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ECサイトのパフォーマンスをMAツールで最大化させるコツ


人力で全てをコントロールできるような小規模な事業や、極端に高額な商品を厳選された顧客に対してセールスする、といった場合を除いて、概して見込み客の数はそれこそ星の数にものぼるもの(逆にそうならないとビジネスに何らかの問題があるはずです)。



そのような状況の中で、見込み客の状況や嗜好に合わせて、コミュニケーションの仕方を細かくチューニングし、実行してくれるMA(マーケティングオートメーション)ツールは、BtoB、BtoCいずれのビジネスモデルにおいても、見込み顧客のコンバージョンレートを効率よく向上させるためになくてはならない存在です。



そしてそれは、ECサイトという特定のタッチポイントのパフォーマンスを最大限引き出したい場合も同様です。



本稿ではテーマをECサイトに限定し、MAツールを効果的に活用するためのコツについて考察します。



目次:




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顧客の購買体験から見てもMAツールは重要



MAツールを導入する目的は当然、最終的には売上に繋げることです。そのため、MAツールについて語られる際は、どうしても企業視点からのみの話に終始しがちです。



しかし、売上に繋げるには「見込み顧客をコンバージョンさせるためのシナリオ」が必要であり、それを考えることは、顧客の購買体験を向上させることに直結します。



例えばECサイトでカートに商品を入れたまま放置している、いわゆる「カゴ落ち」した見込み顧客には、カゴ落ちした理由があります。



同じカゴ落ちでも理由は様々です。懐事情の問題かもしれないし、間違いなく商品は欲しいと思っているけれど、失敗はしたくないから背中を押してくれる情報を探している最中、といったケースも考えられるでしょう。



単に「お買い物をお忘れではないですか?」とゴリ押しするだけでなく、本来はそれぞれの見込み顧客が有意義と感じられるコミュニケーションがあるはずです。



上で挙げた例で言えば、前者に対しては割引クーポンを提示することが有効かもしれないし、後者に対しては、商品を絡めたライフスタイル提案や、ユーザーコミュニティへの案内が喜ばれるかもしれません。



そういった視点でMAツールを活用することができれば、自ずとECサイトのパフォーマンスも上がってくるはずです。







MAツールを有効活用するために欠かせないもの



しかし、MAツールは導入さえすれば、勝手に売上を作ってくれる「神様」ではありません。上記項目で述べたような、顧客視点に立ったシナリオを考えるのは担当者の仕事。シナリオを考えるためのカスタマージャーニーやペルソナを構築するのも同様です。



MAツールはあくまで、人力では到底追いつかない最終的なコミュニケーションの実行部分を自動的に請け負ってくれるものでしかないのです。



そして、MAが実行を請け負うにあたり、そもそもこれがないと始まらない、という要素が「データ」と「コンテンツ」です。



統合されたデータ



MAツールのパフォーマンスを最大化するには、様々な切り口のデータが必要です。



会員情報など、顧客のデモグラフィックデータ、顧客のEC閲覧履歴、その他ウェブサイトでの行動履歴。自社サイトだけでなく、場合によってはサードパーティから吸い上げたデータも含めて、なるべく幅広い切り口のデータがあればあるほど、見込み顧客の状況を浮き彫りにすることができます。



状況の解像度が上がれば、当然考えるシナリオの精度も上がり、有効なコミュニケーションを取りやすくなるわけです。



この時に大切なのは、全てのデータが一つのプラットフォーム上で統合されていることです。いくらデータの種類や量が多くても、いわゆる「綺麗なデータ」として保有できていなければ、MAツールで活用することはできません。



例えば会員データとして登録されている情報と、ECサイト上で登録されているユーザー情報が、同一人物であるにも拘らずバラバラだった場合、1IDとして行動を把握することはできず、当然シナリオやコミュニケーションの精度は落ちてしまいます。



良質なコンテンツ



いくら精度の高い顧客把握とシナリオがあったとしても、いざ実際にコミュニケーションを取ろうとした時に、肝心のコンテンツがなかったら全く意味をなしません。コンテンツの質が著しく低い場合も、MAツールの効果は激減してしまうでしょう。



ここでいうコンテンツとは、見込み顧客が触れるもの全てを指します。ブログやメール、動画コンテンツはもちろん、クーポンや特別なオファーなど企画が必要なものも含みます。そして、それを顧客に伝える際のテキストの文面まで含めて、磨き込む必要があることは念頭に置いておくべきです。



MAツール導入に向いている場合、向いていない場合



今やあらゆる業種、業界がECサイトでビジネスを行うことが当たり前となっている時代です。多くの場合、ここまで述べてきた要素をおさえることでMAツールがパフォーマンスを発揮してくれますが、その中でも特にMAツールの効果が高い場合と、逆にMAツールの導入コストが見合わない場合が存在することも確かです。



<MA効果が高い場合>



SKUが多い


アパレルや雑貨など、SKUが多い類のECサイトは、顧客がカゴ落ちするケースも多く、MAツールが本領を発揮しやすいと言えます。商品の入れ替わりも頻繁に起きるため、新商品を認知させたり、あるいは顧客にとって見つけづらい(しかし絶対に興味を持てる)商品を関連商品として提案したり、といったこともMAの得意分野です。



検討期間が長い商品


中古車販売や不動産など、そこそこ高額で、即決できない商品を扱うECサイトでは、購買までに見込み顧客のナーチャリングが必要です。綿密なシナリオを構築し、それを多くの見込み客に対して愚直に実行することは、MAツールなしでは難しいでしょう。



カタログで比較検討できる


家電や中古車、不動産など、カタログ化した状態で比較検討できる商品は、見込み顧客のウェブ上での行動から、何に重きを置いているか、商品のどこを比較しているかを把握しやすく、それに基づいてコミュニケーションのシナリオを組み立てることができます。逆に言えば、定量的な分析を可能にするポイントをできるだけ多く作ることで、どんな業種でもMAツールを活用しやすくなると言えます。



<向いていない場合>



取り扱い商品が少ない


ECで購入できる商品が極端に少ない場合、MAツールによるコミュニケーションの出し分けをしたところで、導入コストに見合う成果は期待できません。



検討期間がない商品


購入してから消費するまでの期間が極端に短い生鮮食品や、比較検討する必要を顧客が感じていない低単価商品などの場合も、MAツールを使う意味はほぼないと言えます。ただし、サブスクリプションモデルなどを別に用意している場合は別です(上の項目でも同様です)。



その他、そもそも見込み顧客数が少ない場合や、前半で述べたように統合できているデータが揃っていない、良質なコンテンツが揃っていない、という状況の場合、MAツールを導入してもうまくワークしないと思った方がいいでしょう。







MA×AIで、さらなる効率化と効果アップに期待



最近は、MAツールにAI技術を掛け合わせたサービスが登場しています。



前半では「シナリオを考えるのは担当者の仕事」と述べましたが、従来は、“どのセグメントの顧客に、どのようなシナリオでコミュニケーションを図るか”までがワンセットで担当者が考える必要がありました。そこでは、収集したデータに基づくとはいえ、やはりある程度の「勘」が必要だったと言えます。



しかし、AIのディープラーニングを活用することで、例えば見込み顧客の中からコンバージョンの可能性が高い顧客のみを精度高く抽出する、 といったことが可能になってきています。



あるいは、MAツールでABテストを行いたい場合も、AIを活用することで効率を著しく上げることができます。



これまでMAツールを活用してABテストをする場合、どうしても「検証」のラウンドと、その結果に基づきコミュニケーションを変更して実行するラウンドの2ラウンドが必要だったわけですが、AIを活用することで一回の配信で全体の2割に配信した内容だけでクリエイティブの優位性を自動判別して、残りの8割に優位性の高いクリエイティブを配信することができるのです。



AIは今後ますます進化し、精度が研ぎ澄まされていくことは間違いありません。いずれAIを組み込んだMAツールは必要不可欠なものになるでしょう。