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渋谷の楽天カフェがオムニチャネルしてるか見てみた

あのインターネット集団「楽天」が提供する、今話題の実店舗「楽天カフェ」。楽天の様々なサービスを実体感できる店舗として渋谷のど真ん中にグランドオープン、ということで取材をさせていただきました。「楽天カフェ」の中身を「オムニチャネル」の視点から見てみました。それではどうぞご覧ください!
  • 1リアル店舗「楽天カフェ」
  •  1-1店内の雰囲気
  •  1-2店内の環境
  • 2楽天カフェのオムニった取り組み
  •  2-1楽天市場が体感できる仕組み
  •  2-2クレジット決済での半額会計
  •  2-3電子書籍「KOBO」がいつでも読める
  •  2-4オムニチャネル最前線:楽天チェック
  • 3まとめ
  • 1 リアル店舗「楽天カフェ」

    店内全3フロア85席という広めの作りとなっていながら、全席満員の大盛況っぷり。店内の内装は木のぬくもりを感じるほどに落ち着いていて、おしゃれな雰囲気が漂うカフェ。

    1-1 店内の雰囲気

    店内全3フロア85席という広めの作りとなっていながら、全席満員の大盛況っぷり。店内の内装は木のぬくもりを感じるほどに落ち着いていて、おしゃれな雰囲気が漂うカフェ。外観およびインテリアデザインは、UTストアやカップヌードルミュージアムで有名なあの「佐藤可士和」氏がクリエイティブディレクターとして監修しているとのこと。

    イスやテーブル、トイレまで細部に「佐藤可士和」氏のこだわりを感じることができる店内となっています。来店客は渋谷ということもありは若い方が多いのですが、店内にいるスタッフさんも若い。店内には新鮮さがにじみ出ており、活気に溢れる店舗でした。

    ▼超売れっ子デザイナー・ディレクター「佐藤可士和」
    http://kashiwasato.com/

    店内では、コーヒーやカフェラテ、ジュースなど通常のカフェメニューに加えて楽天市場で全国的にも有名なお取り寄せスイーツがレジを彩っています。

    有名なスイーツは「マダムブリュレ」「玉華堂の極プリン」「古都の葉重ね」など、和洋問わず9種の絶品が用意されていました。店員の方にお伺いしたところ、今後は3か月ごとにメニューの入れ替えを予定しているとのことでした。

    1-2 店内の環境

    「日本最高速」のWi-Fiを導入

    巷で有名になっていた日本最高速レベルの無料Wi-Fi環境を私も体感してみました。速度1Gbpsで、一般的なフリーWi-Fiの10倍も速いとのことでしたが、確かにインターネットがぬるぬる動く動く。
    Wi-Fi目的で来店してもいいくらい大満足の行くスピードと安定性でした。また、嬉しいことに「楽天カフェ」のWi-Fiは鍵付きではなく、アカウントを作成してログインしなくても誰でも自由にインターネットに繋げられる空間を作り出している所も細かい点ですがとてもうれしいところ。
    気軽に仕事も休憩もできるような環境が完備されていることで、色々な目的で来ているお客様が多い印象を受けました。

    コンシェルジュ

    店頭には、様々な記事でも撮影されていらっしゃったコンシェルジュの方が常駐していらっしゃいました。

    今回はネット大手の楽天がリアル店舗を出店することになった理由について。「楽天カフェ」が出店した背景にリアルとの強烈な接点があったためだそうで。
    全国の百貨店で物産展を開催した時に、楽天市場の人気商品を求めて催事売り上げの過去最高を更新するほどの盛況を記録。
    その時、リアルでの買い物の実際に手に取り、舌で味わってもらう安心感の重要性を感じ「楽天カフェ」の出店の構想が生まれ、渋谷に誕生したとのことでした。

    楽天Edy

    楽天Edyは、楽天Edy株式会社が提供するプリペイド(前払い)方式のお買い物で楽天スーパーポイントがたまる電子マネーです。「楽天カフェ」の店頭にはこの端末が悠々とそびえたっていました。
    これから楽天カードやポイントの普及とともに端末を増やしていきたいのでしょう。

    ▼電子マネー「楽天Edy(ラクテンエディ)」
    http://www.rakuten-edy.co.jp/

    2 楽天カフェのオムニった取り組み

    ここでは、楽天カフェのオムニった取り組みをご紹介していきます。実は「楽天カフェ」はそこまでオムニチャネルを強く押し出してる訳ではありません。

    それでも、インターネット会社が作る実店舗ということで、いくつかのオムニチャネルな取り組みあります。そのオムニチャネルな施策をご紹介していきます。

    2-1 楽天市場が体感できる仕組み

    楽天カフェのメニューは、プリンやスイートポテト、スイーツ以外にはパンやピザなどが提供されています。ドリンクもビールやワイン、冷凍フルーツを使ったスムージー各種といったノンアルコールからアルコールも幅広く用意。
    店内のメニューも「楽天市場」そのものを体現するという狙いから、楽天市場の販売ページを模したデザインとなっているそうです。

    また、今後は3か月程度の周期でメニューの入れ替えを予定しているそうで、定期的に変わる季節のメニューなどが大変気になります。また、店内で配布されているメニュー(席備え付けのものとは異なる)にQRコードがついているので、食べていて気になったらその場でお取り寄せができるオムニチャネルな施策。

    メープルシロップがたっぷり浸み込んだバウムの甘さとほろ苦さを同時に味わえる、奥深い贅沢スイーツでした。
    実は、この一口サイズでこの絶品スイーツが味わえるのが大きな売り。本来ECでホール買いしなければ味わえないものが、お試し感覚でも味わえるユーザーにとって嬉しい取り組みでもあります。

    そのような”お試し”ができる仕組みも、店舗へと足を運びたくなる要因にもなります。
    気に入ったらそのままECでも買えるというオムニチャネルっぷりでした。

    2-2 クレジット決済での半額

    コーヒー類と紅茶類はどれも、楽天カードで支払うと半額に。もちろんコーヒーも楽天市場にショップがあるブランドのものなのですが、提供されるのは楽天カフェ限定のオリジナルブレンドでここだけでしか飲めないようです。

    更に楽天カード利用者であれば、割引後の飲料価格は200円以下になるので、おいしいコーヒーがこんなに安く飲めるところは他にないと感じました。
    最安のドリンクは「ドリップコーヒー」「アイスティー」の140円でした。

    2-3 電子書籍「KOBO」がいつでも読める

    楽天カフェオムニチャネルな取り組みの一つは、あのKOBOが店内1階全席と2階のカウンター席に備え付けられていることです。
    標準に備え付けられているKobo Arc 7HDは、公式ホームページによると「読書家が読書家のためにデザインしたAndroidタブレット」とのことでした。


    ▼楽天カフェ公式ホームページ
    http://cafe.rakuten.co.jp/concept/it/
    実際に配信されている書籍は図の通り。老若男女の層でもトップクラスに人気の雑誌(個人的な感覚ですが)を取り揃えたラインアップ。
    昔からある雑誌という媒体が電子化され置き換わる新たなるオムニチャネルといった印象。

    もちろん、個人で持っていればそんなに珍しいものではありません。
    しかし、タブレットが店内に標準搭載だからこそ、この取り組みが元来的手法でありながら新しい「オムニチャネル」という取り組みだと捉える事が出来ます。

    2-4オムニチャネル最前線:楽天チェック

    来店するだけでも、楽天スーパーポイントが貯まるサービス「楽天チェック」。
    店内でアプリを立ち上げると、来店して”チェックイン”を押しただけで楽天スーパーポイントが手に入るという仕掛け。

    対応店舗は楽天カフェのほか、パルコ、生活彩家、レデイ薬局など全国900ヵ所。中はどんな仕組みになっているのかというと、楽天チェックアプリを利用する際、店頭で発せられる音声ビーコンをスマホのマイクから読み取ることにより来店検知をしているそうです。この機能から、店に行ったことがわかる仕組み。

    本体としては来店ポイント「スマポ」(http://www.smapo.jp/)をそのまま流用したものでした。
    ▼お店に行くだけ。あなたのスマホインポイント貯まる。:スマポ
    http://www.smapo.jp//
    店内で楽天チェックインのアプリを起動して「チェックイン」ボタンを押します。
    これで楽天スーパーポイントを20ポイントゲット。毎回チェックインすれば、お店に来る度に20ポイントもらえるので実質20円引きになるのと一緒です。

    楽天スーパーポイントは楽天市場で活用できるポイントなので、このポイントを軸に今後サービスの拡大を狙っていることを感じられます。
    スマートフォンアプリも、スマポがもとであることでとても使いやすいUI。
    来店ポイントを絡めたオムニチャネルな仕組み。

    ▼共通来店ポイントアプリ「楽天チェック(仮)」4月2日サービス開始
    http://www.smapo.jp/news/2014/03/04/115710.html

    まとめ

    「楽天カフェ」はリアル店舗を通し「ネットサービスに対する不安感をなくして新しい気づきを提供したい」「ネットとリアルの架け橋をつくりたい」というコンセプトの元生まれた店舗です。

    買い物、銀行などリアルの世界で行われてきたことをネットで展開してきた楽天。
    ただ、リアルでの決済金額と比べるとまだまだEコマースはその数パーセントに過ぎません。それに加え、Eコマースの経験がない、楽天市場を使ったことがない人もたくさんいる。そんな背景に、リアル領域のチャネル強化の必要性を同時に感じていると考えられます。


    また、この店舗が楽天サービスのショーケースの意味合いがあることも噂通り確かでした。「楽天チェック」や「楽天Edy」、「楽天ポイントカード」を実際に体験してもらうことをきっかけに、ユーザーの理解と新たなチャネルの開拓を行おうとしています。

    今後多店舗展開も検討しているそうで、この取組みからEC事業を主軸とする企業が実店舗を持つのは当たり前になるかもしれないと感じさせられました!
    これからのオムニチャネルの新たな展開に更に期待できる取材でした。

    この記事を書いた人
    川田 勇輝

    エスキュービズム・テクノロジー セールス&マーケティング部にて、アカウント営業・商品開発を担当。小売での実務経験を元に、多店舗の運用や導入までのコンサルティングや納品、新製品の開発に携わっています。