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Facebookの未来型?新アプリ「Paper」とは

Facebookが先頃発表した第4四半期決算報告に対し、売り上げ新記録の達成と同時に、同社が開発した新しいニュース

掲載アプリ「Paper」に関するニュースにも注目が集まりました。

この「Paper」自体は特に変わったところの無い「ニュースまとめ閲覧・投稿用」アプリですが、マーク・ザッカーバーグCEOのコメントの中にあった、「近い将来にさらなるサービスのリリースを予定している」という点を考慮すると、ソーシャルネットワークとして幅広く普及してきたFacebookですが、将来的には我々に馴染みのある従来のスタイルとは大きく形を変えて生まれ変わる可能性があると言えます。

ここ数ヶ月の間で、「Facebookの時代はもう終わった」とする記事が見られるようになりましたが、それでもソーシャル・ネットワークシステムとしてFacebookの果たす役割は大変重要であることに変わりはありません。一方で、WhatsApp, SnapChat または Lineといったアプリの登場も、ソーシャル・ネットワークシステムの構図に大きな変化を与えているのも事実です。

この点に関してこれまでに各方面から寄せられた意見としては「Facebookはもう古い」「自分の親とオンラインでつながるなんて!」といった表面的なものが大半で、確かにこういった意見は間違ってはいないのですが、実際のところはもっと複雑な理由があるものです。

では、ユーザー離れの背後にはどのような理由が隠れているのか、また、「Paper」のどのようなところにFacebookの将来的な戦略を見ることができるか検証していきましょう。

まず、続々と登場するこれらのアプリにほぼ共通していて興味深い点は、ベースとなっているのは「メッセージを送る」や「写真を撮る」といった以外とシンプルな機能だということです。

例えばInstagramはこの典型です。実際に私自身もiPhoneを使えばInstagramの持っている機能(写真撮影・フィルター追加・編集・拡散)と同じものが利用できるのですが、それでも気が付けば結局Instagramを使ってしまっています。

このようなケースは稀でしょうけれど、私は他にも会場に「チェックイン」する際にはFacebookではなくFourSquareを利用しています。

また、複数のソーシャルネットワークチャネルを頻繁に利用するユーザーにとって、一箇所で全てを管理できるという機能は有り難い限りです。例えばTweetdeck や Hootsuiteは複数のTwitterアカウントを監視するのに便利ですし、Socialbakers や Buddy Mediaなどのシステムは複数のプラットフォームに簡単にコンテンツを投稿できるため人気です。

このため、ユーザーの利用傾向に対して分析する際にはなかなかその実態が分かりづらく、特にマーケット業社が利用するケースでは、一般のモデルは当てはまらないケースがほとんどです。

さらにこの手のアプリにおいてはプライバシーの保護機能が重要な役割を果たしているのですが(酔っ払ってゴミ箱の中で寝込んでいる様子を親や上司に見られたくないのは誰も一緒ですよね)、投稿内容の種類を明確に記述する必要性も見過ごされることが多くなっています。

コンテンツ:分別管理の必需性

素晴らしい要素が満載のFacebookですが、その利用状況に目を向けるとリンクや各種投稿、または特定の感情を煽るような記述などが無秩序に混在しており、具体的には結婚・離婚の報告や、ホリデーに行ってきた場所の自慢、さらに仕事のグチもあればくだらない冗談、さらにはこのような各種投稿に混ざって当然のことながら広告関連の投稿も見かけることになります。

もちろんTwitterに関しても同じことが言えるのですが、こちらはスピード感が上であるためユーザーの反応も違ったものになります。

実際のところFacebookは関連のあるコンテンツをアップするシステムは優れたものを持っているのですが、同時にコンテンツが「隠される」機能が備わっており、ユーザーの起こすアクションに応じて投稿の順番にも変更が加わることのある数少ないネットワークシステムでもあります。

したがって、Twitterであれば、見逃してしまった古い投稿も画面をスクロールさせて戻って見ることができますが、Facebookでは自分のフィード画面からすでに削除されてしまっている可能性もあり、さらにマーケティングの専門家クリストファー・ラットクリフ氏が指摘するようにFacebookでの検索機能も必ずしも洗練されたものとは言えません。

コンテンツを分けることでユーザーとのつながりを強める

ここにその他のアプリの強みが見られます。

それぞれのアプリではユーザーが全く別のネットワークを構築することができます。ただ、私のTwitter と Instagramでは登録してある友達には若干同一性がみられますが、例えばFacebookのネットワークとその他のソーシャルメディアではその内容は大きく異なっており、正直このスタイルは気に入っています。

一方で、Facebook上で絶え間なく交わされている集団での会話や個人的メッセージなどのやり取りを考えてみると、Facebookは単にパブリックスペースに投稿するものだけではなく、メッセージ交換のプラットフォームしても大変便利なツールでもあることが分かります。

マーク・ザッカーバーグCEOは先頃Bloombergに対して行ったFacebook10周年記念インタビューの中で、この先同社から登場する新型アプリは必ずしもFacebookへのログインを必要とするものではないと述べ、このことから現在のFacebookに欠けているとされるユーザー側によるアップデートやメッセージのコントロールといった事が可能になるのではないかと見られています。事実、このようにコンテンツを分別する機能が「Paper」には備わっています。

Facebookにおけるニュースフィード欄には、アップデートされた様々な種類の記事が無秩序に混在しているのが現状です。したがって、広告を掲載する側としては広告記事は家族や友人による極めて個人的な投稿の中に混じってアップデートされることになるため、なかなかユーザーの注意を引きつけることができないという状況を余儀なくされているのです。

これでは商品やサービスがどれほど優れていたとしても、広告効果を最大限に期待するのは難しく、ユーザーに「いいね!」を出来るだけ押してもらおうと促進する一方で、広告ページ自体に他の投稿との関連性を持たせる事はますます難しくなってきています。

しかし「Paper」には、ユーザーがスポーツに関するニュースが欲しい際に、芸能やファッションに関するニュースなどは排除してスポーツニュースだけを即座にアップできるような機能がついています。

このような投稿記事の種類内容に対する明確な線引きは、Redditや Pinterestといった大規模なプラットフォームにおいても採用され、その効果を発揮しています。

例えばPinterestの掲示板では、ユーザーは多種にわたるトピックを閲覧できますが、それぞれの種類ごとに記事をまとめて管理することが出来ます。またRedditでも同様のサービスを展開しています。

つまり、利用する側としては様々な種類の情報源のフロントページを普通にチェックできる一方で、例えば「映画ロード・オブ・ザ・リングス」について語りたいという時には、そのトピックに対応したページがすでに用意されているため、まかり間違っても高校の同級生が新しく生まれた自分の赤ちゃんの写真を次から次へとアップしているような全く関係の無い投稿に邪魔されることが無いというわけです。

よくよく考えてみると、このようなシステムを採用することは当然の事なのです。例えば情報発信サイドの実例としてBBCニュースのウェブサイトを見ると、「世界のニュース」「ローカルニュース」「テクノロジー関連のニュース」などといった具合にコンテンツごとに分けられており、これによって各セクションの内容に関連性を持たせることが出来る上、検索も簡単になっています。

Facebookはこの点で常に見劣りしてきていたため、この様にコンテンツを分けることが出来る「Paper」のようなアプリの登場はむしろ当然の流れとも言えます。

Facebookの将来像

全ての投稿が一箇所に集まる現在のFacebookのスタイルは不便さが目立ち、「いいね!」をひたすら押させるシステムというのも投稿間のつながりや関連性を弱める結果となってしまっていますが、このたび本格的に始まった、独立した機能を持った新しいアプリ各種の開発事業の中にこそ、Facebookの将来における光明を見出すことができます。

「Paper」は当初は広告無しという形で開始されますが、試験的に導入されるコンテンツは提携企業による広告となる予定です。またこの提携契約においては多額の契約料が織り込まれる形になり、将来的には広告そのものが「Paper」の提供するサービスの一環となり得るかもしれません。

マーケット業社への影響

このアプリをベースにしたより幅広いシステムへの移行に伴い、当然ながらいくつかの質問も出てきます。

「全てのアプリに広告を載せる必要があるの?」

「ここまで幅広いネットワークだとコンテンツの管理が難しそう・・・」

といったものが代表的ですが、Facebookでは常に内容が濃く可視性の高いコンテンツの掲載を推進してきており、「Paper」においてもそれは例外ではありません。

「Paper」での主なトピックはテクノロジー、ポップカルチャー、笑える話題など、どちらかというとBuzzFeedy寄りの内容となりそうですが、長期的戦略としてはFacebookが登場した当初のように、繋がりの強い限られたコミュニティーによる利用という形に戻したい意向があるように見受けられます。

これが実現すれば、このような特定のコミュニティーにターゲットを絞る販売者側にとってはより効果的な広告効果が期待でき、Facebookを通した購買活動もついに本格化することが期待されます。

すでにユーザーの間ではFacebookのサービス自体はいずれ終了するという可能性もささやかれていますが、12億3000万人のユーザーを抱えるFacebook社が独立アプリの開発へフォーカスを移すという今回のニュースからは、同社の未来は明るいものとなることが予想されます。

この記事はPaper: the future of Facebook?をOrange Blogが日本向けに編集したものです。

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