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ITの普及でビジネスモデルは変化したのか


インターネットの普及は世の中の様々なものに大きな影響を及ぼしましたが、ビジネスモデルもITによって大きく変化したものの一つとして挙げられるでしょう。



例えば、SpotifyやUberが初めて現れた時、「こんなビジネスモデルがあったのか」と驚きを感じた方は多いのではないでしょうか?



今回は、事業を行う上で非常に重要な「ビジネスモデル」の種類や事例の紹介、その活用方法、書籍や人材教育についても解説していきます。



【目次】





ビジネスモデルの意味とは



ビジネスモデルは事業運営の根幹です。
継続的な売上で利益を得るための仕組みを指しており、良いビジネスモデルを構築するには、誰に何をどのように提供するかを明確にすることが重要なポイントです。



コトバンクによると、ビジネスモデルの意味は以下のように解説しています。



事業で収益を上げるための仕組み。事業として何を行ない、ターゲットは誰で、どのようにして利益を上げるのか、という「儲け」を生み出すための具体的なシステムのこと。とりわけ、既存の事業形態とは異なるシステムをもつ、コンピューターやインターネットなどの情報ネットワーク技術を活用した新しいビジネス手法のことを指す場合もある。これを特許にしたものが、インターネット商店やネットオークションといった電子商取引などに与えられる「ビジネスモデル特許」である。

引用:コトバンク



また、情報ネットワーク技術を活用した新しいビジネス手法を指す場合もあり、近年のビジネスモデルは、既存の事業形態とは異なりつつあることにも触れています。
商売の原則は変わらないとしても、ITの急速な普及により、世界的にその形が変化していることは確かな事実でしょう。



ビジネスモデルを理解するためには、構成要素である



  1. Who:顧客やユーザー
  2. What:提供するサービスや商品の価値
  3. How:提供のプロセス
  4. Why:収益を得る構造


以上4つの項目を押さえることが基本です。
次から、事業構造の4つの基本要素について詳しく解説していきます。





ビジネスモデルの4つの基本要素とは



1.Who:顧客やユーザー



商品やサービスを提供するにあたり、「誰に対して」というターゲティングは非常に重要です。
これは現在の顧客やユーザーはもちろんのこと、これから呼び込める可能性のある層にも目を向ける必要があります。
潜在的な顧客やユーザー層を探るときに、顕在層が属している母集団に注目するのは有効な手段です。



特に相手の顔が見えないインターネットの世界では、どういったユーザーがどのように流入しているかを知ることは重要なポイントと言えるでしょう。



2.What:提供するサービスや商品の価値



無料で提供するものに多くの人が集まるのは当然のことです。
重要視すべきは、そのサービスや商品に対して、顧客やユーザーが対価を支払う価値を感じられるかどうかという点です。
顧客やユーザーが何に対して対価を支払っているのか、どこに価値を認めているのかといった点を事業運営側が明確に把握することで、その商品やサービスの有効な売り方を確立することが可能となります。



日常的に大量に消耗する商品であれば、単価を低くするだけで需要を満たせる場合もありますが、新たな事業モデルを確立するのであれば、やはり新たな需要を生むものを考えるべきでしょう。



3.How:提供のプロセス



ITの普及で一番構造が変化したのがこの部分でしょう。
これまでのビジネスモデルより大きく変わったのが提供に至る過程で、インターネットによる集客法だけでなく商品そのものの提供方法、付加価値のつけ方など、新しいアイディアが次々に生まれています。



ただし、事業モデルを実際に立ち上げるときに重要なのは、より具体性のあるプロセスであることです。
単にインターネット上で集客・販売し、商品やサービスを提供するといった概念だけでは、モデルの構築はできません。



また、自社従業員の業務オペレーションに負荷がかかったり、効率性が下がるようなビジネス設計ではそもそも破綻しているといえます。



人材教育を行ううえでも、無駄・無理のない効率的なモデルを構築することが重要になってきます。



4.Why:収益を得る構造



事業として立ち上げる以上、継続して収益を上げ続けるための仕組みが必要です。



顧客やユーザーに幸せになってもらいたいと考えるのは重要なコンセプトですが、どんなに良い商品やサービスを提供できたとしても、そこに自社を運営できるだけの利益がなければ破綻するのは当然です。



いかに収益性が高く、かつ顧客やユーザーが満足できる仕組みを構築するかが肝であり、事業モデルを考える上で最も難しい部分でもあります。パートナー企業や外部コンサル会社、研究機関などと共同で新しいモデルを作り上げるなど、視野を広げることも重要になってきます。



また、自社がそこに乗り出す意味を考えれば、どこに強みがあり、どうすればそれを活かせるのかを熟考する必要があるでしょう。





押さえておきたいビジネスモデルパターン5選



事業モデルは、正確に言えば企業の数だけあり、様々なパターンがあります。
まずは大枠を押さえるために、汎用性の高い主なテンプレート5選を紹介します。



物販



物販に関しては古今東西、ビジネスモデルの基本中の基本ですので、これは言わずもがなでしょう。
個人でも企業でも、商品やサービスを企画・開発・製造し、顧客に販売して対価を得るのがこのモデルです。
飲食店もこのモデルに含まれ、成功させるためには、他社に抜きん出る優位性があることが重要な条件となります。



小売



小売と物販とを混同するケースも見受けられますが、小売は商品を企画開発することはせず、仕入れて売ることを事業モデルの根幹としています。有名な大手百貨店も、その肩書きは「大規模小売店舗」です。



また、ITの普及により台頭した多くのインターネット通販サイトもこのモデルに当たります。



なんらかの商品を仕入れて売る以上、競合他店と同じ商品を売ることになるのが小売の一番の特徴です。



そのため、顧客を自分の店舗に引き寄せる工夫として、ポイント制度の導入や、割引や特典などのインセンティブ付与を行い、顧客を囲い込む戦略が必要となります。



近年ではオリジナル商品の企画や開発などにも手を広げる店舗が増えたため、モデルも多様化してはいますが、基本的には百貨店もコンビニエンスストアも小売です。



小売企業が自社製品の製造を行う場合はSPA=製造小売業(speciality store retailer of private label apparel)といい、製造業と小売業の両方を兼ねるビジネスモデルになります。



SPAの事例としてはファーストリテイリング(ユニクロなど)、無印良品、ZARAなどが挙げられます。



広告



商品やサービスそのものを売るわけではなく、媒体に広告を掲載させることで広告料を得るのが広告モデルです。
宣伝を打ちたい企業に広告の場を提供する事業モデルですので、その場の価値をいかに高めるかが重要なポイントとなります。
どこに価値を見いだすかは全てケースバイケースで、これこそITの普及で大幅にパターンが変わった事業モデルの典型例でしょう。



例えばインターネット上で一見利用人数が少なく見えても、ターゲティングが的確であれば実売やメッセージ伝達に大きな影響を与え、広告主にとっては絶大なメリットになります。



ライセンス



ライセンスモデルは、開発済みのものやサービスを再利用する権利を売買する独特なモデルです。



典型的な事例はキャラクター商売や漫画や小説の映画化などのメディアミックスです。価値あるコンテンツを所有している場合は他企業とライセンス契約を結ぶことで、ビジネスを拡大することができます。



基本的に、一般顧客やユーザーに対してダイレクトにビジネスを行うことはありませんが、自社だけでは展開しにくい分野にも認知を広げることが可能です。ブランド認知向上にも有効的なビジネスモデルです。



継続課金



前述のライセンスと近しい部分がありますが、こちらは一般顧客やユーザーと直接取引を行うモデルです。
商品やサービスを契約期間中使い続けてもらうことで長期的に安定した売上を得ることができます。
インターネット通販サイトなどでも、近年では特定の商品を定期的に届けることで大幅割引を実施するパターンなどが増えています。



先の売上が読めるぶん、長期的な仕組み作りやコンテンツ作りが可能となり、事業が安定するのがメリットです。
重要なのは、商品やサービスの質を高めることはもちろん、顧客が支払いやすい金額設定にすることです。
定期的に特典を付与するなど、解約を防止する工夫も必要でしょう。



モデル自体は特許の要件に当てはまらない



継続的に利益を上げることのできる新しいビジネスモデルを構築した場合、経営者は何とかしてそれを独占したいと考えるはずです。
そこで、特許の取得を考えるかもしれません。



特許は、要件を満たした発明を一定期間保護し、他者がその発明を侵害した場合は法的措置を取ることのできる制度です。
現在でもビジネスのモデル自体に特許が認められていると誤認している人が多いですが、ビジネスモデル自体は特許にはなりません。これは特許庁のサイトでも以下のように明言されていますので、しっかり認識しておきましょう。



特許庁「ビジネス方法の特許について」のページには、以下のように掲載されています。



特許制度は技術の保護を通じて産業の発達に寄与することを目的としています。したがって、販売管理や、生産管理に関する画期的なアイデアを思いついたとしても、アイデアそのものは特許の保護対象になりません。

引用: 特許庁



技術の特許取得することで間接的にビジネスモデルの保護を



ではビジネス方法絡みで特許は一切取れないのかと言うと、そうでもありません。
そもそも特許とは発明を一定期間保護する制度であり、そこに技術的な進歩が期待できる発明の要素がなければ成り立ちません。
資本主義社会である限り自由競争が原則ですが、特許制度は一定期間発明の独占を認めることで、技術の進歩と産業の発達を促進するという目的の政策です。



つまり、自由競争の根幹であるビジネスの方法そのものの独占を認めてしまうと、本来の特許制度とは相容れません。
ただし、近年台頭しているITを利用したビジネスにおいては、間接的にビジネスの手法を独占できる可能性はあります。
特許庁の見解を読み解く限り、ITを利用するビジネスモデルにおいて、それを支える技術的な仕組みが特許の要件を満たせば、間接的にその技術に頼るビジネス手法も独占できることになるでしょう。





ビジネスモデルの手法を含む特許が認められた事例



前述のように間接的な手法で、ITビジネスで間接的に特許を取得した例として、少し古いですが「逆オークション特許」「マピオン特許」という有名な事例を紹介します。



逆オークション特許



逆オークション特許はpriceline(プライスライン)という会社が取得しています。



例えば、ユーザーが指定した金額で航空券を買いたいとpricelineに申し込むと、pricelineは航空券販売業者に打診し、条件に合うところからユーザーのクレジットカードで航空券を買い、結果を送信します。
買い手と売り手の間で条件付購入申し込みをコンピュータへ入力する仕組みや、条件に関連付けられたクレジットカード口座を特定するID技術、複数の売り手に申し込み、結果をふるいにかける技術などが2000年頃にアメリカで、2011年には日本で特許として認められました。



マピオン特許



マピオン特許はマップ検索のマピオン(取得当時は凸版印刷株式会社)が1995年に出願し、取得したもので、広告を出したい企業がサービス提供場所を地図で特定して広告を入力すると、消費者の選択に応じてリンクされた広告が表示される仕組みです。
地図情報から地図を表示し、その地図上で広告対象物の位置を指定、座標と入力された広告情報とを関連付けて記憶する技術などが特許として認められました。



これらを見てもわかるように、特許を取るために必要なのは情報処理部分に特許性を持つことで、ビジネス面というよりソフトウエア特許の範ちゅうだと考えるのが妥当でしょう。
発明かどうかの判断は、ソフトウエア発明においてはソフトウエアがハードウエア上でどのように動作するか、具体的に示されていることと、目的を達成する特有の情報処理装置、情報処理方法が確立されていることが重要です。



ビジネスモデルの教科書から学ぶのも有効な手段



フレームワークを学ぶなら今枝昌宏氏の「ビジネスモデルの教科書」がおすすめ



引用:東洋経済ONLINE STORE
https://store.toyokeizai.net/books/9784492533437/


ビジネスパーソンが求める知識やノウハウが詰まった様々な書籍が発売されていますが、フレームワークを徹底的に勉強したいなら、そうした書籍は必読でしょう。
今枝昌宏氏の「ビジネスモデルの教科書」では、これからモデルを構築していきたい人が根本的な仕組みをパターンから知るのに絶好の一冊です。



「ビジネスモデルの教科書【上級編】」には実例や図解も豊富



引用:東洋経済ONLINE STORE
https://store.toyokeizai.net/books/9784492533840/


この書籍には上級編もあり、直観的に理解しやすい図解とともに100社を超える実例が網羅されています。
一から始めるなら入門編、すでに自社の戦略策定に取り組んでいるなら上級編がおすすめで、応用度の高いパターンを増やすことができるのが魅力でしょう。



これからのITを見据えて、IoTやビッグデータの活用ヒントも得ることができます。



「ビジネスモデル全史」は漫画だからスラスラ学べる



引用:Discover 21
https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799315637


三谷宏治氏の「ビジネスモデル全史(ディスカヴァー・レボリューションズ)」は、14世紀のイタリア・メディチ家から始まり、1990年まで、2001年まで、2014年までの3期に分けて70ものモデルがまとめられているキュレーション書籍です。
こうした書籍では、一般的には有名なブランドや企業であっても表面的にしか理解できていないビジネスの根幹を、知ることができるのが魅力でしょう。



あまり経済や経営に詳しくない読者でも理解できるように丁寧に漫画で解説されているため、これから思索を始める若い世代にも有効な内容になっています。



あの会社のビジネスモデルがわかる!「ビジネスモデル2.0図鑑」



引用:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/321801000685/


近藤哲朗氏の「ビジネスモデル2.0図鑑」は、100に及ぶ会社のビジネスモデル事例を図解した書籍です。
AmazonGo(米国)や芝麻信用(中国)などの海外事例をはじめ、タイムバンクやZOZOSUITなどの今注目を集めるサービスの事例なども紹介しています。



学びやすい教科書の選択と最終的な実践が重要



書籍から学ぶポイントは、ヒントになる根本的な考え方を身につけることを目的とすること、作り方を理解したところで実際にプランニングをしてみること、最終的には実践することです。



とは言っても難解な内容から始めるのではなく、漫画や要約から入り、徐々に上級編へシフトするのがおすすめです。
合わせてセミナーやワークショップへの参加も検討してみても良いでしょう。



また、メンバーの教育も兼ねてチームや企業全体で取り組んでみることも有効です。ビジネスがどのように成り立ち、利益を上げていくのかという視点で考えることで、経営者の考え方も身につきます。



こうした実践的な教育によって将来的にリーダーシップを取れる人材に成長していく可能性もあります。



自社のビジネスモデルの理解を深め、新しい企業価値の創出にもつながるでしょう。





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