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デジタルコマースの向かう先がオムニチャネルである理由

デジタルの普及による小売りの業界変化が著しい。購買、販売、マーケティング、サービスの在り方を、オムニチャネルをその先に見据えて抜本的に見直す必要がある。しかしテクノロジーの普及は過渡期を終え、これからはアイデアが重要な時代が始まる。その時に小売りはデジタルコマースをいかに店舗に取り込むにこれまで以上に知恵を絞らなくてはならない。

ビル・ゲイツはかつてインターネット創成期に「ユーザーが増えるほど、コンテンツが増え、コンテンツが増えるほどユーザーが増える」と指摘しました。その誕生から進化への過程は困難に満ち溢れていましたが、何とか現在のネット社会を構築するに至りました。

小売は現在、家、店舗、モバイルをシームレスにつなぐ真のオムニチャネルの創造に向けて企業努力を重ねています。インターネット創成期と同じく、その変化は困難をきわめますが、その将来には輝かしい可能性を抱えています。

テクノロジーからアイデアの時代へ:変化するマーケティング

今日ではインターネットの19パーセントはWordPressであり、このツールによりセキュリティなどの問題は以前より少なくなりました。技術的な進歩の次の段階として控えているのは、アイデアの進歩です

顧客がビンテージな服が欲しい、と思ったときModClothという、知る人ぞ知るニッチなブランドがあります。ModClothは素材の調達、スタイルの選定、ユニークな物が好きな顧客への販売に長けています。
ウェブ登場以前の実店舗販売では、商品のマーケティングは難しいものではありませんでした。買い物目当ての客の人通りが多い通りやショッピングモールに出店し、他から目立とうと差別化を図るのです。他と違うものを求める人は店から店へと渡り歩き、気に入ったものを購入します。

解決策を模索する小売

しかし時代は変わりました。今では顧客はオンラインの大海で途方に暮れています。もちろん検索してModClothにたどり着くことは可能ですが、女性が水玉スカートを探している場合に「ビンテージ」や「ModCloth」と入力する可能性は低いと言えます。
そこでModClothはBloomReachと協力し、顧客がどんな言葉で商品を検索するかを調査して、ModClothを適切に配置するアルゴリズムを導入しました。また関連ページも作成し、潜在顧客がサイトを訪問したときに欲しいものを探しやすいようにしました。
BloomReachはEコマース業者がAmazonのような巨大企業に対抗するためのサービスを提供しています。同社はWordPressがコンテンツに与えた影響と同じように、小売りにとって重要な技術を平等に「民主化」しようとしているのです。

しかし小売りとは非常に複雑なビジネスであり、BloomReachのような企業も解決策の一部しか提供できません。多くのシステムプロバイダーが様々な技術をエンドツーエンドな解決策に集約しようと試みています。

購買、マーケティング、販売、サービスの見直し

そんななかIBMは4つの柱から成る、顧客起点の新しい商取引の仕組みであるSmarter Commerceの開始により他の企業に先んじています。

購買

過去の店舗小売りではバイヤーは業界のトレンドの把握に力を尽くしてきましたが、ほとんどは勘に頼ったものでした。販売開始の6~12か月前から準備するので、マーケット調査も役には立ちませんでした。
今では効率化されたサプライチェーンや大量の顧客購買データがあります。こうしたデータを活用し、いかに購買、トレンド、製品に関する決定をするかがバイヤーの課題となっています。

マーケティング

今日のマーケティングはいかに注目を集めるかから、いかに注目を維持するかに変化しています。つまりマーケッターは顧客の行動を追跡し、顧客へ情報を発信し、顧客とリアルタイムな関係性を築く必要があります。
難しい課題ですが、それゆえマーケティング部門のIT投資は増加し、2017年までにIT部門よりもIT投資額が上回ると予測されています。さらにこれら新しい技術は最大限の効果を発揮するためにも他のシステムと統合する必要があります。

販売

多くの組織が内部プロセスを最適化しようとしています。仕事を簡素にするというのは人間の本能といっても差支えありません。そのため店舗での販売業務にEコマース機能を構築する必要があります。そしてその際には既存のシステムと新しいシステムを統合する必要が出てきます。すると問題が立ち上がります。ネットで見て店舗で買いたい客もいれば逆のパターンもありえます。デスクトップやモバイルに既存のPOSや在庫システムと互換性を持たせるのは簡単なことではありませんが、小売りが本当にシームレスな買い物体験を提供しようと思うならば必須事項です。

サービス

オムニチャネルコマースにおいて最も大きな課題はサービスです。顧客は小売りのシステムがどうなっているのかは気にしません。しかし小売り側の誰であっても課題を解決してくれるものと思っています。ひとつのミス、トラブルがブランド全体に波及していくことも考えられます。
そのためシステムは完全に統合し、全ての顧客の、全てのチャネルの情報を、すべてのスタッフが把握できるようにする必要があります。理論的には当たり前のことですが、実際には非常に難しい課題です。

デジタルコマースの将来は店舗にあり

既存の小売りが既存システムの統合に悪戦苦闘する中、Amazonは常に最先端を走ってきました。しかし見落としがちなのはEコマースは小売り全体の一部分であるということです。米国の最近の調査では小売り全体におけるEコマースの割合は6パーセントとのことでした。10%程度と見なす調査もありますが、小売りにとって重要なのは「実店舗」にデジタルの視点を取り入れることなのです。

ウォルマートは最近オンライン購入商品を店舗での当日にピックアップするサービスを開始しました。これにより顧客はあらかじめ購入した商品を店舗で引き取る、ということが可能になります。
メイシーズは在庫システムを統合し、店員がほぼ全てのチャネルの商品の情報を把握できるようにしました。
Nordstrom storeはPinterestでピンされたことを示すタグを商品につけるという取り組みを始めました。

Pinterestで取り上げられている商品にタグをつけている

(引用元:Iliyana’s Blog『How Pinterest Can Bring the Online Experience Offline』
Neiman Marcusは常連が入店したことを店員に知らせ、購入履歴や好みなどを把握できるアプリを開発しました。
今や小売りは新しいコンテンツとしてデジタルイノベーションの中心にあります。テクノロジーが細部まで広まるにつれ、それ自体はただの背景となり、これまで小売りで培われてきたアイデアという能力がもう一度クローズアップされていくのです。

この記事はWhy The Future Of Digital Commerce Is The OmnichannelをOrange Blogが日本向けに編集したものです。