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バックアップの取り忘れで起こる悲劇を防ぐ

あなたは日々、どのようにして仕事をしていますか?
パソコンやスマホなどでWebサービスやシステムを使い、作業を進めていることでしょう。
また、プライベートでもガジェットのお世話になっているのではないでしょうか。

情報システム部門の人だけなく、デジタル製品をつかうすべての人に、バックアップは重要です。パソコンやタブレット、スマートフォンを使う人はみな、バックアップを取りましょう。

バックアップは定期的にとりましょう

バックアップを取っていないと、不慮の事故でデータが消失し、仕事および日常生活に大きなダメージを受けることがあります。
バックアップの重要性をこれからご説明しますので、ぜひ定期的にバックアップをとる習慣をつけてください。

WEBサービスの3階層モデル

基本的に、Webサービスは、WEBサーバ、アプリケーションサーバ(APサーバ)、データベースサーバ(DBサーバ)という3階層モデルになっています。
なぜ三階層構造になっているかというと、それぞれの機能が以下のように分かれていることで、更新作業のコストが削減でき、管理もしやすくなります。Webサービスの更新を行う際に、全体に対して作業を行うのでは、効率が悪いためです。

Webサービスは、アクセスしてきた人のHTTPリクエストをレスポンスで返します。そのためには、(1)Webサーバが必要です。
そして、その下のレイヤーには、(2)APサーバがあります。これがアプリケーション部分で、Webサービスの核となるアルゴリズムが入っている部分です。
さらに最下層には、(3)DBサーバがあります。データを格納し、永続化する部分です。このデータベースサーバにはバックアップが必要です。

「データが飛んだ」階層によって被害の大きさが変わる

Webサービスを運営していて、データが飛んでしまったというのは、運営している企業にとっても、開発を行った会社にとっても笑いごとではすまない事態です。
しかし、どの階層のデータが飛んだかによって、その被害の影響度は変わってきます。

Webサーバの場合

Webサーバが故障して応答を停止すれば、サービスが止まってしまうだけで、大きな被害は出ません。
多少不便になりお客さまにご迷惑をかけてしまいますし、もしECサイトが運用されていれば、サーバの停止していた間は売上が上がりませんが、社会的信用にはそれほど大きく響きません。

APサーバの場合

APサーバが故障したり、アルゴリズムが多少おかしかったりしても、バグを取ってメンテナンスをすればなんとか直ります。こちらもアプリケーションサービスを停止する必要がありますが、メンテナンス時間が長期間に及ばなければ、社会的信用にはそれほど影響しないでしょう。

DBサーバの場合

ところが、データベースサーバが吹っ飛んでしまうと、もう取り返しがつきません。
バックアップとリストアに失敗して、データベースを飛ばし、顧客情報やサービスの内容が消失してしまったというニュースが流れることは、たまにあるできごとです。
顧客のデータは会社の資産であると同時に、顧客のものであり、そして会社の社会的信用でもあります。ありとあらゆるデータが入っていますので、大変重要なものなのです。

データ消失事故の事例

クラウドサービスを提供する企業で、ユーザーが登録したデータの消失事故が起こり、6000人以上のデータが飛んでしまったとニュースになりました。いくら優れたサービスでも信頼を失ってしまいます。

また、レンタルサーバーを提供していた企業でも、更新プログラムのミスで顧客から預かっていたデータが消失するという事故が起こり、事故処理に二年がかかったということです。

一度失った信頼を取り返すのは大変です。
会社が大勢の顧客に迷惑をかける前に、データベースのバックアップを定期的に取りましょう。

データベースバックアップの失敗体験

RDBMSをバックアップする場合、たとえば、データをダンプして保管しておいて、いったんシステムそのものを削除し、他の環境で再現してから、リストアして復元、というシーンがあることだと思われます。
その際にスナップショットも最新のものをとるのですが、中には自動で最新のスナップショットを取ってくれるものがRDBMSには数多くあります。

データベース スナップショットは、 SQL Server データベース (ソース データベース) の読み取り専用の静的ビューです。 データベース スナップショットには、そのスナップショットを作成した時点でのソース データベースに対するトランザクションが反映されています。
引用:https://docs.microsoft.com/ja-jp/sql/relational-databases/databases/database-snapshots-sql-server
この時、スナップショットを取り忘れると大変です。インスタンスを削除し、よく見てみると、スナップショットがなかった、まるごと削除してしまった…ということがありました。
過去に取ったスナップショットはありましたし、それまでの任意のバックアップはあったのですが、最新のデータを復元することができず、データがロールバックしてしまいました。
そうしたことがあるので、リレーショナルデータベースといえど、つねに最新のスナップショットを手動でも取るようにしましょう。

■関連記事:RDBMSが社会のIT化を推進した!データベース管理システムを詳解

リストアできなければ意味がない!?

データベースの定期バックアップを取得しても、いざ何事かが起こったときにリストアできなければ意味がありません。
物理的にダンプしたファイルをコピーして、また他のインスタンスでもデータベースを使えるように、いつでも復旧できるようにデータベースが正常に稼働しているかはしっかりチェックしましょう。

日頃使っているデバイスのバックアップも大切

データベースのバックアップとリストアも、当然ですしとても大切な業務なのですが、大切なのは、何もデータベースのバックアップだけではありません。

いつも使っているコンピュータ

日頃仕事で使っているコンピュータのバックアップも大切です。システムを冗長化し、障害に備えましょう
いまはほとんどの仕事が、コンピュータ上で行われています。パソコンがなくては仕事になりません。

いくらパソコンが長持ちする製品だとはいえ、HDDは常に回転しており、ダメージをもっとも受けやすいパーツです。
HDDは、高速で回転するものほど、壊れやすいのです。高速で回転しているハードディスクに、これまた高速で書き込むからです。

SDDなど、最近はとくに高速に書き込みするディスクが増えてきました。速いことは良いことですが、壊れやすいのが難点です。
とくにハードディスクがデリケートな部品であることは、覚えておくと良いでしょう。

スマートフォンなどもバックアップを

ビジネスの面だけではありません。いまはスマートフォンも一般に広く普及し、スマホなどで写真や音楽を楽しむ人も増えてきました。
もはやコンデジや音楽プレイヤーは必要なく、すべてスマートフォンで済ませる人が増えてきたのです。
そんなとき、大切な自分の思い出などは、ちゃんとバックアップしておきましょう。スマホは精密機器なので、些細な事で壊れてしまいます。

スマートフォンデータのバックアップは、クラウドが最適でしょう。クラウドとは、インターネット上に存在するデータベースのことです。さまざまなデータが格納でき、いつでもどこからでもアクセスすることができます。

とくにiPhoneなどを使っている場合は、icloud、iTunesというサービスが付帯していますので、バックアップを簡単に取ることができます。
Androidの場合は、SDカードや、google Driveやdropboxを利用すると良いでしょう。
定期的に自分の大切なデータを保管して、不測の事態に備えましょう。

バックアップのタイミングを考えよう

バックアップをどのぐらいのペースで取るかには諸説あります。
基本的には、毎日バックアップを取ると良いのですが、週に一度の完全バックアップと、毎日の差分バックアップを取っていくと良いでしょう。
毎日完全バックアップを取るかどうかは、保管するサーバの容量などにもよりますので、現実的な路線を自分たちで決める必要があります。
最低でも週に一度は、完全バックアップを取得して、いつでも先週の状態に復元できるようにしておいたほうがいいでしょう。

ですがこれは、あくまで基幹系のシステムに関わる場合です。
インターネットサービス、Webサービスの場合は、毎日完全バックアップを取るのでも良いでしょう。
いざというとき、できる限り最新の状態にするために、毎日完全バックアップを取っておいて、不測の事態に備えると良いのではないでしょうか。
完全バックアップはリストアに必要なので、必ず取ってください。

データが壊れていないか確認すること

データベースのバックアップの場合、データが壊れていないかを必ず確認してください。破損したデータをそのままバックアップすると、バックアップそのものも壊れてしまう可能性があります。
そうなると復元は困難ですし、バックアップの意味がありません。データが破損していないか、しっかりと確認しましょう。

バックアップは重要!

今回は具体的なバックアップの方法ではなく、バックアップの重要性についてご説明させていただきました。
日々の業務に奔走されていると、コンピュータ・デバイスは故障しないと思ってしまいがちです。
ですが、システムは何の前触れもなく壊れることもあります。故障率がある以上、突然の故障は避けられないものなのです。

定期的にバックアップを取得して、大切なデータを保護しましょう。また、バックアップを初めて取る人は、ちゃんと復元できるか、リストアの経験も積んでおきましょう。
いざというとき、リストアできなければ意味がありません。システムは積極的にバックアップを取って、安心してサービスを動かしましょう。

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