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マルチテナントでECサイト構築。概要やメリット・デメリットを解説

「マルチテナントって最近よく聞くけど、何なのかはよくわかってない…」

と思っている方。

この記事では
  • そもそもマルチテナントとは
  • マルチテナントとシングルテナントの違い
  • マルチテナントでECサイトを構築するメリット・デメリット
  • マルチテナント型クラウドサービスの例
を、お伝えします。

マルチテナントというと難しく感じるかもしれませんが、最初のハードルはそこまで高くありません。

まずはこの記事でマルチテナントについて大まかな概要をつかんでいきましょう!

マルチテナントとは「雑居ビル」のようなもの

マルチテナントは、直訳で「複数の借り手」を意味します。例えば、企業やカフェ、アパレル店などが入っている雑居ビルのようなイメージです。
複数のユーザー企業を同じシステム内に入れることで
  • データベース
  • ソフトウェア
  • サーバー
などを共有します。

「マルチテナント」は、SaaSタイプのサービスで使われることが多いです。
まずマルチテナントにするためには、仮想化ハイパーバイザーと呼ばれるプログラムを使い、サーバーを仮想的に分割します。そしてユーザーごとに仮想サーバーを動かす方法が一般的です。

また、当たり前ですが、ユーザーのデータは漏れたり混ざったりすることがないように、強いセキュリティで守られなければなりません。


次は、マルチテナントとシングルテナントの違いを紹介していきます。

シングルテナントとの違いは「自由度・コスト・安全性」

シングルテナントとは、ビルで例えると「自社ビル」。簡単に言えば、クラウドで
  • データベース
  • ソフトウェア
などの環境を1社で使うサービスです。サーバーなどのハードウェアは共有にして、仮想マシンを別々に設定する形のシングルテナントもあります。

先ほど、マルチテナントの考え方はSaaSタイプのサービスで使われると説明しました。対してシングルテナントはPaaSタイプのサービスで使われることが多いです。
SaaSやPaaSについて、より詳しく知りたい方は「知っておいて損はない!SaaSの基礎と考え方」をご一読ください!


マルチテナントとシングルテナントの大きな違いを説明すると
【マルチテナント】
  1. 他ユーザーと同居しているため、カスタマイズなどの自由度が低い
  2. 知らないユーザーも同居しているため、安全性がシングルテナントに比べると低い
  3. 価格が安く、手軽に使える
【シングルテナント】
  1. 自社のみの利用なので、自由にカスタマイズができる
  2. 安全性を保ちやすく、セキュリティに強い
  3. 価格は高い
です。まとめると、マルチテナントとシングルテナントの違いは「自由度・コスト・安全性」と言えます。
以下で詳しく説明しますね。

マルチテナントのメリット

ここからはマルチテナントの長所を
  1. 安く、スピーディにECサイトを構築できる
  2. バージョンアップ・システム運用をしなくてよい
  3. 必要なときに、必要なだけ利用できる
の順でお伝えします。

1. 安く、スピーディにECサイトを構築できる

先ほど、マルチテナントは「雑居ビル」と表現したように、複数のユーザーで一つのシステム・リソースを共有するのが特徴です。

そのため、すでにある程度できている環境でECサイトをすばやく構築できます。なおかつ、コストを安くおさえることができるのもメリットです。

2. バージョンアップ・システム運用をしなくてよい

マルチテナントでは自社サーバーの必要がないので、バージョンアップやシステム運用をクラウド提供元に任せることができます。

そのため、ECサイト運営にしっかりと集中して取り組むことが可能です。

3. 必要なときに、必要なだけ利用できる

マルチテナントのクラウドであれば、ECサイトのセール時などシステムに負荷がかかるときでも柔軟に対応できます。

セール、テレビ紹介など、急なアクセス上昇が起こることもあるECサイトにおいて、この特徴は心強いですね。

まとめると、
  1. 安く、スピーディにECサイトを構築できる
  2. バージョンアップ・システム運用をしなくてよい
  3. 必要なときに、必要なだけ利用できる
の3つがマルチテナントのメリットでした。次はデメリットをチェックしていきましょう。

マルチテナントのデメリット

マルチテナントのデメリットは
  1. 機能・デザインをカスタマイズする自由度が低い
  2. セキュリティが不十分なこともある
の2つが考えられます。順番に詳しくご説明しますね。

1. 機能・デザインをカスタマイズする自由度が低め

マルチテナントはある程度の「型」が先にあるため、構築スピードが早く、かつコストも安く済みます。

逆に言えば、すでにフォーマットが決まっているため、機能・デザインの自由度は低めです。さらに、CRMなどのシステムと連携できないこともあります。
DB設計などから進めたい方は、いちどきちんと確認したほうがよいでしょう。

2. セキュリティが不十分なこともある

マルチテナントは複数のユーザーが同じサーバーに入るため、
  • データが漏れる
  • データが他ユーザーのものと混ざる
という可能性があります。そのため、ユーザーごとにデータベースを分離しているサービスを選ぶのがよいでしょう。

続いてマルチテナント型のクラウドサービスをチェックしていきます。

マルチテナント型クラウドサービスの例3つ

ここからは
  1. Oracle WebLogic Server 12c R2
  2. AWS
  3. Azure
の順に、マルチテナントのクラウドサービスを3つ紹介します。

Oracle WebLogic Server 12c R2

Oracle社が提供する「WebLogic Server 12c」では、R2シリーズでからマルチテナント機能「Oracle Multitenant」が導入されました。
コンテナデータベース(CDB)の中に、「販売管理」「顧客管理」のような個別のプラガブルデータベース(PDB)を入れることで構成されます。

Oracle社のPDFによれば、ライセンス価格は42,000円からです。

見積もりはOracle製品のライセンス販売ページよりご確認ください。

Application Server – Oracle WebLogic Server
https://www.oracle.com/jp/middleware/weblogic/index.html


AWS

Amazonのクラウドサービス「AWS」でもマルチテナントを利用できます。

AWSはスピーディな通信で、料金プランも柔軟です。またAWSではセキュリティを最優先に考えられているので、コストは抑えつつ安全にECサイトを運営できます。

AWS
https://aws.amazon.com/jp/


Azure

Microsoft社が提供する「Azure」も、マルチテナント環境を構築できるクラウドサーバーの一つです。

MSDN(Microsoft Developer Network)と呼ばれる開発者ページがあり、マルチテナント環境をつくるときなどに役立ちます。

Microsoft Azure Cloud Computing Platform & Services
https://azure.microsoft.com/ja-jp/


ここでは、
  1. Oracle WebLogic Server 12c R2
  2. AWS
  3. Azure
の3つを紹介しました。

この他にも、「マルチテナント」という言葉を世の中に定着させたsalesforce社など、マルチテナントを提供している企業は多数あります。

マルチテナントを活用して手軽にECサイト構築!

マルチテナントの大まかな概要を紹介しました。

おさらいすると、マルチテナントとは複数のユーザー企業を同じシステム内に入れることで
  • データベース
  • ソフトウェア
  • サーバー
などを共有する方式でした。

マルチテナントのメリットは
  1. 安く、スピーディにECサイトを構築できる
  2. バージョンアップ・システム運用をしなくてよい
  3. 必要なときに、必要なだけ利用できる
の3つで、デメリットは
  1. 機能・デザインをカスタマイズする自由度が低い
  2. セキュリティが不十分なこともある
の2つでしたね。

また、シングルテナントとの違いは

【マルチテナント】
  1. 他ユーザーと同居しているため、カスタマイズなどの自由度が低い
  2. 知らないユーザーも同居しているため、安全性がシングルテナントに比べると低い
  3. 価格が安く、手軽に使える
【シングルテナント】
  1. 自社のみの利用なので、自由にカスタマイズができる
  2. 安全性を保ちやすく、セキュリティに強い
  3. 価格は高い
で、「自由度・コスト・安全性」という3つがポイントです。

そして最後に、マルチテナントのサービスとして
  1. Oracle WebLogic Server 12c R2
  2. AWS
  3. Azure
の3つを紹介しました。

マルチテナントでECサイトを構築することで、リーズナブルかつスピーディにECサイトを構築できます。

もっとクラウドについて知りたいという方は「ASPとSaaSは違う!PaaS、IaaS…クラウドに関連するキーワードを一気に解説!」をご一読ください!



この記事を書いた人
佐々木 ゴウ
大手Sierや、ECコンサルティング会社での経験を活かし、ファッションや食品などの各種商品ジャンルから、バックオフィス、ITインフラ系まで幅広く執筆が可能。webライティングの講師や、メディアコンサルティング、採用系メディアの編集長なども請け負っている。趣味は盆栽。