ECサイト構築のAtoZ全28回
Lesson7 サーバ編
23ECサイトの規模別、サーバー構成のポイント未学習
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「ECサイトをこれから作りたいけど、サーバーってどんなふうに構成したらいいんだろう」
と思っている方。
ECサイトのサーバーは、その規模や機能によって構成を考える必要があります。
とはいえ、サーバーの構成は難しそう、と感じているかたも多いはず。
そこで、この記事では
- 用途別、サーバーの種類4つ
- 中・小規模ECサイトにおけるサーバー構成
- 大規模ECサイトにおけるサーバー構成
の順に、サーバーの構成についてお伝えします。
ハードルが高そうに思えますが、概要を知るだけならそこまで難しくありません。
まずはこの記事で、サーバー構成についてざっくりとおさえましょう!
用途別、サーバーの種類4つ
一言で「サーバー」と言っても、その種類はさまざまです。
ここでは、サーバー構成に使う、
- WWWサーバー
- データベースサーバー
- メールサーバー
- アプリケーションサーバー
という4つのサーバーについてお伝えします。
WWWサーバー
WWW(World Wide Web)サーバーとは、Webサイトの情報などを、HTMLを初めとした方法で提供するシステムです。簡単にWebサーバーと呼ばれることもあります。
ふだん見ているWebサイトの情報も、このWWWサーバーから送られていることが多いです。
データベースサーバー
データベースサーバーとは、サイトの情報を管理するためのサーバーです。
ECサイトで言うところの、
- 商品のデータ
- 取引の情報
- 新着の情報
などをためておくサーバーで、これらの情報はWWWサーバーで呼び出して表示します。
メールサーバー
ECサイトに訪れたお客様とのやり取りなど、メールを送受信するためのサーバーです。
近ごろでは、サイト上でチャットをすることもあり、メールを使わないECサイトもあります。
アプリケーションサーバー
WWWサーバーから受けた情報をもとに、サイトの表面では見えない部分で動くサーバーです。JavaやRuby、PHPなどのプログラムを実行します。
トピックまとめ:用途別、サーバーの種類4つ
ここでは、用途に分けてサーバーの種類をご紹介しました。
ECサイトのサーバーと一口にいえど、その使い方によってさまざまなサーバーがあるとお分かりいただけたかと思います。
- 〈ここをチェック!〉サーバーには4種類ある
- サーバーの種類について、
-
- Webサイトの情報などを表示する:WWWサーバー
- サイトの情報を管理する:データベースサーバー
- メールを送受信する:メールサーバー
- サイトの表面では見えない部分で動く:アプリケーションサーバー
- の4つをお伝えしました。このように、ECサイトにはいくつかのサーバーが必要なのです。
中・小規模ECサイトにおけるサーバー構成
中・小規模ECサイトにおけるサーバー構成のポイントは、セキュリティを強化することです。
ECサイトとして何よりも重要なのは「お客様の情報を守ること」。いくらよい商品を売ったところで、セキュリティが甘く、お客様の情報が漏れるECサイトは利用してもらえません。
さらに言えば、中・小規模のECサイトであれば、対策が必要なほどアクセスが来ることは少ないです。
そのため、中・小規模のECサイトでは、まずセキュリティを重視したサーバー構成をしていきす。
具体的には、
- ファイアウォールで通信を監視
- VPNで仮想の専用ネットワークをつくる
- バックアップでデータ消失にも対応
の3つを意識しましょう。以下で詳しくお伝えします。
1. ファイアウォールで通信を監視
ファイアウォールは、サーバーとインターネットの間に置かれる壁のようなものです。通信を監視して、攻撃があった場合はサーバーを保護します。
また、お客様の個人情報や商品のデータを管理するサーバーには、他のサーバーよりも強いセキュリティ設定をかけておきたいところです。
2. VPNで仮想の専用ネットワークをつくる
VPNは「バーチャルプライベートネットワーク」の略で、インターネットを経由して仮想の専用ネットワークをつくる方法です。
暗号化などによって、通信のセキュリティをさらに高める方法もあります。
3. バックアップでデータ消失にも対応
サーバーにおいて、データのバックアップを取ることは欠かせません。WWWサーバーやデータベースサーバーとは別に、専用のバックアップサーバーを用意しておきましょう。
バックアップサーバーがあることで、万が一データが消えたとしても、スピーディにデータを復旧できるようになります。
トピックまとめ:中・小規模ECサイトのサーバー構成はセキュリティが重要
ECサイトにとって、セキュリティは何よりも優先すべきことです。中・小規模ECサイトのサーバー構成を考えるときは、まずセキュリティを固めましょう。
お客様の情報を漏らさない、信頼できるECサイトを構築することを最優先に、ECサイト構築を進めていくことが大切です。
- 〈ここをチェック!〉ECサイトのセキュリティは「ファイアウォール」「VPN」「バックアップ」がポイント
- ECサイトのセキュリティは、
-
- ファイアウォールで通信を監視
- VPNで仮想の専用ネットワークをつくる
- バックアップでデータ消失にも対応
- が大切です。
ファイアウォールでサイトの通信を監視し、VPNを使って仮想の専用ネットワークを構築。さらにバックアップを取ることで、データが消えたときの対策もしておきましょう。
大規模ECサイトにおけるサーバー構成
ここからは、大規模ECサイトにおけるサーバー構成では、セキュリティに強いことを前提としながらも、
- ロードバランサーによる、アクセスの分散
を考えることが大切です。
ロードバランサーとは、2台以上のサーバーに対して、負荷を分散させるための装置です。
具体的には、ECサイトを訪れるお客様のデバイスとECサイトのサーバーとの間に入って、
- サーバーに負荷がかかり過ぎないようにアクセスを分散する
- 同時に接続できる数を超えると、自動でアクセスを制限する
- サーバーが故障した場合でも、安定したアクセスを保つ
などの役割をこなします。これにより、トラフィックの大きな大規模ECサイトであっても、サービスを安定して運用し、お客様が快適にショッピングを楽しんでもらうことが可能です。
トピックまとめ:大規模ECサイトはサーバーを落とさないことが重要
大規模ECサイトについて、サーバー構成のポイントをお伝えしました。
ここでは万全のセキュリティを前提としながらも、お客様が快適にショッピングを楽しめる工夫が必要です。
1つのサーバーにアクセスを集中させることなく、サーバーが故障してもサイトの運用に問題が出ないサーバー構成を意識しましょう。
〈ここをチェック!〉アクセスの分散には「ロードバランサー」が大切
大規模ECサイトにおけるサーバー構成のポイントでは、「ロードバランサー」が大切だとお伝えしました。
ロードバランサーを導入することで、
- サーバーに負荷がかかり過ぎないようにアクセスを分散する
- 同時に接続できる数を超えると、自動でアクセスを制限する
- サーバーが故障した場合でも、安定したアクセスを保つ
などが可能です。
規模に応じてポイントを絞って、最適なサーバー構成を!
ここまで、規模に応じたECサイトのサーバー構成についてお伝えしました。
おさらいすると、まずサーバーの種類について、
- Webサイトの情報などを表示する:WWWサーバー
- サイトの情報を管理する:データベースサーバー
- メールを送受信する:メールサーバー
- サイトの表面では見えない部分で動く:アプリケーションサーバー
の4つを紹介。
そして、中・小規模のECサイトでは、
- ファイアウォールで通信を監視
- VPNで仮想の専用ネットワークをつくる
- バックアップでデータ消失にも対応
により、まずセキュリティを重視したサーバー構成をしていきす。
最後に大規模ECサイトにおけるサーバー構成では、セキュリティに強いことを前提としながらも、
- ロードバランサーによる、アクセスの分散
が重要だとお伝えしました。
これでECサイトの規模ごとに、どのようなサーバー構成をすればよいのか、お分かりいただけたかと思います。
新しくECサイトを構築する場合、自社のECサイトにはどんなセキュリティから考えはじめてみてください。
- 小テスト:ECサイトの規模別サーバー構成
- では、最後にこの記事のトピックをつかむための小テストをします。
【問題】:次のうち、中・小規模のECサイトにおけるサーバー構成で重視すべきものはどれか。
-
-
【正解】3:ファイアウォールで通信を監視し、セキュリティを高める
中・小規模のECサイトでは、まずファイアウォールでセキュリティを高めましょう。ちなみに、WWWサーバーとデータベースサーバーを分けて、さらにバックアップも取ったほうが、データを安全に保つことができます。