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小売店舗にレジが必要無くなる日がやって来る!?

「店舗での究極の会計システムというのは、買い物客は欲しい商品を手に取ってそのまま店を出ることができるため、

あたかも商品を盗んでいるかのような感覚になるようなものなのです」とMcKinsey Global Instituteのマイケル・チュイ氏は話します。

具体的には、店内に張り巡らされた特殊センサーのネットワークが消費者の持つスマートフォンや携帯デバイスと連動して機能するというシステムで、これによって小売店舗における会計手段の革命的変化が可能となるのです。

またセンサーは商品側にも取り付けられることになりますが、こちらは低コストで導入することが可能です。さらにお店側にはあらかじめ消費者が登録した支払い方法に関するデータが管理されており、お店を出る際に自動的に決済を完了させることができるため従来のようにレジに並んで支払いを済ませる必要が完全に無くなるのです。

レストラン業界では他業種に先駆けてすでに多くの店舗でこのような会計サービスを導入実施しており、数年前の段階からiPadやタブレット端末を使ってオーダーを通したり、会計を済ませることができるシステムが採用されています。

このような変化の波がますます広がるにつれ、ウェイター・ウェイトレスの雇用形態にも大きな影響を及ぼすことが予想されますが、小売業界誌Storesに寄稿するM.V. Greene氏はこのような流れが小売業界にも浸透しつつあると指摘します。

(引用元:waiter / zoetnet

「俗にいう“モノのインターネット”においては実在する世界のモノとバーチャルネットワークの世界が融合されることになり、その結果が小売業界に与える影響は無視できません。というのも、オンラインショッピングの登場、いや、ひいてはクレジットカードの普及まで遡ってもこれほどまでに業界に大きな変革をもたらす可能性の存在というのは今までに無かったのです(M.V. Greene氏の文章より抜粋)」

通常「革命的」変化というと、一般人は直接その開発プロセス自体に関わることはないものです。(例:ラジオ、原爆、インターネットなど)しかし、小売業界の歴史をみると変化というのは日々の暮らしの中の身近なところでゆっくりと起こっているものですから、今回のケースも特別驚きをもって迎えられることはないものと思われます。

20世紀において小売業界の会計システムに起きた大きな変化を考えるとき、買い物客側がより多く「動く」ようになったということが挙げられます。食料品・日用雑貨店を例に見てみると、元来はお店のスタッフがカウンター越しに陳列された商品の中から買い物客の購入したい物を取って袋に入れ会計まで担当するというのが一般でしたが、このスタイルが次第にスーパーマーケット式へと変わっていく中で、買い物客自身が購入したい商品を選定し商品棚から取り、自らレジに持って行って会計を済ませるという「効率優先主義」のスタイルが一般的となってきたのです。

このように効率性を追求するスタイルは最近特に進歩が目覚ましく、例えば大手日用雑貨店チェーンなどでは「特殊機能」の付いた買い物カートが採用され、買い物客が入れた商品をカウントしたり買い物客の店内における動きを追跡記録する一方で、おすすめ商品のディスプレイ表示をしたりとむしろ買い物客を上手に利用するために最新テクノロジーが活用されており、日用雑貨や薬局などの店舗では「セルフ会計専用キオスク」が設置されているケースも多くみられます。

またAppleの店舗では、購入したい商品を手に取った後にあらかじめスマートフォンにダウンロードした会計アプリを使うことで、店員と全く対話することなくそのまま会計を済ませるシステムがすでに数年前から実施されています。

このように小売業界ではすでに自動会計システムへの動きが始まっているため、最初に述べた最新の会計システムの登場もある程度予想されてはいましたが、ここにきてこれが小売業界における雇用状況に及ぼす影響が多大なものになる可能性が取り沙汰されています。経済ニュースのThe Economistが発表したデータによると、小売販売店員はこの先20年間でデジタル・コンピュータテクロノジーに取って代わられる可能性が最も高い職種と考えられているのです。

これに反し、アメリカ労働統計局は小売販売店員の求人数は現状を維持しつつ、むしろこの先10年間で約10%の伸びをみせることになるであろうという見解を示しています。実際にどちらが正しいかに関しては議論が分かれるところですが、私個人的には「テクノロジーが人間のスタッフに取って代わることが多くなってくる」とするThe Economistの見解を支持します。

こういった雇用問題への影響に加えて、小売業界がデジタルによる全自動化へと進むうえで個人情報の管理といった面でも不安要素が指摘されています。前出のM.V. Greene氏は「企業ならびに販売店にとって、個人情報がネット上で簡単にやりとりすることができる現状においては、情報管理面で消費者の信頼を得るということが最大の課題となってきます」と話します。また、同氏はOracle Retailのテクノロジー戦略部門シニアディレクターであるデイビッド・ドーフ氏の「小売業者が消費者の個人情報を取り扱う際には、ある種の不信感というものはいつもついて回るものである」という言葉も取り上げて紹介しています。

さらにドーフ氏は、こういった新しいテクノロジーを利用する際には「ストーカー的」ではなく「秘書的」な機能を果たすことができるように気をつけるように勧めています。つまり、ストーカー的というのはできるだけ多くの情報を搾り取ろうとする形になってしまい、どちらかというと“しつこさ”が際立ってしまうので、むしろ表だって存在感は出さないものの、必要な時に必要な情報を提示してくれて実際に大きな助けとなってくれる秘書的なアプローチが理想であるというのです。

また同氏は「小売業者がこのような秘書的アプローチを徹底することができれば、インターネット関連テクノロジーを利用してさらに奥深くかつ身近なカスタマーサービスを提供することが可能となり、顧客獲得にも好影響を及ぼすことになるはずです」と予測します。

ちなみにインターネットを活用して秘書的機能を提供した好例としては、検索サイトの先駆けともいえるAsk.com が挙げられますが、数年先には小売店舗においてもこれと似たスタイルのインターネット活用型サービスが展開されることになるかも知れません。

この記事はThe Future Of Retail Will Feel Like Stealingを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。

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