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O2O市場の拡大と見えてきた課題【問題点と今後】

2012年も残すところ、一ヶ月を切りました。
今年はいたるところで「O2O」という言葉を耳にした1年でした。





O2Oとは、Online to Offline(オンラインツーオフライン)、

つまり、オンライン(ネットの行動・情報)がオフライン(リアルの購買)に影響を及ぼす、というEC・小売業におけるネットとリアルの連携の傾向を指します。

「ネット上で集客し、リアル店舗へ送客をする」

概念としては理解できていても、その実態を把握している方は少ないのではないでしょうか。
ちょうど、野村総研が『ITナビゲーター2013年度版』において今後のO2O市場の分析を発表していたので、市場規模を把握、業界の特徴を見た上で、今後のO2O市場の課題について考えてみたいと思います。





2017年までに2倍になるO2O市場規模





(出典:NRI)

野村総研によると、「2011年度に24兆円の規模で存在するO2O消費の市場は、スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって持続的に成長し、2017年度には50兆円規模へと拡大する。」といいます。

※ここでのO2O市場とは、「インターネットサービスを通じて、消費者がリアル店舗へ送客されることで生まれる市場」を指しています。

たしかに「購入前に、スマホで商品をチェック」という流れはかなり一般的な行動になってきたといえます。

業種別のO2O比率~ネットを見ての購入は、平均20%程度~

野村総研では、「インターネットからの情報を参考としたリアル店舗での消費を行っている割合」をO2O比率として算出しています。

以下、業種ごとのO2O比率を見てみます。

【O2O比率の高い業種】(ネットで調べて、店舗で消費された割合が高い業種。)

1:旅行・交通  38%

2:飲食店、家電 27%

3:趣味・娯楽  26%

【O2O比率が低い業種】(ネットで調べて、店舗で消費された割合が低い業種。)

1:ガソリンスタンド  6%

2:医薬用品・医薬品  12%

3:理美容店      13%

全体の平均は、約20%となっています。裏返せば、80%がインターネットの情報を参考としていない消費であるため、まだまだO2O市場の拡大見込みは大きいと言えます。

①O2Oと相性が悪い?~ガソリンスタンド業界~

この中でO2O比率が最も低いガソリンスタンド業界に注目してみます。なぜガソリンスタンド業界では、O2Oが進んでいないのでしょうか?理由を考えてみると、以下のように考えられます。

・主な検索経路はカーナビ

「そろそろガソリン入れなくちゃ」そう思ってガソリンスタンドを検索するのは、スマホではなくカーナビですよね。カーナビで検索し、一番近くのガソリンスタンドへ入って給油するのが一般的です。

・ニーズの緊急度が高い

「必要になった時にできるだけ早く欲しい」。これがガソリンという商材に対するニーズです。じっくり検討するのではなく、必要になればすぐに購入します。

・サービスに差異があまりない

利用者にとって、ガソリンスタンドは、どこのサービスでも同じと考えられています。その証拠として、自分で給油を行うセルフでの利用が7割を越えるといいます。こうした背景から、インターネットの情報を参考にせずにリアル店舗での消費が行われるケースが多いため、ガソリンスタンドではO2O比率が低いと考えられます。

②O2Oが仇に?~家電業界~

一方、O2O比率が比較的高い家電業界でも、問題が生じています。
先日、家電量販店が、アマゾンの価格を不当だとする記事をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

参考:日経ビジネス「家電量販、『アマゾン価格』に怒り」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121116/239526/

・顧客が、Webで調査して店舗に来てくれるまではよいが、店員に安いネット価格を提示し、値下げ交渉をする。
・店舗は、結局ネット価格までの値下げはできず、顧客はWebで購入する。

このように、店舗が商品展示の場となる、「ショールーミング」と呼ばれる流れが実際に起きています。先行的にO2Oが進んでいるという業界でも、その成否は一概に言えないようです。

O2O市場のこれから~課題は顧客行動の可視化~

現状、O2Oの活用が進みにくい業界があること、O2Oの活用が進んだ業界でも新しい問題に直面していること、をご説明しました。

野村総研では、O2O市場の拡大においての課題として、「顧客行動の可視化」をあげています。

O2O市場規模は2011年度で、約24兆円とされていますが、その大部分は実際に検証されておらず、顧客が購入まで至ったかどうかの効果測定が行えていないというのが現状です。

正しい効果測定を行い、それをサービスに活かすためには、顧客がどういう経路で、その商品を選択し、購入したのかというより細かいデータが必要となります。

先にあげたガソリンスタンド業界では、利用者にとって、どの企業のサービスも同じと認識されているという問題があります。

たとえば、ガソリンの残量が少なった時に、最寄りのガソリンスタンド情報が届く。なおかつ、そのガソリンスタンドを利用して獲得できるポイントがこれから行く目的地で利用できる。

こういった顧客情報や位置情報といったデータを活用したサービスを通して、他社との差別化を図ることができるのではないでしょうか。

また、Web価格との競争に苦しむ家電業界、とりわけ家電量販店においては、やはり価格面での競争は避けられず、店舗のショールーミング化は、今後ますます進んでいくと考えられます。

価格競争をするにしても、単に値引きに応じるだけでなく、Web上での顧客の閲覧履歴などのデータを参考にし、顧客が気になっている他商品との組合せでの値引きを行うことも可能でしょう。

以上のように、O2Oサービスを確立していくためには、膨大なデータをいかに簡易的に記録し、いかにサービスに活かすかが課題となっているといえます。

スマートフォンの普及、ソーシャルメディアの普及、データ収集技術の発展といった、インフラは整いつつあります。

しかしながら、ガソリンスタンドや家電業界の例からもわかるように、各企業独自のサービスとしては、発展途上といったところでしょう。引き続きO2Oの動向に注目していきたいと思います。

(参考『ITナビゲーター2013年度版』野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部)

この記事を書いた人
大工 峻平

エスキュービズム・テクノロジー ソリューション事業部開発部にて、タブレットPOSシステム導入を担当。タブレットPOS、Handyシステムの導入営業からはじまり、納品・教育・保守まで幅広い業務領域に携わっています。

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