Eビジネスを推進するORANGEシリーズ
EC化率の向上と、それにより生まれるEC・デジタルチャネルのオムニチャネル化要求により、様々なアプローチが生まれています。
その中でここ数年のうちにEC・デジタルチャネルを中心に今後普及が進んで行くであろうと考えられる取り組みなどについて、以下に紹介をさせていただきます。
BOPISとは、リアル商品の販売を、ECをはじめとするデジタルチャネル・オンラインチャネルで実施し、実際の商品の引渡などは店舗在庫を店舗で引当、配達、配送無しに、取りに来たお客様に商品を引き渡す、というものです。
店頭受取系のサービスの一つの種類ですが、
という点が、ECなどで考えられていた店頭受取とは大きく異なっています。
ECなどが大きく進化をしていく中で、課題となるのはECとは切っても切れない関係である配送です。配送コストやリソースの問題、再配達の手間と負担など、EC化率が向上するにつれ、物流側への大きな負担も明らかとなりました。
在来のECの仕組みでの店頭受け取りは、EC拠点倉庫の在庫を店舗に配送し、受取を楽にする、というものでした。個人宅への配送のラストワンマイルの改善は可能であっても、商品が移動するという事実に変わりはなく、場合によってはお店にある在庫商品が倉庫からきれいに梱包された状態で届き、お客様は商品の受け取り後にその商品を開梱して持ち帰る、というような事もあります。
このような店舗受け取りの仕組みからは大きく変化させ、そもそもEC・デジタルチャネルで購買を行った際に店舗の在庫を引当、店舗の中だけで商品のピックアップが完結するようにすれば、無駄をなくすばかりではなく、お客様の購買ニーズに素早くお答えすることも可能になります。
これらも、在庫の引当拠点の適切なコントロールと、顧客の属性情報などの店舗とECの共有、オムニチャネル基盤の仕組みが整って初めて実現できる新たなオムニチャネルの実現施策の一つであると言えます。
日本国内でも少しずつその取り組みは増加しており、飲食店、テイクアウト関連企業、調剤薬局など、待つことが多かった業界にてこれらの取り組みが少しずつ浸透し始めています。
続けて概念、利用方法として大きく変化しているのが、店舗をどのよう使うのか、という点です。
ECというデジタルチャネルを見た場合、大きな課題の一つは在庫拠点が倉庫に集約し、そこから個人宅配送が実施されるいわばハブアンドスポークの構図です。ハブが配送拠点であり、在庫拠点でもあり、スポークが物流・ロジスティクスそのものであると言えるでしょう。この構図は極めて集約的であるが故に、倉庫処理能力の限界が、そのままECの限界ともなりかねないリスクを持っています。
例えその拠点を2拠点にしたとしても、倉庫処理能力の限界が売上の限界となる基本的な構図は変わらず、EC利用者が増加し、物流、倉庫、ロジスティクスが崩壊しつつある現在においては、明確なアキレス腱となりつつあります。
その一方、店舗には、コロナをはじめとする様々な要因から、訪問するお客様の数が減少し、有閑時間が増加しています。
この有閑時間を、店舗を倉庫のように利用することで、新しい業務を生み出し、物流コストの最適化、店舗運用コストの最適化、そして場合によっては物流拠点の構築コスト低減などを狙い、既存店舗のダークストア的な活用が少しずつ増えています。
ダークストアとは、そもそもは店舗の様な商品ラインナップを持ちつつも、ECの配送、ピックアップ拠点として利用され、お客様が利用しない店舗のことです。しかし、
などから、店舗の活用の可能性は大きく増加し、ダークストア的な機能を持つ店舗として利用するケースが少しずつ増えてきています。
EC販売という観点から見た場合には、店舗は非常に高いポテンシャルを持つことはもちろん、リアルでの顧客接点であるという特性を生かし、例えば以下のような、様々な機能を持つことが可能です。
という事が考えられます。
オムニチャネルとして、商品の在庫の管理が適切になされ、そしてEC注文に対する配送拠点策定のロジックをしっかりと定義する事ができれば、お客様の自宅にいた晩近い配送拠点から商品を配送する事も可能になります。これは物流コストの低減に貢献することはもちろん、大規模な配送拠点、フルフィルメントのコスト低下という点でも意味を持つと考えられます。
また、商品マスタがオムニチャネルを意識した構造としてしっかりと構築されていれば、顧客接点での情報を適切に吸い上げ、例えばスタッフコーディネイトからの集客、商品情報へ動画での説明コンテンツの付与など、店舗ならではの商品紹介を実現する事も可能となります。
このような店舗の有効活用も、これからのオムニチャネル実現の上では欠かすことの出来ない要素となりつつあります。
スマホの利用者数は言うまでもなく増加し、カジュアルなネットへのアクセス、ECへのアクセスの9割近くがスマホによってなされているという報告もあります。
ネット利用者の大半はスマホによる情報アクセスを日常的に、場合によっては歩くのと同じように当たり前に行っており、例えば情報収集はスマホで実施し、実際の購買をPCで行うなどの、デバイスを超えた購買行動も取りうる事が明らかになりつつあります。
しかし、現在では、PCのECサイトと、スマートフォンのECサイトとで購買の難易度が異なることや、操作性が大きく異なる、という場合も決して少なくはありません。
元々、ECという機能自体がPC向けに作られたものであるため、多くのECサイトのスマホ版では操作性が著しく劣るケースや、本来の機能を果たしていないサイトなどもまだ多いのが実情です。
大手サイトの様に購買機能をスマホアプリ向けに最適化することも、一部のサイトでしか実現されておらず、場合によってはスマホアプリではWebViewを利用した実際の購買プロセスはアプリ外で処理する、などという機能構成もまだ多くあります。
実際には、このモバイルデバイスに向けたチャネルは、デバイスに向けた最適化がなされるべきチャネルであり、同時にデジタルチャネルである以上、実現が比較的容易な部類でもあります。
しかし、オムニチャネル、という観点で物事を考えるとき、特にリアルでの販売を実施している企業であればあるほど、リアルとデジタルという二分割された視点で考えがちです。
この視点、観点によって、実際には重視するべきであり今やもう一つのデジタルのチャネルとなったスマホへの対応が弱くなってしまうというケースも多くあります。
特に、PC向けのECサイトのリプレイスに集中するあまりリソースが割けない、などにより対応が後手に回り、スマホユーザを逃してしまう、というケースもよく見受けられます。
この点からも、オムニチャネル化を推進する上では、PC向けのECチャネル、リアルチャネル、そしてスマホ向けのデジタルチャネルとしてそれぞれの対応を進めていくべきと考えます。
カスタマーサポートやいわゆるコールセンターの情報チャネルも、最終的にはオムニチャネルのチャネル統合の対象とされていくべき内容であると考えます。
これらは、
システム的に各種のデータがデジタル化している事はもちろん、CTIなどのコールセンター用ソリューションも次々と連携強化が進み、ECとの連携を前提としないCRMシステムのほうが探すのに苦労する程度とまでなっています。
しかしシステムが進化する一方で、オムニチャネルとしてのデータの利用、活用という点では未だ多くの課題が存在しているのも事実です。
コールセンターやカスタマーサポートでは、顧客のECや店舗での購買情報を把握し、サポートに役立てるのは当然ですが、例えばコールセンターでの電話サポートの会話内容に基づいて、ECサイトからのMAメールの内容を変える、といった逆方向の活用はまださほど多くはありません。
これらの視点からも、コールセンターという接客接点の情報を収集し、オムニチャネルのデータとして活用していくべきことは明らかです。
むしろ今後、ECとコールセンターやカスタマーサポートなどのチャネルは、EC・デジタルチャネルへの流入者が増加したことにより、在来よりもEC・デジタルリテラシーの低い人々が増加しています。
その結果、コールセンターやカスタマーサポートの重要性は今後ますます向上すると思われ、ECや店舗販売の底上げを行うために欠かせない必須のチャネルとなっていくと考えられます。
コロナ禍による外出自粛などの影響が強く、ECの2021年前半の支出額は、2020年の8.8%増となり、過去最高を記録しました。多くの利用者がリアル店舗からデジタルチャネルに流れ、デジタルチャネルでの購買が習慣化したとみられています。
これは、EC化率の流れ、という視点では、5年~10年分のEC化率が一年で一気に進んだことを示しています。
しかし、海外と比べた場合には、まだ全消費中のEC化率は低く、今後も同様の拡大傾向は続いていくと予想されます。
リアルチャネル、店舗などをベースとしたビジネスモデルがメインであった小売店、リテール企業が、ECをフォローアップと捉えていた時代は、このコロナ禍により完全に終わり、今やECをはじめとするデジタルチャネルは、メインストリームの販売チャネルとなりました。
一時的にEC化率が上がるテンポラリーな現象ではなく、この傾向が日常となった以上、EC・デジタルチャネルをメインストリームのチャネルと位置づけ、考えて行く必要があります。
ただ、今後、コロナ禍によって発生した自粛の揺り返しで一次的に店舗の重要度もかつてないほどに上昇するとも考えられます。
ユーザは、このコロナ禍のためにECをはじめとするデジタルチャネルに慣れ親しんでしまったこともあり、今後、自分の都合に合わせて、デジタルのチャネルと店舗をはじめとするリアルチャネルを自由に選択し、かつ移動し、動き回り、双方の情報を有効に活用して購買するOMO的な購買行動をより取るようになっていくでしょう。
この時代の変化に適応していくためにも、EC・デジタルチャネルでは早急かつ適切なオムニチャネル化が必要とされ、来るべきOMO/DX標準時代に備える必要があると考えます。
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