ECサイト構築のAtoZ全28回
Lesson1 基礎編
1ECサイトの歴史と事例未学習
この講座は約11分で読めます
「これからECサイトを作りたいと思っているけど、そもそもECって何?」と思っている方。
ECサイトをはじめて構築するのであれば、
- インターネット上での商取引(EC)がこれまでどのように発展したのか
- そもそもECとはどんなものなのか
というポイントを押さえておくことは欠かせません。
とはいえ、自分ひとりでは何から学んだらよいのかわかりませんよね。
そこで、この記事では、
- ECとは何か
- ECサイトの歴史
- ECサイトの事例
この順番でECについて学んでいきます。
ECサイトの歴史や事例とはいえ、押さえるべきポイントは多くありません。
まずはこの記事で、ECサイトの歴史と事例を理解しましょう。
ECとは、インターネットでモノやサービスを売買すること
ECとは、エレクトロニック・コマース(electronic commerce)の略称です。「eコマース」という呼び方もされており、日本語では「電子商取引」と訳すことができます。
出てきた当初はまったく理解されなかった「インターネット通販」や「ネットショップ」といった言葉は、現在ではごく当たり前のように使われていますよね。
このようなものすべてがECであると考えてよいでしょう。
つまりECは「インターネット上でモノやサービスを売買すること全般」をさします。
今やグルメサイトやホテル予約サイト、オンライン証券取引など、ありとあらゆるサービスがECを通して営業しています。
しかし、なぜこんなにもECは広まったのでしょうか?
それはECが、実店舗での営業に比べて多くのメリットを持っているからなのです。
ECが持つメリットは、
- 実店舗がなくても全国に販売できること
- 営業コストが低いこと
- 自動販売が可能なこと
の3つがあげられます。
1. 実店舗がなくても全国に販売できること
実店舗の場合は「店舗から商圏何km」と、お客様が来店してくれる範囲を設定し、そこから商売の可能性を考えます。しかし、ECサイトでは距離の制約を受けないので、インターネットにアクセスできる人すべてがお客様です。
2. 営業コストが低いこと
実店舗を持つ場合、営業のためには
- 土地
- 建物
- 電気、水道など各種ライフライン
などのコストが発生します。しかしECサイトであれば、大きな費用はサイトの制作費と運営費くらいで、店舗を開くことと比べると営業コストがかかりません。最近では無料でサイトが作れるサービスも出ており、さらにコストがかからなくなっています。
実店舗の場合は、来店したお客さまの対応をするために従業員が必要でした。しかしECサイトによる販売であれば、接客などが必要なく商品を販売できます。また、実店舗のように営業時間を気にすることもありません。極端な話をすれば、ECサイトでは、お客さまに対応しなくても商品を買ってもらえるのです。
トピックまとめ:ECは「インターネット上での売買全般」を意味する
このトピックでは、まず「ECとは何か」ということを学びました。
EC(電子商取引)とは、
- インターネットでモノやサービスを売買すること
でしたね。
パソコンやスマートフォンを通して、私たちが目にしているショッピングサイトなど、インターネットで商品を販売しているものは全てECです。意外に思うかもしれませんが、ECは私たちの暮らしへと溶け込んできているのです。
- 〈ここをチェック!〉ECサイトのメリット3つ
- ここでチェックすべきなのは「ECサイトのメリット」です。
ECサイトのメリットは大きく3つありました。 -
- 実店舗がなくても全国に販売できること
- 営業コストが低いこと
- 自動販売が可能なこと
- この3つのメリットによって、ECは私たちの生活に広まりました。
ECサイトの歴史を年表から学ぼう!
ECが生まれた瞬間についてはさまざまな説があります。最も有力なのは、1994年に米国のNet Marketというサイトでされた取引です。
日本でECが本格化したのは1996年以降で、パソコンやインフラが整備されたことによりITビジネスが数多く生まれ、インターネット利用者が劇的に増加しました。それにともなって、ECサイトも大きく発展していくことになります。
ECサイトについて、主なできごとを年代順にチェックしましょう。
<日本におけるECサイトの歴史年表>
1996年 | PCの普及やインフラの整備によりインターネット利用者が増加し、ウェブショッピングサイトが数多く出現。
エム・ディー・エム(現楽天株式会社)がショッピングモールの「楽天市場」を開始。 |
1997年 | 「楽天スーパーオークション」開始。
カゴメ、味の素、小林製薬、ヨドバシカメラ、ノジマなどが通販を開始。 |
1998年 | 佐川急便が宅配事業を開始。通販の配送インフラが整備されていく。 |
1999年 | 「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」が同時にサービス開始。zappos事業開始。 |
2000年 | Amazonが本販売のECサイトとしてオープン。
オイシックスがインターネットで完結する食品宅配サービスを開始。 インターネットバブル崩壊。 |
2001年 | 電子消費者契約法が施行される。 |
2002年 | Amazonマーケットプレイス開始。 |
2005年 | 個人情報保護法施行。 |
2007年 | iPhone販売開始。
楽天取引高5000億円達成。 |
2008年 | 特定電子メール法(迷惑メール防止法)改正。
Amazonが「フルフィルメントby Amazon」を開始。取引高1兆円を達成。 |
2009年 | Amazonが当日配送サービス開始。
楽天市場が翌日に商品が届くサービス「あす楽」を開始。 |
2010年 | Yahoo!がGoogleの提供する検索エンジンを採用。
フラッシュマーケティングという共同購入で割引になるクーポンサイトが多く登場。 |
2011年 | FacebookがECを開始。
楽天がソーシャルとの連携を開始。 |
2012年 | 「かんたんEC」(手軽にECサイトを制作できる無料版のASPカート)が発売される。
資金ゼロ円でショップが開設できる「ZERO STORE」「BASE」「Stories.jp」開始。 |
2013年 | ヤフー株式会社がYahoo!ショッピングの出店料金を無料にすると発表。
スマホアプリゲームが流行。ガンホーが売上高1,600億円達成。 |
2015年 | Amazon Payサービス開始。 |
2016年 | ZOZOTOWNがツケ払いサービス開始。
UberEATSがサービスを開始。 |
2017年 | BANKが買取サービス「CASH」を開始。
メタップスが時間取引所「Timebank」を開始。 |
(参考:https://ecnomikata.com/company_blog/9682/)
トピックまとめ:ECサイトの歴史におけるポイント3つ
このトピックでは、ECサイトの歴史を年表を使ってチェックしました。
大きなポイントは、
- 1996年以降:パソコンとインフラの普及
- 2000年末:ネットバブルの崩壊
- 2010年以降:スマートフォンの普及
です。
1996年以降にパソコンが普及したこと、そしてインターネットインフラの整備に伴ってECサイトは最初の成長を遂げました。しかしながら2000年には「ネットバブル崩壊」という大きな転機が訪れます。
それによりEC専業ショップが多く倒産。インターネットだけでなく実店舗と連携させてサービスを提供していかなければ、ECは成り立たないという考え方である「クリック&モルタル」が生まれました。
また、EC市場の成長にともなって、多くの消費者トラブルを生み出した時期でもあります。そのため、国は消費者を守るためにECについての法律を整備しました。
2010年からはスマートフォンが普及し、ECはさらに勢いを増して成長。
最近ではスマートフォンアプリでの販売サービスを提供する企業が増えており、今後もその傾向は強まることが予想されます。
- 〈ここをチェック!〉スマートフォン出現のインパクト
- 2007年にiPhoneが販売され、2010年にはスマートフォンが広く世間に行きわりました。現在では、インターネットユーザーの実に7割が、パソコンではなくスマートフォンによってネットを利用していると言われています。
このユーザー動向の変化により、それまでパソコンを中心に作られていたECサイトが「スマートフォン中心」に作られるようになりました。スマートフォンの登場と普及がECサイトに与えた影響は大きく、ECの歴史における重要なポイントと言えます。
ECサイトの具体的な事例を確認しよう!
右肩上がりに成長しているEC市場では、日々新しいサービスやECサイトがリリースされています。業界ごとに販売方法やECサイトの運用方法は異なるので、ECサイトの構築時は自社ビジネスと近い事例を参考にするのがおすすめです。
ここでは、これまでに実績を上げてきた話題のECサイトを
- 虎斑竹専門店 竹虎
- カメラのキタムラ
- ユニクロ
の順に3つ紹介します。
虎斑竹専門店 竹虎
虎斑竹専門店 竹虎は創業120年の歴史を持ち、イギリスのBBC放送も取材に訪れるほどの竹材専業メーカーです。
1997年からインターネットを使って情報を発信し、徐々にアクセスを増やしました。2011年からはFacebookも開始し、今では50,000件近い「いいね」を集めています。
その特徴は、「竹のすばらしさ・竹のある生活のよさ」が伝わってくるサイト作りです。サイトでは「作り手の竹に対する想い」とその「製造工程」を丁寧に伝えることで、ユーザーからの高い支持を得ています。
カメラのキタムラ
ECサイト上で動画を使って商品への理解度を高めることで、販売につなげているのがカメラのキタムラです。
カメラのキタムラでは、自社で制作した商品の説明を、動画で1,000本以上公開。動画はYoutubeでも見ることができます。
動画では
- 商品の使い心地
- 実際の操作性
など、実際に手に取ってみないとわかりにくい点を知ることができます。これは、ECサイトでの買いものが不安なユーザーにとって大きなメリットです。
ユニクロ
日本のファストファッションの最先端を担っているユニクロ。そして、ユニクロは実店舗だけでなくECサイトでも「リアル」と「Web」をつなぐ集客で成功しています。
具体的には、ユニクロはモバイル会員用のクーポンを作りました。そして、サイトを見て来店したユーザーが店舗でクーポンを見せることで、お得に商品を購入できるようにしたのです。
また商品レビューでは、商品を購入したユーザーの身長や体重が書かれており、「ECサイトで服を買いたいけど、サイズ感がわからない」という不安を解消しています。
トピックまとめ:ECサイトの事例から学ぼう!
ここで紹介した3つのECサイトでは、
- 商品のすばらしさ、商品のある生活のよさを伝えること
- 商品の使い心地、操作性を動画で伝えること
- リアルとWebをつなげて、かつユーザーの不安をなくすこと
が実現されています。
いずれのECサイトでも、扱っている商品をより魅力的に思ってもらう施策が考えられていますね。
- 〈ここをチェック!〉自社ビジネスと近い事例を参考にする
- ECサイトを構築する際は、まずは自社の商品と同じジャンルを扱っているサイトを参考にしましょう。
これからECサイトで実現したいことはたくさんあると思います。しかし、まず何よりも優先すべきなのは商品の魅力をきちんと伝えて、売上を出すことです。
そのため、扱っている商品のジャンルが同じECサイトを参考に、自社のECサイトをどのように運用するか考える必要があります。
ECサイトの歴史と事例を参考に、売上の上がる自社ECサイトを構築!
ここまで、ECサイトの歴史と事例についてお伝えしました。
おさらいすると、まずECとは「インターネットでモノやサービスを売買すること」でしたね。
ECのメリットは、
- 実店舗がなくても全国に販売できること
- 営業コストが低いこと
- 自動販売が可能なこと
でした。
そして、ECサイトの歴史では、
- 1996年以降のパソコンとインフラの普及
- 2000年末のネットバブル崩壊
- 2010年以降のスマートフォンの普及
が、大きなポイントだということをお伝えしましたね。
最後に、ECサイトの事例として3つのECサイトを
- 商品のすばらしさ、商品のある生活のよさを伝える「虎斑竹専門店 竹虎」
- 商品の使い心地、操作性を動画で伝える「カメラのキタムラ」
- リアルとWebをつなげて、かつユーザーの不安をなくす「ユニクロ」
の順に紹介しました。
どのECサイトも、扱っている商品をより魅力的に思ってもらう施策が考えられているのがポイントです。
この記事を通じて、「ECとはどんなものなのか」がざっくりと理解できたと思います。
自社ECサイトを作るときには、今回ご紹介したECサイトだけでなく、自社で扱う商品ジャンルを扱っているサイトも参考にしてくださいね。
- 小テスト:ECサイトのメリット
- 【問題】次のうち、ECサイトのメリットを一つ選んでください。
- 【正解】3:自動販売が可能なこと
ECサイトのメリットは、「実店舗がなくても全国に販売できること」「営業コストが低いこと」「自動販売が可能なこと」の3つでしたね。
まずは他のECサイトを参考にしながら、自社ECサイトではどのように商品の魅力を伝えるか考えてみてはいかがでしょうか。