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これから先も変わりゆく在庫管理スタイル、その予測と検証

近年では、オムニチャネル式販売に伴い在庫管理への負担は増加する一方です。そこで、ここではどのようなトレンドがこの先一般的となり、それらが与える効果はどのようなものかを例を挙げて検証していきたいと思います。

昔ながらの供給チェーン管理法は姿を消していく


在庫管理倉庫の多くがいまだにWMS(物流倉庫管理システム)と呼ばれる10年前に開発・実施されたシステムでの運営を行っています。その理由としては、ここ最近までWMSの機能性のアップグレードはさほど必要ではなく、またアップグレード自体が費用がかさむものであるという事実があります。

しかしながら、近年では少量オーダーへの対応、法令や業界内基準の順守、または各事業システム間でのより密接な統一化の必要性などにより、在庫管理のカタチが大幅に変革されるべき段階にきていると言えます。
その際にクラウドテクノロジーを活用することで、このような古いシステムから新しいシステムへの移行をより簡単に実施することが可能となるのです。

オムニチャネルは小売業者だけのものでなくなる時代に

消費者がオムニチャネルを通して商品を購入するという傾向はかなり急速に一般化してきています。従ってこれからは生産・販売側としてはこのオムニチャネルにおいて商品の存在感を増大させ、自社ブランドのマーケットシェアを維持、もしくは拡大させていくという方向性が求められています。

そのためには、在庫管理倉庫におけるオペレーションをテコ入れして、少量で予測の困難なオーダーにも対応していくことが必要であり、具体的には供給チェーン全体における在庫ならびにオーダーの可視化を実現するという事になります。そのためには以前は多額の費用が必要でしたが、スムースなオーダー対応やトレーサビリティーの確立といった面への需要が高まる中で、「可視化」の実現は今では必要不可欠なものとなっています。つまり、企業としてはここをないがしろにしてしまっては効率よく事業を運営することはできないのです。


店舗と配送センターでの在庫管理が統合化

最近一般化してきた供給チェーン用語で、「場所にとらわれない発注・発送」というフレーズがあります。特に発送に関しては、商品のオーダーを在庫管理倉庫で対応するというのではなく、購入者の家に近い、もしくは倉庫では在庫切れであるという場合には店舗で対応するという新しいスタイルが確立されつつあります。

そのためには「オンライン購入で店舗引き渡し」または「店舗より発送」といった基本的な倉庫機能の実施が実店舗においても必要となります。つまり実店舗の在庫を必要に応じてオンラインオーダー発送のために利用したり、専属担当者を設置するなどしてオンライン販売専門業者に対抗していくことが求められてくるのです。


商品の安全性を供給チェーン段階において管理

商品リコールや品質におけるクレームの数は最近では増加する一方で、近年では、食品・ファッション業界にとどまらずあらゆる商品がその対象となってきています。その結果、販売側としては商品の品質にしっかりと責任を持ち、制作が「いつ」「どこで」行われたかなどを管理する必要が出てきています。

こういった点をコントロールするためには、商品購入手続きに関する全ての情報をいつでもアクセスが可能なデータベースに保管し、商品の欠陥が見つかった際には、それがどのようにして発生したのかという事を即座に把握することが出来るようなシステムが求められてくるのです。それによって、自動的にリコールのお知らせを発信し、購入者側での対応に関する情報を迅速に提供するというのが理想的な流れです。

在庫管理において自動化の動きが大きな役割を担う事に

供給チェーンにおいては、多くの場合運営面での自動化というものが常に大きな役割を果たしてきています。ところがこれまでの歴史を見ると、在庫管理倉庫の運営実態は比較的大規模でのオペレーションに対応する形で発達してきているのです。従って、近年の小規模なオンラインオーダーに適応するためには、各企業において自動化システムの活用法を見直すことで効率アップならびに経費節減を目指すことが重要となってきます。


モバイル機器での情報管理の一般化


(引用元:Devices / adactio
タブレットやスマートフォンは「物流倉庫管理システム」の実施において非常に効果的です。例えば供給チェーン全体の管理責任者は、施設内ネットワークの各部署におけるSCE (供給チェーンエンジニアリング)のパフォーマンスに関する関連データにリアルタイムでアクセスすることが出来ますし、倉庫管理主任の場合は施設内における未着手の業務状況を別の場所に居ながらにしてチェックすることも可能です。さらに、在庫管理を担当するスタッフは施設内での在庫の所在地を正確に把握し、品質管理担当者は商品の品質確認やオーダーされた商品を間違いなく発送するための作業においても「物流倉庫管理システム」実施による効果が期待できるのです。


製造工場における物流倉庫管理システムの浸透

製造工場の多くでは、管理倉庫は壁を隔てたすぐ隣に併設されているのが一般的です。そしてこれらの工場には通常MES(製造実行システム)と呼ばれる独自の在庫管理およびスタッフ管理法が存在します。一方で現在の物流倉庫管理システムの機能の中には、業務関連ならびに消費者からの発注、製造ライン、ピッキングライン、原材料ならびに完成商品といった部門の管理を可能にするものも含まれています。

従って一つのシステムで製造と倉庫管理の両方をまかなうことが出来れば、高いレベルでの作業効率化を実現することが可能となり、製造担当、一般作業スタッフ、各種機械設備、保管場所などが製造と倉庫管理の両部門において同時活用できるようになってくるのです。


スタッフ管理の調整・整備が一般化

スタッフ管理の調整・整備を実現することで、在庫管理倉庫におけるスタッフの労働効率を理想的な形で上昇させることが可能になります。これは現在は管理倉庫や配送センターではあまり実施されていませんが、スーパーなどの青果業界では古くから採用されている管理法です。現に、スタッフ管理を正式に実施していない在庫管理倉庫では、本来発揮できる作業効率のうち平均して65~70%ほどしか発揮できていないという調査結果が出ており、このことからも、倉庫の規模自体を拡張することなく30~35%の生産性向上の実現が可能であることが示されています。

具体的には、オペレーションの流れや倉庫内施設ならびに環境を詳しく理解することで、各タスクをさらに効果的に実施することを可能にするのですが、これに加えて、スタッフ管理、適切なトレーニング、管理体系の修正などを行う事で管理倉庫での生産性を最大限に発揮することにつながるのです。


ビッグ・データを管理倉庫運営に活用


巨大で複雑なデータ集合の集積物である、通称「ビッグ・データ」のビジネスにおける利用価値に関しては多くの議論が交わされているところですが、これは倉庫管理においても例外ではありません。というのも、これまでに見てきた各システムの実施には、膨大な量の供給チェーン関連データの保存・アクセスの実現が必要となってくるのです。また、このデータにはオーダー発送作業に取り掛かる以前の情報も含まれているので、各ケースに対応した発送プロセスがいつでも実行可能になるという訳です。

さらに、品質に問題があった場合やリコールを行う場合に購入者に連絡をするために購入履歴も必要となりますが、この情報は同時に消費者の購入傾向の把握にも有効です。加えて、BOM(製造用部品一覧)の情報も、大規模な商品の生産時には部品の品質管理の点で必要となってきます。

最後に、在庫にシリアルナンバーを付けて保管場所の追跡を可能にするという対処もハイテクノロジーや自動車関連の商品などによく見られ、最近では薬品を取り扱う場合においてもこのような対応を義務付ける規定が増えてきていることもあり、多くのケースで実施されています。

この記事はTop ten warehousing predictions for 2015 and beyondを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。