小売業界のトップが語る「2014年、我が社が目指すところ」
「お客様との距離を縮めてより近しい関係を構築するためにテクノロジーを利用し、有用な消費者心理を探るために膨大なデータを駆使しながら、店舗には大掛かりな改装を実施することで新しい命を吹き込む、といった流れになる」
大手小売業者Macy’s、J.C. Penney、Bloomingdale’s、Ethan Allenの各CEO、加えて就任間もないSaks Fifth Avenueの取締役は異口同音にこういった見解を示しています。
先頃ニューヨークにて開催された全米小売業協会の年始会合の後に、投資会社Financoが主催してHarmonie Clubにおいて行われたパーティー会場にて各企業のトップにお話を聞くことが出来ました。
その際に皆さんにお伺いしたのは「2014年に御社が目指すところを教えてください」というもので、ここではそれに対する答えを順次ご紹介していこうと思います。
これまでMacy’sでは地域ごとのマーケットニーズに合わせた商品を揃えるべく2008年に導入されたシステムMy Macy’sを通して、「大規模企業においても販売店のある地域ごとに合わせた品揃えを実現するという業界初の成果(同氏)」を成し遂げています。
「現在はMy Macy’sをより消費者個人レベルにまで対応させ、一人ひとりが独自の購買経験を得られるようなシステムに変化させています・・・我々は消費者の皆さんが求めていることを十分理解していますから。」こう言って消費者代表でもある私に指を差しながら、真剣な眼差しでランドグレン氏は語ります。
Macy’sでは消費者の特別なニーズや要望に応えるべく、Shopkickという名のショッピングアプリなどを活用しているということで、昨年11月にはマンハッタンのHerald Square にある一号店など、Macy’sの一部大型店舗においてShopBeacon通信機能が実用化されました。
これはお客様がお店に足を踏み入れると同時にShopBeaconシステムが稼動し、店内を見て回る上で便利な情報などが表示されるというものです。
現在のところはまだ試験的利用段階ですが、Macy’sではこのシステムを通して各販売店ごとに独自の割引セールを開催したり、おすすめ商品や景品情報を発信している他、システム利用者が自宅パソコンを使ってサイトを検索するパターンを分析した上でその人に合った商品の紹介も行えるようになっているのです。
昨年4月に解任された前任者ロン・ジョンソン氏の後を受けて現場に再復帰した同氏は、同社グループ内の各チェーン店の再生に積極的に着手してきており、ジョンソン氏によって撤廃された各種特別セールや、St. John’s BayやJCP Homeといったプライベートブランドを次々と復活させることで、大規模な顧客離れと業績悪化を引き起こした元凶を根本から改善させてきています。
ウルマン氏によれば、J.C. Penneyグループ業績回復の大きな兆候として、すでに「過去最高の顧客満足度指数の達成」という事実が見て取れるということです。
同氏によると、これまでのような色やデザインの統一性にこだわったスタイルを捨てて、古き良き部分と近代的な要素が混在し、質感・生地・色のチョイスといった面でもバラエティーに豊んだスタイルを前面に押し出していくということです。
このように、これまでファッション性とは無縁であった企業も、新たにファッション要素を取り入れることでビジネスの活性化につなげようとする動きが最近では盛んに見られているということで、キャスワリ氏はアップル社がバーバリーの前CEOアンジェラ・アーレント氏を小売部門の常務取締役として登用したことが良い例で、ここにIT系のアップルがファッション面にも力を入れていこうとしている姿勢が良く表されていると指摘します。
この買収を受けて経営陣の顔ぶれも一新され、マリゲイ・マッキー氏が社長職に就任する運びとなったわけですが、早速12億5000万ドルをつぎ込んで各チェーン店の改修工事に着手し、独自の高級商品を前面に押し出すことでどこも似たような商品展開をしている他のデパートとの差別化を図ると同時に、より若い世代の消費者もターゲットとする動きが始まっているのです。
Harrods百貨店の元バイヤーでもあるマッキー氏ですが、彼女にとっての2014年におけるビジネスの目標について聞いたところ、「Saks Fifth Avenueブランドにおけるスタンダードやサービス、イメージ、さらには位置づけを高く設定し、社内に再び元気を取り戻すように努める」との答えが返ってきましたが、そのためには「見た目における商品の魅力に加え、ウィンドウ・ディスプレイや個人に対応したサービスのレベルアップが不可欠で、さらには世界に目を向けた戦略を練りつつも実際の活動においては地域密着を目指すことも求められてくる」と言うことで、こういった背景には同ブランドの海外進出に向けての可能性も関係しているということです。
複数チャンネル化とは「ビジネスにおける全てのチャンネル(店舗・オンライン・携帯端末)の在庫管理を充実させ、顧客データも整備することで、それぞれのマーケットが持つユニークな違いを理解しつつ各マーケットごとに最適の製品を揃えることができるようにする(同氏)」ということです。
実際に、小売業界では美容品専門のチェーン店Ultaからディスカウント百貨店Targetに至るまで、デジタルショッピングのチャンネルを通して集められた「生のデータ」をいかにして実用性が高くて意味のある情報として処理することができるか、ということに尽力しています。こうすることで消費者一人ひとりに細かく適応した最大限の購買経験を提供することが可能となるのですが、「小売業における売り上げ向上につなげるための顧客情報の有効活用について」と銘打たれた今回の全米小売業協会年始会合内の講習会でも指摘されたように、このような形での情報処理活用はなかなか簡単には実現させられないのも確かです。
大手小売業者Macy’s、J.C. Penney、Bloomingdale’s、Ethan Allenの各CEO、加えて就任間もないSaks Fifth Avenueの取締役は異口同音にこういった見解を示しています。
先頃ニューヨークにて開催された全米小売業協会の年始会合の後に、投資会社Financoが主催してHarmonie Clubにおいて行われたパーティー会場にて各企業のトップにお話を聞くことが出来ました。
その際に皆さんにお伺いしたのは「2014年に御社が目指すところを教えてください」というもので、ここではそれに対する答えを順次ご紹介していこうと思います。
Macy’s社CEO テリー・ランドグレン氏の場合
「今年Macy’sが力を入れていくポイントは、いかにして個人消費者と近しい関係を築きあげるかに尽きます。」とは同社デパート部経営責任者のランドグレン氏です。これまでMacy’sでは地域ごとのマーケットニーズに合わせた商品を揃えるべく2008年に導入されたシステムMy Macy’sを通して、「大規模企業においても販売店のある地域ごとに合わせた品揃えを実現するという業界初の成果(同氏)」を成し遂げています。
「現在はMy Macy’sをより消費者個人レベルにまで対応させ、一人ひとりが独自の購買経験を得られるようなシステムに変化させています・・・我々は消費者の皆さんが求めていることを十分理解していますから。」こう言って消費者代表でもある私に指を差しながら、真剣な眼差しでランドグレン氏は語ります。
Macy’sでは消費者の特別なニーズや要望に応えるべく、Shopkickという名のショッピングアプリなどを活用しているということで、昨年11月にはマンハッタンのHerald Square にある一号店など、Macy’sの一部大型店舗においてShopBeacon通信機能が実用化されました。
これはお客様がお店に足を踏み入れると同時にShopBeaconシステムが稼動し、店内を見て回る上で便利な情報などが表示されるというものです。
現在のところはまだ試験的利用段階ですが、Macy’sではこのシステムを通して各販売店ごとに独自の割引セールを開催したり、おすすめ商品や景品情報を発信している他、システム利用者が自宅パソコンを使ってサイトを検索するパターンを分析した上でその人に合った商品の紹介も行えるようになっているのです。
J.C. Penney社CEO マイク“ミロン”ウルマン氏の場合
会社としての今年の目標は、という問いに対するウルマン氏の答えは「去年より始まった社内改革の流れを完結させること」という簡潔明瞭なものでした。昨年4月に解任された前任者ロン・ジョンソン氏の後を受けて現場に再復帰した同氏は、同社グループ内の各チェーン店の再生に積極的に着手してきており、ジョンソン氏によって撤廃された各種特別セールや、St. John’s BayやJCP Homeといったプライベートブランドを次々と復活させることで、大規模な顧客離れと業績悪化を引き起こした元凶を根本から改善させてきています。
ウルマン氏によれば、J.C. Penneyグループ業績回復の大きな兆候として、すでに「過去最高の顧客満足度指数の達成」という事実が見て取れるということです。
Ethan Allen社CEO ファルーク・キャスワリ氏の場合
「大手の家具専門店として知られてきた我々Ethan Allenですが、これからはホームファッション全般で業界を牽引していくことになります。」とキャスワリ氏は話します。同氏によると、これまでのような色やデザインの統一性にこだわったスタイルを捨てて、古き良き部分と近代的な要素が混在し、質感・生地・色のチョイスといった面でもバラエティーに豊んだスタイルを前面に押し出していくということです。
このように、これまでファッション性とは無縁であった企業も、新たにファッション要素を取り入れることでビジネスの活性化につなげようとする動きが最近では盛んに見られているということで、キャスワリ氏はアップル社がバーバリーの前CEOアンジェラ・アーレント氏を小売部門の常務取締役として登用したことが良い例で、ここにIT系のアップルがファッション面にも力を入れていこうとしている姿勢が良く表されていると指摘します。
Saks Fifth Avenue社 取締役社長 マリゲイ・マッキー氏の場合
去年11月にカナダの大手デパートグループHudson’s Bay Co.によって240億ドルで買収された高級デパートSaks Fifth Avenueは、今新たな事業展開の時を迎えています。この買収を受けて経営陣の顔ぶれも一新され、マリゲイ・マッキー氏が社長職に就任する運びとなったわけですが、早速12億5000万ドルをつぎ込んで各チェーン店の改修工事に着手し、独自の高級商品を前面に押し出すことでどこも似たような商品展開をしている他のデパートとの差別化を図ると同時に、より若い世代の消費者もターゲットとする動きが始まっているのです。
Harrods百貨店の元バイヤーでもあるマッキー氏ですが、彼女にとっての2014年におけるビジネスの目標について聞いたところ、「Saks Fifth Avenueブランドにおけるスタンダードやサービス、イメージ、さらには位置づけを高く設定し、社内に再び元気を取り戻すように努める」との答えが返ってきましたが、そのためには「見た目における商品の魅力に加え、ウィンドウ・ディスプレイや個人に対応したサービスのレベルアップが不可欠で、さらには世界に目を向けた戦略を練りつつも実際の活動においては地域密着を目指すことも求められてくる」と言うことで、こういった背景には同ブランドの海外進出に向けての可能性も関係しているということです。
Bloomingdale’s CEO トニー・スプリング氏の場合
先に出てきたMacy’sグループの中でも主に高級品を取り扱うデパート、Bloomingdale’sのマイケル・ゴールドCEOの定年退職に伴い、来月後任として就任するトニー・スプリング氏は、同デパートが今年実現を目指す主要な目標の中では「複数チャンネル化は何よりも優先して取り組んでいきたい」と話します。複数チャンネル化とは「ビジネスにおける全てのチャンネル(店舗・オンライン・携帯端末)の在庫管理を充実させ、顧客データも整備することで、それぞれのマーケットが持つユニークな違いを理解しつつ各マーケットごとに最適の製品を揃えることができるようにする(同氏)」ということです。
実際に、小売業界では美容品専門のチェーン店Ultaからディスカウント百貨店Targetに至るまで、デジタルショッピングのチャンネルを通して集められた「生のデータ」をいかにして実用性が高くて意味のある情報として処理することができるか、ということに尽力しています。こうすることで消費者一人ひとりに細かく適応した最大限の購買経験を提供することが可能となるのですが、「小売業における売り上げ向上につなげるための顧客情報の有効活用について」と銘打たれた今回の全米小売業協会年始会合内の講習会でも指摘されたように、このような形での情報処理活用はなかなか簡単には実現させられないのも確かです。
この記事はRetail CEOs Reveal Top Goals For 2014をOrange Blogが日本向けに編集したものです。