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ファッションサブスクリプションでどのように収益化を達成したか~「メチャカリ」成功の裏側~

earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)、Koeなどのアパレルブランドを多く展開するストライプインターナショナルでは、ファッションサブスクリプションサービスの「メチャカリ」を提供しています。

2015年9月にリリースされた「メチャカリ」は2018年に単月黒字化を達成し、その後も有料会員数を順調に伸ばしています。

7月2日に行われたメディアラウンドテーブルにて、株式会社ストライプインターナショナルのメチャカリ事業部長 澤田昌紀氏が「サブスクリプションモデル メチャカリ成功の裏側」について講演を行いました。
本記事では講演の模様をレポートいたします。

【目次】

サブスクリプションの定義

ストライプインターナショナル株式会社 
メチャカリ事業部 澤田昌紀氏


「サブスクリプション」と聞いて、皆さんはどんなサービスを思い浮かべるでしょうか。
動画配信サービスや音楽配信サービスは既に生活の一部となっている方も多いでしょう。

動画、音楽、電子書籍やオンラインゲームといったデジタル情報の他、化粧品や雑貨、バッグ、アパレルなどの「物品」を月額で利用できるサブスクリプションサービスも増えてきました。

サブスクリプションサービスとは、継続利用を前提とした、会員制・定額制で定期的に利用料を徴収する販売方式のサービスとのことです。

サブスクリプションサービス市場は2018年で5627億円規模になっており、2020年度は7000億円超まで拡大すると予測されています。

画像出典:2018年度のサブスクリプション(定額)サービス国内市場規模は5,627 億3,600 万円(8市場計)


参考:株式会社矢野経済研究所 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2114

ファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」の概要

メチャカリ開発の背景

メチャカリは2015年9月にスタートしたファッションサブスクリプションサービスです。

2014年ころ、UberやAirbnbなどのシェアリングエコノミーの進出が始まり、政府方針でも推進していこうという動きが強まりました。

「所有から共有へ」と世の中の価値観が変化するなか、ストライプインターナショナルはITを活用したテクノロジーカンパニーとして、現代の消費者ニーズに即したアパレル流通構造改革を行うべきではないかということで、リリースしたのが「メチャカリ」です。

https://mechakari.com/


製造小売業だからこそできる「新品レンタル」

5800円(税別)の月額定額制で洋服が借りられ、クリーニング不要でそのまま返却ができます。
レンタルというと「中古品を使いまわす」イメージもあると思いますが、メチャカリでは、「新品が借りられる」ことが大きな特徴になっています。

気に入ったら割引価格で購入ができますし、返却されたアイテムはストライプインターナショナルのECサイトで「ユーズド品」として流通させるという、独自で構築したビジネスモデルとなっています。

自社ECと在庫を共通化、一元化できているため、在庫リスクを持たずに安価に商品を貸し出せます。こうしたコストを抑えられるのは、当社が製造小売業であることの強みです。

これも当社の独自開発ですが、新品とユーズド品を併売するため、商品登録の手順も簡素化が可能です。
こうしたことも収益化のポイントになっていると思います。

https://stripe-club.com/ap/item/i/A1CC000054SP?used


サブスクリプションモデルでどのように収益化を達成したか

そもそもファッションサブスクリプションは認知度が低いという現状があります。
そこでデビュー前の「欅坂48」を起用し、「メチャカリ」のブランド認知を行いました。その結果、「メチャカリ」のアプリDL数は100万超、13000人の有料会員を獲得しています。
会員のうち、20代~30代のF1層の女性が7割で、働く女性や子育て中のママさんなどに使っていたただいています。

実際にサービスを運営していくうちに、私たちがサービスを提供するうえで立てていた仮説とは少し違っていたのは「これまであまり店舗にきたことのない、ファッションに対して消極的な層」がメチャカリユーザーの中に多くいたことです。

店舗にも良く来店する既存客は3割で、残り7割は新規顧客ということになります。店舗もメチャカリも両方利用する人もいますが、あまりカニバリズムは起きずに新規市場を創出できたという認識です。

また、気に入ったら購入できるためにユーザーの中には一定数「試着サービス」という使い方をしている人もいます。
こうした新しい価値観が、売上伸長に貢献していけるのではないかと考えています。

車や家はレンタルするという選択肢もあるのに、なぜか「服は買うものである」という意識が根強くあり、他の選択肢はなかなか生まれませんでした。
ファッションサブスクリプションというサービスを通じて、「無駄な消費をしない」というサステナブルな価値観も生み出せたと思います。

今後の展望

2018年10月にチームラボと開発した「パーソナライズスタイリングAIチャットボット」や、2019年6月に発表したばかりですが「ヤマト運輸と配送連携」といった施策によって、より「簡単に借りられ、簡単に返せる」サービスになってきました。

2019年度は会員数を2万人に、さらに将来的には20万人の有料会員登録を目指しています。
新しい習慣を作り、100人に1人はメチャカリを使っている、そんな未来になるようにサービス開発を進めていきます。

さいごに

ファッションサブスクリプションとしてはairClosetやEDIST.CLOSETなど、競合サービスもいくつかあるなか、「黒字化している」とうたっているサービスは珍しいといえます。
また、新品レンタルやユーズド品流通の仕組みなど、製造小売業だからこそ可能なビジネスモデルとなっている点も黒字化に貢献しているポイントでしょう。

アパレル業界はテクノロジーへの取り組みも積極的であり、創造的破壊が進んでいる業界といえます。
企業だけでなく、ユーザー側も含めた新しい価値創造が、ディスラプションを促進する役割も持っているのではないでしょうか。