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店舗受取もチャネルのひとつ。業界別事例5選とECの今後

ECサイトで注文して実店舗で受け取る「店舗受取」の導入が、小売業をはじめ様々な業界で進んでいます。 オンラインとオフラインの様々なチャネルを連携することで、オンラインから店舗への送客が可能になっています。そのチャネルのひとつが店舗受取です。

店舗受取サービスは顧客にとっては配送コストの低減となり、店舗側にはついで買いの誘因や送客施策として機能し、顧客にも小売店側にもメリットがあります。

本記事では店舗受取で得られるメリットや、各業界での導入事例についてご紹介していきます。新しい生活様式が求められる中、小売業界が生き抜くためのヒントになるでしょう。

店舗受取サービスが拡大中

そもそも店舗受取サービスは、BOPIS(ボピス)として知られる流通方法の1つです。Buy Online Pick-up In Storeの略で、顧客はECサイトで購入した商品をリアル店舗で受け取れます。

店内の滞在時間を削減できる店舗受取サービスは、コロナ禍における生活様式の変化で急激に浸透し始めました。ワークマンや東急ハンズ、マツモトキヨシなど大手小売店も続々と店舗受取サービスを始めています。

店舗受取なら個別配送コストがかからない

店舗受取は顧客が来店して受け取るため、個別の配送コストがかかりません。ECサイトでありがちな送料ネックがなくなり、少額の商品でも購入しやすくなるのです。

例えばワークマンは、2020年3月から店舗在庫による店舗受取を軸としたClick&Collect(クリック&コレクト)による店舗受取をスタートしています。店舗受取は店頭在庫を軸にしているため、送料は発生しません。

ワークマンはクリック&コレクトにより全国900店以上の実店舗への送客を実現しました。店舗受取比率は57%、EC売上高は24.4億円と破竹の勢いで成長しています。

ワークマンのECサイトにおける送料無料バーは「1万円」です。対してECモール最大手の楽天市場は送料無料バーを「3,980円」としており、宅配コストでは大手に勝てません。そこで宅配コスト不要のクリック&コレクトに舵を切ることで、大手ECモールに負けない施策を打ち立てたのです。

実店舗への「ついで買い」を促進できる

顧客が店頭受け取りを選べば、確実に来店してくれます。そこで店舗で関連商品を見つけてもらうことで、ついで買いにより買い上げ金額がアップする可能性も高まります。

コロナ禍においてECサイトの利用率が上がったことにより、スーパーマーケットなどで多いレジ横の「ついで買い」が減ったという声もあります。レジ待ちを減らし密を避けることが求められる昨今ですから、この点でも小売業の変化が訪れていたのです。

しかし店舗受取で顧客が来店すれば、レジ横商品などのついで買いのチャンスが増えます。この点でも、小売店側においては客単価アップというメリットがあるのです。

実店舗はついで買いをプッシュするために、店舗で利用できるクーポンの配布などの取り組みがあります。例えば東急ハンズの場合、店舗受取を含む税込5,000円以上の購入で10%OFFクーポンをプレゼントしています。

https://hands.net/guide/reserving.html

実店舗への送客施策としても機能

大手衣料品チェーンストアのしまむらでは、2020年10月から自社ECサイト「しまむらオンラインストア」を展開しています。商品の受け取り方法は店舗受取が約9割、自宅配送が約1割と、店舗受取を選ぶ顧客が大多数です。

顧客の大多数が店舗受取を選ぶ理由は、やはり送料にあります。しまむらの場合、自宅や指定住所への発送は最低でもゆうパックで500円(税別)、大物配送になると1,100円(税別)の送料がかかります。

ECサイトではしばしば配送コストが課題となっていました。しかし店頭受け取りにすることで配送コストが低減または無料になり、顧客にメリットが生まれます。さらに店舗側はついで買いの増加や送客施策として機能するため、Win-Winの関係が成り立つのです。

店舗受取の業界別活用方法

日本でも多くの業種で店舗受取が始まっています。飲食業界・百貨店業界・食品スーパー業・ドラッグストア業界・ECモールにおける、店舗受取の導入事例をご紹介します。

【飲食業界】事前決済でスムーズにテイクアウト

松屋フーズは松屋やとんかつ専門店の「松のや・松乃家」その他ブランドにて、2021年10月5日より事前決済時にキャッシュレス決済サービス「au PAY」「メルペイ」を使えるようになりました。

それまではクレジットカード、LINE Pay、PayPayが利用できましたが、新たに2つを追加して利便性を高めています。

飲食店における事前決済は、無断キャンセル対策やインバウンド需要の取り込みにも効果的です。さらに金銭の受け渡しがないため、新型コロナウイルス感染防止対策や従業員の負担軽減に直結します。

非接触対応により顧客も安心して買い物でき、店舗の滞在時間も軽減できます。事前決済できるサービスが増えたことで、顧客はより利用しやすくなるでしょう。

【百貨店業界】駅近立地で受け取りやすく

小田急百貨店は、百貨店ならではの駅近という好立地を生かして店舗受取をスタート。仕事帰りに立ち寄りやすいよう、さらに利便性を向上させています。

小田急百貨店は「小田急百貨店オンラインショッピング」というECサイトを運営しており、サイトリニューアルを機にオムニチャネル化を進めました。

小田急百貨店といえば、小田急電鉄のグループ会社として小田急沿線の顧客をメインターゲットとしています。「“駅に一番近くて便利・快適な百貨店”を目指す」をスローガンとしており、新宿や町田、藤沢といった駅近に施設を構えています。

店舗受取は、そんな小田急百貨店が持つ“駅近”という魅力を最大限に活かせる取り組みです。コロナ禍では百貨店にも自粛要請が出されるなど苦境もありましたが、アフターコロナではその利便性が顧客に再評価されるでしょう。

■参考事例:株式会社小田急百貨店 様

https://client.s-cubism.com/case_odakyu.html

【食品スーパー業界】店頭ロッカーや車での受け取りが可能に

中四国が地盤の大手スーパー「フジ」は、2021年9月20日よりネットスーパー「おまかせくん」で注文した商品を、店頭や駐車場で受け取ることができる「ぱぱっと受取りサービス」をスタートしました。

ネットで注文した商品を、店内のサービスカウンターおよび駐車場で受け取れます。駐車場の場合車に乗ったまま受け取ることができ、さらに受取手数料は発生しません。

また北陸が地盤の食品スーパーチェーン店アルビスでは、2021年8月に店舗受取型のネットスーパーを始めることを明かしました。チェーンストア向けECシステム「ステイラー(Stailer)」を導入し、2021年秋の始動に向けて準備を進めています。

アルビスのネットスーパー事業は、コストがかかる宅配は行いません。オンライン注文を受けた商品は店舗受取を限定とすることで、ネットスーパーの利用でネックになりがちな送料を撤廃しているのです。

【ドラッグストア業界】薬剤師が不在でも医薬品の受け取りができる

大手ドラッグストアチェーンであるココカラファインは、2020年10月から調剤専門店でも店舗受取ができるようになりました。2020年10月時点で、店舗受取サービスの実施店舗数は1265店まで拡大しています。

調剤専門店では、店舗受取サービスを開始することで第一医薬品なども店舗受取も可能です。例えば「ロキソニンSプレミアム」といった鎮痛剤も受け取りでき、薬剤師が不在の時間帯でも受け取れるようになりました。

第一医薬品は、顧客からの相談対応が義務付けられており、薬剤師がいなければ購入できません。しかし、ココカラファインのECサイトでは日・祝を除く9:00~17:00の間に薬剤師が常駐しており、オンライン上で薬剤師チェックを受けることで店舗受取が実現したのです。

店舗受取はココカラクラブ限定のサービスで、税込1,980円以上の買い物で全国送料無料となります。

https://www.cocokarafine.co.jp/f/dsf_receiveLoxonin

【ECモール】実店舗在庫サービス提供

Yahoo!JAPANが運営するPayPayモールでは、2020年11月から実店舗にある商品の在庫検索や購入サービスの提供がスタートしています。

例えば「電池が切れてしまったから今すぐほしい」という場合、近くの家電量販店の電池在庫をPayPayモールで確認できます。そして在庫があればPayPayモール上で購入し、帰りに店舗受取で手に入れるということができるのです。

店舗受取の場合、送料はかかりません。別途配送料を支払えば店舗から配送することもでき、顧客の希望に合わせて選べます。

在庫がオンラインでチェックできれば、顧客は実店舗に足を運び「売り切れていた」とガッカリすることがありません。まさにリアルとオンラインを融合させた取り組みといえます。

ECと実店舗の相乗効果を狙う

小売店をはじめ、様々な業界で店舗受取サービスが始まっています。ほしい商品をすぐに探せるECサイトと、店員から接客を受けたり商品を手に取ったりできる実店舗、この2つのメリットによる相乗効果を狙う施策が必要です。「ネットで探してお店で受け取る」という店舗受取は、まさにその一環といえるでしょう。

店舗受取という流通経路により、ECサイトで実店舗の存在を知るケースが生まれます。魅力的な売り場づくりができていれば、実際に来店することでブランドの魅力を知ってもらえるでしょう。

そのためには、オムニチャネル化を進めて顧客接点を増やす取り組みも必要です。 店舗受取をチャネルのひとつと捉え、顧客との接点を増やすきっかけとしていくことで様々な施策が展開可能になっていきます。

実店舗をオフライン圏内でアピールするだけではなく、SNSや自社サイトなどオンラインで消費者に見つけてもらう仕組みを作り、 新しい生活様式に応えられる店舗を目指していきましょう。

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