「BtoBのECサイトって具体的にどんなものがあって、実際に構築するにはどうしたらいいんだろう…」と思っている方。
BtoBの取引をECサイト上で行えることで、今まで電話・メール・FAXなどでしていたやりとりがより効率的になり、
結果として売上やお客さま満足度のアップにつながります。
とはいえ、具体的にどうすればBtoBのECサイトを構築できるのかはイメージしづらいですよね。
そこで、この記事では
の順にBtoBのECサイト構築についてお伝えします。
そもそもBtoB ECとは
BtoB向けのECサイトと聞いてもなかなかピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
BtoBとは、Business to Businessを意味しています。つまり、企業(法人)を相手にして事業や商取引を行う会社のことを、BtoB企業と呼びます。企業間取引とも呼びます。たまに見る記載では、toを2(two)に置き換えてB2Bと書かれることもあります。これだけ聞くと、BtoB ECとはそういった企業間取引をするような企業のECサイトを全て表しているように思えるのですが、実はそうではありません。
BtoB ECとは、企業間の取引をECサイトを使って行う事を指してBtoB ECと呼んでいます。扱う1件あたりの金額が大きいので、BtoB ECは、実はBtoC向け(企業とエンドユーザーの取引)よりも20倍以上も取引金額があります。
BtoB ECのビジネスモデル
BtoB ECには、複数のビジネスモデルが存在します。大きく分けると以下の2つです。
ECサイトを所有する企業が、自分たちで全てを管理する
いわゆる楽天型のBtoB EC(One-to-manyタイプ=マルチテナント型)

BtoB ECサイトを自分たちで全て管理できるため、訴求したい内容をダイレクトにサイトに反映する事ができます。入荷、分配、配送など、BtoB ECのあらゆる業務をEC所有企業が自らコントロールできるということは、すなわち顧客全体はもちろん、特にお得意様に対してのサービスクオリティを維持することができ、顧客満足度の向上を維持することができます。
ECサイトを所有する企業は商品のみを提供し、入荷、分配、配送やサイトの運営などはインフラとなる事業者が行ういわゆるamazonやアリババ型のBtoB ec(many-to-manyタイプ=マーケットプレイス型)

特徴としては、インフラ整備は全てインフラ企業がやるため、手間が大幅にかからず自社製品にのみ集中することができます。その反面、自社でサイトを管理できないため、STP戦略など必要なマーケティングを必要なときに自由に行うことができない点が、デメリットとして挙げられています。小さな企業にとっては、大規模なマーケットプレイスに掲載することで大手と肩を並べることができるので、大いにメリットがあります。
BtoB ECサイトのメリットとは?
BtoB ECサイトを活用した際のメリットは3点あります。
それは
- 人件費などのコストを大幅に削減
- 入力の手間を大幅に削減
- キャッシュフローの流れが早まり、収益がアップ
1人件費などのコストを大幅に削減
まず、人件費など営業や販売などのセールスにかかるコストを大幅に削減できることです。
2013年にForresterが行った調査では、BtoB ecサイトを活用するとなんと最大で90%もセールスにかかる諸費用を削減することができたという結果が出ています。
2入力の手間を大幅に削減
BtoB ecを利用して販売をWEB化することにより、ERPシステムや経理システムにデータが自動転送されることになります。入力の手間を大幅に削減していることになります。
3キャッシュフローの流れが早まり、収益がアップ
2点目に付随するのですが、顧客からのオーダーが直接自動で倉庫に届くため、顧客への納品までの日数を削減することができ、顧客からのキャッシュフローも従来に比べて早く届くようになります。つまり、お金が早く回ることにより、収益アップへとつながるのです。
BtoB ECサイトを導入することで、このような3つのメリットを得ることができます。
BtoB ECの成功事例2つ
ここからはBtoB ECの成功事例を
- モノタロウ
- ミスミ
の順に紹介します。
以下で詳しく説明しますね。
工場のAmazon「モノタロウ」
モノタロウは工場などの現場で使う資材・工具を中心に扱うBtoB ECサイトです。
扱う商品名は1,300万点を超えており、その圧倒的な品ぞろえから「工場のAmazon」と呼ばれています。
モノタロウが登場するまで、工場の現場で使われる資材は、
- 業者に問い合わせる
- カタログから注文する
のどちらかでした。さらに、注文する個数によって金額が変動するのが一般的で、部品や工具を買いたい中小企業にとっては不便な定業が続いていたのです。
そこに登場したモノタロウは、まず工場の現場で使うものをインターネットで買うことができる仕組みを作るところからはじめました。
流通を整備することでムダな手間をなくして、モノタロウのECサイトに来れば欲しい資材が全て購入できるようにしたのでした。
モノタロウは今後、さらに物流を強化することを目指しており、Amazonのようにロングテール商品(売れ筋ではない商品)をより充実させていく方針です。
他社の製品も取り揃えたBtoB ECサイトを運営する「ミスミ」
ミスミは、もともと精密機械の部品を自社で製造し、カタログ・インターネットで販売している企業でした。同社が2010年にオープンしたのが、BtoB向けのECサイトMiSuMi-VONAです。
自社でも部品を製造していましたが、ミスミはECサイトとしての利便性を優先しました。その結果、自社も合わせた2900メーカー1,750万点の品ぞろえを実現しています。
また、部品の検索性も大切にしており、
- キーワード
- 商品分類
- 型番
- 仕様
など、さまざまな方法で検索できるのも特徴です。
BtoB ECについて、2つの事例をご紹介しました。上記事例の通り、BtoB ECのカギはサイトの使いやすさだけでなく、物流や工数の削減など、サイト以外の部分も整備していく必要がある点です。
続いては、BtoB ECを導入することで解決できる課題をお伝えしていきますね。
BtoB ECが解決してくれる課題2つ
BtoB ECを導入する際によくある課題と、それに対してBtoB ECができる解決法を以下に2つご紹介します。
1.受注管理に工数がかかっており、ミスも多い
課題
- 既存のお客様の受注管理をシステム化し、営業、オペレーターの工数を削減したい。
- さらに、BtoB ECを導入してシステム化することによって、受発注業務の平準化やミスも軽減させて、売上と人員増が比例しない仕組みを構築したい。
解決
- BtoB ECを導入して、今いるお客さまの受注をシステムで管理することで、営業、オペレーターの工数を削減。
- さらにカスタマイズで商品データベースと連携させ、さらに商品検索もカスタマイズで導入することで、人員を増やすことなくコストやミスを削減できた。
2.BtoBとBtoCのECサイトが別々で、作業が2重に生まれている
課題
- コンシューマー向け(BtoC)と事業者様向け(BtoB)のECサイトを別々に運営。そのため、受発注から物流管理、顧客管理までの業務が重複し、運営が煩雑になっていた。
- 基幹システムとの連携が不足しており、膨大な顧客データを全然活かせていない。
解決
- 商品や在庫の情報をスムーズに管理・受注が可能になったため、受発注から顧客の管理まで円滑化した。
- 基幹システムとの連携により、データの分析もできるようになった。
Web-EDI/BtoB ECサイト構築パッケージ「EC-ORANGE BtoB」
専用線を利用せず、インターネットを介してBtoB間の電子商取引(BtoB EC)を実現するWeb-EDIですが、近年VPNなどを利用することでセキュリティーの保たれたインターネット/Web環境を利用し、低コストかつセキュアに、企業間(BtoB)電子商取引(BtoB EC)を望むお客様の声が大きくなって参りました。ご要望の多い、取引先との卸売販売用ECサイトやWeb調達システム、社内販売用ECサイトなど、さまざまな使用ケースをカバーする 「EC-ORANGE BtoB」では、たとえば以下のような利用用途でご利用頂いています。
取引先とのWeb受発注システム(卸売販売用ECサイト)を構築したい
WEB受発注システムは、FAXや電話、手書き伝票からの開放だけでなく、クライアントと取引条件を調整することや電話での無駄な連絡などの煩雑なやりとりが不要になることで、BtoB ec取引の業務効率化を実現します。また、御社在庫を取引先に公開する機能や、残数からの自動発注機能もあるので、更なる業務効率化をはかることができます。
調達コストダウンのために、購買部に最適なシステムを導入したい
(Web調達システム、社外発注管理システム、購買システム)
BtoBの「web調達システム」や「購買システム」と称されることが多い法人向け発注管理システムです(BtoB EC)。発注履歴による過去最低購入価格と仕入先確認だけでなく、標準搭載の入札機能を使って、出入り業者に調達対象の商品について、最低価格を提示させることで、最も効率の良いBtoB間での商品調達を自動で行うことも可能です。
グループ企業内の福利厚生のために社内販売ECサイトを構築したい
(クローズドサイト)
社内販売サイト向けに、必要な機能のそろった手ごろなパッケージ製品は今まであまりありませんでした。Web受発注システム、Web調達システムとしても利用可能なEC-ORANGE BtoB(BtoB EC)が、クローズドサイト運営に必要な機能を提供します。また、フロント側のCMS機能などもオプションで実装することが可能です。
EC-ORANGE BtoBの導入前・後 ※

・最小限のシステム構成で、BtoB向けシステム(BtoB EC)構築可能→物的コストの削減
・業務の無駄が省け、残業が少なく→人的コストの削減
・電話/FAXからの開放→新しい業務、本来やるべき業務へのシフト(時間コストの削減)

※人的効果や時間的・金銭的な効果は、導入企業ごとに異なります。お客様の声からの弊社推定です。
EC-ORANGE BtoB(BtoB EC)の機能紹介
EC-ORANGE BtoB(BtoB EC)は、法人間取引向けのECサイト、購買システムに必要な機能を全て網羅しています。


顧客管理(法人対応)
顧客情報データベースを法人向けに最適化しており、法人名、担当者名、与信枠といった企業情報を管理できます。また顧客をランクに分け、ランクごとに掛率設定が可能です。
売掛管理(掛払い)
企業間取引(BtoB)で基本となる掛売りに標準対応しています。法人ごとに与信枠を設定し、システム上で売掛残高の管理を行います。
見積作成機能・請求書発行
企業間取引には欠かせない見積書・請求書などを、ECサイトや調達システム上で作成できます。
EC-ORANGE BtoBの機能一覧
法人(得意先) 管理機能 |
掛払い管理 | 法人ごとに、掛払の管理をすることができます。 |
---|---|---|
顧客申請 | 取引を始めたい法人からの顧客申請を受け付けます。法人からの顧客申請を承認し、ID/PASSを発行できます。 | |
与信管理 | 法人ごとの与信管理ができます。与信枠を超えた注文が発生した際の処理ができます。(取引NG、上長承認など) | |
顧客ランク | 法人を5段階にランク設定することができます。ランクに応じて、割引率を設定することができます。 | |
マイページ | 注文管理 | 法人単位での注文履歴を管理できます。 |
複数担当者設定 | 法人は、同一法人内で複数のアカウント(担当者)を発行することができます。 | |
購入上限金額設定 | 担当者ごとに購入金額の上限を設定することができます。 | |
ワークフロー | 担当者ごとに管理者/承認者の権限を付与することができ、上長承認フローを構築できます。承認者に対し、購入申請を行うことができます。承認者は、申請を承認または、却下することができます。 | |
お気に入り | 担当者単位・法人単位でのお気に入りの管理ができます。 | |
見積 | 法人ごとの見積書管理が行えます。(見積依頼・見積書ダウンロード・見積からの注文) | |
検収 | 納品後、納品物と注文書の付け合せができます。 | |
商品情報ダウンロード | 商品画像・商品情報のCSVダウンロードができます。 | |
受注管理 | 同梱処理 | 同一法人の受注を1つにまとめて発送することができます。 |
ピッキングリスト出力 | 発送ごとにピッキングリストを出力できます。※カスタマイズによりハンディとの連携が可能です。 |
2017年度のBtoB-EC(広義)市場規模は317.2兆円越え【経済産業省調べ】

経済産業省は、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態及び日米中3か国間の越境ECの市場動向について調査しました。
今般、その結果を取りまとめました。
補足1:経産省の調査結果概要
ここからは、経産省の調査結果を
- 国内のBtoC及びBtoBにおけるEC市場
- 国内のCtoCにおけるEC市場
- 日本・アメリカ・中国における越境EC市場
の順でお伝えします。
国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)
平成29年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、16.5兆円(前年15.1兆円、前年比9.1%増)まで拡大しています。また、平成29年の日本国内のBtoB-EC(企業間取引向け)市場規模は、317.2兆円(前年291.0兆円、前年比9.0%増)に拡大しています。また、※1は、BtoC-ECで5.79%(前年比0.36ポイント増)、BtoB-ECで29.6%(前年比1.3ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。
クラウド活用による、小規模業者の増加
また、全体的にスモールBと呼ばれる小規模の業者でもBtoBのECをつかえるような環境が整ってきていることも、市場規模の増加に一役買っています。これまで、toB向けの様々なインフラ・システム(EDIやEOS)は大変高額でした。ただ、クラウドの活用により小規模業者でも「必要な分だけ、月額利用」するようなかたちが取れるようになってきた結果、BtoB ECのすそ野が広がり、市場規模の拡大に一役買っています。
国内電子商取引市場規模(CtoC)
近年、ECチャネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、平成28年から、CtoC-EC市場規模推計を実施しています。平成29年のネットオークション市場規模は、1兆1,200億円(前年1兆849億円、前年比3.2%増)であり、このうちCtoC部分は3,569億円(前年3,458億円、前年比3.2%増)でした。 また、フリマアプリ市場規模は4,835億円(前年3,052億円、前年比58.4%増)に急増しており、フリマアプリが初めて登場した2012年からわずか5年で5,000億円弱の巨大市場が形成されたことになります。
日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模
平成29年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加しました。特に、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆2,978億円(前年1兆366億円、前年比25.2%増)、米国事業者からの越境EC購入額は1兆4,578億円(前年1兆1,371億円、前年比28.2%増)であり、中国消費者による越境EC購入額の拡大が目立っています。
参考:http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001.html
このように、BtoBのEC化率は上昇しています。これはEC-CUBEやそれをカスタマイズするEC-CUBE工房など、ECパッケージを提供する企業や、BtoB向けのASPを販売する企業が増えていることが主な要因です。
BtoC ECの売上ランキングを見ていると、Amazonや楽天があたかもEC市場全体のトップにあると思ってしまいます。しかしながら、BtoB市場に目を向けると、まだまだ市場は伸びておりチャンスもあるのです。
補足2:代表的ECと売上ランキング30
ECには大規模なサイトがいくつかあります。 ここでは大規模な代表的ECについてご紹介します。 以下ネットショップ担当者フォーラムから引用した、EC 通販の売上ランキングベスト30をご紹介します。
順位 | 社名 | PC+モバイル売上高(単位:百万円) |
1位 | アマゾンジャパン | 1,176,800 |
2位 | ヨドバシカメラ | 108,000 |
3位 | スタートトゥデイ | 76,393 |
4位 | 千趣会 | 73,782 |
5位 | Rakuten Drect | 60,000* |
6位 | ディノス・セシール | 58,260* |
7位 | 上新電機 | 55,000 |
8位 | デル | 50,000 |
9位 | ジャパネットたかた | 49,840 |
10位 | イトーヨーカドー | 47,396 |
11位 | ユニクロ | 42,167 |
12位 | キタムラ | 40,478 |
13位 | アスクル | 39,016* |
14位 | ジュピターショップチャンネル | 38,730 |
15位 | ニッセン | 35,500* |
16位 | ビックカメラ | 35,000* |
17位 | マウスコンピューター | 32,615 |
18位 | QVCジャパン | 29,430* |
19位 | MOA | 28,935 |
20位 | セブン・ミールサービス | 26,678 |
21位 | オルビス | 25,630* |
22位 | ピュアクリエイト | 25,000 |
23位 | オイシックスドット大地 | 23,016 |
24位 | ニトリ | 22,600 |
25位 | エディオン | 22,000* |
25位 | TSUTAYA | 22,000* |
27位 | ディーエイチシー | 21,700* |
28位 | 丸井グループ | 20,890 |
29位 | ストリーム | 20,115 |
30位 | ドスパラ | 20,000* |
ご覧のように、Amazonがダントツで1位となっています。 日本でオムニチャネルを早くから仕掛けてきたヨドバシカメラが2位ですね。 また、ZOZOTOWNで有名なスタートトゥデイ(現株式会社ZOZO)も、急速な成長を見せて3位につけています。
逆にセブン&アイはオムニチャネルを取り入れて早くから仕掛けて来ましたが、実際あまり成功しておらず、10位に甘んじています。 このように、ランキングからさまざまな態様が見て取れます。
やはり、アマゾンがダントツの1位です。そして店舗とECサイトの連動するオムニチャネルに成功したヨドバシカメラが日本企業では最高位につけています。ビックカメラも16位につけており、家電系は、型番や製品名がわかれば、どの店で買っても、品質に変わりなく、より安い製品をインターネットで探す傾向が強いので、ECに向いている業界と言えます。
引用元:https://netshop.impress.co.jp/node/4751 調査期間:2017年6月~2018年5月に迎えた決算期 / (*)売上高はインプレス社推定
コラム:EC事業の種類について
EC事業には、企業と消費者間取引「BtoC」(Business toConsumer)・企業間取引「BtoB」(Business to Business)・消費者間取引「CtoC」(Consumer to Consumer)の3つの種類があります。
これらは発音が似ていることから「to」を「2」に置き換え、それぞれ「B2B」「B2C」「C2C」と表現されることもあります。
最近では「BtoB」「BtoC」「CtoC」に加えて「DtoC(D2C)」という新たなビジネスモデルも生まれています。
「DtoC」というのは、ECが誕生したのと同時に生まれたビジネスモデルです。ECサイトが誕生するまでは、メーカーは商品を仲介業者を通じて店舗に出して販売してきました。
しかしECサイトが誕生してからは、メーカーが直接消費者に商品を売るようになりましたが、これを「DtoC」(Direct to Consumer)というのです。
BtoB向けのECサイトとBtoC向けECサイトの違いについて
実際のところ「BtoB」向けのECサイトと「BtoC」向けのECサイトの違いというのを、しっかりと理解できている人はそう多くありません。
「BtoC」向けのCMSやカートシステムをカスタマイズすればいいのではないか、と考える人もいるかもしれませんが、カスタマイズは非常に難しく簡単にできるものではないのです。
ここでは「BtoB」向けのECサイトと「BtoC」向けのECサイトの代表的な違いを10個紹介していきます。
1.購入前の見積り
まず「BtoB」向けのECサイトと「BtoC」向けのECサイトでは「購入前の見積もり」に違いがあります。
「BtoB」の場合は商品を購入する前に、お得意先で購入する商品を一覧化してから見積書を作成し、社内にて確認や承認を行う必要があることが多いです。
なので「そのまま購入に進む」というだけではなく、商品をカートに入れた後に見積書の作成機能が必須になってきます。
サービスによっては、見積書を作成したカーとないの商品を数日間保持できるものや、見積書IDを入力することで、同じ商品を簡単に再度購入することが可能なものもあります。
2.決まった購入パターンでのリピート注文
最近では「BtoC」でも、定期通販などのお気に入りの商品を継続的に購入するサービスが普及しています。
一方「BtoB」では商品の利用目的上、商品を継続的に購入する傾向がより一層強くなります。
なぜなら「BtoB」では購入する商品自体が、メーカーが自社製品を作るための原材料であることもあるので、同じ商品を継続的に購入するケースが多くなるのです。
なので「前回買った商品を今回も購入」という形の購入パターンを繰り返す「リピート注文」が簡単にできる仕組みや機能の採用が求められています。
3.得意先別による商品・価格などのコントロール
「BtoB」では、例えば商品の販売先の中に「昔から大量の注文を継続して行ってくれる重要な顧客」が含まれているなど「BtoC」よりも得意先との関係が親密になっています。
なので「この得意先にはこの商品をこの価格で売る」「この得意先にはこの商品は販売しない」というように、得意先別に商品や価格のコントロールが日常的に行われているのが特徴です。
そのため「BtoB」向けシステムには、得意先別に販売する商品を設定したり、得意先別に価格を変えるなどの対応をすることが求められます。
4.支払い方法で掛売対応が必要になる
「BtoC」向けのシステムでも、最近では後払い決済サービスが増えてきています。細かく言うと、クレジットカードも掛売の1つだと考えられます。
しかし「BtoC」向けシステムの場合、掛売・掛買が今でも多くの取引において行われているのです。
なのでオンライン取引においても、支払い方法で掛売への対応ができることが求められています。
5.会員ID構造は法人IDに担当者IDが紐づく階層構造
「BtoB」システムは購入先が企業です。なので、例えば得意先A社に担当者Bさん・Cさん・Dさんがいるというように、複数のユーザーが同じ企業のアカウントを利用するケースが多くなっています。
そのため会員IDは単純な構造ではなく、法人IDに担当者IDが紐付けられているような複雑な「階層構造」であることが求められています。
6.承認機能の必要性
「BtoB」向けシステムの特徴として、購入先企業の担当者が、独断で商品の購入に踏み切ることができないということがあります。
そのため「BtoB」向けシステムでは、システム上で上長が承認を行ってから商品の購入を確定するという仕組みを求められることもあります。
7.複数の違う商品をカートに一括投入
「BtoB」向けシステムでは同じ商品を購入することが多く、購入側の企業でも瞬時にその商品がどのような商品なのかを理解していることが多いものです。「BtoB」向けシステムでは、商品の一覧画面から各商品の注文数量を入力し、一括でカートに入れたいという要望がとても高くなっているのです。
そのため複数の異なる商品であっても、カートに一括して入れることができる仕組みが求められています。
8.商品を配送する際の荷姿対応
「BtoB」ビジネスにおいては、商品を配送する際の荷姿(にすがた)の設定が必要なケースも多くなっています。
「BtoB」向けシステムでは、商品を単体で配送するのかケースで配送するのかなどを、オンライン販売時に選択できるようにする必要があります。
9.最低注文数量や最低注文金額の制御
「BtoB」向けの商品というのは、大量購入を前提として価格が抑えられていることがほとんどです。
表示されている価格での購入について、例えば「20個以上から注文可能」「50,000円以上から注文可能」というように、最低注文数量や最低注文金額などの制限をつけるケースがよくあります。
つまり、「BtoB」向けシステムでは最低注文数量や最低注文金額の制御ができるようにしておく必要があります。
10.小数点対応
「BtoB」向けシステムの商品は先ほども紹介しましたが、一般家庭用ではなく業務用の大量購入を前提として商品価格が抑えられていたり、ケースや箱での販売がされています。
部品や包装資材については、その単価が小数点となっていることもあるため、商品価格が整数ではなく小数になるように対応できる必要があります。
この他にも、販売管理システムと各種マスタ・在庫・受注データの連携対応を求められるケースもあり、必要な機能が増えることも多々あります。
これらの機能は、残念ながら「BtoC」向けのECシステムには一般的に標準装備はされていません。
自社で「BtoC」向けのCMSやカートシステムをカスタマイズをしようとしても、そもそも根本的なデータが違っているので不可能と言われるケースが非常に多いのです。
そのため「BtoB」向けに特化したECシステムでは、これらの機能は標準装備として備わっていることが多くなっています。