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シンギュラリティとは?AIと人間の共存を考える

プロ棋士を負かしてしまう囲碁ロボットAlphaGoや感情エンジンを持った新型ロボットPapperなどの登場により、再び人工知能(AI)が世間を賑わせはじめています。それに伴い、シンギュラリティという言葉もまた注目され始めました。
【目次】

シンギュラリティとは?

シンギュラリティの説明

シンギュラリティとは日本語で技術的特異点と呼ばれます。
人工知能が人間の知能を超えることにより人間は人工知能搭載のコンピュータがどのようにふるまうかを予想、また制御できないことで社会や生活構造が大きく変化してしまうことを言います。
今まで人類はさまざまな開発をしてきましたが、すべては人類がコントロールできる範囲内での開発でした。しかし人工知能に関しては人類の知能を凌駕する可能性を大きくはらんでいます。
既にチェス、将棋、囲碁などのゲームでは、人間の能力を凌駕するAIも登場していることから、すでにシンギュラリティは始まっているとする研究者もいます。

著名人の見解

人工知能開発に関してはマイクロソフト創業者のビルゲイツやPAYPALマフィアでテスラモーターズ、スペースXの創業者イーロン・マスク、他には著名な学者も使い方を間違えれば、人間社会の脅威になると警鐘を鳴らしています。

強いAIと弱いAI

コンピュータは人間より演算処理が圧倒的に早いため、その特性を生かせば、人間より賢くなるのでは?というところからAIの研究はスタートしました。
確かに人間より計算が速いので圧倒的に処理能力が高いのですが、研究を進めていくと一方で人間の頭脳は想像以上に複雑にできているという事が分かり、もしかしたらAIは人間より賢くなれないのかもしれないという考えが出てきました。
その結果、人間の知能を超えることを目指し、自らが意志を持つ強いAIとそもそも人間の知性を超えられないのだから、人間のコントロールのもと、現在のコンピュータより賢くなる程度を目指す弱いAIという2タイプのAIに対する考え方が生まれました。これがAIの二分化です。
AIの二分化とシンギュラリティは密接に関係していて、強いAIが誕生したときにシンギュラリティが起こります。

シンギュラリティの発生は2045年までに

なぜ強いAIが生まれるとシンギュラリティが起こるのかに関して述べていきます。
まず人間の研究成果によって人間より少し優れた強いAIが生まれるとします。強いAIは人間の脳構造をモデルにしたニューラルネットワークという仕組みが入っているので、機械学習を繰り返し、より賢くなろうとします。
AIの場合は、人間が持つ“飽きる”という感情と“疲れる”という感情や体感がないので、24時間365日永遠と賢くなろうとして、いずれ自己改良を始めます。するとそのAIは自らよりも少し優れたAIを生み出します。そして、その少し優れたAIも自己改良を始めてさらに優れたAIを生み出し…という無限のループがスタートします。この改良を人間は止めることができません。この無限ループが続くと人間はあっという間に人工知能の考えを理解できなくなります。
そもそも、人間より少し賢いAIでループがスタートしているので、ある意味理解できなくて当然で、理解できないという事はつまり人間が今後どのように進化していくかという予測が立てられなくなることを意味します。
この人間による制御不能の限界点(シンギュラリティ)が2045年までに起こると言われているので、2045年問題として騒がれています。

2045年問題は本当に起こる?

現時点では人間が未来図を描けなくなるとは想像もできませんし、描けなくなったとしても2045年は早すぎるのでは?という意見も多数ありますが、2045年問題を丁寧に言うと、収穫加速の法則を前提として2045年までにシンギュラリティが発生するとされています。収穫加速の法則とは、直線的に進化するのではなく、ある重要な発明と別の発明が結びつくことで指数関数的に進化するとした法則です。
これは、コンピュータ性能の法則として知られる「ムーアの法則(※)」とは比較にならないほどの成長率を誇る理論です。
この収穫加速の原則を前提として脳の能力を数値化して計算すると遅くても2045年までにはシンギュラリティを迎えるとされています。
2045年になると人間が正しいと判断した事柄も、人間以上の知性を持ったAIが正しくないと判断した場合、それは正しくないことになりえます。逆もしかりです。

※インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが「半導体の集積密度は18ヵ月から24ヵ月で倍増する」とした法則。概ねこの法則通りにコンピュータ性能が向上していることから、IT業界では広く用いられている法則の1つ。

シンギュラリティが起こったら?

シンギュラリティが起こったらどのような世の中になるのでしょうか。
仮に人間と人工知能の共存がうまくいった場合と共存がうまくいかなかった場合で分けてみます。

AIと人間の共存がうまくいった世界

共存がうまくいった場合は、今まで人間が発展するためにしてきた開発をすべてAIが担うことになります。知能がより優れているので当然です。
AIの優れた知能によってテクノロジーが進化すれば人間脳では未解決の問題が解決できるようになります。
食糧問題は、おそらく優れたクローン技術の開発により尽きることなく食料が数限りなく生産され、世界中の人々をお腹いっぱいにすることができるのではないかと予測されます。
近々の課題であるエネルギー問題は、おそらく優れた再利用技術開発により解決でき、結果的には争いごともなくなるかもしれません。
自然環境問題はAIによりCO2の削減技術が生み出されて、急激な気候変動がなくなり、住みよい世界になるかもしれません。
仕事はすべてAIが代わってくれます。現在でもすでにコンビニの受付等はすでにコンピュータが取って代わっていますが、おそらくAIがほとんどの仕事を担ってくれるので(しかも人間より的確でスピーディに)、人間は働く必要がなくなります。
食糧は無料でAIが作ってくれるし、仕事もしなくてよくなるので、お金の概念がなくなるかもしれません。
強いAIと人間が共存できると良いこと尽くめです。

シンギュラリティが行きつく先

そしてシンギュラリティの最終的な着地点は不老不死だと言われています。人間が死を迎える直接的な原因は肉体や臓器の不調によるものです。
病気にしろ、老衰にしろ、体の部位が弱ることで発生します。しかしナノテクノロジーがAIによって進化していけば、極めて小さなコンピュータが開発され、それを体内に埋め込むことができるようになれば、そのコンピュータが臓器の代替品となるため、本来の臓器が不要になります。
今までは生の臓器で白血病や肝炎、ステージ4のガンなどの手遅れになりやすい病気を患った場合は、手の施しようがありませんでした。
しかし臓器の代替コンピュータを埋め込んでいた場合、そのコンピュータに不具合が生じれば、新しいコンピュータに取り換えれば済む話なので、理論上、病気はこの世からなくなります。寿命が大幅に延びることになります。
またシンギュラリティが起こる前に人間の脳は完全にスキャンできるようになると言われていますし、むしろ現在でも脳スキャンの成功事例が発表されています。
脳の構造や蓄積された知識・経験をスキャンして、記憶媒体装置に保存し、いつでもインストールできるようになりますので、肉体が死んでもいつでも脳をアップロードできます。若い時の脳を保存しておけば、いつでも若い時の脳を手に入れることができますので、認知症や植物状態になったとしても、アップロードすれば、意識はすぐに手に入れることができます。
つまり究極的な死は訪れません。まるでSF映画やSF小説のような世界ですが、可能性がまったくないわけではないのです。

AIと人間が共存できなかった世界

ただしかし、これはあくまで人間と人工知能が上手に共存できた場合の話になります。万が一、AIと共存がうまくいかなかった場合は恐ろしい世界が待っています。
意思を持った強いAIが機械学習を繰り返し、進歩し続けていく過程で、何年後か何十年後か分かりませんが、改良を重ね続けた結果生まれた超知能的AIが、ある時に「人間という存在が非効率で邪魔な存在だ」と認識してしまった場合には、人間はAIによって支配されて、滅亡させられてしまう可能性だってありえます。
こちらもいつか見たことのあるSF映画のようです。

さいごに

AIの進化は人間に究極の幸をもたらすかもしれませんし、究極の不幸をもたらすかもしれませんが、シンギュラリティが起こった後では、もはや人間の脳では未来予測ができない世の中になっているので、それは神のみぞ知る、改め、AIのみぞ知る世界でしょう。
しかし、そこに至るまでに人間ができることはまだまだあるはずです。未来をしっかりと見据えつつ、テクノロジーと共存していきましょう。

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