越境ECの市場規模拡大の背景と今後の展望
ECは国内の取引だけでなく、今や国境を越えたモノの売り買いを支える大切な役割を担っています。越境ECと呼ばれるこの取引は現在高い成長率を示しており、今後も売り買いの中心となっていく可能性を秘めていますが、この成長を特に下支えしているのが二大経済大国でもある中国です。
中でも近年になって経済発展と国内のIT化が著しい中国では越境ECの利用率が高く、常にニーズや買い物の手法が変化し続けるトレンドもあって目が離せない状況が続いていますが、隣国でもある日本がそんな中国の需要にどのように対処するかによって、今後の日本のECの動向も変わってくることでしょう。もちろん世界第一位の経済・IT大国であるアメリカの購買層も無視できるものではありません。
そんな越境EC最前線の今日ですが、今回は越境ECの市場規模についての現状把握、そして今後のECの動向についてもいくつかの可能性をご紹介したいと思います。
これはスマートフォンの普及やインフラ整備によりインターネットがどこの国でも身近に普及したことが大きな理由として考えられていますが、今後は小売におけるECの割合もますます大きくなり、2020年に小売全体の約15%がECによる買い物になると考えられています。
また、世界地域ごとの伸び率の差も広がっていることが確認できます。成熟した先進国の多いヨーロッパではインターネットやECが早いうちから普及していたこともあり、この先数年での高い成長はあまり期待されていない一方で、常にIT関連の発展が著しいアメリカではECにおいても先進国の中で高い成長率を維持し続けており、現在ではアメリカ国内メーカーの80%が自社ECサイトを所有しているとのことです。企業の規模別にみても中小企業の60~80%がECサイトを持ち、大企業に至ってはその90%と、アメリカ市場のECへの注目度の高さはこういった数字からも伺えます。
欧米諸国のこのような動向と比較すると、日本は比較的ヨーロッパ的な傾向が強いと言えるでしょう。安定した既存のライフスタイル維持する趣向が強く、成長よりも現在の生活の持続性に焦点をあてたいというきらいがあるように見えます。
中国以外にもインドやマレーシア、といった国々においても年間20%のEC市場成長率をキープしており、中国国内のEC小売市場規模も首位をキープし続けています。経済産業省のデータ(参考:http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-1.pdf)によれば日本のEC小売市場の伸び率は年10%を最近達成したほどですから、アジア諸国がいかに急激な成長を見せているかがよくわかるかと思います。
このデータによると日本の市場規模は約2396億円、そのうちの2170億円が米国経由、226億円が中国経由です。
一方のアメリカの市場規模は日本の4倍を越える1兆415億円、そのうち日本経由が6156億円、中国経由が4259億円と、まずはその規模の違いが目につくところです。
アメリカの場合はその越境ECの規模の大きさもそうですが、日本は中国と1割程度しか経由していないのに対して、アメリカは中国を4割も経由してECを利用している点が大きな日本との違いと言えるでしょう。加えてこのデータはBtoCの小売ECのデータですから、アメリカの企業ではなくアメリカ国民が中国系ECサイトを民間レベルで活用していることがよく分かります。
未だに品質の面で懸念が残り、日本製の方が信頼できて良いということであまり中国経由で日本人は買い物をしない側面が際立っていたり、アメリカに中国系アメリカ人が多いということも考えられますが、それでも日本に比べてアメリカの市場は日本と中国で偏りの少ない越境EC市場があると見ることができます。
そしてさらに市場規模が大きく、かつ経由国に差がないと言えるのが中国の越境ECです。中国の越境EC市場規模は2兆1737億円とアメリカの二倍以上、日本経由も1兆366億円、アメリカ経由は1兆1371億円と、日本やアメリカとは比較にならないほどのスケールで越境EC市場が盛んであることがこの数字からわかります。
1000億円ほどの差があるとは言え、日米の経由によって大きな差があるとは言いがたく、中国の小売市場が中国のBtoCではなく越境ECが重要な地位を占めていると言えます。
もちろん自社ECサイトの普及率をアメリカ企業のように高めていくことも大切ですが、外国人向けEC、越境ECを考える際にまず有効なのが決済方法の充実です。
そのためECサイトを設置するだけでなく、越境ECを考える場合はターゲットに合わせた決済方法を充実させることが不可欠なサービスであることは留意しておきましょう。
ECは今後も間違いなく成長を続け、小売市場のスタンダードとなる可能性を秘めています。たとえコストがかかっても、ECへの柔軟な対応は売り上げにも大きく貢献することは間違いありません。
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中でも近年になって経済発展と国内のIT化が著しい中国では越境ECの利用率が高く、常にニーズや買い物の手法が変化し続けるトレンドもあって目が離せない状況が続いていますが、隣国でもある日本がそんな中国の需要にどのように対処するかによって、今後の日本のECの動向も変わってくることでしょう。もちろん世界第一位の経済・IT大国であるアメリカの購買層も無視できるものではありません。
そんな越境EC最前線の今日ですが、今回は越境ECの市場規模についての現状把握、そして今後のECの動向についてもいくつかの可能性をご紹介したいと思います。
- アメリカと中国をはじめとして成長を見せるEC
- 特に米中は越境ECの市場規模も巨大
- 日本は決済方法の充実で越境ECを拡大していくべきでは
高い成長率を見せるアメリカと中国の越境EC
欧米諸国のEC事情
eccLabの記事(参考:https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/42597)によれば、2016年には世界のEC市場規模は2800兆円をこえ、中でも越境ECは年間27%の成長率で市場規模を拡大しており、2020年には越境ECのみで約100兆円に達するという試算もなされています。これはスマートフォンの普及やインフラ整備によりインターネットがどこの国でも身近に普及したことが大きな理由として考えられていますが、今後は小売におけるECの割合もますます大きくなり、2020年に小売全体の約15%がECによる買い物になると考えられています。
また、世界地域ごとの伸び率の差も広がっていることが確認できます。成熟した先進国の多いヨーロッパではインターネットやECが早いうちから普及していたこともあり、この先数年での高い成長はあまり期待されていない一方で、常にIT関連の発展が著しいアメリカではECにおいても先進国の中で高い成長率を維持し続けており、現在ではアメリカ国内メーカーの80%が自社ECサイトを所有しているとのことです。企業の規模別にみても中小企業の60~80%がECサイトを持ち、大企業に至ってはその90%と、アメリカ市場のECへの注目度の高さはこういった数字からも伺えます。
欧米諸国のこのような動向と比較すると、日本は比較的ヨーロッパ的な傾向が強いと言えるでしょう。安定した既存のライフスタイル維持する趣向が強く、成長よりも現在の生活の持続性に焦点をあてたいというきらいがあるように見えます。
勢いのあるアジアEC
一方同じアジアでも中国はECを始めとするIT分野において、今最も勢いのある国と言えます。アジア諸国は欧米先進国に比べてECビジネスの展開は遅かったものの、世界のEC企業トップテンにはアリババのような中国企業が4社も肩を並べてランクインすることとなっており、後進国ゆえのポテンシャルの高さをうまく活用している例と言えそうです。中でもアリババは世界のEC市場の四分の一以上の市場シェアを誇っており、この数字は世界でもトップです。中国以外にもインドやマレーシア、といった国々においても年間20%のEC市場成長率をキープしており、中国国内のEC小売市場規模も首位をキープし続けています。経済産業省のデータ(参考:http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-1.pdf)によれば日本のEC小売市場の伸び率は年10%を最近達成したほどですから、アジア諸国がいかに急激な成長を見せているかがよくわかるかと思います。
広がる日本と米中の越境EC市場規模の差
このように日本とアメリカやアジア諸国とのEC市場の成長率に大きな差が開けば、当たり前ですが市場規模の差も一方的に開いていくばかりで、特に日本と米中ではすでに10倍近い差が開いているというデータもあります。日米中の市場規模比較
もう一度経産省の統計(http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-1.pdf)を見てみましょう。越境EC市場規模サマリの中で示されているのは日米中の三国における越境EC小売市場の規模についての比較です。このデータによると日本の市場規模は約2396億円、そのうちの2170億円が米国経由、226億円が中国経由です。
一方のアメリカの市場規模は日本の4倍を越える1兆415億円、そのうち日本経由が6156億円、中国経由が4259億円と、まずはその規模の違いが目につくところです。
アメリカの場合はその越境ECの規模の大きさもそうですが、日本は中国と1割程度しか経由していないのに対して、アメリカは中国を4割も経由してECを利用している点が大きな日本との違いと言えるでしょう。加えてこのデータはBtoCの小売ECのデータですから、アメリカの企業ではなくアメリカ国民が中国系ECサイトを民間レベルで活用していることがよく分かります。
未だに品質の面で懸念が残り、日本製の方が信頼できて良いということであまり中国経由で日本人は買い物をしない側面が際立っていたり、アメリカに中国系アメリカ人が多いということも考えられますが、それでも日本に比べてアメリカの市場は日本と中国で偏りの少ない越境EC市場があると見ることができます。
そしてさらに市場規模が大きく、かつ経由国に差がないと言えるのが中国の越境ECです。中国の越境EC市場規模は2兆1737億円とアメリカの二倍以上、日本経由も1兆366億円、アメリカ経由は1兆1371億円と、日本やアメリカとは比較にならないほどのスケールで越境EC市場が盛んであることがこの数字からわかります。
1000億円ほどの差があるとは言え、日米の経由によって大きな差があるとは言いがたく、中国の小売市場が中国のBtoCではなく越境ECが重要な地位を占めていると言えます。
日米よりも巨大な規模を持つ中国の越境EC
中国でなぜここまでEC市場が発達しているかについては様々な理由が考えられるのですが、一般的な理由としてよく挙げられるのは中国国民による中国製品への不信、あるいは日本製品や米国製品への高い信頼感です。日本も2011年の福島第一原発事故によって、一時は食品を中心に日本のブランド力を失ってしまったものの、現在では中国人の信頼を再び集めつつあります。少し前の爆買いブームで日本への中国人渡航者が増え、現在では「使い分けの時代」に突入し、買い物はECで、渡航は観光とビジネスのため、というのが中国人の日本を取り巻くライフスタイルとなりつつあるという変化も見られます。参考:http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2017/08/ec.php
日本の越境EC拡大のための施策とは
日本市場は決済方法を充実させるべきでは
では日本における越境ECの市場規模拡大、あるいはアメリカや中国からの豊富な小売ニーズにより上手く対応するために日本の企業はどのような施策を施すべきなのでしょうか。もちろん自社ECサイトの普及率をアメリカ企業のように高めていくことも大切ですが、外国人向けEC、越境ECを考える際にまず有効なのが決済方法の充実です。
EC市場が大きくなる土壌を持っていた米中
そもそもアメリカや中国でECが盛んなのはクレジットカード決済やpaypal決済、そしてアリペイ決済のような現金を使わない決済方法が充実していることが大きなポイントです。アメリカはクレジットカード社会ですし、中国はアリペイのような第三者決済が主流となっていますから、日本のような現金支払いのみ、電子決済未対応では、外国人は買い物がしにくいのです。そのためECサイトを設置するだけでなく、越境ECを考える場合はターゲットに合わせた決済方法を充実させることが不可欠なサービスであることは留意しておきましょう。
ECは今後も間違いなく成長を続け、小売市場のスタンダードとなる可能性を秘めています。たとえコストがかかっても、ECへの柔軟な対応は売り上げにも大きく貢献することは間違いありません。
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