ECサイト構築のAtoZ全28回

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Lesson7 サーバ編

24バックアップポリシーを作り、バックアップの世代構成を考える未学習

ここで学ぶ概要

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「ECサイトのバックアップが必要だけど、どんな決まりを作るのがよいんだろう…」
と思っている方。

商品や個人の情報など、ECサイトには消失してはいけないデータがたくさんあるため、バックアップを取ることが欠かせません。

とはいえ、たくさんのデータをやみくもにバックアップするのは、容量や手間がかかるため大変です。

そこで、この記事では

  • バックアップポリシーとは
  • バックアップを取るための方法
  • パックアップの世代構成

の順に、バックアップポリシーやバックアップの世代構成について解説します。

バックアップポリシーを作るために決めるべきポイントは、意外と多くありません。
まずはこの記事で、バックアップポリシーやバックアップの世代構成について、ざっくり学んでいきましょう!

バックアップポリシーとは?

そもそもバックアップポリシーとは、バックアップについて

  • バックアップはいつ取るのか
  • 何のバックアップを取るのか
  • どのようにバックアップを取るのか

を決めることです。バックアップに必要な要件を決めておくことで、万が一のデータ消失にも強いECサイトを構築できます。

また一般的に、バックアップを取るデータには、

  1. システムに関するデータ
  2. アプリケーションに関するデータ

の2つがあります。パソコンで例えると、Windows10などのOSが「システムに関するデータ」で、WordやExcel、およびそれらで作成した書類などが「アプリケーションに関するデータ」です。

バックアップを取る際には、これら2つのバックアップを取るか(もしくは取らないのか)、どの方法でバックアップを取るのかを検討する必要があります。

トピックまとめ:バックアップポリシーを決めて、データ消失に強いECサイト構築を

バックアップポリシーについて、その概要とバックアップを取るデータをお伝えしました。

バックアップは取っておけばよいものではなく、取り方や、データ消失の際にどんな対応をするかまで決めておくことが大切です。

あらかじめバックアップポリシーを定めて、万が一のデータ消失に強いECサイトを構築しましょう。

〈ここをチェック!〉バックアップポリシーについて決めるべきこと
ここでのチェックポイントは、バックアップポリシーについて決めるべきことです。

それは

  • バックアップはいつ取るのか
  • 何のバックアップを取るのか
  • どのようにバックアップを取るのか
の3つ。まずはこれらのことを決めて、データが消えたときもあせらずに対応できるように準備しましょう。

バックアップを取るための方法

ここからは、具体的にどのような方法でバックアップを取るのか、説明していきます。

それが、

  1. フルバックアップ
  2. 差分バックアップ
  3. 増分バックアップ

の3つです。これらのうち1つを選択するのではなく、データの種類や重要度に応じて、それぞれの方法を使い分けます。

1. フルバックアップ

フルバックアップは、その名の通り、データの全てをバックアップする方法です。

バックアップデータに全てのデータが入っているので、3つの方法の中でも1番データ保護に強いのが特徴。しかしながら、毎回データ全体をバックアップするため、バックアップにかかる時間が長いのはデメリットです。

そのため、週に1度など、ある程度の時間をあけてバックアップすることが多いですね。

2. 差分バックアップ

差分バックアップは、フルバックアップから変更された部分だけ、つまり差分をバックアップしていく方法です。

そのメリットは、「フルバックアップのデータ+差分バックアップの最新データ」があれば、全ての最新データを復元できること。しかし日がたつにつれてデータ量が増え、どんどんバックアップ時間が長くなるのはデメリットですね。

復元にかかる時間を最短におさえたいときには、おすすめの方法です。

3. 増分バックアップ

増分バックアップとは、前のバックアップから変更された部分だけを新しく保存する方法です。簡単に言えば、増分バックアップでは当日のデータだけをバックアップします。

差分バックアップはフルバックアップのデータまでさかのぼり、それと比べて新しく追加されている点をバックアップする方法です。しかし、増分バックアップでは、前日など、前のバックアップから増えた以外は新しくバックアップを取りません。

そのため、バックアップにかかる時間は3つの方法で最も短いです。

しかしながら、データ復元のためには、「フルバックアップのデータ+1日後のデータ+2日後のデータ+…+最新のデータ」と、フルバックアップの日までさかのぼった全てのデータを適用する必要があります。

「日々のバックアップはしたいけど、バックアップに時間をかけたくない」と思っている方にオススメの方法です。

トピックまとめ:バックアップの方法は、組み合わせることが大切

ここまで、バックアップの方法についてご紹介しました。

  1. フルバックアップ
  2. 差分バックアップ
  3. 増分バックアップ

の3つは、どれか1つを使うのではなく、バックアップにかけられる時間や、データ保護の強度などによって組み合わせることが大切です。

自社のECサイトにとって適切な方法を考え、それをバックアップポリシーに盛り込みましょう。

〈ここをチェック!〉バックアップの方法3つ
バックアップには、以下の3つがあることをチェックしておきます。
  1. 時間はかかるが、データ保護に強い:フルバックアップ
  2. 復元にかかる時間を最小限におさえる:差分バックアップ
  3. バックアップにかかる時間を最小限におさえる:増分バックアップ
これら3つの方法を組み合わせて、ECサイトのデータを保護しましょう。

パックアップの世代構成

最後に、パックアップの世代構成について、お伝えします。

世代構成と一言に言えど、その種類はさまざまです。ここでは、

  1. スタンドアロン構成
  2. クライアント・サーバ構成
  3. サーバレスバックアップ構成

の順に紹介しますね。

1. スタンドアロン構成

スタンドアロンとは、サーバーなどの機器やシステム、ソフトウェアなどをそれぞれ単独で使うことです。スタンドアロン構成では、サーバーごとに別々のバックアップを取ります。

例えば、ECサイトにおいて

  • WWWサーバー
  • アプリケーションサーバー
  • データベースサーバー

の3つがあったとすると、スタンドアロン構成ではそれぞれ別々の場所にバックアップを作成。バックアップの構成がシンプルで、かつ作業の手間も少ない方法です。

しかし、サーバーの数が増えると管理が大変になるため、いくつものサーバーをバックアップする場合はおすすめしません。

2. クライアント・サーバ構成

クライアント・サーバ構成では、ネットワークを通じてバックアップします。バックアップの作業やデータを1つにまとめることができ、効率のよいバックアップが実現。

バックアップの運用に必要なシステムや管理者の数も少なく、ミスの少ない方法とも言えます。

しかし、バックアップの際に回線へ負担がかかるため、高性能なネットワークを導入したり、既存システムとの兼ね合いを考えたりすることが必要です。

3. サーバレスバックアップ構成

サーバーレスバックアップ構成では、ストレージエリアネットワークを使います。これは、ストレージをまとめるネットワークで、複数のストレージを使うよりも容量が余りにくく、コスト面でも有利な方法です。

データがストレージにまとまった状態でバックアップを取るためサーバーを通さず、スピーディかつ負荷の少ないバックアップができます。ストレージエリアネットワークを構成する予定であれば、検討したい構成ですね。

トピックまとめ:バックアップの世代構成

ここではバックアップの世代構成について、

  1. シンプルで手間も少ないが、複数サーバーには不向き:スタンドアロン構成
  2. 効率よくミスも少ないが、回線への負担がかかる:クライアント・サーバ構成
  3. ネットワーク構成によっては検討したい:サーバレスバックアップ構成

の順に、ご紹介しました。

バックアップの世代構成は、後から変更しようとしても難しいです。ゆえに、ECサイトを構築するさいに、しっかりと決めておきましょう。

〈ここをチェック!〉サーバーの数、かかる時間などからバックアップ構成を考える
バックアップ構成のポイントは、
  • サーバーの数はいくつか
  • ネットワーク回線の強さはどれくらいか
  • ネットワーク構成はどうするのか
などを考えることです。バックアップそのもの以外のことを考えながら、バックアップ構成についても話を進めていく必要があります。

バックアップポリシーを考えて、データ消失に強いECサイトを構築しよう

ここまで、バックアップポリシーについてお伝えしました。

おさらいすると、バックアップポリシーを考えるには、

  • バックアップはいつ取るのか
  • 何のバックアップを取るのか
  • どのようにバックアップを取るのか

について、まず考える必要があるとお伝えしました。

また、バックアップの種類では

  1. 時間はかかるが、データ保護に強い:フルバックアップ
  2. 復元にかかる時間を最小限におさえる:差分バックアップ
  3. バックアップにかかる時間を最小限におさえる:増分バックアップ

の3つをご紹介しました。

最後に、バックアップの世代構成について

  1. シンプルで手間も少ないが、複数サーバーには不向き:スタンドアロン構成
  2. 効率よくミスも少ないが、回線への負担がかかる:クライアント・サーバ構成
  3. ネットワーク構成によっては検討したい:サーバレスバックアップ構成

を、お伝えしました。

これでバックアップポリシーについて、ざっくりとお分かりいただけたかと思います。
まずは、バックアップを取るべきデータを洗い出すところからはじめてみてください。

小テスト:バックアップポリシーを考えるときのポイント
では、最後にこの記事のトピックをつかむための小テストをします。
【問題】:バックアップポリシーを考える際に、守るべき考え方を選びなさい。


【正解】3:どのようにバックアップを取るのか、方法までしっかり考える
バックアップポリシーでは、バックアップの方法まで考える必要があります。また、バックアップのタイミングや、どのデータのバックアップをとるのかについても考えておきましょう。