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スマートホンを利用して顧客の店内行動を追跡

ウェブでは顧客の閲覧履歴が広告に利用される。それと同じことが将来的にはリアル店舗で起きるかもしれない。スマホの電波を利用して顧客の店内行動を把握するシステムの導入が進んでいる。
食料品店で買い物をしているとスマホが鳴る。まるで見透かされているように画面には「ゼリーが今なら1ドルオフ」というメッセージが表示される。

便利?気味が悪い?

これは屋内の位置情報を利用したビジョンのひとつです。小売りが顧客の動きを店内の通路といった細かいレベルまで追跡する技術です。大規模小売店ではすでに顧客のスマートホンを見つけ、例えば靴売り場に何分間滞在したかといったデータを蓄積する装置を配備し始めています。
こうした技術によりオンラインストアに対抗することが可能になります。オンラインでは行動ターゲティング広告は商品の提示に顧客の閲覧履歴を利用します。しかしリアル店舗では、これまで顧客が店内でどのような行動を取っているかはレジで支払う時までわかりませんでした。店内での顧客行動を追跡することにより、顧客が何に興味を持ち、どこに行くのかが分かるようになり、販売促進やマーケティングに応用することが可能です。

米国小売りのNordstrom、Family Dollar、そしてAmerican Apparelもこうした店内追跡システムの実験を行いました。システムによってはビデオカメラ、音波、磁場なども利用します。今年9月にはアップルがスマホにiBeaconという機能を加えました。iBeaconは低出力のBluetoothの電波を発するもので、屋内利用を目的に開発されています。
最も広く利用されているのは顧客のスマホが発するWi-Fiを拾う技術です。これにより誤差数メートルのレベルまでスマホの位置を特定することが可能です。

Forest City Enterprisesは20か所近くのショッピングセンターで携帯電話の電波により顧客の足取りを追跡しています。例えば入口の邪魔になっていたエスカレーターをどこに移動するかを蓄積したデータにより決定しています。またファッションショーやコンサートの後に顧客がどれだけ滞在するかも計測しています。将来的に店舗スペースの賃貸価格にもこのデータを反映することを考えています。

GPSを上回る市場規模となる?

この技術は複雑で未成熟であり、必ずしもマーケッターに受け入れられるとは限りません。
しかしGoogleのある重役はこの市場が「GPSやオンラインマップ」よりも大きなものになると予想しています。人はほとんどの時間を屋内で費やし、そしてGPSは屋内ではあまり機能しないというのがその理由です。
グーグルマップにはすでに17の国で博物館や空港、大規模店舗の屋内マップが含まれています。屋内マップを提供する店舗は将来的にGoogle Glassのようなウェラブルなデバイスが普及するにつれて、屋内マップの重要性は高まっていくとしています。

プライバシーの問題も

しかしこうした技術の普及にはプライバシーの問題が生じます。米国小売りのNordstromはWi-Fiを利用した顧客追跡を導入したところ、プライバシーを問題視する顧客から不満の声を受けています。Nordstromの例もあって導入に二の足を踏む小売りもいますが、総合的な店舗調査、分析を提供するRetailNextは100の小売企業の1000店舗以上で自社製品が利用されているとし、同様のシステムを提供するEuclidもHome Depotを含めた100近い企業を顧客として抱えています。
この記事はIndoor Location Technology Uses Wi-Fi to Track ShoppersをOrange Blogが日本向けに編集したものです。