ECサイト構築のAtoZ全28回
Lesson5 要件定義編
15要件定義で発注者が準備すべきこと未学習
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「要件定義で何を準備したらいいのかわからない…」
と思っている方。
要件定義において発注者と制作会社が正確に問題を共有することで、その後の行程がスムーズに進み、ECサイトの質を向上させることもできます。
とはいえ、要件定義で発注者が何をしたらいいのか、初めてだとよくわからないですよね。
そこで、この記事では、
- 要件定義の流れ
- 要件定義で決めるシステムの要件
- 要求定義と要件定義の違い
をお伝えします。
要件定義のポイントは、そこまで多くありません。
この記事で、要件定義ですべきことをざっくりと掴みましょう。
要件定義の流れ
要件定義とは、
- ECサイトの背景と目的を確認する
- ECサイトの目標の設定
- ECサイト設計図の作成
- 制作スケジュールの作成
などによって、ECサイトに実装すべき機能や完成までの流れを、具体的に決めていくことです。
ECサイト制作の背景と目的を確認する
最初に、ECサイト制作の背景と目的を確認します。
背景と目的の例としては、
- ECサイトから受注したものを、コンビニで受け取れるようにしてユーザーの利便性を向上させたい
- 社員の負担を減らす機能を作り、業務の効率化とコストダウンをしたい
- SNSと連携させて広告効果を高めたい
などが考えられます。
ECサイトの目的によって必要な項目も変わるため、発注者の要望を満たすECサイトを作るためには背景と目的を確認することは欠かせません。
ECサイトの目標の設定
要件定義では、ECサイトで達成したい目標と、目標を達成するために必要な行動を設定します。
目標をいつまでに達成するか、具体的な行動にまで落とし込み、数字で計測できる形にすることが大切です。
ここまでは、RFPでも決めている場合があります。要件定義では、これらの内容に加えて、目標が達成可能かどうかも確認するのがセオリーです。
具体的には、
- 市場調査
- 競合サイトの調査・分析
- 発注者の現在の状態
など、様々な観点から調査や分析を行い、実現できるかどうかも含めて慎重に検討します。
ECサイト設計図の作成
要件定義では、ECサイトの設計図について、
- ECサイトのページ構成
- ECサイトのデザイン
- 商品などのコンテンツ
- サーバーの仕様
などの内容を決めて、大枠を作成します。
一言でECサイトを作ると言っても、そこに盛り込む具体的な内容は、ECサイトの要望によってさまざまです。
例えば、
- レスポンシブデザイン
- 会員登録の機能
- ショッピングカートの機能
など、ECサイトに搭載できる機能はたくさんあります。しかし、どのような機能を搭載するかは、要望によってかなり違います。
制作スケジュールの作成
要件定義では、制作スケジュールを作成します。
スケジュールでは、ECサイト完成まではもちろんのこと、その後の目標をどのように達成するかまで、具体的に決定することが大切です。
例えば、月間100万人が訪れるECサイト目標とした場合、
- 100万アクセスを集めるためのプロモーション戦略
- 月間100万アクセスでも落ちない、サーバーの構築や強化
- 情報を発信し続けるための継続的な運用
など、さまざまな行程が制作スケジュールに組み込まれます。
また、ECサイト制作には、
- ディレクター
- デザイナー
- コーダー
などの、様々な役割が必要です。
それぞれの役割についている方が効率よく作業できることも考えながら、スケジュールを押さえていきます。
トピックまとめ:要件定義の流れ
ここでは、要件定義の流れについて、お伝えしました。
ECサイトを構築する前に、要件定義ができていることで、ECサイトの仕様がまとまります。
ここまでで、要件定義が実際にどのように進んでいくのか、お分かりいただけたかと思います。
- 〈ここをチェック!〉要件定義の流れ
- 要件定義では、
-
- ECサイトのページ構成
- ECサイトのデザイン
- 商品などのコンテンツ
- サーバーの仕様
- を決めます。
要件定義によって決まった内容は、ECサイトの大まかな仕様を決めるため、この良し悪しがサイトの明暗を分けると言っても過言ではありません。
要件定義で決めるシステムの要件
要件定義ではシステムの内容を詳細に決めていきます。
具体的に決めるものとして、
- サイトのデザイン
- 業務フロー
- 使用するデバイスの種類
- 決済方法
があります。
サイトのデザイン
要件定義では、サイトのデザインを考えることが必要です。
具体的には、
- トップページ
- 商品の詳細
- カテゴリ一覧
- ショッピングカート
- 問い合わせページ
など、どのようなレイアウトにするかも含めて決めていきます。
これらは一例ですが、ECサイトに必要な事項を細かく決めるのが要件定義です。
業務フロー
要件定義では業務フローを確認することが重要です。
例えば、商品を受注してから発送するまでには、
- 受注
- 社内処理
- 発送業務
などの業務が発生します。
これらの業務を、社内でどのように進行していくのかを決めていくことが、業務の効率化のためには欠かせません。
例えば、配送業務のところでは、
- 配送料の設定
- 配送日時の指定ができるか
などまで、具体的に検討していきます。
使用するデバイスの種類
要件定義では、お客様が使用できるデバイスも決める必要があります。
ざっくりと言えば、
- PC
- スマートフォン
- ガラケー
などです。
PCだけではなく、スマートフォンなどにも対応していく場合、それぞれのホームページのデザインを考えなければいけません。
また、スマートフォンに対応すると一言で言っても、対応できるOSやバージョン、画面のサイズなど考えるべきことは多いです。
決済方法
要件定義では、決済方法も決めていきます。
よく使われるものとしては、
- クレジットカード
- コンビニ決済
- 代金引き換え
- 銀行振込
など。
クレジットカード決済を導入する場合、商品の内容や取引の数に応じて、手数料が変動するケースがほとんどです。
そのため、事前に見積もりを取っておき、必要な予算をあらかじめ考えておきましょう。
トピックまとめ:要件定義で決めるシステムの要件
ここでは、要件定義で決めるシステムの要件について、お伝えしました。
要件定義でどこまで具体的にする必要があるのか、ざっくりとお分かりいただけたかと思います。
- 〈ここをチェック!〉要件定義で決めるシステムの要件
- 要件定義で決定するシステムの要件は
-
- サイトのデザイン
- 業務フロー
- 使用するデバイスの種類
- 決済方法
- です。
ここまで具体的に要件定義で決めることができると、ECサイトの制作がスムーズに進み、完成したECサイトの質も高くなりますよ。
要求定義と要件定義の違い
要件定義は、制作会社が主体になって進めるものです。しかし、発注者も要件定義の前にすることがあります。
それが「要求定義」です。
要求定義とは、発注者の要望をまとめたものを指します。
この要求定義の目的は、発注者の要望を「詳しく・はっきりと」制作会社に伝えることです。
要求定義で具体的にすることは、
- ECサイトへの要望を整理すること
- 現在の状況を正しく伝えること
- 発注者と制作会社それぞれの役割をはっきりさせること
です。
要望を制作会社に伝えることで、理想のECサイトはに大きく近づきます。
ECサイトへの要望を整理する
発注者は、制作会社に、ECサイトへの要望を正確に伝える必要があります。
正確に情報を伝えるためには、
- ECサイト制作を依頼する背景
- ECサイトを制作する目的
- ECサイトで達成したい目標
- ECサイトに求める品質や完成までのスケジュール
など、たくさんの情報が必要になります。
ECサイトの発注者として要望を反映させるためにも、これらの情報は最低でも用意しておきたいところです。
現在の状況を正しく伝える
要求定義では、発注者の状況を正しく伝えることが大切です。
- 現在の業務フロー
- 既存のホームページやECサイトの設計図
など細かいところまで、できるだけ制作会社に提供する必要があります。
過去の書類や設計図を渡すだけだと、それらが大きく変更されている場合に状況が正しく伝わりません。
現時点で、Webまわりは誰がどのように管理しているのか、最新の情報を伝えましょう。
発注者と制作会社に置ける業務の役割をはっきりさせる
要求定義では、ECサイトを作るために誰が・どういう役割を担うのかを、はっきりとさせましょう。
具体的には、
- 制作会社に対応するのは誰か
- 納品したものをチェックする部署はどこか
などを決めます。
ECサイトは作ったら終わりではありません。その後の運用も考えて、
- 誰が運用を行っていくのか
- トラブル対応は誰がするのか
- 情報の更新は誰がするのか
- サーバーなどのメンテナンスは誰がするのか
なども決める必要があります。
トピックまとめ:発注者が要求定義ですべきこと
ここでは、発注者が要求定義ですべきことについて、お伝えしました。
要求定義では、発注者が情報を提供し、制作会社と一緒に進めていくことで、望みのECサイトを構築しやすくなります。
- 〈ここをチェック!〉発注者が要求定義ですべきこと
- ここでは、要求定義を成功に導くために、発注者が何をすればいいのかについて、
-
- ECサイトへの要望を整理する
- 現在の状況を正しく伝える
- 発注者と制作会社それぞれの役割をはっきりさせる
- の順に、まとめました。
望みのECサイトを作るためには、発注者から「どんなECサイトを望んでいて、どのように運用していきたいのか」を伝える必要があります。
要件定義でECサイトの方向性を正しく定める
ここでは、要件定義の流れと、発注者がすべきことについてお伝えしました。
おさらいすると、まず要件定義の流れについて、
- ECサイトの背景と目的を確認する
- ECサイトの目標の設定
- ECサイト設計図の作成
- 制作スケジュールの作成
を、お伝えしました。
次にお伝えしたのが要件定義で決定するシステムの要件でした。
具体的には、
- サイトのデザイン
- 業務フロー
- 仕様するデバイスの種類
- 決済方法
がありましたね。
次に、要求定義と要件定義の違いをお伝えし、要求定義ですべきことについて、
- ECサイトへの要望を整理する
- 発注者は現在の状況を正確に伝える
- 発注者と制作会社それぞれの業務の役割をはっきりさせる
を、紹介しました。
発注者は制作会社にお願いすればそれで終わりではありません。発注者から情報を提供することで、ECサイトの完成度は大きく変わります。
要件定義の内容によってECサイトの方向性が決まり、ECサイトの質に大きく影響するものだとお分かりいただけたと思います。
まずは、要件定義で制作会社に伝える、自社の状況について情報を整理することからはじめてみてください。
- 小テスト:要件定義で必要なものとは?
-
では、最後にこの記事のトピックをつかむための小テストをします。
【問題】要件定義で、発注者が制作会社に必ず伝えなければいけないのは、次のうちどれか -
-
【正解】2:発注者のECサイトへの要望
要件定義では、発注者の要望を正確に伝える必要があります。そのためには、客観的なデータや具体的な事例を伝えるべきです。
発注者がECサイトに求めるものが制作会社に正しく伝わることで、ECサイトの方向性が要望から大きく外れることは少なくなります。