AmazonのモバイルPOSシステム成功のカギを握る「顧客データの取り扱い」
Eコマースの大手AmazonのPOSサービスへの参入は、小売業者にとって「(競合相手でもある)Amazonのサービスを利用する」ということにとらわれなければ、オンラインでの消費者の購入スタイルを利用して実店舗での販売に結びつけるという重要な役割を果たすことが期待されます。
Amazonが先週発表したところによると、具体的には同社の端末デバイスKindleを活用したモバイルPOSシステムを販売・小売業者向けに提供するための準備が進められているということです。実店舗においても勢力の拡大を図る動きが盛んになってきているAmazonにとって、オンライン上のデータ量や強力な顧客ベースを生かしたこのプロジェクトは、競合他社の先を行く画期的なものとなる可能性が秘められています。
ボストンにあるAite Groupのシニアアナリスト、リック・オグレスビー氏は「純粋なPOSサービスそのものに関しては、競合他社と比べてAmazonのサービスは価格面で優位であるという以外は取り立てて目立ったところはありません。」と話します。しかし、同氏は続けて次のようにも述べています。
「とはいえ、Amazonが持つオンラインスペースでの巨大な勢力や膨大な顧客ベースは、販売業者側にとって大きなプラス作用をもたらす可能性は少なくありません。」
「今回のPOSシステム開発の趣旨としては、Amazonがオンラインで商品を販売するのと似たような形で小規模の業者も販売を行うことが出来るようにするもので、おそらくこのPOSシステムの最大のウリとしてはPOS自体の機能そのものよりもマーケティング効果という意味での付加価値に焦点を当ててくることになると思います。」
例えば、販売業者側がウェブサイトや分析ツールにアクセスすることで、モバイルPOSがどのような形で実際に機能しているかを詳しく見ることができるという特徴を持たせることも出来るのです。
加えて、Kindle対応仕様とすることでKindle自体の売り上げも増加させることにつながります。
これにはIDC社の最新調査でも明らかにされたように、Kindleのセールスがここにきてやや伸び悩んでいる事実が背景にあるようです。具体的には、「Kindle Fire」タブレットは2012年の下四半期に590万台が出荷されましたが、2013年の同時期の出荷台数は580万台(タブレット市場全体の7.6%)と若干の落ち込みを見せています。
これまではAmazonはどうしても「オンライン専門の大手」というイメージが定着しており、実店舗におけるサービス展開は苦戦が予想されていました。
さらに小売業者側もAmazonとのタイアップにはこれまで積極的ではなく、結果的にAmazonとしては商品を独自のオンラインショップに掲載して販売するという戦略がメインとなってきていました。
その一方で、Google や eBayといったブランドはモバイル決済システムや店舗内サービス機能といった面で、積極的に小売業界とのコラボレーションを実現しています。
また今回のAmazonのニュースと時を同じくして、Appleからも新しい独自のモバイル決済システム開発に対するレポートが発表されました。これには昨年iOS 7対応版で発表されている、省エネ型のBluetooth・iBeacon技術が搭載されています。
しかしながら、このように各ブランドにおけるモバイルPOSシステムの開発は盛んな動きを見せている一方で、業界内ではまだまだこのシステムに対する信頼度は低く、そのプラス効果にはなかなか注目されていないのが現状です。
「Amazonにとって一番のハードルは、販売店側の信頼を得ることです。昨年秋に登場した“login and pay with Amazon.com”のシステムに関しては、サービスへのログインと決済情報登録の両方をAmazon側に依存することに対して慎重な意見も多く上がっています。」と、カリントン氏は語っています。
それによると、Amazonの下四半期の売上高は前年同時期に比べて20%上昇して256億ドル、さらに下四半期の純利益は2億3900万ドル(1株=51セント)を達成しましたが、専門家アナリストにより当初達成が確実視されていた四半期の売上高260億ドル(1株=66セント)には届かない結果となりました。
ちなみに、2013年の年間総売上高は2012年に比べ22%上昇した745億ドルとなっています。
AmazonのPOSサービスはSquareのようなモバイルPOSシステムと同様に、当面は小規模の小売業者からの需要が見込まれています。これには大規模の業者においてはこのような新テクノロジー導入に対しては投資コスト・労働力がかさむため、適応スピードは比較的遅くなりがちであるということが関連しています。
それでもAmazonとしては、オンライン販売事業を通して集めた情報を実店舗販売にも有効に生かせるという事を実証できれば、このシステムには大きな可能性が秘められていると言えます。
前述のオグレスビー氏は次のようにも述べています。
「Amazonは大規模の小売業者からは強力なライバル視をされている一方で小規模の販売業者からの支持は大変根強く、このような小規模業者にターゲットを絞っていけばかなりの成功を収められるでしょう。」
Amazonが先週発表したところによると、具体的には同社の端末デバイスKindleを活用したモバイルPOSシステムを販売・小売業者向けに提供するための準備が進められているということです。実店舗においても勢力の拡大を図る動きが盛んになってきているAmazonにとって、オンライン上のデータ量や強力な顧客ベースを生かしたこのプロジェクトは、競合他社の先を行く画期的なものとなる可能性が秘められています。
ボストンにあるAite Groupのシニアアナリスト、リック・オグレスビー氏は「純粋なPOSサービスそのものに関しては、競合他社と比べてAmazonのサービスは価格面で優位であるという以外は取り立てて目立ったところはありません。」と話します。しかし、同氏は続けて次のようにも述べています。
「とはいえ、Amazonが持つオンラインスペースでの巨大な勢力や膨大な顧客ベースは、販売業者側にとって大きなプラス作用をもたらす可能性は少なくありません。」
「今回のPOSシステム開発の趣旨としては、Amazonがオンラインで商品を販売するのと似たような形で小規模の業者も販売を行うことが出来るようにするもので、おそらくこのPOSシステムの最大のウリとしてはPOS自体の機能そのものよりもマーケティング効果という意味での付加価値に焦点を当ててくることになると思います。」
Kindleの活用
AmazonのモバイルPOSシステムを利用する販売業者はクレジットカード使用対応機能付きのKindleデバイスを活用することになり、Amazon側としては同社が誇るオンライン上における膨大な量の消費者の購買傾向データをさらに活かすために、いまだに商品の大半が購入されている実店舗においても業務進出していこうとする意向が見られます。例えば、販売業者側がウェブサイトや分析ツールにアクセスすることで、モバイルPOSがどのような形で実際に機能しているかを詳しく見ることができるという特徴を持たせることも出来るのです。
加えて、Kindle対応仕様とすることでKindle自体の売り上げも増加させることにつながります。
これにはIDC社の最新調査でも明らかにされたように、Kindleのセールスがここにきてやや伸び悩んでいる事実が背景にあるようです。具体的には、「Kindle Fire」タブレットは2012年の下四半期に590万台が出荷されましたが、2013年の同時期の出荷台数は580万台(タブレット市場全体の7.6%)と若干の落ち込みを見せています。
Amazonが小売業界へ殴りこみ
小売・販売業者にとって、優れたPOSシステムが店舗だけでなくモバイル機能にも対応していることは必須となってきていることもあり、業界で噂となっているこのAmazonのサービスはPOS市場における新たな選択肢として旋風を巻き起こすことになるかも知れません。これまではAmazonはどうしても「オンライン専門の大手」というイメージが定着しており、実店舗におけるサービス展開は苦戦が予想されていました。
さらに小売業者側もAmazonとのタイアップにはこれまで積極的ではなく、結果的にAmazonとしては商品を独自のオンラインショップに掲載して販売するという戦略がメインとなってきていました。
その一方で、Google や eBayといったブランドはモバイル決済システムや店舗内サービス機能といった面で、積極的に小売業界とのコラボレーションを実現しています。
また今回のAmazonのニュースと時を同じくして、Appleからも新しい独自のモバイル決済システム開発に対するレポートが発表されました。これには昨年iOS 7対応版で発表されている、省エネ型のBluetooth・iBeacon技術が搭載されています。
しかしながら、このように各ブランドにおけるモバイルPOSシステムの開発は盛んな動きを見せている一方で、業界内ではまだまだこのシステムに対する信頼度は低く、そのプラス効果にはなかなか注目されていないのが現状です。
Google Walletの場合
マサチューセッツ州ケンブリッジにあるForrester Research 社のシニアアナリスト、デネー・カリントン氏によると、Google Walletが登場した際には、小売業者サイドとしては店舗販売を通して集計されたデータがオンライン上で利用されることで、自分達にかえって不利な結果を招くのではないかという可能性が懸念されたということです。「Amazonにとって一番のハードルは、販売店側の信頼を得ることです。昨年秋に登場した“login and pay with Amazon.com”のシステムに関しては、サービスへのログインと決済情報登録の両方をAmazon側に依存することに対して慎重な意見も多く上がっています。」と、カリントン氏は語っています。
Amazonに見る「モバイルビジネス」における売上高
Amazonの本格的な実店舗サービス展開への準備が進む一方で、今週木曜日には同社の2013年下四半期ならびに年間総売上額が発表になりました。それによると、Amazonの下四半期の売上高は前年同時期に比べて20%上昇して256億ドル、さらに下四半期の純利益は2億3900万ドル(1株=51セント)を達成しましたが、専門家アナリストにより当初達成が確実視されていた四半期の売上高260億ドル(1株=66セント)には届かない結果となりました。
ちなみに、2013年の年間総売上高は2012年に比べ22%上昇した745億ドルとなっています。
AmazonのPOSサービスはSquareのようなモバイルPOSシステムと同様に、当面は小規模の小売業者からの需要が見込まれています。これには大規模の業者においてはこのような新テクノロジー導入に対しては投資コスト・労働力がかさむため、適応スピードは比較的遅くなりがちであるということが関連しています。
それでもAmazonとしては、オンライン販売事業を通して集めた情報を実店舗販売にも有効に生かせるという事を実証できれば、このシステムには大きな可能性が秘められていると言えます。
前述のオグレスビー氏は次のようにも述べています。
「Amazonは大規模の小売業者からは強力なライバル視をされている一方で小規模の販売業者からの支持は大変根強く、このような小規模業者にターゲットを絞っていけばかなりの成功を収められるでしょう。」
この記事はAmazon’s mobile POS success hinges on customer dataをOrange Blogが日本向けに編集したものです。