Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

増加するスマホからのEC利用 コンバージョン最大化のためにできること


近年、スマートフォンからECサイトを利用する消費者が増えています。これからの消費を担うZ世代は言うに及ばず、60代以上を含むすべての年代においてその動向は顕著です。



加えて、Googleが昨年発表したMFI(モバイルファーストインデックス)に関する新たな情報は、ECサイトを含むスマホサイトを充実させておくことは、もはやベターではなくマストである、という現実を物語るものとなりました。



本稿では、これからの時代のスマホサイトに必要な要件、そしてスマホサイト上でコンバージョンを最大化するためのポイントなどについてまとめていきます。



【目次】





「EC利用はスマホから」が多数派へ



総務省が発表した「令和元年通信利用動向調査」によると、インターネット利用者の割合は人口に対して全体の約9割、さらに、スマートフォンを保有している世帯の割合も8割を超えています。



出典:総務省 令和元年通信利用動向調査




このような状況の中で、メインで利用するデバイスがPCからスマホへと移行するのは、ごく自然なことと言えるでしょう。



LINE株式会社が2020年10月に行った調査では、インターネット利用者のうち、PCのみでインターネットを利用する人は46%、PCとスマホを併用する人は44%、スマホのみで利用する人は50%となっており、もはや、インターネット利用においてスマホがメインのデバイスであることは疑いようがありません。



そのような時代の流れを汲んで、昨年Googleは、重大な発表を行いました。



スマホ版がないウェブサイトはGoogleから無視される



それは、「2021年3月以降、Googleはモバイル環境でアクセスできないサイトをインデックスしない」というものです。



これまでも、GoogleはMFI(モバイルファーストインデックス)について言及しており、スマートフォンサイトの充実が検索結果にとってより重要であることは示してきましたが、今回の発表ではデスクトップ版でしか表示できないコンテンツは無視することを明言した形になります。つまり、2021年3月以降、スマートフォンに対応していないサイトのインデックスは削除され、事実上検索不可能な状態になるのです。







MFI(モバイルファーストインデックス)によるSEOへの影響



これらの状況を踏まえ、今後の小売企業においては、スマートフォンサイトを構築しておくことが必須となりました。もはやスマホサイトが存在しないことは、小売企業としての生死に直結すると言っても過言ではありません。



加えて、ただ単にスマホサイトがある状態を作ればいいわけではなく、時代に即したSEO対策が求められます。



例えば企業のオフィシャルブログやコラムなどのコンテンツは、PCブラウザ版のサイトのみに表示し、スマホサイトには表示されない、という状態が散見されます。これは、スマホでの表示を整えるための手間を省いたためだったり、そもそもスマホの画面だと文字が小さくて読みづらいため、意図的に除外する、といった場合もあるでしょう。



しかし、今後はMFIの存在によって、スマホサイトにおけるコンテンツSEOの重要度が増すことを肝に銘じておくべきでしょう。



スマホサイトにおけるSEO対策



加えて、スマホサイト全体の作りそのものが、今後のSEOでは大切になってくることも覚えておかなくてはいけません。



これは、簡単に言えば、サイト内で、見つけたいコンテンツや商品が探しやすい、その際のサイトの動作にストレスがない、など、「ユーザーがいかに目的を迅速に達成できるか?」という視点でサイトを構築することに尽きます。



その際に参照しておきたいのが、やはりGoogleからオフィシャルに発表されている「ページエクスペリエンスシグナル」です。



現在、Googleの検索順位の要因になる「ページエクスペリエンスシグナル」は以下の5つと言われています。



モバイルフレンドリー


 そのページがモバイルフレンドリーであることを示します。



セーフブラウジング


 そのページに悪意あるコンテンツ(マルウェアなど)や不正なコンテンツ(ソーシャルエンジニアリングなど)が含まれていないことを示します。



HTTPS


 そのページがHTTPSで配信されていることを示します。



煩わしいインタースティシャルがない


 ページのコンテンツにユーザーが容易にアクセスできることを示します。



コアウェブバイタル


 Googleが2020年に発表した新たなWebページUXの重要指標です。



上記のうち、5番目の「コアウェブバイタル」について、以下に詳述します。



Googleの検索順位を左右する「コアウェブバイタル」



コアウェブバイタルは、さまざまなユーザーエクスペリエンスを指標化したもののうち、現状、特に重要だと考えられる要素のことです。これには以下の三つが定められています。



LCP(Largest Contentful Paint)


「最大コンテンツの描画」という意味で、ページ表示速度の指標となっています。そのページでメインとなるコンテンツが表示されるまでの時間で、値が小さいほどUXが良い、ということになります。



FID(First Input Delay)


「初回入力遅延」という意味で、ユーザーの第一印象でのインタラクティブ性や反応速度を測る指標です。ユーザーが訪れたページで最初に行うさまざまなアクションに対して反応する速度で、値が小さいほどUXが良いということになります。



CLS(Cumlative Layout Shift)


「累積レイアウト変更」という意味で、コンテンツをタップしようとしたら、その場所に広告が遅れて表示されたために誤タップするなど、ユーザーが意図しないレイアウトのズレがどれぐらいあるかを表ます。値が小さいほどUXが良いということになります。



これらの指標を意識しつつパフォーマンス改善を行うことは、間接的にスマホ版ECサイトからのコンバージョン率を高めることにつながるでしょう。



スマホでのコンバージョンを最大化するキーワード



ここまでは、ECであるとないとにかかわらず、これからの時代におけるスマホサイトの重要性を見てきました。裏を返せば、前提として、これらのポイントを抑えられていなければ、消費者に自社のサイトを見つけてもらうことすら困難になってしまう、ということでもあります。



それらを踏まえた上で、この項目では、スマホからのコンバージョンに焦点をあてていきます。



知りたい瞬間



Googleが2015年に提唱したスマホ時代の「4つのモーメント」というものが存在します。これは



  • Know:知りたい瞬間


  • Go:行きたい瞬間 


  • Do:やりたい瞬間


  • Buy:買いたい瞬間  


の4つなのですが、スマホ経由でのコンバージョン率を高めたい時に重視すべきなのは、実は「Know:知りたい瞬間」であると言われています。



これは、スマホというデバイスを手に取るのは「知りたい瞬間」である場合が多い、ということと、「Buyニーズ」を追求して対策を講じたとしても、丈夫にGoogleショッピング検索や広告が表示されてしまうため、オーガニックでの検索結果のリンクがクリックされづらいため、という特性があります。したがって、ECサイトであっても、「知りたい瞬間」への対策を意識してコンテンツを制作する必要があるのです。



短時間



Akamai Technologiesの調査によると、ECサイトのコンバージョン率を最大化するページの読み込み速度は2.7秒以下であることが判明しました。これよりも表示速度が遅い場合、遅れた時間に比例して、コンバージョン率を最大7%も低下させる可能性があるそうです。



サイトの見栄えやコンテンツの中身ももちろん大切なことは間違いありませんが、良かれと思って追加していたコンテンツ自体が、サイトのパフォーマンスを下げ、その結果コンバージョン率まで下げてしまっては本末転倒です。



したがって、RUM(リアルタイムユーザーモニタリング)などでページの読み込みスピードを分析し、それを遅らせる要因を特定、改善することも、サイトを充実させることと同じぐらい重要になってくるのです。



デジタル体験



コロナ禍で多くの小売企業の実店舗が閉店に追い込まれている中、これまでOMOにどれだけ真剣に取り組んできたかによって明暗が別れる、という結果が出てきています。



つまり、いくらコロナ禍でオンラインショッピングが増加しているとはいえ、これまでオフラインである実店舗に軸足が乗っていて、オンラインであるECサイト上における接客やサービスなどにあまりにも差がありすぎた企業の場合、売り上げが減少に転じたのです。



こればかりは一朝一夕に構築できるものではない、とはいえ、今後の時代はますますオンラインチャネル、とりわけスマートフォンというデバイスを起点にしたサービスの充実度が求められます。もっと言えば、それが構築できていなければ消費者から見放されてしまうといっても過言ではない時代になります。



これまでスマートフォンサイトというタッチポイントに潤沢な投資を行えていなかった企業も、まず真っ先に行うべきDXは、スマートフォンサイトかもしれません。