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ZARA 六本木でEC購入体験。試着サービスの効果と今後の展望は?

アパレル業界は不況であると言われますが、最近はアパレルの新業態の登場が著しくなってきました。

例えばZOZO TOWNの登場は「ECでアパレルなんて売れるわけがない」という常識を覆してきましたし、ライフスタイルファッション最大手であるユニクロは積極的な海外進出とコラボプロジェクト、新ラインの展開、ECやAIの強化でますますその規模を拡大させています。

そして2018年の5月から期間限定で開催されているZARA 六本木でのEC購入体験ポップアップショップも、アパレル業界においては新しい取り組みの一つと言えるでしょう。現代の人々の消費嗜好に合わせ、売り手の販売方法も大きく変化していることの現れとも捉えられます。

そしてZARAのような取り組みは、国内においてもいくつか見ることができます。アパレルがEC主体になりつつある今、実店舗の意義やECとの連携はどのように進めていくことが有効なのでしょうか。

今回はそんなZARAの企画を始めとする、国内における試着サービスなどの新しいECの形についてご紹介していきます。

  • 実店舗とECが融合したZARA
  • 次々と公開される新サービス
  • 実店舗とECの壁がなくなる日も近い

ZARA 六本木の試着予約やEC購入体験サービスの概要

ZARA 六本木で8月まで開催されているポップアップショップは、いわゆる実店舗のような形式でありながら、支払いや商品の入手方法がECに準拠するという珍しい形態を採用しています。

専用のアプリケーションを通じて気になる商品の試着を予約したり、現地で試着した商品を購入することができるということで、ECの利便性に実店舗のメリットを合わせた融合型の購入体験をすることができます。

http://www.roppongihills.com/shops_restaurants/shops/00286.html


実店舗で通販限定にするメリット

商品が実店舗に行けば手元にあるのにもかかわらず、試着だけしかさせてもらえなかったり、そのまま購入した商品を持って帰ることができない、というのは従来型の実店舗に慣れている人からすると歯がゆいものがあるかもしれませんが、この形態にも多くのメリットが存在しています。

試着ができるECショップ

ZARA 六本木のポップアップショップは、見た目も内装もほぼ実店舗と変わらず、商品もその場にあるということで、実店舗と変わらない接客や試着体験をユーザーは受けることができます。これまでのアパレルECというのは試着もできず、商品に関する説明もテキストで用意されているものに限られていたために、多くの情報を得ることができませんでした。

しかしながら、ECサイトで商品をチェックしつつ店舗で試着可能という導線を用意することで、ECサイトでは実現できなかった「試着できる通販」を可能にしています。これにより、ECサイトでは失われがちな「あと一押し」を付加価値として加えることに成功しているのです。

試着予約はアプリだけでなく、店頭スタッフのデバイスからでも行うことができます。アプリにはあと何分で試着準備が整うかを表示され、効率よく試着できる時間帯に店を訪れ、時間を無駄にせずスマートな買い物が可能となっています。

店舗は販売商品在庫を持つ必要がない

また、店舗に用意されている商品は全てサンプル品で、直接購入することはできません。
まさに立体型のECサイトとでも呼べるような環境なのですが、これは店舗としての在庫管理の必要性がなくなったり、在庫を店舗で保管する必要がないぶん装飾や品数の充実にスペースをさくことができるという点で、売り手にもメリットをもたらしてくれるシステムとなっています。



発送か指定店舗での受け取りを選択できる

そして実際の購入をアプリケーションに任せ、手渡しではなく発送によって商品が自宅まで送られるという形式に限定することで、手持ちで持ち帰りたくないという人から高評価を得ているようです。

すぐに商品を着たいという人には少しじれったさを覚えることがあるかもしれませんが、例えば地方から買い物に来ている人や、子連れだったり他に荷物を抱えているということであれば、大前提として発送形式で商品を手に入れられるというのは大きなメリットとなっています。

そもそもECサイトでの購入が常態化し、服は宅配で送られてくるものという意識が定着すれば、発送限定という形式もさして購買意欲の障害になることもないでしょう。

また、自宅発送以外にも指定した店舗での商品受け取りも可能です。別の買い物のついでや仕事の帰りがけに商品を受け取ることができるのは、通販ならではのサービスと言えるでしょう。

ECでの購入に慣れ親しんでいる層が増えてきたからこその、次世代型ECサイトの試みではないでしょうか。

ZARA以外にも存在する新しいECサービス

このようなZARAのポップアップショップの取り組み以外にも、日本国内ではいくつかの新しいECサイト形態を提案する企画も誕生しています。

STRIPE DEPARTMENT

例えば「STRIPE DEPARTMENT(ストライプデパートメント)」は、ECサイトの百貨店を目指すということで、ECサイト特有の人肌の冷たさを払拭しようと試みている企画です。

こちらのサイトでは、ECサイトのみで試着を行うことができるというのが最大の特徴です。まず気になる商品を最大3着まで選び、無料で自宅まで発送してもらいます。

そして気になる商品のみを購入し、いらないと感じた商品は無料で返品をしてもらうことで、ECサイトのデメリットでもあった「手にとって商品を確認できない」をなくしてしまうことで、新しいECのあり方を提案しているECサイトとなっています。

また、チャットシステムなども活用してリアルタイムでの接客もオンライン上で行えるようにすることで、できる限りお客さんとコミュニケーションを取るという姿勢も実店舗に近い感覚での購入を促している要素となっているようです。

STRIPE DEPARTMENTについて詳しくは、「ストライプデパートメントが、次世代型のECサイトを実現する」もぜひご覧ください。


STRYPE DEPARTMENT
https://stripe-department.com/


Amazon Fashion

ちなみに似たような仕組みはAmazonも導入しています。Amazon Fashionでは最大30日間返品・返送料無料を採用しており、一度購入して気に入らなければ返金してくれるというサービスで、購入の敷居を下げようという取り組みが見られます。

公式サイト:https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=4615721051


ヤマトFittingステーション

また、流通業界最大手のヤマトからも実店舗と連携したECショッピングの促進を狙う取り組みがなされています。ヤマトが提供する「Fittingステーション」は、実店舗に試着取り寄せをしてもらうことで、購入者が店舗で試着をし、気に入れば購入、気に入らなければ返品というシステムをよりシンプルに行えるよう提案する企画です。

購入判断は店舗で行うことができ、返品業務はヤマトが代行するので、ユーザーの負担は小さくなり、より気軽にECショッピングを楽しんでもらうことができます。アパレル事業者も販売促進を促すことができ、配送コストも小さく済ませるため、金銭的な面からもメリットの大きいシステムなのです。

公式サイト:http://www.yamato-hd.co.jp/news/h29/h29_98_01news.html


pickss

あるいはファッションレンタルサービスの「pickss(ピックス)」も新しい取り組みの一つです。
こちらはコーディネートが面倒と感じたり、自分では決められないという人に向けて開始されたサービスで、プロのスタイリストがコーディネートしたセットを届けてもらい、試着して気に入れば購入という仕組みを導入しています。

公式サイト:https://www.pickss.jp/


新しいEC購入体験と実店舗の今後はどうなるのか

このような新しい事例から考えられるのは、今後アパレル販売はECと実店舗の境界が薄れ、二つの販売方法がより融合した形で運営が行われていくだろうという点です。

ECと実店舗の距離は縮まっていく?

実店舗の商品を手に取ってみることができたり、販売スタッフの話を聞けるというメリットは確かに大きいのですが、購買意欲の高い都市部ではテナント費用も高額になり、必ずしもコストパフォーマンスの良い経営ができるとは限りません。

一方のECサイトは土地代や人件費を抑え、24時間注文を受け付けられる仕組みは合理的ですが、アパレルは実際に手に取って見てこそ価値がある側面も大きく、購入までのハードルが高くなってしまっているところがネックとなっていました。

今回のZARAの取り組みや、試着サービスの充実は、そういったECサイトでのアパレル購入のハードルを押し下げる重要な一歩になると言えます。形はどうあれ、低コストで気軽に商品に触れる機会をユーザーへ提供することができるためです。

効果的な提供方法は各事業者によって異なるかもしれませんが、このような先進的な取り組みは大きな参考になることでしょう。

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