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2016年のモバイルペイメントにおけるトレンドキーワード4

2016年はモバイルペイメント業界にとって重要な年となりそうです。例えばApple Payはヨーロッパへの本格進出を予定しており、この事がモバイルペイメントの世界にもたらすインパクトの大きさは計り知れません。加えてApple Payの競合相手となるGoogleもモバイルペイメントへの進出を計画しており、この分野における開発が一気に加速することが予想されます。
また、2016年はモバイルペイメント=スマートフォンの構図にも変化が起こり、スマートフォンに代わってウェアラブルデバイス=スマートウォッチやブレスレット、そして指輪を通しても支払いができるようになるとみられます。これらの動きを踏まえて、2016年のモバイルトレンドを挙げて見ていきましょう。

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1.セキュリティ強化

セキュリティの面では、2016年はトークン化データ保存形式と生体認証がキーワードとなってきます。まず、トークン化データ保存形式によってクレジットカードのデータセキュリティが向上します。具体的には、オリジナルのクレジットカード番号は厳重にサーバーに管理されつつ支払いの際には無作為抽出されたトークンデータが使用されるため、仮にこのデータが盗用されたとしても悪用はできないという仕組みで、現時点ではあまり耳慣れないシステムですが、2016年中には広く一般化されることが予想されています。

生体認証に関しても2016年には新しい動きが予定されています。認証手段としてこれまではパスワード、PINナンバー、指紋などが一般的でしたが、これからは声紋や指の毛細血管をスキャンして認証するなどのより複雑で厳重なセキュリティシステムの実用化へ向けた開発が進むことになるとみられています。

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2.世界規模でのEコマース

これからはEコマースの成功のカギは世界規模での販売戦略構築にあるといっても過言ではありません。しかし、これは単にウェブサイトを現地語に翻訳して配送面を整備するだけにとどまりません。

例えば地域に合った支払い方法への対応が挙げられます。例えば東ヨーロッパやラテンアメリカ諸国ではクレジットカード普及率が低いため、代わりの支払い方法はどのようなものが一般的かを把握して、サイト上に反映させる必要があるのです。また支払い方法以外にも、各国や地域によって異なる現状を踏まえた形でのサービス提供が必要不可欠です。

3.各種規定の変更

2007年に施行されたEU決済サービス指令(PSD)は、現在EU圏内における支払いに関する規定として使用されており、オーダー確定後1日以内に支払いを完了させることなどが義務付けられています。しかしここにきて、ユーザーの認証強化に焦点を当てつつオンラインでのセキュリティの向上を目的とした新しい規定が制定されました。

また、この新規定ではオンライン上の個人データの盗用などを防ぐことだけにとどまらず、新規参入企業にとってモバイル・インターネット経由での支払いシステムの開発が容易に行えるように、金融機関との提携も積極的に実現させています。

これまでのところ、European Banking Authority (EBA)が詳しいガイドラインや規律の設定に動き出しており、EU諸国に実用化される形で浸透するにはあと2年ほど要しますが、2016年に最初のステップが踏み出されることは間違いありません。

4.現金支払いの終焉?

このような動きやトレンドを見ていると、現金で支払いを済ませる時代が終わってしまうのではないかという意見が出てきても不思議ではありません。事実、スウェーデンではバスの切符を買う際に現金で支払いをすることがほぼ不可能になっており、代わってプリペイドカード、クレジットカード、またはスマートフォンのアプリを通した支払い方法を利用するシステムが採用されています。

スウェーデン国内におけるこのようなキャッシュレス支払いの傾向はパン屋のような小売業者にも浸透しており、店内には少額の支払い時においてもカードなどで支払いをするよう呼びかける注意書きが見られます。デンマークにおいても同様で、同国政府は現在小規模小売業者に現金支払いを受け入れなくてもよいとする権利を与えるかどうかといった点について議論を交わしているところです。

bakery しかしながら、現金での支払いが完全に必要なくなる日が来るのかというとそうではなく、例えばドイツでは支払いの80%が現金で行われているという現状も忘れてはいけません。結論を述べるなら、確かに世界的に見ると2016年には支払い手段としての現金の利用度は50%以下になると予想され、クレジットカードやアプリを使った支払い手段がより一般的になっていく傾向にありますが、近い将来に私たちの生活の中で現金を全く使わなくなるということはあり得ないようです。


この記事はTop 5 Payment Trends for 2016を海外小売最前線が日本向けに編集したものです。