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2014年、商品配達はこう変わる

実店舗VSオンラインストアの年末年始における一大販売競争では、2013年はオンラインストアの圧勝に終わり、新しい在庫保管倉庫や発送センターも多く建設されました。

配達時間の短縮に対する消費者の要望は高まる一方で、いまや販売競争を勝ち抜くにはいかにして在庫保管場所から購入者の玄関先まで短い時間で配達できるかにかかっているといっても過言ではありません。

2013年のサイバーマンデー(アメリカで感謝祭の次の月曜日を指し、オンラインストアなどが大規模なセールを行い売り上げが急増する)はオンラインショッピングとしては史上最高の結果となり、IBMによる2013年版Holiday Benchmark Reportによるとオンラインでの売り上げは前年度比+20.6%を達成したということです。
これに比べて小売店舗が大規模セールを行うブラックフライデー(感謝祭の次の金曜日)おける売り上げは、ShopperTrakの調べでは2012年に比べて13.2%減少したという結果が出ています。
こういった結果に加えて、ラジコン飛行物体による無人配達の実用化に向けてもメディアの注目が高まる中、販売業者側にとっては配達システムで差をつけるという事が熾烈な販売競争を勝ち抜く上で大きなカギとなるのは間違いありません。

そこで問題となってくるのは、消費者が求める配達のカタチに対して実店舗・Eコマース販売の両者がどのようにして対応をしていくべきであるかという点です。

そこで、我々は最新の調査結果を用いながら引き続き小売販売における発送システムの戦略に関して注目をしていくと同時に、2014年以降の標準となる最新の「複数チャンネル物流システム」に対応した土地活用法を紹介していきます。

この「複数チャンネルシステム」では、一つのエリアのみを単体で管理するのではなく実店舗からウェブサイト、モバイルショッピングに至るまで全てを網羅した購買システムが構築されることになります。

このシステムはウェブサイトやモバイルショッピングアプリのような消費者に「見える」システムを取り込むだけでなく、配達に関わる物流の拠点との関連を深めアップデートをしていくことで、販売業者が各地域において消費者側の求めるサービスに対し柔軟な対応の実現を可能にします。

実際に複数チャンネルシステム化を進める企業の動きも明白になってきています。JLLによるBig Boxレポートによると、ある有名格安小売業者はEコマース関連へ投資を行った結果2011-12年にかけてウェブサイトでの販売業績が20.3%も上昇した事を受け、先頃大規模な総合物流センターを新たに2箇所建設することを発表し、そのうちの一つは100万平方フィートを超える大きさであるということです。

Eコマースでの売り上げは今年度は100億ドルに上るとみられており、同時期のとある大手デパートチェーンにおけるオンラインの売り上げも41%増になるという数字が出ています。これを受けて同デパートは店舗販売にオンライン販売を統合させる動きに力を注ぐ方向性を明らかにした上で、昨年2月には今年度末までに500店舗においてオンライン販売の実現を目指すと発表しました。

これに伴い、販売業者側としては同日配達を含めたより素早い対応が可能になり、同時にオンラインで購入を済ませた商品を店舗で受け取るというオプションも提供できることになります。


小売業界における流通形態のトレンド:時代と共に移り変わる土地建物の活用法

小売業者の土地建物活用形態において大幅な変化が起こったのは今回が初めてではなく、小売における流通の効率化を目的とした土地活用の最初の動きが生まれたのは1980年代に遡ります。

当時は独自の配達センターにおいて商品の一極集中管理をすることで各店舗に必要なものを素早く提供できることを目的として、アメリカ国内各地でも大規模な新しい在庫管理倉庫が次々と建設されました。

1990年代に入ると世界中から製品の仕入れを行う動きが活発化し、輸入製品の取り扱いを専門とする施設の必要も出てくるなど在庫管理倉庫のスタイルもより複雑化し始めました。

そして近年ではさらに新たな土地活用の必要性が出てきており、2000年代に入り過熱する一方のEコマース化の動きに伴う販売流通システム構築の需要を受け、より特殊なタイプの施設が求められてきているのです。

2014年以降は製品をある程度の量まとめて処理するという従来の手法に代わって、個別に配達を行うスタイルが主流となってくるとみられます。それを効率よく実現させるにはシステムをしっかりとサポートする土地活用が重要な役割を担うこととなり、この事がひいては消費者の購買経験を向上させることにも繋がってきます。

販売業者側にとっては、オーダー処理、商品ピックアップ、梱包(ギフト梱包オプションも含む)、さらに個別に各玄関先まで発送するところまでを一日で完了する、という新たな必要性が生まれてきたということで、これまでのようにトラックに全てまとめて運搬を済ませていれば良かった時代とは明らかに変わってきているという認識が出てきています。しかし、施設の運用方法を常に最適化していくことでこういった新たな流れにもきっちり対応していくことは可能なのです。


複数チャンネル形態をサポートする新たな6つの施設

さて、よりスピーディな配達の実現の為には全工程を速やかに遂行できる専用施設が不可欠となってきますが、ここではそのような各施設を順に挙げてご紹介します。

大規模な在庫管理センター:

50万平方フィート以上の広さの敷地面積に建てられ、在庫保管には建物の高さをフル活用し物流の中心として機能する施設です。労働者が集められやすく仕分け施設にも近い場所が望ましいものの、都市部近郊である必要はありません。

集荷施設:

施設内は密集することのないよう幅広いスペースが確保され、大規模なトラックへの積み込み施設と全自動化された内部システムが特徴です。在庫管理センターとこの先の配達プロセスとを効率よく結ぶために全体の流れの中心となる場所に位置しています。

地域配達センター:

配達プロセスの最後の段階に位置する管理センターとなります。アクセスの良さが何にも増して重要で、主要都市郊外に位置することで周辺全地域へのよりスピーディな配送を実現させます。

都市部物流管理倉庫:

Eコマースビジネスの中心となる主要都市にも物流管理施設を置く事で配達スピードの徹底を確実なものとしています。ここにおいてもアクセスの良さは必須で、幅広いスペースと荷積みエリアの充実が最優先されます。

返品管理センター:

販売業者が消費者サービスの充実により力を入れていく中で、返品された商品の処理施設に対する必要も高まってきています。返品された商品は各在庫管理センター内での処理も可能ですが、独立した専用施設を設けることで返品商品の在庫管理や取り扱いを効果的に行うことが可能になります。

食品専用在庫管理センター:

オンラインでの食品購入はこの先も増加していくことが予想され、アメリカの大手オンライン販売業者の中にはオンラインで購入した食品の配達可能地域を20都市へ拡大する方向を明らかにしているところもあります。食品購入量が最も多い都市部近郊においては、すでに高性能冷蔵保存施設などといった管理体制の必要が増加しているのが現状です。

2014年には同日配達が実現する?

販売業者が様々な物流チャンネルや供給システムを一体化させることで、今年はついに同日配達が実現する可能性も出てきています。

これが全ての業者や全商品に当てはまるということはあり得ませんが、一般的には販売業者やオンライン業者の多くがこの同日配達サービスの実現に向け配達システムの効率化に力を入れてきています。

では具体的にはどのようにして実現させるのかということになるわけですが、Eコマース自体が業界のマーケットシェアをしっかり確保しながら供給システムの変更を積極的に動かしていくという形になります。このことは確かに数字にしっかりと表されており、2014年にはアメリカ国内における企業~消費者間でのEコマースを通した取引額はおよそ440億ドルに上り、販売総額は2017年までの間に毎年11.4%ずつ上昇していくことになると見込まれています。

全米の81%がインターネットを利用しているという事実や、消費者により便利なサービスをという動きも過熱する一方の現状から、今年は販売業者側としては供給ラインや実際の配達ネットワーク、在庫管理システムなどの見直しを行うことで複数のチャンネルを駆使しながらビジネスチャンスの拡大を図る動きが盛んになると予想されます。


さらに今年は前述したような専用施設の建設だけでなく、オンラインで購入した商品を店舗で受け取るというスタイルや、簡単明瞭な返品システム、境界を越えたEコマースの一体化などのさらなる展開も予想され、消費者にとってはまさに「いつでも」「どこでも」「どのような形でも」商品の購入が可能となってくるのです。

この記事はDifferentiating with delivery: Top trends for 2014をOrange Blogが日本向けに編集したものです。