Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE

導入事例
株式会社サークラックス 様

お客様に最高の体験を提供するため、
まずは店舗、本部の現状の徹底的なファクトファインディングから、
DXのゴールポイント策定までを包括的に支援

プロジェクト概要

「お客様にとって特別なものとは何か」を追求し、プレミア価格で取引されるリユース品を買取・販売する「ギャラリーレア」を運営する株式会社サークラックス。
個人向けの買取・販売、法人向けオークション事業、ECと店舗展開など、リユース業界のリーディングカンパニーとして多様な事業を展開しています。

消費者意識の変化や市場拡大といった環境変化に対応するためシステム更改を検討しましたが、エスキュービズムの提案により、まずは顧客・従業員双方の課題や満足度を明確にし、将来像を描くDX推進プロジェクトを立ち上げました。
中長期にわたる取り組みを進める中でグループ会社の統合もあり、重要性が増すなか、フェーズ1を完了。現在の成果とフェーズ2への期待についてお話を伺います。

インタビュー

株式会社サークラックスは、買取・販売、オークションで高級ブランド品を取り扱う「ギャラリーレア」を運営する企業です。

「ギャラリーレアだからこそできるお客様体験を提供する」をモットーに、現場第一主義を掲げています。
上質な顧客体験のためには、店舗の業務フローにおける重複作業を減らし、接客に集中できる仕組みを整備する必要があります。このような改善を妨げる、業務過多に陥りがちな従業員の労働環境も大きく変えていく必要があります。
このような背景から、エスキュービズムにて業務改善コンサルティングプロジェクトを立ち上げました。

フェーズ1では、システム化の課題特定・定義とDXの全体像を策定しました。今後は、顧客体験(CX)の向上のためにEX(従業員体験)を改善するという目標達成まで伴走させていただき、これらの課題の根本的な改善を図っていきます。
今回のインタビューでは、プロジェクト立ち上げの経緯や今後の展望について、エスキュービズムのプロジェクトオーナーの梅木及びコンサルタントの岩井がサークラックスの各担当者および責任者の皆様にお話を伺いました。

専務執行役員 カンパニープレジデント

寺岡 文寿 様

事業推進室 室長

星野 翔平 様

管理本部 経営管理部 企画管理課 リーダー

西川 佳那 様

EC部 部長

吉野 憲文 様

「システム入れ替え」から「業務改善」へ:プロジェクト立ち上げの経緯

梅木:業務改善プロジェクトのフェーズ1が完了したタイミングということで、まずは当初のお問合せ時と比べて、今回大きくプロジェクトの進め方を変更するに至った経緯を改めて聞かせてください。
当初は、「POSレジシステムの入れ替えを検討している」というシステム導入のお問合せでした。やり取りの途中から、より本質的なディスカッションへ変わっていった印象を明確に受けたのですが、御社内でどのような変化があったのでしょうか?

西川氏: 当初は他社も含めて「システムを入れ替えること」だけを目的とした情報収集を行なっていました。しかし、梅木さんやコンサルタントの岩井さんのお話を伺う間に、「POSシステム入れ替え」は目的ではなく、あくまでも本質は従業員の業務を効率化させることであり、「POSシステムの入れ替え」は手段であることに考えが至りました。

寺岡氏: 以前から業務負担軽減の取り組み自体は行ってきました。
しかし、販売だけでなく買取のお客様対応も行うというリユース事業特有の事情から、現場は日々の業務に追われがちです。
そのため、我々としても現場重視の組織でありながら、運営戦略については後回しになってしまっている現状がありました。

この状況を打開するため、社内の視点だけでは不十分だと考えました。
そこで、外部の視点を取り入れて事業全体を包括的に見直す必要があると判断し、各社とディスカッションを継続していく中でお問合せ当初からシステムありきではない視座でディスカッションを付き合って頂けた御社にコンサルティングをお願いすることにいたしました。

顧客体験(CX)向上の鍵は従業員体験(EX)にあり

岩井:現場の声をヒアリングするために、複数の店舗及び本部各部を見学、ヒアリングをさせていただきましたが、皆様は業務改善についての意思が非常に強い印象を持ちました。
今年度はEX(従業員体験)とCX(顧客体験)を強化するという方針も打ち出されましたが、現場の空気感と、この方針について聞かせてください。

寺岡氏: ギャラリーレアでしか体験できない接客を提供し、「次もギャラリーレア”で”いいや」ではなく「次もギャラリーレア”が”いい」と選んでいただける顧客体験を追求しています。お客様に「買取・販売」の両方でご満足いただくには、現場がプロフェッショナルであり続ける必要があるため、これまでも人材育成には注力してきました。

店舗を増やすよりも、既存店舗の運営品質を高め接客水準を維持することが重要という方針から、一昨年には新しく研修室も立ち上げました。
こうした背景を理解している現場スタッフたちは当事者意識が高まっているのだと思います。

星野氏: 一方で、現状の課題として、店舗作業の煩雑さによって、従業員が本来持つ高い接客スキルを活かしきれていないことが挙げられます。
先ほど「選んでいただける顧客体験」という話がありましたが、選ばれるためには何よりCX(顧客体験)の向上が重要です。
例えば、買取査定の際にバックヤードへ品物を持って行ってなかなか戻ってこなかったり、接客時にレジ作業に追われお客様の来店に気づけなかったりするのは、お客様にとっての大きなストレスとなります。
お客様に質の高いサービスを提供するためには、スタッフが業務過多の状態から解放され、身軽であるべきです。
研修での社員教育に加え、作業システムを整備することで、彼らが持つポテンシャルを最大限に発揮できるようになります。
そして、高い接客スキルで得た情報を他のスタッフや部署と共有できるようになれば、新たな顧客との出会いも増えるのではないでしょうか。

梅木:一般的に、EXとCXは企業内の異なる部門が別々の目標を持って担当するため、距離感が遠くにあるものとして捉えられがちです。今回のプロジェクトでは、コミュニケーションを重ねるうちに、業務上の課題と接客の課題が根本は同じであり、重なっている実態が明らかになりました。

岩井:プロジェクトの開始時、初期仮説として想定していた課題と、結果としてたどり着いた課題は大きく異なるものでした。この点は、非常に大きなピボットのポイントであったと思います。
顧客と接客の課題の根本原因が同一であるということは、非常に大きな気づきであったかと思います。

梅木:EXとCXが相関関係にあるというのは、お話をしていく過程で、明確に貴社と合意形成がとられましたね。

寺岡氏: 当社は顧客接点が非常に多いので、データをまとめる際には情報統合の「中心」をあらかじめ決める必要があります。そして「中心」となるのは「お客様」なんですね。
多数のチャネルやコンタクトラインを「お客様ありき」でまとめていくという意識がないと、ただ利便性を追求しただけのシステム入れ替えで終わってしまうかもしれません。
しかし、それでは「ギャラリーレアにしか提供できない顧客体験」を高めることは難しい。なぜなら、お客様が直に触れるサービスは、最終的に従業員が提供するものだからです。このことから、CX(顧客体験)向上のためには、EX(従業員体験)の改善に深く相関性があるとエスキュービズムさんのヒアリング報告を受けてより一層実感しました。

既知7割、新規3割の課題:外部視点によるファクトファインディング

梅木:フェーズ1では徹底的に「ファクトファインディング」を実施しました。簡単に振り返りますと、ヒアリング先当事者の主観を徹底的に排除してファクト(事象)に忠実に基づき、可視化・言語化するという取り組みですが、複数店舗・本部各部署を複数回見学・ヒアリングさせていただき、ファクトとして発見した内容を報告し、課題を共有したところ、報告事項のうちの3割が新規の課題として認識いただけたことが、大きな成果だったと感じています。

寺岡氏: 外部の方の視点から課題を洗い出していただけたことについて、3割の新規課題はもちろんのこと、残りの7割も非常に重要でした。これらの7割は社内でも認識していた課題ではあったものの、これまで改善が進まなかったり、言葉にするのが難しかったりしたものです。それらが明確に言語化されたことは、大きな成果だと思います。
この既知7割、新規3割というバランスは、これから現場ファーストの業務改善を進めるにあたり、とても良いバランスですね。
また、全体のキャッチアップ量には本当に驚きました。ヒアリングの密度も的確で、現場からも「言いたいことが言えた」「パンドラの箱のように、普段はふたをしていたことを伝えられた」と喜びの声が上がっています。

岩井:現場の皆さんが「自分の仕事や会社をもっと良くしたい」という強い思いを持っているからこそ、私たちも踏み込んだヒアリングができたのだと思います。この熱意を、今後の施策にしっかりつなげていきたいですね。

OMO実現への第一歩:店舗とECのデータ連携

梅木:連携システムがシームレスではない、そして二重に入力するなどの手間が業務負担につながっているというのが、店舗のデータ管理における克服すべき課題ですね。ECとの連携もさらに利便性を高められる余地がありそうでした。
今回の取り組みを振り返って、ECを管轄され、デジタル化された顧客データに一番接しておられる吉野さんの総括を聞かせてください。

吉野氏: 現状は、構築したいシステムがあっても進めていくと必要なデータが足りない、実店舗との連携面がスムーズにいかないという課題に直面している状態です。そこの根本的な解決ができない限り、到達できない領域は確かにあると思います。設計図は頭の中にあるけれど、部品がいくつか足りないという状態ですね。 ですが、プロジェクトがスタートしてここまで、短期間でありながら確実に前進したという手応えがあります。

寺岡氏: 当社は、オムニチャネルの先にあるもの、つまりユニファイドコマースやOMOを見据えていますが、「販売・買取」の二つを扱うため、そこからさらに複数のチャネルを同時に運用すると、お客様へのアプローチも的確にコントロールしなければなりません。
幅広く働きかけるにはスピード感がカギになりますが、顕著な例では店舗とECとのあいだでセール情報をうまく活用できないといったケースもありました。
フローの改善により、これらを克服した真のOMOを実現できるのではないかと期待しています。

梅木:一般論として、店舗とECの連携は、進め方によっては業務運用の実態として対立構造を生むこともありますよね。
御社は本プロジェクト開始時には既に部門間を超えて「お客様に向けた企業貢献の最大化」という目的で一致させている状態であった事が印象的でした。
これからプロジェクトはフェーズ2へ移行しますが、OMOへ向かうためのお考えを聞かせてください。

星野氏: 機能を精査する必要はあると考えています。多様な機能を備えても、活用できなければ意味がありませんよね。特に、CRMですね。現場の従業員の中には「CRM」というワード自体を知らないというスタッフもいるので、「使いこなせる機能」に絞り込んでいけるよう、ご支援をいただけたらと考えています。

岩井:その辺りはヒアリングで得られた情報が活用できそうですね。

次なるステージへ:現場とともに描くフェーズ2の展望

梅木:フェーズ2では、いよいよシステム化に向けた本格的な段階になり期待成果を可視化し、御社で自走できるという「ゴール」を目指す段階となります。今後のエスキュービズムに期待していることを聞かせてください。

星野氏: ご提示いただいた改善案は、小さなものからいくつか実施済みです。次のフェーズからは店舗従業員のオーバーワークを根本的に解消できそうで、今から楽しみです。フェーズ1でも店舗見学、従業員へのヒアリングをしていただきましたが、これからも現場スタッフをどんどん巻き込んでいきたいですね。 改善経過を見せることで、定性的にも定量的にもより成果を実感しやすくなると考えています。

寺岡氏: これまでは、現場ファーストと言いつつも、情報共有が運営から現場へ一方通行になってしまう傾向にありました。
7月・8月の月次朝礼では、改めて現場からも業務改革の感触や、意見をあげてほしいと情報共有の推進を伝えています。
改善案をトップダウンで伝える時にも、現場の手応えや反応をキャッチして柔軟に変更する余地を残していけたら、より現場も動きやすくなるでしょう。
長期的には、現場にも改革の手法やプロジェクトの進め方といった根本的なノウハウも身につけられたらいいですね。
目的であるお客様の購入体験をより高められるよう、エスキュービズムさんの貢献へ期待しています。

西川氏: 事務局としては、これまで難しかった他部署間での情報共有について、明確な言語化がなされた効果が大きいと感じています。現場の声を代弁していただいただけでなく、意見が全体で共有しやすいかたちにまとまったことが大きな成果でした。
また、レスポンスが早く、こちらからの小さな疑問や変更について丁寧にキャッチして返してくれる印象があります。
これからも、同様のスピード感で進めていただけたらと思っています。

店舗の従業員から、プロジェクトはどう進んでいますか?ヒアリングの内容はどういうふうに活用されていますか?と聞かれることもあります。どのように改革されていくのか、現場からの期待も大きいようです。

岩井:今後は、まず優先順位をつけるため、改善項目の棚卸し的な作業から始められればと考えています。現場の業務改善が進めば、当初の見立て通りCXの改善も進んでいくでしょう。
いよいよ、本格的なスタートですね。
改めてよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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