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オムニチャネルについてもう一度考えてみる~前編・オムニチャネルの定義とは~

セブンアンドアイホールディングスのOmni7など、一般コンシューマーに向けてもサービスが加速しているオムニチャネルリテイリング。
既にバズワード化しつつある「オムニチャネル」ですが、今一度どういったことなのかを確認したいと思います。

1. そもそもオムニチャネルとは?

O2Oという言葉を覚えていますか?
ネット上で人を集め、リアルに送客するというオンラインとオフラインをつなぐ架け橋として定義され、利用されたサービスです。オンラインとオフラインの双方を利用する、画期的な概念でした。O2Oという言葉の通り、Online to Offline、つまりオンラインからオフラインへの一方通行の「送客」がメインであり、あくまでもネットで接触したお客様をどのようにリアル店舗へと送客するのかに力点が置かれていました。
最もサービスの内容として多かったのは「クーポン」。リアル店舗で利用出来るクーポンを、オンラインで配布してお店へと送客するサービスが多数の小売店で行われていました。
もともとオンラインでの集客コストとオフラインでの集客コストには大きな隔たりがあるため、コストの低いオンラインで大きくユーザを獲得し、決定力の強いオフライン-リアル店舗で顧客化するという、費用対効果の面でも確かに画期的なサービスではありました。

しかしながらO2Oのモデルは、基本的には一方通行の概念であり、リアル店舗でのアクションがオンラインに影響を及ぼすことも少なく、単なる「サービス」として切り離されていた面もあります。
当時のECやWeb、店舗管理のシステムでは、まだまだ連携が十分ではなく、大きな課題が多数ありました。O2Oという概念/サービスは明瞭なコンセプトを掲げていた一方で永続性が薄く、他方では小売店が導入し始めていた自社ブランドアプリ等とは競合しかねない関係性であることも一つの問題点であったと言えます。O2Oの場合は送客をキーにしたサービス提供であったため、自社アプリなどで既に会員となっているユーザとの扱いの違いや、アプリ自体をオンラインとして定義するのかどうか、また、それらから発生した売上の再分配をどのように考えるのかなど、大きな課題が多数あったのです。

これらの問題が発生するのは、ビジネスモデルが変化していく中では当然のことであると言えます。
O2Oという一方通行のサービスではなく、リアル店舗での情報をオンラインでも活用していきたいというニーズはだんだんと高まっていきました。
オンラインで獲得したポイントをオフラインでも利用したい、その逆もまた実施したいことであり、オンライン上でオフラインの購買履歴も同時に表示したい、などです。

この様に、一人のお客様の様々な場所での行動を一つにまとめ、統括的に確認、管理、そしてそれに応じたアクションを起こせるようにしていきたいというニーズが高まり、生まれたのかオムニチャネルという概念であると言えます。

2. オムニチャネルの定義

定義、といっても、例えば守るべき10箇条や、ユニバーサルデザインにおけるロン・メイスのユニバーサルデザインの7箇条のような、明確に示されている指針があるというわけではありません。
しかしながら、今現在、誤解されていたり、省略されていたりする考え方がいくつもありますので、そういった点も含めまとめてみます。

そもそものオムニチャネルシステムの概念

オムニチャネルシステムを簡単に言い表すならば、「一人のお客様をデバイス、チャネルの垣根を越えて、常に一人のお客様として認識し、サービスを提供すること」であると言えます。
昨日ECサイトで商品を購入された方が、今日店舗で商品を購入しようとした場合、店舗では「昨日ECサイトで商品を購入した人である」と認識し、それに応じた接客を行うべきです。また、数日前にお客様センターに商品Aのお問い合わせをしたお客様が、店舗で商品Aを手に取ったのであれば、店頭スタッフは商品Aについて素早く説明できる事が望ましいでしょう。オムニチャネルとは、この様なお客様の情報を共有することで、そのチャネル、タイミング、シチュエーションにおいて最適な接客(この場合の接客とは、オフライン・オンラインを問わず、また定義するべきではありません)を行うことが目的であり、その表現方法として様々な施策があるべきと考えます。

一人のお客様が接触する様々なチャネルに応じて、最適な接客を行うこと。いわばそのチャネルにふさわしいおもてなしを実施する、それがオムニチャネルであると言えます。

オムニチャネルの適応範囲

「オムニ(全ての)」+「チャネル(チャンネル・顧客接点)」という造語ですので、オムニチャネルのそもそもの概念の基本としては、全てのチャネルが一つになっていなければ意味はありません。対顧客接点という視点で考えた場合、オムニチャネル化する対象として「EC」「店舗」については、多くのケースで考慮されていますが、「スマートフォンアプリ」「FAX通販」「電話通販」「テレビショッピング」「ハガキ」「コールセンター/お客様相談室」などは考慮外となっているケースも決して少なくはありません。
これら数多くの対顧客向けチャネルを統合する必要があり、チャネル全てを対象として構築をしていくべきでしょう。

オムニチャネルで実現すべき中心的要素

結局なにをすれば良いの? というお声も良く聞きます。
お客様にとってどのようなサービスであれば良いのか、それを考えることが最も重要な要素ですが、その為のきっかけとして代表的なことを3つ上げさせていただきます。

「ポイントの統合」
ECと店舗などで別々のポイントを発行していたり、別々のポイント体系になっているというケースが良くあります。オンラインとオフラインの概念をできるかぎり統合し、顧客メリットを最大化するためにも、ポイントの統合は欠かすことの出来ない要素です。

「購買情報の統合」
オンラインでの購買情報も、オフラインでの購買情報も、どちらも同様にお客様の大切な履歴です。
これらの情報を一方通行のシングルチャネルで扱うのではなく、オンラインのマイページから、過去の購買履歴をチャネルを横断して見ることが出来れば、例えば「先週、お店で買ったカットソーにあうスカートを見つけたい」というニーズにも簡単に応える事が出来ます。
アパレル業界だけで言えば、お店で買ったものを特別な登録などをするまでもなくスマホでいつでも確認出来れば、他のお店に行った時に確認する、という目的でも使ってもらうことが出来ます。この場合には自社にとって必ず利益になるわけではないですが、お客様に利便性を提供し、お客様がいつも利用してくれるお店になる、という点では大きな意味があると言えます。

「施策の統合」
キャンペーンなどの統合です。
オンラインとオフラインのキャンペーンはこれまであまりリンクしておらず、連携しているとしても、オンラインからオフラインへ、が主でした。O2Oの名残とも言えます。
しかし、購買行動が多様化している現在、チャネルごとに個別のキャンペーンを展開するよりも、お客様ごとに最適なキャンペーンや各種の施策を実施した方が優位であるケースが多々あります。
どうしても平日店舗に行く時間がないプラチナユーザに、期間限定のクーポンを配布しても顰蹙(ひんしゅく)を買うだけです。もちろん、あえて送客のためにECサイトの利用者に、店舗利用限定クーポンを配布するというアプローチも時には必要であると思いますが、、ユーザの購買行動や購買可能な時間帯等を適切に見極め、ユーザが接触しやすいチャネルで、メリットを最大化できる施策を展開していくべきであると言えます。

▽後編もあわせてご覧下さい
オムニチャネルについてもう一度考えてみる~後編・オムニチャネルの課題とミライ~

この記事を書いた人
岩井 源太

株式会社エスキュービズム・テクノロジー ソリューション事業部 マーケティングアーキテクト
大学生時にITベンチャーを起業、後、Webインテグレーションを提供する株式会社デジタル・マジック・ラボ、アンカーテクノロジー株式会社を経て、エスキュービズムに参画。オムニチャネルをテーマとしたセミナー講師としても活躍。

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