ECサイト構築のAtoZ全28回
Lesson3 パートナー選定編
9ECサイトにおける制作会社の選び方未学習
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「ECサイトの制作は、どこの会社をお願いすればいいんだろう」
と思っている方。
この記事でご紹介するのは、ECサイト制作会社の探し方です。自社の要求にそった制作会社とめぐり合えれば、望みのECサイトができあがります。
とはいえ、制作会社で検索をかければ情報があふれ、「何をポイントに選べばいいか分からない…」と困ってしまいますよね。
そこで、この記事では、
- 大きさによる制作会社の特徴
- 見積りをお願いするやり方
- 制作会社を選ぶポイント
- 信頼関係のつくり方
を、お伝えします。
制作会社を選ぶポイントはそこまで多くないので、この記事を読めば、どのように制作会社を選んだらよいかヒントをつかむことができます。
まずはこの記事で、ECサイト制作会社の探し方を理解しましょう。
規模ごとの制作会社の特徴
大小さまざまな制作会社の中から、自社に合うパートナーをどのように選べばいいのでしょうか。制作会社の大きさによって、クオリティーや価格交渉の余地など、特徴が異なります。下記に違いをまとめてみました。
会社規模 | クオリティー | 価格交渉の余地 | デザイン | アフターケア |
---|---|---|---|---|
大手 | 安定 | ほぼなし | 画一的 | 無償保証など充実 |
中小(個人) | 個人の力量 | あり | 個性的 | 大手ほど保証のバリエーションがない |
スタッフを多く抱える大手の制作会社では、安定したクオリティーが保証されます。ただし、サービスごとに価格が一律で決まっているため、値段の交渉がしにくいです。ECサイト制作に何人ものスタッフを動かすため、人件費がかさみます。よって、コストダウンの相談はあまり望めません。
小さな会社の場合は、納期や料金の設定など、こちらの事情や要望に合わせた対応ができます。また、小さな会社ではデザインのフォーマットが統一されていない場合が多く、担当したデザイナーのセンスがそのまま表現されやすいです。よって、値段以上の見栄えやクオリティーになる場合もあります。
ただし、裏を返せば、担当スタッフが体調不良などで働けなくなると、その代わりがいません。デザイナーのスキルが反映されやすく、品質にムラが生じる場合があります。制作会社の公式サイトやSNSなどで、以前に制作したサイトの情報を事前に調べておきましょう。
- 〈ここをチェック!〉制作会社の特徴
- ここまで、制作会社の特徴をお伝えしました。
大手の制作会社には、 -
- 安定したクオリティーが望める
- アフターフォローが充実している
- という特徴があります。それに対して、中小の制作会社には、
- 個性的なサイトデザインにできる
- 価格の交渉がしやすい
- という特徴があるとお伝えしました。会社の大きさによるサービスの違いについて、お分かりいただけたかと思います。
見積り依頼は、必要な機能と、入れたいアイディアを見極める
見積り依頼の基本的な流れは[a]、
- 複数の制作会社に「こんなECサイトが作りたい」と見積もりの依頼を出す
- 返ってきた見積もりを比較して、条件に合った会社を選ぶ
です。
ただし、確定していない機能をいくつも入れるのは得策ではありません。なぜなら、確定していない内容まで見積もってもらい、結局機能として入れなかった場合、見積り金額が変わるからです。見積り依頼の出し方は、
- 必要な機能をリストアップする
- 本当にやりたいアイディアは、情報を資料へ落とし込む
を心がけましょう。それでは、詳しくご説明していきます。
必要な機能をリストアップする
「あの見せ方かっこいい」「あの機能もいいかも」というように、ECサイトへ夢をふくらませることは大事です。ただ、制作会社へ見積りをお願いする時点では、いったん心にしまって、
- 商品ページは開いて、3秒以内に表示させたい
- 商品ページから、3クリックで購入できるようにしたい
など、必要な機能だけをリストアップしましょう。
必ずしも入れる必要のない機能を要望に入れた結果、
- 見積もり価格が高くなる
- 納期が延びる
ことが起こりやすくなります。これでは見積もりの比較が正しくできません。最初は必要な要件だけをリストアップして、複数の会社に見積もりをお願いしましょう。その後、制作会社を何社かに絞ったときに、話をつめていく方法がオススメです。
本当にやりたいアイディアは、情報を資料へ落とし込む
ただ本当にやりたいアイディアがある場合は、情報を資料へ落とします。細かく要望を伝えることができれば、制作会社も具体的なサイトイメージがつかめて、素早く正確な見積もりが返ってくるはずです。
もしアイディアがはっきりとイメージできないのであれば、そのアイディアに似たサイトを制作した経験があるかどうかを、制作会社に聞いてみるのもオススメです。制作の経験があるのであれば、制作会社もコストや納期の目安が付けやすくなります。
本当に必要な機能と、入れたいアイディアを見極めることは、サイト制作をお願いする側が積極的にやりましょう。例えば、
- ECサイト制作のチームをつくる
- そのチームで、ECサイトの要件とアイディアを洗い出す
- 洗い出した要件とアイディアがサイトにふさわしいか検討する
などが大事です。
これらのおかげで、サイトイメージのすり合わせがしやすくなり、依頼後の納期も早まります。お任せで問題ない部分があるのであれば、そのことも見積り依頼書にきちんと書いておきましょう。
- 〈ここをチェック!〉見積り依頼書の出し方
- ここまで、
-
- 必要な機能をリストアップする
- 本当にやりたいアイディアは、情報を資料へ落とし込む
- についてお伝えしました。見積り依頼書の出し方について、お分かりいただけたかと思います。
見積もりは安さよりも内容が大事
複数の制作会社から見積もりが返ってきたとして、ここからは制作会社の比較を見ていきましょう。見積もりを比べていく中で、ポイントは、
- 見積りは安さではなく内容を見る
- 実績・事例をチェックする
- 将来的なコストを検討する
の3点です。
見積りは安さではなく内容を見る
比較の結果「ここが一番安い!」といきなり飛びつくのは待ちましょう。その会社は、「うちはこんなサイトが作りたい」という要求に対して、必要な工程や費用を正しく見積もることができていない可能性があります。制作中に見積もりでは出なかった機能を追加することになり、最終的に料金が他社より高くなるかもしれません。
逆に、見積もりが最も高かった会社が、実は必要な工程や費用を正しく理解していて、見積もった日数や費用も適正なことがあります。仕様や要件が増えるのはよくあることです。経験のある制作会社の中にはそれを見越して、余裕を持った見積書を作成している会社もあります。
実績・事例をチェックする
制作会社によっては、
- 女性向けのかわいい系サイトが得意
- オフィス用の硬めのサイトが得意
と、ジャンルによる得意や苦手があります。制作会社のホームページには、過去の事例がポートフォリオとして掲載されているので、かわいい系やまじめ系など自分の作りたいデザインに近いものがあるか、確認してみましょう。
将来的なコストを検討する
大手の制作会社であれば、担当者に何かアクシデントがあっても、他の担当者で補うことが可能です。中小の制作会社や個人事業主に比べて、他社に改めてお願いするリスクが減ります。また、大手の制作会社は、
- 小さな修正であれば、無料で対応してくれる
- 有料でサイト運用を代行してくれる
とサポートが手厚いですが、プラン以外のお願いができないなど、融通が利かないケースもあります。
- 〈ここをチェック!〉制作会社の比較
- ここまで、
-
- 見積りは安さではなく内容を見る
- 実績・事例をチェックする
- 将来的なコストを検討する
- についてお伝えしました。制作会社の比較について、お分かりいただけたかと思います。
サイト構築は信頼の構築から
期待通りのECサイトができるかどうか、制作をお願いする方としては、最後まで不安ですよね。少しでもイメージをすり合わせるためには、制作会社との信頼関係が大切です。そのため、制作会社を選ぶときには、信頼関係が築けるかどうかを確認しましょう。具体的には、
- 担当者が頼りになるか
- 情報の共有がしやすいか
- ECサイトの運用にも詳しいか
- 気持ちよくコミュニケーションが取れるか
をチェックしていきます。ひとつずつ見ていきましょう。
担当者が頼りになるか
担当者をチェックする場合、
- 実績や経験が豊富か
- 要件の理解が確かか
- 連絡がスムーズか
に気をつけましょう。制作部署との調整役として、担当者が間に入りますが、その担当者によってサイトの完成度は左右されます。よって、「この人で大丈夫かな?」と感じてしまうような担当者に、サイト制作をお願いするのは控えるべきです。
情報の共有がしやすいか
ECサイト制作は、お願いする側と受ける側のいわば二人三脚です。「全部おまかせでお願いします」とお願いする側がすべておまかせでは、細かいクオリティーに差が出るばかりか、想定とは異なるサイトができあがるリスクもあります。
会社情報・競合他社・ターゲットなどは、依頼側が伝えるべきことです。不明点が出てきた場合の確認や進捗の報告など、細かいコミュニケーションを心がけてくれる制作会社を選びましょう。
ECサイトの運用にも詳しいか
ECサイトは完成して終わりではありません。その後の運営やマーケティングの相談も乗ってくれるかどうかも、重要なポイントのひとつです。ただし、そこまで手広くカバーできる制作会社は多くないため、できれば他の制作会社を紹介できる横のつながりの有無も確認しておきましょう。
気持ちよくコミュニケーションが取れるか
どんなにサービスや腕が良くても、依頼主の立場に立てない会社は、依頼を避けることがオススメです。ECサイトが完成した後も、長く付き合っていくのであれば、
- 進捗を細かく報告してくれる
- 返事をすぐ返してくれる
- 不明点を分かりやすく教えてくれる
など、気持ちよくコミュニケーションが取れる相手をパートナーにしましょう。
- 〈ここをチェック!〉制作会社との信頼関係類
- ここまで、
-
- 担当者をチェック
- 情報の共有がしやすいか
- ECサイトの運用にも詳しいか
- 気持ちよくコミュニケーションが取れるか
- についてお伝えしました。制作会社との信頼関係について、お分かりいただけたかと思います。
ECサイトづくりは制作会社の探し方から!
ここまで、制作会社の探し方についてお伝えしました。
おさらいすると、まず制作会社の特徴は、大手と中小で、
- 安定したクオリティーを希望するのであれば大手
- 取り揃ったアフターフォローのであれば大手
- 価格の交渉をしたいのであれば中小
- 個性的なデザインにしたいのであれば中小
という違いがありましたね。
そして、見積り依頼書の出し方では、
- 必要な機能をリストアップする
- 本当にやりたいアイディアは、情報を資料へ落とし込む
というポイントが大切でした。
そして、制作会社の比較では、
- 見積りは安さではなく内容を見る
- 実績・事例をチェックする
- 将来的なコストを検討する
を、お伝えしました。
制作会社との信頼関係では、
- 担当者が頼りになるか
- 情報の共有がしやすいか
- ECサイトの運用にも詳しいか
- 気持ちよくコミュニケーションが取れるか
が、分かりましたね。
それでは、最後に小テストをして、制作会社の探し方について、もう一度おさらいをしてみましょう。
- 小テスト:見積り依頼書の提出
- 【問題】見積り依頼書を出す際に必要なこととして、正しいものを1つ選びなさい。
- 【正解】1:まずは必要な機能をリストアップする
正しく見積もりの比較をするために、最初は必要な要件だけをリストアップして、複数の会社に見積もりをお願いしましょう。その後、制作会社を何社かに絞ったときに、話を詰めていく方法がオススメです。
自社の要求にそった制作会社とめぐり会えれば、望みのECサイトに近づくことについて、お分かりいただけたかと思います。
まずは、作りたいECサイトについて、必要な機能を考えるところから始めてみてください。