ECサイト構築のAtoZ全28回
Lesson3 パートナー選定編
11制作会社を選定する3つのポイント未学習
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「ECサイトを作りたいけど、どうやって制作会社を選んだらいいの?」
と思っている方。
この記事では、「複数の制作会社からメールで提案書を送ってもらい、各社からプレゼンテーションを受ける」という場合をモデルケースとして、制作会社を選定する3つのポイントを
- ①提案書のチェックポイント
- ②プレゼンテーションの受け方
- ③提案書を比較するテクニック
の順にお伝えします。
制作会社を選ぶべきポイントは、意外と多くありません。
3つのポイントを学んで、理想のECサイトを作ってくれる制作会社を選びましょう!
①提案書のチェックポイント
このトピックでは、提案書のチェックポイントについて、
- RFPにそって提案されているか
- 提案シナリオがあるか
- トータルコストはいくらになるか
を、お伝えします。
RFPにそって提案されているか
RFP(提案依頼書)は、「どんなECサイトを構築したいか」をまとめたものです。そして、制作会社はRFPをもとに提案書を作っています。よって、提案書を受けとった場合、まず「RFPにそって提案されているか」についてチェックしましょう。
【例】
- 在庫数をリアルタイムで表示したい →在庫管理システムとの連携…○
- 受注対応を自宅でも行いたい →サイト管理システムのブラウザ利用…○
- 売上レポートを自動で作成したい →(提案書に記載されていない)…×
提案シナリオがあるか
良い提案には、
- (リニューアルの場合)現在はこういうサイトで
- 理想はこんなサイトにしたい
- 現実と理想の間にこういう課題があるので
- こんな方法で解決します
というストーリー性があるものです。このストーリー性を「提案シナリオ」といいます。提案書からシナリオが読みとれない場合は、必ずプレゼンの際に質問しましょう。
トータルコストはいくらになるか?
最後に、費用をチェックして、トータルコストを計算します。
提案書には、ECサイトの構築にかかる費用(イニシャルコスト)が書かれており、見積もりの内訳から、サイトの運用にかかる費用(ランニングコスト)が計算できるはずです。「イニシャルコスト+ランニングコスト×年数」という計算をすると、ECサイトの構築・運用にかかる費用(トータルコスト)がわかります。
これらを計算してみると、場合によっては
- イニシャルコストはA社が最も安く
- ランニングコストはB社が最も安く
- 10年間のトータルコストはC社が最も安い
ということが起きるのです。
費用をチェックする時は、トータルコストに注目しましょう。
- 〈ここをチェック!〉提案書のチェックポイント
- ここでは、提案書のチェックポイントとして
-
- RFPにそって提案されているか
- 提案シナリオがあるか
- トータルコストはいくらになるか
- を、お伝えしました。
②プレゼンの受け方
このトピックでは、プレゼンの参加メンバー、受けるときの姿勢、マナーについて、
- プロジェクトマネージャーにプレゼンしてもらう
- 自社の意思を決定できる役員に参加してもらう
- 提案書のあいまいな部分について質問する
- プレゼン結果は1週間ほどで伝えるのがマナー
を紹介します。
プロジェクトマネージャーにプレゼンしてもらう
制作会社のキーマンは、プレゼン担当者です。プレゼン担当者には、このプロジェクトを担当するプロジェクトマネージャーを指名しましょう。
プロマネの力量や人柄は、ECサイトの完成度に関わります。提案の趣旨をわかりやすく説明できるか、あなたの質問をしっかりと受け止めて回答しているか、プレゼンを通して確認しましょう。
採用の意思を決定できる社員に参加してもらう
次に、社内の参加メンバーについてお伝えします。社内からは、RFP作成メンバーに加えて、採用の意思決定に関わる上級マネージャーや役員に参加してもらいましょう。これにより、プレゼンがムダになるリスクを減らし、選定の時間を短くすることができます。
提案書のあいまいな部分について質問する
プレゼンでは、説明を聞くことよりも、質問することが大切です。提案書のあいまいな部分を明らかにするような質問をしましょう。例えば、「○○ができる仕組みをつくります」という提案に対して、「その仕組みとはどのようなものですか?」という質問などです。
あいまいな部分が残っていると、こちらが思っていた通りのECサイトにならないことがあります。
プレゼンの結果は1週間ほどで伝えるのがマナー
最後に、プレゼンのビジネスマナーについてお伝えします。制作会社は、受注に備えて制作メンバーを確保しているため、プレゼンの結果が早く知りたいものです。よって、すべての制作会社のプレゼンを受けてから、1週間ほどで結果を出すようにしましょう。プレゼン当日に「結果は○月○日頃までにメールでお伝えします」と、具体的に通知することがオススメです。
- 〈ここをチェック!〉プレゼンの受け方
- ここでは、
-
- プロジェクトマネージャーにプレゼンしてもらう
- 採用の意思を決定できる社員に参加してもらう
- 提案書のあいまいな部分について質問する
- プレゼン結果は1週間ほどで伝えるのがマナー
- を、お伝えしました。
③提案書を比較するテクニック
ここでは、「比較検討表」というものを使って、提案書を見比べる方法をご紹介します。
まず、先に比較検討表のサンプルを見てみましょう。
【素点基準】
十分に基準を満たしている…2点、
要求の一部を満たしていない、または費用が高い…1点
提案がなされていない、または要求を満たしていない…0点
完成形がイメージできたところで、具体的なやり方をお伝えします。
まずは表を作りましょう。
- RFPから検討する項目をリストアップして
- 項目に優先順位を設定する
という手順があります。
このサンプルでは、「重み」は5段階あり、最も重い(=最も優先順位が高い)ものが5、最も軽いものが1です。
表ができたら、項目ごとに採点して「素点」の列に記入しましょう。
このサンプルの「素点」は3段階で、
- 2点…要求を十分に満たしている
- 1点…要求の一部を満たしていない
- 0点…要求を全く満たしていない
と、定義しています。
「重み」×「素点」が、その項目の「得点」です。全ての項目を採点して、総合得点が高い制作会社を採用します。サンプルでは、B社を採用します。
これで、制作会社を選定することができました
- 〈ここをチェック!〉提案書を比較するテクニック
- ここでは、「比較検討表」を使う方法をご紹介しました。
表を使う流れは、 -
- RFPから検討する項目をリストアップして
- 項目に優先順位を設定する
- 項目ごとに採点して
- 総合得点の高い制作会社を採用する
- です。
比較検討表の作成には時間がかかります。RFPが完成したら、少しずつ作業を進めていきましょう。
RFPを基準にして制作会社を選ぶと、理想のECサイトが構築できる
ここまで、制作会社を選定する3つのポイントについてお伝えしました。
1つめは、提案書のチェックポイントとして、
- RFPにそって提案されているか
- 提案シナリオがあるか
- トータルコストはいくらになるか
を、お伝えしました。
トータルコストは、「イニシャルコスト+ランニングコスト×年数」で計算できます。
2つめは、プレゼンの受け方をご説明しました。
ここでのポイントは、
- プロジェクトマネージャーにプレゼンしてもらう
- 採用の意思を決定できる社員に参加してもらう
- 提案書のあいまいな部分について質問する
- プレゼン結果は1週間ほどで伝えるのがマナー
でした。
3つめは、提案書を比較するテクニックをお伝えしました。
使ったのは比較検討表でしたね。
- RFPから検討する項目をリストアップして
- 項目に優先順位を設定する
- 項目ごとに採点して
- 総合得点の高い制作会社を採用する
という手順で選定しました。
これで、制作会社を選定するポイントについて、お分かりいただけたかと思います。3つのポイントを意識して、理想のECサイトを作ってくれる制作会社を選びましょう。
まずは、RFPを何度も読んで、「理想のECサイト」をしっかりイメージすることからはじめましょう。
- 小テスト:選定するポイント
- 【問題】費用の比較において、正しいものを選びなさい。
-
- 【正解】3:トータルコストを比較する
「構築は予算内でできたけど、運用したら予算オーバーになってしまった」という問題が起きないように、トータルコストで比較することが大切です。
これで、制作会社を選定するポイントについてお分かりいただけたかと思います。3つのポイントを意識して、理想のECサイトを作ってくれる制作会社を選びましょう。
まずは、RFPを何度も読んで、「理想のECサイト」をしっかりイメージすることからはじめましょう。