注目される理由は、

  1. 日本人口の減少とネット人口の増加
  2. 運営コスト削減
  3. 訪日インバウンドの取り込み

の3つです。
一つずつ説明していきますね。

1. 日本人口の減少とネット人口の増加
日本の人口は年々減少を続けているため、日本という商圏にとらわれず、世界へ商圏を広げる企業が増えています。
また、インターネットを利用する人口も年々増えており、2016年の世界におけるインターネット利用者は約34億9,000万人でした。これは前年に比べると、2億人以上も増えています。
このような背景によって、越境ECで海外へ目を向ける企業が増えているのです。

2. 運営コスト削減
実店舗を出店しようと思うと国内でもかなりのコストがかかりますが、海外に店舗を出店するとなるとさらに運営コストがかさみます。店舗や従業員が必要ない越境ECであれば、その運営コストを大幅に削減することが可能です。

加えて、ここ数年でECサイト開設から決済システムの導入までが数万円でできるようになりました。これは、以前までECサイト開設には数十万円単位の費用がかかったことを考えると、驚きですよね。このような運営コスト面でのメリットが企業の越境EC進出を後押ししているのです。

3. 訪日インバウンドの取り込み
「訪日インバウンド」とは、外国人が旅行で日本を訪れることをさします。
中国人の「爆買い」などがニュースになったことは、記憶に新しいかもしれません。そのようなインバウンドの経済効果はとても大きく、企業にとってはインバウンドをどう取り込むかが課題です。

最近では、日本を訪れた観光客が、帰国したあとも日本で使用した商品やサービスを購入することが増えています。
また政府は、2020年の東京オリンピックに向けて、外国人観光客を4,000万人に増やすことを宣言しました。このような点からも、越境ECの利用はますます増加することが見込まれているのです。

トピックまとめ:越境ECは今後も伸びる

越境ECとは簡単にいうと、「インターネットを使った、国際的な商品の取引」でした。
そして越境ECが注目を浴びている理由は、

  1. 日本人口の減少とネット人口の増加
  2. 海外店舗の運営コスト
  3. 訪日インバウンドの取り込み

の3点です。
人口の変化やコスト意識、インバウンド需要などを理由として、越境ECが盛り上がっていることがお分かりいただけたかと思います。

〈ここをチェック!〉ポイントは2020年東京オリンピック
越境ECが、なぜ「今」注目されているかという一番の大きな理由が、2020年東京オリンピックに向けた外国人観光客の増加と、それによる訪日インバウンドへの期待です。
日本に訪れる外国からの観光客は年々増えており、それに合わせて越境ECの需要も増えてくると予想されます。

ECサイトを取りまく現状を見れば、今後の展望がわかる!

ここまで、ECサイトをとりまく現状についてお伝えしました。
おさらいすると、まずEC化率とは、すべての商取引のうち電子商取引が占める割合のことでしたね。
そして、EC市場は、

  • BtoB(企業と企業)
  • BtoC(企業と個人)
  • CtoC(個人と個人)

の3つに分けることができました。
EC市場規模、EC化率ともに前年を上回る推移となっており、今後もEC市場は拡大していくことが予測されています。
CtoC市場におけるシェアリングエコノミーについては、

  • モノ(フリマ・レンタルサービス)
  • 空間(ホームシェア・農地・駐車場・会議室)
  • スキル(家事代行・介護・育児・知識・料理)
  • 移動(カーシェア・ライドシェア・コストシェア)
  • お金(クラウドファンディング)

の5つの領域で、すでにサービスが提供されています。
注目を浴びているEC市場として「越境EC」があり、越境ECとは「インターネットを使った、国際的な商品の取引」のことでした。
越境ECが注目される理由は、

  1. 日本人口の減少とネット人口の増加
  2. 海外店舗の運営コスト
  3. 訪日インバウンドの取り込み

です。
特に2020年東京オリンピックをきっかけとした、訪日インバウンド客の増加が期待されているとお伝えしました。
ECサイト市場の現状と今後の展望についてお分かりいただけたと思います。
最後に小テストをして、ECをとりまく現状について理解を深めましょう!

小テスト:急成長するシェアリングエコノミー
では、最後にこの記事のトピックをつかむための小テストをします。
【問題】次のうち「シェアリングエコノミー」に該当するものを一つ選んでください。


【正解】3:CtoC
シェアリングエコノミーとは、使われていない資産を個人間でシェアしていく新しい経済の動きでした。個人と個人の売買ですので、CtoCが該当します。
まずは、EC市場の規模や越境ECを考えたうえで、自社ではどのようなECサイトを構築すべきか検討していきましょう!