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この記事では、BtoC ECサイトとの相違点や、国内における成功事例、ビジネスモデルの解説などを通して「BtoB ECとは」に迫ります。
BtoB ECサイトとは、数多くあるECサイトのカテゴリのうち、特に企業間取引に特化したものを指します。BtoCが一般消費者向けであることに対し、BtoBでは基本的に法人顧客を対象とし、企業間取引を電子化したものと定義できます。
一般的にECと聞くと、Amazonや楽天、ヨドバシカメラなどの一般消費者向けのECサイトを思い浮かべる方が多いかと思います。これらがBtoC ECの代表例です。BtoB ECサイトはやや毛色が異なり、例えば建材の購入や法人向けの文具購入といった、特定のカテゴリやビジネスに特化した仕組みであることが多く、過去多くの場合はカタログやDMなどによって購入されていた商品売買がEC化されたものです。
このため、一般のECサイトでの購入とは商品指定の方法・決済方法などが大きく異なり、企業間取引における商習慣に従った機能が用意されている場合が大半です。
これらから、BtoB ECとBtoC ECの機能的な違いを示すと以下のようになります。
このような企業の間での取引をECの仕組みやシステムを使って実現していこうとするものがBtoB ECであると言えます。
BtoB ECの市場規模は、2021年7月30日に経済産業省が発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」でも、BtoC-EC市場規模は19兆2779億円、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円と実に17倍もの市場規模となっており、ECの利用の多くが、実際にはBtoB市場のものであることがわかります。
また、BtoB ECのEC化率は、31.7%。BtoBの市場規模自体の大幅な縮小のあったなかでEC化率は増加を続けており、成長エンジンであるともいえる状況でした。
しかし、経済産業省の発表しているこのデータでは、いわゆる電子商取引のすべてをBtoB ECとしてカテゴライズしてしまっているため、このデータは「ECサイト」としての取引実態のみを示していないという点ではその分を差し引いて考える必要があります。
とはいえ、BtoB ECの躍進の大きな理由である、業務の効率化やデジタル化、あるいはDXというこれからの経営環境の変化は間違いなく加速し、旧来の紙とFAXによる発注から電子商取引への変化は、確実なものになると予測されています。
このBtoB ECのEC化率の増加というトレンドは今後もしばらく続き、BtoC市場のECシステムと同じように、効率化された使い勝手のよいシステムが完成されていくでしょう。
BtoB ECの成功事例は日本国内でも多数存在しています。
その中でも、「工場のAmazon「モノタロウ」」と「企業の枠を超えた「ミスミ」」の事例を紐解いてみます。
モノタロウは工場などの現場で使う資材・工具を中心に扱うBtoB ECサイトです。
扱う商品名は1,300万点を超えており、その圧倒的な品ぞろえから「工場のAmazon」と呼ばれています。
モノタロウが登場するまで、工場の現場で使われる資材は、「業者に問い合わせる」・「カタログから注文する」のどちらかでした。さらに、注文する個数によって金額が変動するのが一般的で、部品や工具を買いたい中小企業にとっては不便な定業が続いていたのです。
そこに登場したモノタロウは、まず工場の現場で使うものをインターネットで買うことができる仕組みを作るところからはじめました。
流通を整備することでムダな手間をなくして、モノタロウのECサイトに来れば欲しい資材が全て購入できるようにしたのでした。
モノタロウは今後、さらに物流を強化することを目指しており、Amazonのようにロングテール商品(売れ筋ではない商品)をより充実させていく方針です。
ミスミは、もともと精密機械の部品を自社で製造し、カタログ・インターネットで販売している企業でした。同社が2010年にオープンしたのが、BtoB向けのECサイトMiSuMi-VONAです。
自社でも部品を製造していましたが、ミスミはECサイトとしての利便性を優先しました。その結果、自社も合わせた2,900メーカー1,750万点の品ぞろえを実現しています。また、部品の検索性も大切にしており、
「キーワード」「商品分類」「型番」「仕様」など、さまざまな方法で検索できるのも特徴です。
BtoB ECについて、2つの事例をご紹介しました。上記事例の通り、BtoB ECのカギはサイトの使いやすさだけでなく、物流や工数の削減など、サイト以外の部分も整備していく必要がある点です。
ただ、これらのサイトが成功事例となっていることからもおわかりの通り、BtoB ECサイトで成功しやすい業界は、商品自体の形がある程度決まっており、例えばカタログなどの掲載が可能な商品が多いということです。
オーダーメイドのパーツなどはBtoB EC化する事は難しく、逆に共通規格で作られている製品などは、価格の比較や性能の比較がしやすいこともあり、BtoB ECに向いていると言えます。
BtoB ECサイトが、今後の経営効率や業務効率の改善、DX、デジタライゼーションなどの文脈とも相性が良い、という事は前出させていただきました。
このような定性的なメリットの他にも、業務リスクという点でも大幅な効率改善を図ることが可能になります。
在来電話とFAXなどのレガシーなシステムで取引が行われていた場合、聞き間違えや見間違いなどの可能性もありました。しかし、BtoB ECでは、原本を参照しながらの対応となるため、情報信頼性を高く保つことが可能です。
与信限度額を超えての購買を停止することや、特定の条件下でアラートを発令するなど、気づかずに起きてしまいがちなミスやリスクを低減することが可能です。受注から配送までを受注情報のステータス変位に合わせてシステマチックに動かすことが可能なため、人に依存したシステムに比べ、リスク低減が期待出来ます。
ECの持つメリットそのものである、場所や時間に縛られない発注、受注が可能となります。24時間/365日稼働の工場で急遽なんからの部品が必要となった場合、メーカー営業日まで部品発注が出来ない、というケースも在来は発生していました。
しかし、ロジティクスが十分に整備され、システムが24時間/365日で稼働対応をしていれば、工場などへのデリバリータイムを大幅に圧縮することも可能になります。
BtoC ECのような、注文後30分などでの配達の必要性は薄いものの、在来の注文発注よりも既に短期スパンでの商品配送が求められるようになりました。BtoBにおいても納品までのダウンタイムをできる限り少なくすることが求められ、その実現のためにはよりBtoB ECシステムから周辺のシステムや仕組みなどをより適切にコントロール出来るように構築することが求められています。
BtoB ECにも、一般消費者向けのBtoCサイトと同じように、複数のビジネスモデルが存在します。大きく分けると以下の3つです。
既存のお取引先様を中心に、自社の取り扱う商品自体をBtoB EC化する場合の考え方です。大規模なEC化やビジネスモデル化は難しい場合もありますが、既存業務をよりショートタームでBtoB ECとしていく上では、このタイプが最良であるとも言えます。投資コスト、運用に必要なリソース等も最小化できるため、多くの場合において導入しやすい仕組みです。
ビジネスとして自社以外の商品も取り扱い、BtoB ECモールとして構築する場合に有用な仕組みです。言い換えれば楽天のような仕組み、と言えます。BtoB ECモールの運用企業として、自社でシステムを所有し、運用することで、大きなメリットを生むことが可能です。卸売業よりも、製造業などで他の部品メーカーなどと共同でBtoB ECサイトを構築したり、業界のリーダー的な企業が構築する場合に最も効果的と思われる仕組みです。参加するすべての企業が、特にお得意様に対してのサービスクオリティを維持することができ、顧客満足度の向上を維持することが期待出来ます。
Amazonやアリババのようなマーケットプレイス型のサイトです。
例えば問屋や卸売業などを行っている会社がBtoB ECを構築する場合には、このモデルが最適と言えるでしょう。自社でBtoB ECサイトの運用を行いつつ、商品自体の製造や商品情報の登録は個別のメーカーに実施してもらうなど、分業を実現することも出来ます。
BtoB ECサイトを利用するお客様の立場から言えば、様々な商品を一括で購入することが可能なため、利用する頻度、意味ともに大きく、使い勝手のよい仕入れ先となります。
このような仕組みを中心として様々なモデルが存在し活用を行うことで、より大きな、よりメリットのある仕組みやビジネスモデルも生まれつつあります。
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