eBay重役が語る「小売りの未来はオムニチャネル」

Tim Berners-LeeがWorld Wide Webを完成させてからちょうど25周年であることを踏まえ、eBay UK社のバイスプレジデントのTanya Lawlerは、なぜインターネットがショッピングに革命を起こし、そして小売りはこれからどのように適応していくかについて考察しました。
インターネットが広まりだした当初、それが小売業界にどう影響を及ぼすかについての予想は漠然としていました。売上げにどう影響するか？これからの顧客は何を望むか？どのくらいのスピードで業界を変化させるのか？これらは小売業界にとって予測すべき緊急の課題でした。
現状はどうでしょうか？小売りの世界は激変しています。インターネットは小売業界にとって大きなチャンスを与えてくれるツールとなっています。

ウェブの速度と使いやすさは、よりスムーズで統合された小売りスタイルへとつながります。高速ブロードバンド、Wi-Fiといたイノベーションやモバイルや4Gの出現は私たちの買い物のカタチ、そして顧客への対応の仕方を完全に変えました。全てはインターネット革命によるものです。
これにより、顧客はより多くを求めるようになってきています。インターネットが顧客の手に握られていることが大きなポイントです。

私は2012年にeBayに参加する以前はマーチャントサイドの人間でした。直近ではSainsbury’sでデジタル、クロスチャネルのディレクターを務め、その期間だけでも小売り業界は大変な変化を経験しました。
しかしこの変化を経ても変わらないモノがあります。それは体験の中心に顧客を置くことの必要性です。

インターネット以前は店舗が顧客にとっての中心であったのに対し、これからは全てのチャネルで顧客に従事する必要があります。そしていつでも、どこでも、どのデバイスでも買い物がしたいという顧客の声に応えるべくシームレスな買い物体験を築く必要があります。

顧客はかつてないほどのハイグレードなサービスとコンビニエンスを小売りに求めています。店舗とオンラインが統合していることを望み、そうでないならそのまま我慢することはありません。例えば顧客はオンラインで購入したものを店舗で引き取り、返品できることなどを求めます。
eBayはオンライン小売りとオフライン小売りの関係性を調査しました。調査によると、
買い物客の31パーセントがオンラインで購入する前に店舗を訪れます。いわゆるショールーミングです。しかしこれに対し、34パーセントはオンラインでリサーチした後に店舗で購入するという、言わば逆ショールーミングを行っています
これはオンラインが実店舗と競合するものでなく、補足し合うものであるという1つの証拠です。

私の仕事はeBayのブランド戦略と成長に焦点を当て、eBayの持続的成長と今日の顧客要求満足を促すことです。これに重要なのは小売企業にオムニチャネル・リテイリングを推奨することです。Argos、BMW、Boots、House of Fraserなど、イギリスの100を超える有名なブランドや小売りは既にオムニチャネル戦略の一部としてeBayを使用しています。

未来はシームレス

小売りの未来はどうなるでしょうか？チャネルの統合と全方位型のアプローチは小売りにとって最大の試練であると同時に最大のチャンスでもあります。
個々のチャネルでも顧客は満足感を得る例はいくつもあります。しかし、全方位型のオムニチャネルを提供するシームレスな買い物体験はより得がたいものです。成功する小売りとは店舗、eコマース、モバイル、パートナーシップセール・プラットホームの複数を有しています。

これが小売りの未来の向かう先です。チャネルのさらなる統合と真のオムニチャネル戦略の実現です。
マーケティング担当者はチャネルからチャネルへと行き交う買い物客に役立ち、インスピレーションを与えるシームレスな経験の創造に腐心せねばなりません。これにはオンラインとオフラインの買い物体験を融合し、機能的で楽しい買い物体験の創造が必須です。

これが新たに構築したeBay Collectionsの目指すものです。ブラウジングと発見に楽しみをもたらし、購入につなげるというコンセプトです。eBay Collectionsはアイテムのキュレーションとグルーピングを可能にし、視覚的な物語を作り上げ、個々人に向けたインスピレーションを提供します。
テクノロジーがどれだけ進み、その導入スピードが加速しても、顧客の要求に応え続けることが成功するブランドの要因であることに変わりはありません。顧客のニーズに敏感であり、柔軟であることが成功へとつながるのです。