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GAFAとは?巨大IT企業が世界に与えている影響について

GAFAという言葉を知っていますか?

IT業界をほぼ独占しているGAFAは絶大な力を持ち、中小企業にとどまらず国をもおびやかす存在となりました。

GAFAの概要や危険視される理由、日本をはじめ各国の対策について解説します。
【目次】

GAFAとは?知っておくべき基本情報について

GAFAの読み方

GAFAは「ガーファ」と読みます。米国の最大手IT企業4社の頭文字を組み合わせて作られた造語です。

GAFAは米国の巨大IT企業4社の総称

GAFAのそれぞれの社名は、以下の通りです。
  • G…Google
  • A…Apple
  • F…Facebook
  • A…Amazon
どの社名も今のIT業界をけん引する米国の巨大企業であり、世界に与える影響も多大なものとなっています。

Google
GAFAの頭文字であるGoogleは、1995年にスタンフォード大学からスタートしています。検索エンジンGoogleは国内でも利用率が高く、デジタルマーケティング業界ではWebサイトをいかにGoogle検索で上位表示させるかという「SEO対策」が重要視されています。

Googleは検索エンジン以外にも、スマートフォンのOS「Android」やAIスピーカーの「Google Home」などのサービスも展開しています。


Apple
GAFAの2文字目であるApple社は、1976年にスティーブ・ジョブズを含む3人の創立者によってカリフォルニア州で設立されたIT企業です。
iPhoneやiPadなどに代表されるように、洗練されたデザインやシンプルで直感的なUIを大事にしています。他メーカーに類を見ない画期的なガジェットは、「Apple信者」といわれるほど熱狂的なファンがいることでも知られています。

Facebook
かつてのユニコーン企業の一つだったFacebookは、GAFAの3文字目を担います。Facebookは2004年にマサチューセッツ州で設立。SNSの先駆者ともいうべきサービスで、他のSNSと違い実名での登録が基本となっています。

現在のFacebookは個人のコミュニケーションだけではなく、ビジネスとして企業も登録しています。公式アカウントとしてFacebookを運用している企業は世界中におり、宣伝の場として商用利用されています。


Amazon
GAFAの4文字目であるAmazonは、1994年にワシントン州で設立されています。通販サイト「Amazon」は急速にサービス展開しており、「Amazonマーケットプレイス」では個人も法人もAmazonに出品が可能で、越境ECとしての機能もあります。

また、クラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)は多くの企業で使われており、ビジネスの基幹部分を支える存在となりました。最近ではAmazonが開発したAI「Alexa(アレクサ)」を搭載したAIスピーカー「Amazon Echo(エコー)」の利用が拡大しています。

GAFAが世界的に与える影響

GAFAの時価総額は日本の国家予算を超える

2019年1月7日時点で、Amazonの時価総額が約87兆円(約7,970億ドル)と世界1位になりました。それまで世界1位の時価総額はマイクロソフト社の約7,840億ドルだったので、約100億ドル(約1兆円)近く差をつけて世界首位をマークしています。

参照:産経新聞ニュース「アマゾン時価総額トップ 一時87兆円」より
https://www.sankei.com/world/news/190108/wor1901080015-n1.html
GAFAの他3社の企業も時価総額は世界トップレベルを維持しており、2018年9月時点で、GAFA4社の時価総額を合計すると3兆ドル(約330兆円)になるといわれています。

参照:朝日新聞GLOBE+「4社で時価総額3兆ドル ITの巨人「GAFA」の支配はどこまで続くのか」より
https://globe.asahi.com/article/11860413

日本の2019年度の国家予算(一般会計)が101兆4,564億円であることと比較すると、GAFAの持っている数字がいかに巨大なものかがわかります。

無料アプリや検索エンジンの利便性と引き換えに個人データを収集している

GAFAに代表される巨大IT企業は、先ほどご紹介したようにIT業界の中でもそれぞれ異なる分野を得意としています。

ですが、GAFAはどの会社も企業がサービスを展開するうえで欠かせないプラットフォームを持っています。プラットフォームとは基盤を意味しており、GAFAは「プラットフォーマー」ともいわれています。

GAFAは購入内容をはじめ年齢や性別、購入時間などのデータを集めて分析することで、よりターゲットとするユーザーのニーズを把握できます。

例えば、Amazonで商品を購入した際、購入履歴に基づいておすすめの商品を表示する「レコメンドエンジン」は、個人情報を入手することでより効果が高まります。

無料アプリの1つであるGoogle Mapは使い勝手がよく多くのユーザーが利用していますが、見方を変えれば「何時にどんな場所へ行ったか」という情報が全てGoogleに送られているのです。
つまりGAFAは検索エンジンやプラットフォームを提供することで、ユーザーの個人情報を手に入れ、次のサービス展開の検討材料にしているといえます。
この、ユーザーが意図しない個人情報の入手方法が強制的であるとして、問題視されるようになってきました。

巨大IT企業が中小企業の参入を阻害する恐れがある

GAFAが提供するプラットフォームは世界中で使われており、日々膨大な個人情報を得ています。GAFAは手に入れた情報を分析することで、より一層ユーザーのニーズを満たすサービスが展開できます。

GAFAの提供するサービスの利便性が向上するのは良い事ですが、その反面で市場を独占することになり、中小企業の参入を阻んでいる恐れがあるとされています。

すでにIT市場で絶大な力を持つGAFAは、自社のプラットフォームを利用する企業に無理な要求を始めています。国の調査によると、「GAFAから契約時になかった有料サービスの追加を強制された」「プラットフォームの独占により、過大な手数料が発生している」などの不満の声が上がっています。

GAFAにマイクロソフトが含まれない理由

GAFAは、Google・Apple・Facebook・Amazonの4社ですが、以前はMicrosoftを含めた「GAFMA(ガフマ)」と呼ばれていました。
MicrosoftもGAFAのように、Windows OSやWindowsサーバーなどビジネスに欠かせないプラットフォームを展開しています。また、GAFAと同じように現在もトップレベルの時価総額を維持しています。

GAFAからMicrosoftが消えた理由としては様々な憶測がありますが、提供するサービスが個人向けではなく企業向けであった点が大きいといわれています。

プラットフォーマーが問題視されているのは意図しない“個人情報”の収集なので、企業向けのサービスを提供するMicrosoftを警戒する動きは終息していったのでしょう。


GAFAを警戒する日本は新たに法律を制定し規制を開始

GAFAのデータ活用対策として「官民データ活用推進基本法」を制定

GAFAはユーザーの同意なしに個人情報を吸い上げているとして、日本では法整備を行うこととなりました。

平成28年12月14日から施行された「官民データ活用推進基本法」では、情報を独占するGAFAの対策が盛り込まれています。官民データ活用推進基本法ではビッグデータの開示が求められおり、GAFAが取得したデータは独占できないこととなりました。
データ活用自体の法整備が整っていないため、日本はこの官民データ活用推進基本法をスタートラインとして考えています。今後、さらに法整備は進んでいく見通しです。

電子政府の総合窓口e-Gov「官民データ活用基本法」より
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=428AC1000000103

独占禁止法でも規制を検討している

国内の企業からも不満として挙がっているという「GAFAから不公平な契約を強制された」という問題は、独占禁止法による「優越的地位の濫用」でも規制できると考えられています。

優越的地位の濫用の概要は、以下の通りです。

優越的地位の濫用とは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。
引用元:公正取引委員会公式HP「優越的地位の濫用及び下請法の概要」より
https://www.jftc.go.jp/shitauke/kousyukai/gaiyou.html

GAFAがプラットフォーマーとして優位な立場を利用して企業にオプションの強制や不当な手数料を請求していた場合、“不公平な取引方法”として独占禁止法により規制が可能です。
それだけでは不十分と国が考えたため、新たに官民データ活用基本法でさらにGAFAの個人情報の独占を防ぐよう対策を取ったわけです。

GAFAは世界各国でも警戒・規制されている

EUでは一般データ保護規制を施行

GAFAのデータ活用については欧州連合(EU)も警戒しており、2018年5月25日より「一般データ保護規則(GDRP)」が適用されています。EUにはそれまでも個人データ保護法がありましたが、個人情報の保護を最大の目的としたEU規制を新たに制定したのです。

しかしGDRPを発効してからわずか4カ月後には、フランスの個人情報保護監督機関(CNIL)に、3,700件を超える個人の苦情申し立てがありました。その中には、GAFAに対する集団の苦情申し立てが2件含まれており、保護局は処理に追われました。

参照:JETRO「GDPR発効から4カ月、データ保護に関する苦情申し立てが急増」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/d72a0a58af9754bb.html
EUで施行されているGDPRは国によって異なるため、今後も各国が世論と検討しながら法整備を進めていくと思われます。

米国ではGAFA解体を公約とする議員も現れる

GAFAの多大な力は、本場米国でも「市場をゆがめている」と危惧されています。2020年に米大統領選に出馬を表明しているウォーレン上院議員は、公約の1つに「GAFAの解体」を掲げています。

「GAFAの破竹の勢いは止まらず米国でも中小企業の成長を妨げている」と議員は指摘しており、演説でもGAFA解体の構想について発表しています。

参照:ITmediaNEWS「米大統領選出馬のウォーレン議員、GAFA解体を公約に」より
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/11/news059.html

巨大な力を持つIT企業の影響は畏怖の対象か

米国でGAFAを“四騎士”とした本を出版

GAFAの脅威を描いた本として、スコット・ギャロウェイ氏が執筆した「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」があります。すでに22か国で刊行されており、日本版も出版されました。
大学教授であるスコット氏は、Amazonの進出により自身が上場したオンライン通販の撤退を余儀なくされた経験をもとに、GAFAの偉大さや恐怖について説いています。

巨大IT企業はGAFAだけではない

GAFA以外にも、巨大IT企業と評される企業はいくつもあります。他の視点でも見ていきましょう。

米国ではGAFAだけではなくFANGもある
GAFA以外にも、巨大IT企業を指す「FANG(ファング)」も知っておきたいところです。FANGとは、以下4社の頭文字を合わせて造られた言葉です。

  • F…Facebook
  • A…Amazon
  • N…Netflix
  • G…Google
GAFAと違う点は、Apple社が抜けた代わりにNetflixが追加されているところです。FANGは2015年ごろに株式市場で言われ始めた言葉で、最新の情報技術を持っている巨大IT企業を指す言葉です。
FANGはリーマンショック後に最新技術によってアメリカ株式市場を持ち直したため、株式売買に関わる業界でよく言われるようになりました。

Netflixは映像ストリーミング会社
Netflixは、1997年にカリフォルニア州で設立された映像ストリーミング配信の会社です。Netflixの時価総額は1,500億ドルほどでGAFAの中では低いものの、ビッグデータを活用するハイテク企業として注目されています。
Netflixはアメリカで人気が高く、日本では2015年からサービス提供を開始しています。DVDがなくても動画を視聴できる映像ストリーミングサービスの他にも、パソコンでDVDがレンタルできるサービスも提供しています。
Netflixの場合は、個人の視聴履歴だけではなくNetflixが独自に作っているアルゴリズムを活用することで、より効果的なレコメンド機能を実現しています。

中国版GAFAも存在する

GAFAは中国に影響しません。なぜなら中国では情報統制が厳しく、GoogleやFacebookが利用できないためです。

その代わり中国独自のIT技術が進化しており、「BAT(バット)」という中国版GAFAの造語があります。BATを構成する3社は、それぞれの分野で独占的な立場となっています。

  • B…バイドゥ(百度):Googleのような検索エンジン分野
  • Alibaba…アリババ:Amazonのような電子商取引分野
  • T…テンセント:LINEやFacebookのようなSNS分野(中国ではLINEも利用できない)
GAFAの中国版であるBATも各分野をけん引している存在で、独自のプラットフォームで手に入れた個人情報があります。ただGAFAと違うところは、BATが蓄積した膨大な個人データに中国国家もアクセスできる点です。

中国では、インターネット上にアップロードするものは全て検閲を通過しなければいけません。そのため、BATはGAFAと異なり国家とともに成長すると見られています。



GAFAの動きは投資家たちも注目している

GAFAはIT業界をけん引する巨大企業ですから、投資家にとってもその株は無視できません。もちろんGAFAという株はないので、投資家はGoogle、Apple、Facebook、Amazonの各動向を見て、“買い”かどうかを見極めます。
GAFAは有力な米国株として上昇トレンドの中にあるので、市場の動向に注目している投資家も多い事でしょう。

まとめ

IT業界のトップを走るGAFAは、現在独占状態にあります。AmazonのマーケットプレイスやFacebookの企業アカウントなど、法人としてGAFAのプラットフォームを利用している企業は「ほかに頼れるプラットフォームがない」というのが現状です。

さまざまな最新技術やアイデアで成功しているGAFAはIT業界に貢献しているものの、優位な立場を利用した不公平な契約は危険視されても仕方がありません。国も法整備に乗り出したため、今後は企業にとっても快適な取引ができるでしょう。

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