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ライブコマースとは?盛り上がっている理由と提供サービス実例7選!(※2018年8月追記)

これまで、ECサイトは実店舗をオンラインに移しただけのものと認識されていました。しかし、インターネットやスマートフォンの普及とともに、従来の「モノの売り方」とは異なるマーケティング特徴をもつ、さまざまな形態が誕生しています。
そんな「次世代EC」とも呼ばれる新しい手法の一つに、ライブコマースがあります。

ライブコマースというリアルタイムなライブ感が生み出すECにおける販売促進効果は、どのようなものが期待できるのでしょうか。

今回はそんなライブコマースについての概要と、実際にライブコマースを活用している各企業やサービスについてご紹介します。

●本記事の概要

  • 視聴から購入へ直接遷移できる機能のあるライブコマースは、インターネットやスマートフォンの普及とともに需要も高まってきた
  • 視聴者(消費者)に親近感をもってもらい、双方向的なコミュニケーションをはかる上では、ファンが多いインフルエンサーや彼ら「身近な有名人」のライブ配信が要である
  • メルカリやBASEといった日本でのサービスのほか、2時間で3億円を売り上げた中国版ライブコマースも。視聴から購入までのスムーズな動線がライブコマースの支持される理由である

ライブコマースとは

ライブコマースは中国で始まったと言われている次世代型のEC形態です。まだ歴史は浅いですが、ライブコマースの売上は急拡大しています。すでに中国では、ライブコマースで爆発的に商品を販売する利用者が登場するなど大いに活気づいています。

ライブコマースは、リアルタイムなライブ配信により、ECにおいてさまざまな販売促進効果をもたらします。ライブコマースは、いわばテレビショッピングのインターネット配信版。リアルタイムで商品を紹介する映像を配信することで、視聴者に親近感をもってもらい、商品についてよく理解してもらうという狙いがあります。

ライブコマースの特徴

ライブコマースの特徴として、

  1. 動的で瞬間的なニーズをつかめる
  2. 双方向的な広告を実現できる
  3. 多ジャンルのマーケティングにおいて導入可能

という点が挙げられます。

動的で瞬間的なニーズをつかめる

従来のECサイトは、テキストと写真といった静的な要素のみで商品情報が構成されており、情報をきちんと理解するためには少々労力を必要とし、サイトにアクセスはしてくれていても正確に商品の魅力を理解してくれないまま購入に繋げられない、ということも日常茶飯事でした。

しかし、リアルタイムの映像配信を活用したライブコマースでは、視聴者の層やリアクションによって、アプローチを自在に変更できるというメリットがあります。
視聴者が求めていることを察知し、瞬間的なニーズをつかむことで、視聴からオンライン購入へとシームレスにつなぐことが期待できます。

テレビショッピングは注文に電話やFAXを必要としてきましたが、ライブコマースなら視聴画面からそのまま購入画面へ誘導することが可能です。
まさに「いま、欲しい!」という瞬間的なニーズをうまく購入に繋げられる画期的なアイデアと言えます。

双方向的な広告を実現できる

そして「動的」というキーワードにつながるのが、2つめに挙げた「双方向的な広告」です。ライブコマースは、従来のECサイトや広告よりも消費者とコミュニケーションをとりやすい媒体です。そのため、商品に関する質問を受けたり、使い方をガイドしたりというインタラクティブなアピール方法をとることができます。

また、インターネットの動画を用いたマーケティングは企業のPR動画やユーチューバーを活用した事例もありますが、ライブコマースほどの即効性はこれまでにありませんでした。
インターネットを介して得られるライブ感のあるショッピングへの需要。それに応えるために生まれたとも言えるのがライブコマースなのです。


多ジャンルのマーケティングにおいて導入可能

こうした広告はさまざまな店舗、商品に対して応用可能で、洋服、食品、雑貨などあらゆるアイテムにおいてマーケティング展開の可能性があります。

現在ライブコマースはフリマアプリやモール型ECサイトの延長線上として発展しているところがありますが、そういったtoC事業者でなくとも製品開発会社がライブコマースを用いて直接オンライン即売会などを行うといった販売方法も可能になるでしょう。
何しろ開発者に直接質問できる機会などそうそうないものですから、集客効果も大きく期待できると考えて間違いありません。

ライブコマースはまだまだ始まったばかりのECサービスです。オリジナルの使い方を見出して、様々なサービスにつなげていきましょう。

なぜライブコマースが盛り上がっているのか?

盛り上がる理由1:商品購入までのスムーズな動線

ライブコマースは、視聴から購入までを1本の動線で完結させることができます。これまで、店舗やネット、テレビショッピングは、インスタグラムや雑誌などで欲しい商品を見つけ、その商品情報をECサイトで検索し購入するといういくつかのプロセスを経由する必要があります。この複雑な動線を単純化した販売方法が、ライブコマースです。欲しい商品についての情報を見て、そのまま購入できる手軽さが盛り上がる理由の1つといえるでしょう。

盛り上がる理由2:インフルエンサーの存在

効果的なライブコマースには、インフルエンサーの存在も重要です。
インフルエンサーは、TwitterやInstagramといったSNS上に多大な影響力をもつ人のこと。数千人、数万人のファン(フォロワー)をもち、情報の拡散力はいまやテレビCMやネット広告に匹敵するといっても過言ではありません。

インフルエンサーは、芸能人やブランドと同じような存在で、彼らとコメントでやりとりできるライブコマースは、「ファン交流会」や「おすすめブランドを集めたセレクトショップ」に近い感覚。憧れのインスタグラマーやユーチューバーに質問をしたり、リアルタイムでコミュニケーションがとれる体験は、とりわけ若い世代にとってはショッピングと同等あるいはそれ以上の価値をもつ可能性があります。
消費者にとって親近感の湧く存在であり、なおかつインターネットにおいて大きな影響力をもつインフルエンサー。彼らと彼らのファンをいかに上手くライブコマースに起用するかが、ライブコマースの成功のカギを握るといってもよいでしょう。


インフルエンサー=実力主義のマーケター

そしてSNSでインフルエンサーの地位を獲得している人たちは、多くの場合マーケティングに秀でているというところもポイントになってきます。彼らは自分のフォロワー、つまり数字を増やすためにどういった手法を打ち出していけば良いのかを熟知しているからこそ多くのフォローを集めることができているわけで、いわばその知名度が彼らの実績となっているわけです。

インフルエンサーは時として道楽者として揶揄されることもありますが、実際にインフルエンサーとなっている彼らは、むしろ実力主義のマーケターであることの証明でもあります。商品提供者にとっても、インフルエンサーのライブコマースでの活躍は大きな手助けとなることでしょう。

ライブコマースの活用事例

最後に現在人気を集めているライブコマース提供サービスをいくつかご紹介します。配信元の多くはCtoCやBtoC企業ですが、toCを手軽にかつ効果的に行える点に注目すれば、その他の業種でもライブコマースは応用できるのではないでしょうか。

メルカリ

CtoCのサービスとしてもっとも成功をおさめているといえるのが、メルカリです。メルカリは2017年にライブコマース「メルカリチャンネル」をスタートさせました。
番組を配信する機能と場の提供は、まだ一部のユーザーにのみ限定されていますが、視聴者は出品者と質問をやりとりしながら売買をおこなうことができます。出品者は動画を配信することで短時間に自分の商品を売ることが期待でき、購入者は出品者の人となりを配信された動画番組によって知ることができます。

BASE

ファッション雑貨やハンドメイドグッズ、食品など、幅広いジャンルの店舗を有するショッピングサイトBASEも、「BASEライブ」という名称でライブコマースサービスを提供しています。
ライブ動画の配信時間は毎日10時~21時59分の間で、配信中にコメントや質問をやり取りする機能があり、そのまま自分が欲しいと思う商品の購入画面に進むことができるようになっています。

BASEライブ
https://thebase.in/baselive


SHOPROOM

アイドルグループやアーティストのライブ動画ストリーミングサービス「SHOWROOM」と連携しているライブコマースが、この「SHOPROOM」です。ドラマで女優が着用していたアイテムを紹介するなど、リアルタイムな購買欲を刺激する仕組みが話題となりました。これからもファッションを紹介する場として機能していく予定のようです。

SHOPROOM
https://www.showroom-live.com/shoproom


Live Shop!

ティーンエイジャーや20代の若い女性グループをターゲットにしているのが、インフルエンサーによって番組を盛り上げる「Live Shop!」です。コスメや韓国情報、レシピ紹介など、さまざまな配信者による番組で、今ドキ女子のアンテナにキャッチされやすいアイテムを紹介しています。

ちなみにLive Shop!を運営するCandeeは近々ライブコマースとD2C(Direct to Consumer)を掛け合わせたサービス「TRUNK 88」をリリースすると発表しており、こちらも注目の集まるライブコマースサービスと言えるでしょう。

Live Shop!
https://liveshop.jp/


PinQul

こちらも10代~20代の若い女性層へ向けた、「かわいい自分」をテーマとしたアプリです。インスタグラマーなど、若い女性に人気のインフルエンサーが配信者となっている番組を配信しているのが特徴です。
※2018年8月、サービス終了を発表。

PinQul
https://pinqul.tv/


淘宝直播

「2時間の生放送動画で2000万元(3億円)」という破格の売上をあげた番組で一躍話題になった、中国の淘宝直播。2時間2000万元の売上を達成した配信者の女性はもともとSNSでの人気者だったそうですが、インフルエンサーの重要性と可能性を改めて感じさせます。

淘宝直播
https://huodong.m.taobao.com/act/talent/live.html


2018年7月にサービス開始予定!エブリーとKDDIがライブコマース提供に向けた資本業務提携を締結

DELISH KITCHENやKALOS等の動画メディアを展開するエブリーは、2018年7月サービス開始を目指しKDDIと資本業務提携を発表しました。
KDDIは自社の総合ショッピングモールサービス「Wowma!」を運営しており、ライブコマースをWowma!で展開していく予定とのことです。

ライブコマースの抱える課題

ライブコマースは、海外ではすでに成功をおさめている次世代ECの一形態。メルカリのようなCtoC型ECに向いているサービスといえます。

2017年はライブコマース元年とされ、ご紹介したように日本でも様々な企業がライブコマースのプラットフォームを立ち上げました。
しかし、サービスインから1年余りでサービス終了を決めた「PinQul」や既に終了してしまったディーエヌエーの「Laffy」のような例もあり、徐々に以下のような課題も見えてきたところです。

  • もともとファンが多いインフルエンサーをライブコマースで採用したとしても、そのファンが必ずしも顧客になるとは限らない
  • 売れるインフルエンサー、売れないインフルエンサーに差が出てきてしまった
  • 商品に対する愛着が感じられないと商品の良さが視聴者には伝わらない

こうした課題をどのように克服していくのか、そもそもインフルエンサーが必要なのか、といったことを今後議論していくことになるでしょう。