越境ECに欠かせないEMS、料金・手順・追跡方法を解説
「国内向けだったECサイトを、海外にも展開していきたい」
そのように考えているECサイト運営者に向けた記事です。
少し前から中国人観光客の爆買いで注目を集めている「インバウンド需要」。しかし、それよりもさらに大きな市場となってきたのが「越境EC」です。
越境ECとは、国境をまたいだ、オンライン上での商取引のことを指します。
1、観光客として日本で旅行する2、日本の製品に興味を持つ
3、帰国した後に、その製品をリピートしたくなる
このような流れで、越境ECを利用する外国人観光客が増加しているのです。
ネットショップとしても売上を上げるためには、ぜひ取りこんでいきたい流れですよね。
ただ、越境ECの取引で問題となるのが、商品の海外への配送方法。
どんなポイントがあるのかどんな配送業者を選ぶべきか
気にするべきポイントがいくつかあります。そこでこの記事では、EMSを中心に各種国際発送サービスを比較しながら、そのポイントを一通りご紹介いたします。
とっつきにくいと思われがちですが、強く気にするべきポイントは意外と限られているので、
「まだ越境ECなんて先かも」と思っている方も、まずはご一読ください!
■関連記事:越境ECで変わる買い物の未来越境ECに役立つ!EMSとはなにか
EMSとは、日本郵便が運営する国際郵便サービスのことです。”Express Mail Service”の略で、日本語では「国際スピード郵便」と訳すことができます。
EMSには、
1、世界120カ国を超える国や地域に配送できる2、他サービスと比べて、配送スピードが最速
3、料金基準は荷物の重量だけ(距離は基準に含まれない)
という特徴があります。
魅力はなんといっても「最速の配送スピード」。商品到着までの時間を重視するECサイトには、EMSが最適だと言えるでしょう。
国際配送サービス4社の違いは?
日本における、国際配送サービスで活躍している4社を比較してみました。
日本郵便の「EMS」、ヤマト運輸の「国際宅配便」、佐川急便の「飛脚国際宅配便」、フロムアイコーポレーションの「First 1Mile便(ファーストワンマイル便)」をそれぞれまとめると、
【1.日本郵便「EMS」】
世界120カ国を超える国や地域に配送できる他サービスと比べて、配送スピードが最速
料金基準は荷物の重量だけ(距離は基準に含まれない)
【2.ヤマト運輸「国際宅急便」】
宅急便の6サイズ、書類専用のサイズのみの明瞭な料金体系200を超える国・地域に対応
アジア圏なら、書類が950円で送ることができる
【3.佐川急便「飛脚国際宅急便」】
世界220以上の国・地域に配達現地の佐川スタッフが荷物を玄関まで運んでくれる
0.5kg刻みの料金体系で、気軽に利用できる
【4.First 1Mile便】
EMSの定価よりも20~25%安いEMSとほぼ同じスピードで配送できる
集荷可能エリアが限られている
となります。
EMSについて、特筆すべきはその配送スピード。上海・香港・台北・ソウルは翌日配達という速さです。
税関への事前申告・許可が必要ないので、関税の事業者負担を軽減できることも、EMSのメリットですね。
値段を重視するのであれば、4つ目に紹介した「First 1Mile便」がオススメです。
ただし、集荷可能エリアが東京都・埼玉県・神奈川県に限られています。そのため、全てのかたに勧められるわけではありません。
集荷エリアの広さ・サービスの信頼性で選ぶならEMS、値段で選ぶならFirst 1Mile便でしょう。
EMSと国際eパケットライトとの違いは?
日本郵便はEMSだけでなく、越境EC事業者向けに2016年から「国際eパケットライト」というサービスを始めています。
長さ+幅+厚さ=90cm以内。長さは最大60cmまで、重さは2kgまで。追跡サービスつきで、配達は2週間ほどで完了
補償は無し
という特徴があり、小型の荷物であればEMSを使うよりも安価です。
なので、
スピード・安心感のある配送がよい→EMS小型の荷物を安く送りたい→国際eパケットライト
という違いを把握して、サービスを使い分けるとよさそうです。
越境ECの前に知っておきたい!EMS書類の書き方
EMSの特徴を学んだところで、実際に書類を書く方法について知っていきましょう。
EMSを使って、荷物を海外に送るためには、
1、発送用ラベル2、インボイス
の2つが必要です。きっちり書くことで、結果として素早く・スムーズに検査を通過できます。
発送用ラベル
発送用ラベルでは、荷物の「内容品」を記入します。
個数重量
価格
など、内容物の状態をわかりやすく記入します。曖昧な表記だと、税関で開封検査をされることがあるので、できるだけ詳細に書いておきましょう!
また面倒かもしれませんが、品物の名前を英語・フランス語、または宛先の国で使われている言葉で記入して、トラブルの可能性を減らすことができます。
インボイス
インボイスは、品物の配送時における、税関での申告・検査に必要な書類です。
自国での輸出通関だけでなく、相手国での輸入通関にも必要なので、発送用ラベルと同じく正確に記入しましょう。
書類の種類・枚数などについては、国によって異なる場合があるので、事前に必要な枚数をチェックする必要があります。
インボイスのフォーマットは、日本郵便のEMSインボイスページからダウンロードできます。
■関連記事:インボイスはなぜ必要?初心者にもわかりやすいインボイスの解説気になるEMSの料金は?
EMSの利用料金は、
品物の重量届ける地域
によって異なります。
例えば、台湾に1kgの書類を送るなら2,100円、これがイギリスやドイツになると3,200円となります。
料金計算は、日本郵便のEMS料金表ページから確認できます。
また、国や地域によって、サイズ・重量が制限されていることもあるので、日本郵便のEMSサイズ制限一覧表よりチェックしましょう。
越境ECで使えるEMSにおける、集荷の2パターン
EMSを使って荷物を送りたいとき、集荷を申し込むことができます。郵便局に直接持ち込む方法もありますが、重い・かさばる荷物は集荷してもらったほうがよいでしょう。
EMSの集荷には、2つのパターンがあります。それが、
1、電話で集荷を申し込む方法2、インターネットで集荷を申し込む方法
の2つです。まずは、電話で集荷を申し込む方法を紹介していきます。
1.電話で集荷を申し込む方法
郵便局の集荷専用電話番号「0800-0800-111」にかけることで、固定電話・スマートフォンのどちらからでも集荷依頼が可能です。
集荷専用の電話番号へかけたあとは、
1、7ケタの郵便番号を入力2、担当郵便局につなげてもらう
3、荷物の集荷を依頼
という流れになります。通話料金は無料なので、ゆっくり正確に依頼しましょう。
次に、インターネットで集荷してもらう方法を説明します。
2.インターネットで集荷を申し込む方法
「電話で集荷依頼をしたいけど、上手くつながらない!」というときは、インターネットで集荷を頼みましょう。
24時間いつでも、どこからでも、集荷を依頼できるので、忙しいときにもピッタリです。
インターネットでの集荷申し込みは、日本郵便のWeb集荷サービスのお申込みページより行います。
また、住んでいる場所によっては、インターネットからの集荷依頼ができないこともあるので、注意してください。
集荷依頼ができる時間
集荷の受付時間、指定できる集荷の時間帯は、以下の通りです。
【受付時間:7時まで】 指定可能な集荷時間:当日の8~13時、13~19時
【受付時間:7~12時】 指定可能な集荷時間:当日の13~19時、翌日の8~13時、13~19時
EMSの集荷は土日でも祝日でも受け付けています。
詳しい集荷時間は担当の郵便局によって異なるので、直接問い合わせてみてください。
EMSが届かない!そんなときの追跡方法とは
「EMSで配送したのに、一向に届かない…」
そんなときに利用したいのが、EMSの追跡サービスです。海外に送った荷物でも、このサービスでちゃんと追跡してくれます。
「個別番号検索」に追跡番号を入力するだけで、荷物が到着したかどうか、どこかに保管されているのかを確認することが可能です。
なお、荷物の追跡情報が反映されるには、多少の時間がかかります。反映が遅いこともありますが、焦らずに待ちましょう。
EMSで越境ECをはじめよう
EMSについて、基本的な概要を大まかに紹介しました。
1、世界120カ国を超える国や地域に配送できる2、他サービスと比べて、配送スピードが最速
3、料金基準は荷物の重量だけ(距離は基準に含まれない)
というのが、EMSの特徴でしたよね。
1、発送用ラベル2、インボイス
の2つを用意すれば、EMSで海外へ荷物を送ることができます。
その料金は
品物の重量届ける地域
に左右され、加えてサイズ制限にも注意が必要です。
また荷物の集荷は、
1、電話2、インターネット
の2パターンがあることも説明しました。
EMSによって、とくにアジア圏とのやりとりは、どんどん速さを増しています。
配送サービスの高度化は、越境ECの伸びを加速させるはずです。
ECサイトの海外展開も、EMSを利用すれば実現できます。
EMSをはじめとした海外への発送方法を学んで、今よりもさらに売上を伸ばしていきましょう!
この記事を書いた人
佐々木 ゴウ
大手Sierや、ECコンサルティング会社での経験を活かし、ファッションや食品などの各種商品ジャンルから、バックオフィス、ITインフラ系まで幅広く執筆が可能。webライティングの講師や、メディアコンサルティング、採用系メディアの編集長なども請け負っている。趣味は盆栽。
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