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ミスドのポイント廃止から、ポイントサービスのあり方を考えてみた

2013年9月30日をもって、ミスタードーナツのポイントサービスが終了しました。(※1)

ネット上でも、利用していたユーザーからは嘆く声が多く聞かれました。

このサービスでは、「ミスドクラブカード」という有効期間1年間のカードを発行し、支払い100円ごとに3ポイントを付与し、ポイント数に応じてグッズ交換や値引きなどを行ってきました。

今回はこのサービスが廃止されるに至った原因を元に、ポイントサービスのあり方について考えてみたいと思います。

ポイントサービスの目的

ポイントサービスとは、英語では「ロイヤルティプログラム」と呼ばれ、よく利用してくれるお客様(優良顧客)に、特典(インセンティブ)を提供するマーケティング手法です。特典を提供することで、お店のファンを作ったり、再来店を促すことを目的とします。

もともとは、商店街で押されていたスタンプカードや、切手タイプのスタンプ券が発行されていました。

一生懸命スタンプを台紙に貼り付けたり、家中のベルマークを集めて学校に持って行ったりした経験がある方もいらっしゃると思います。

なぜミスドのポイントサービスは廃止になったのか

では何故、ミスタードーナツは今回ポイントサービス廃止を決めたのでしょうか。

その理由として、下記のような記事がありました。
・「有効期限が1年間であったため、ポイントを使い切れないという声が多く、その点を改善するため」(※4)
・カードは期間の自動更新がなく、1年サイクルでの期限を過ぎれば全て無効になる。この点に対しては「実際にクレームもあることから、見直した結果、現行サービスはやめることにした」(※5)
確かに顧客のために実施している施策でクレームをもらってしまうのは本末転倒な気もします。サービスの廃止に踏み切る程ですから、このようなクレームが相当数あったのでしょう。別の方式として、再開を検討しているとのことですので、ミスドファンの方は再開を待つのみです。

なぜ顧客のクレームにつながったか

今回のミスドの場合、「ポイントの有効期間が短く、ポイントの利用ができない」という顧客の不満がサービス廃止の原因となります。これは、顧客に与える特典のタイプも影響していると考えられます。

ポイントをいくつかのパターンに分類してみると、物と交換する「交換タイプ」と、割引きとして利用できる「割引タイプ」に分類できます。

・交換タイプ

これは貯めたポイントを商品や商品券と交換できるタイプです。顧客側に明確な目標(これが欲しい!)があるので、自分の保有ポイント数を認識している顧客が多いと考えられます。ミスドのポイントはこれに当たります。

・割引タイプ

ポイントを会計時の割引に利用できるタイプです。会計時に掲示することで、ポイントが加算されます。交換タイプと異なり、顧客側に明確な目標がないので、今自分が何ポイント持ってるかを把握している顧客は少ないと考えられます。レシートにポイント数が印字されても受け取らない人は多いですし、MYページにログインして確認する人も少ないのではないでしょうか。

すなわち、「交換タイプ」ゆえにポイント数を意識している顧客が多く、その上自動更新が行えず、期限を過ぎれば全て無効になる仕組みであったことが今回クレームを生み出す原因となったと考えられます。

ポイントサービスにおける3つのポイント

いまや街中にあふれるポイントサービスですが、顧客のファン化や、再来店の促進を達成するには、サービス設計が重要です。

特に重要なのは、ポイントの「ためやすさ」と「たまっている感」と「ためる楽しみ」の3点です。

・ポイントの「ためやすさ」

当然、ポイントサービスは顧客にとって現実的であることが必要です。欲しい景品があっても、膨大なポイントを貯めなければならないとなると、顧客は諦めてしまいます。

参考までに、ミスタードーナツで2013年2月まで引き換えが行われていたポンデライオンのぬいぐるみは1000ポイント必要でした。ドーナツ1個100円とすると、334個以上。。。

もちろん既に熱狂的なファンである顧客もいますので、そうした顧客は達成することが可能ですが、新しい顧客にとっては難しいかもしれません。

また、「ためやすさ」を実現する方法として、単純な購入だけでなく、来店やアンケート回答などでポイントを付与する方法も考えられます。

例えば、無印良品のマイルサービスでは、店舗・Webでの購入や、レビュー投稿、来店のみでもマイルを貯めることが可能です(※6)し、リアル店舗でのポイントプログラムを推進している楽天も、先日来店ポイントサービスを提供する「スマポ」の買収を発表しました。(※7)

店舗でもWebでもポイントを貯めることができる。O2Oが叫ばれて久しい現在、このためやすさは今後ますます求められていくと言えるでしょう。

・ポイントが「たまっている感」

顧客は何をもってポイントの「たまっている感」を認識するのでしょうか。

ポイント残高を直接見せる方法(カードに表示させたり、レシートやマイページでの表示)もありますが、やはり「たまっている感」を認識させるのはなかなか難しいです。

先に紹介した、スタンプカードや、切手型のスタンプ券では「たまっている感」を認識しやすいと言えます。例えば、1981年から毎年白いお皿のキャンペーンとして行われる「ヤマザキ春のパンまつり」(※8)には多くの人が参加をします。パンを購入するとついてくるポイントシールを台紙に貼っていくという昔ながらのスタイルですが、視覚的に「たまっている感」がはっきりわかります。また、「ためれば必ずもらえる」というのもこのキャンペーンが人気な理由の1つでしょう。

・ポイントを「ためる楽しみ」

いかに顧客に楽しくポイントをためさせるかも重要な要素です。

Pontaの提供するアプリ「Pontaタイム(ポンタイム)」では、ゲーム感覚でポイントをためることができます。(※9)Pontaタイムでは、提携店舗でPontaカードを利用して買い物をすると、アプリ内で「バッチ」を獲得できます。日々の購買活動にゲーム性を合わせている「ゲーミフィケーション」の良い例だと言えます。

「Pontaタイム(ポンタイム)」の画面(※9)


以上、今回はミスドのポイントサービス廃止をもとに、ポイントサービスに必要な要素を考えてみました。

ミスタードーナツがどのような形でポイントサービスを再開するのか。是非とも注目したいところです。
この記事を書いた人
大工 峻平

エスキュービズムにて、タブレットPOSシステム導入を担当。タブレットPOS、Handyシステムの導入営業からはじまり、納品・教育・保守まで幅広い業務領域に携わっています。