小売業者のオムニチャネル化をサポートするアプリ、Salesfloor
小売事業者は「売り上げを伸ばすためにはどのような方法であれば効率的に商品を販売することができるだろう」と常に考えているでしょう。
近年小売業界では、実店舗にプラスしてオンライン販売(ECサイト運営)に乗り出す企業も増えています。
オンラインショッピングは顧客がいつでも好きな時に買い物ができるようになるため、実店舗に行くのが難しい時でも買い物をする機会を与えます。
実店舗とECサイト運営を同時におこなうことは様々なメリットがあります。
三井不動産が実店舗運営にプラスするかたちでスタートさせたECサイト「&Mall(アンドモール)」では、在庫情報の連動により欠品対策がスムーズに行えたり、在庫状況がリアルタイムで確認できるといったメリットが生まれています。
海外の小売事業者が利用している「Salesfloor(セールスフロア)」というアプリケーションがあります。
Salesfloorはオムニチャネルで運営をおこなっている小売事業者に人気があります。
以下ではSalesfloorがどのようなものか、特徴と活用事例についてご紹介していきたいと思います。
Salesfloorの特徴
Salesfloorの特徴は、小売業者がソーシャルメディアやテキストメッセージ、他のオンラインチャネルを介することにより店舗が顧客と密接な関係を築き上げるためのアプリであることです。
Salesfloorを利用した小売業者は、オンライン販売において最大10倍のコンバージョン率を記録、新規顧客の商品購入率は18%アップし、また1回の注文金額合計を50%増加させ、返品率を40%低下させることができたという結果があります。
SalesfloorのCEO兼共同設立者のオスカー・ザックス氏は「例えばFacebook Messanger、WeChatのような世界で約30億人が日常的に使っているモバイルメッセージアプリがあります。これは小売業者にとって、顧客が物理的に店舗にいないときに接続されたデバイスを利用して買い物をするのに関わる大きな機会です。私たちの準備しているデータポイントは顧客のエンゲージメントの指標と店舗のセールスパフォーマンスに重要な上昇を与えています」と語っています。
Salesfloorは2013年にオスカー・ザックス氏とベン・ロディアー氏によって設立された、カナダ・モントリオールに本社を構える企業。アプリ開発の目的は、消費者がウェブサイトを訪問した時に経験する空白に対処するためです。
Salesfloorを利用することで、顧客はオンライン上でも店舗の担当者と直接つながることができます。
参考:Nasdaq, Salesfloor Launches Advanced Mobile Messaging Solution for Store Associates
https://globenewswire.com/news-release/2017/08/10/1228801/0/en/Salesfloor-Launches-Advanced-Mobile-Messaging-Solution-for-Store-Associates.html
Salesfloorを活用している企業の例
Salesfloorを活用している小売業者は多岐に渡ります。
百貨店チェーンのBloomingdale’s(ブルーミングデールズ)、Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アヴェニュー)服飾ブランドのAnn Taylor(アン・テイラー)、化粧品ブランドのKiehl’s(キールズ)、玩具販売のToysras(トイザらス)などが挙げられます。
58%のオンラインショップユーザは店舗との関わりを希望する
実店舗とオンラインショッピングのサービスの違いについて顧客がどのように感じているか調査した結果があります。対象者はアメリカに住む500人の消費者で、男女比は5:5、18歳〜65歳の幅広い年代層を対象におこなわれました。
参考、Market Wired
http://www.marketwired.com/press-release/salesfloor-study-more-than-half-shoppers-say-their-online-experience-lacks-personalized-2162143.htm
2016年のSalesfloorの調査では、「実店舗の買い物客の約87%が店舗関係者の影響を受けると回答しているにもかかわらず、58%の買い物客はオンラインショッピングにおいてそのようなサービスが不足していると感じている」と回答しました
さらに、オンラインショッピングにおいてアドバイスやレコメンドが不足している点にも触れられています。
この調査のなかでは、53%のオンラインショップユーザが販売担当者と連絡が取れることを希望しており、58%がオンラインで自分へのレコメンドや洞察を見れると良いと答えました。
つまり、買い物客は実店舗でもオンラインでも店舗側の助けやアドバイスを希望しており、オンラインおいても実店舗と同じまでとは言わないまでも、店舗側と関わることを希望していることがわかりました。
調査結果から得られた売上に与える影響について、さらにこう続けられています。
- 77%の買い物客は、サポートしてくれた店舗の担当者から商品を購入する確率が高い
- 73%の買い物客は、自分の好みを把握している店舗の担当者からどれくらい商品を購入するのかという影響を受ける
このことから、店舗担当者との密接な関わりが売上にも影響を与えうるという結果がわかりました。
Salesfloorは、実店舗でもオンラインでも店舗の担当者と顧客が直接つながることができるアプリです。顧客と店舗担当者の密接なつながりが店舗の売り上げにも貢献する可能性があります。
Salesfloorのサービス内容
Salesfloorのサービスの特徴は3つ挙げられます。
1.Salesfloor Storefront™
Salesfloor Storefrontでは、ユーザがオンライン上から直接家から近い店舗で商品を購入することができます。パーソナライズされた商品や、信頼できるアドバイス、リアルタイムでのショッピングサービスを利用することが可能になります。店舗にとっては、オンラインユーザを実店舗につなぐ効果があります。
2.Salesfloor Live Services™
Salesfloor Live Servicesはより良いオンラインショッピング体験と個人的な買い物サービス、また他のコラボレーションツールのためにチャット機能を介してオンラインユーザを近所の店舗に繋ぎます。顧客は様々なチャネルを通して関連商品から買い物可能な商品の推奨、マーケティング資産、写真を受け取ることができます。チャネルはEメール、SNS、テキストメッセージ、最新のメッセージアプリなどを含みます。
SalesfloorのOmnichannel Clientelingモジュールを使用する小売業者は、顧客についての重要な洞察を得ることができ、実店舗・オンライン問わずパーソナライズされたメッセージを顧客に送信することができます。顧客についての洞察は、顧客のプロフィール、購入履歴、好みのアイテムといったヒントを得ることができます。
また小売業者がオムニチャネルで集めたデータは簡単に統合することができます。自動的なタスクやリマインダをトリガーすることで小売業者は適切なタイミングで顧客と関わることができます。
3.Salesfloor Connect™
Salesfloor Connectはウェブサイトに訪問したユーザを直接店舗の担当者につなぎます。Salesfloorの組み込みツールはカスタマイズ可能なインターフェイスに対応しており、顧客はどこにいても買い物をすることができます。
2018年3月には小・中規模の小売業者に向けたソリューションを発表
Salesfloorはこれまで比較的大規模な小売事業者に向けたサービスしか展開していませんでしたが、2017年後半から新しいSMB(中小企業)ソリューションの提供を開始し、新たな顧客を獲得してきました。
2018年3月には小・中規模の小売業者に向けた新しいバージョンのソリューションを発表しました。コストと実装時間が大幅に低下・短縮されたことによって、小・中規模の小売業者もより身近にSalesfloorを利用することができるようになりました。
参考:GlobeNewsWire
https://globenewswire.com/news-release/2018/03/06/1415913/0/en/Salesfloor-Launches-New-Solution-for-Independent-Retailers.html
まとめ
Salesfloorのアプリケーションは顧客情報を完全に把握し、顧客ごとにパーソナライズされた適切なアプローチで小売業者の売り上げに確実につなげるためのツールです。店舗に物理的に行くことが難しい顧客に対してオンラインでも店舗の担当者とつながる機会を与えることによって、顧客が店舗担当者から直接アドバイスを受けることを可能にし、さらに買い物をしやすい環境を整えることができます。
小売業界においては実店舗とオンラインで買い物しやすい環境を整えて行くことで効率的な商品の販売を期待できます。今後小売業界では実店舗とオンラインでの買い物の垣根を低くする施策のトレンドは続いて行くでしょう。
PR:貴社のオムニチャネル化は完了していますか?その答えをエスキュービズムが持っています。
■特集:ECから考えるオムニチャネル・OMO■