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急成長を遂げる中国の通販事情

一時は爆買いなどの言葉が話題となったように、近年は中国人による購買力がアジア地域で大きな影響力を持つようになっています。日本人には中国人が日本をはじめとする海外での買い物にばかり熱心になっていると思われがちですが、実際のところ中国では国内における消費も非常に活発になってきています。

特にインターネットを介したEC市場は巨大かつ成長力もあり、国内消費において重要な役割を果たしています。

中国のECといえばBtoBで一躍急成長を遂げたアリババが頭に浮かびますが、BtoC企業をはじめとして多くの企業が通販業界で活躍を見せています。

今回はそんな中国の通販事情について解説していきます。

【目次】

利用者数の増加が著しい中国通販

中国におけるネット通販の急成長は、年々そのスピードを拡大させつつあります。今年の6月末に発表された「2017年中国小売企業100強ランキング」によると、ランク入りしている小売企業のおよそ6割はネット通販 であったことが話題を呼び、多くのメディアでこのことが紹介されました。

参考:https://zuuonline.com/archives/186538
中国は小売市場そのものの拡大も著しく、全体の売り上げは前年比26%のプラスで6兆800億元を記録しています。

このうち実店舗における売り上げは1兆8700億元で、前年比7.5%のプラスと順調な成長を見せていますが、注目すべきはネット通販企業の売り上げです。


ネット通販企業の売上は

天猫、京東、唯品会、アマゾン中国、当当網、考垃厳選、聚美優品といったランク入りしている7社のネット通販企業の売上は、全体のおよそ60%もの割合を占める3兆5700億元となっており、前年比41.2%のプラスを更新するなど、その影響力は驚異的です。

すでに中国国内の小売消費は、ECによって成立しているともいえるでしょう。
これはあくまでも中国で勢いのある上位の小売企業を試算した時の数字ですが、中国全体のネット通販のシェアも日本に比べてはるかに高いものとなっています。

中国の2018年1月から5月の小売総額は14兆9176億元、そのうちECによる売り上げは3兆2691億元で、物販のネット通販においては16.6%のシェアを持っています。2017年時点において日本の物販のネット通販シェア率は5.79%にとどまっているため、単純に考えると日本の2~3倍程度のシェア率を中国は持っていると言えるでしょう。

現在も日本はEC化が進んでいるとは言うものの、現状での市場規模とシェア率においては中国がはるかに先を行っていると考えられます。


通販から無人店舗業にも進出

ネット通販のようにEC専門の小売業となると、よく欠点として挙げられるのが実店舗を持たないことによる影響力の低下です。

小売店舗で各地に拠点を構えていた企業はECと店舗の組み合わせで近年大きな躍進を遂げており、米国最大小売企業であるウォルマートは急激にEC化を進めることで、店舗とECの相乗効果により一躍ネット通販においても大きな存在感を獲得するに至りました。


一方世界最大手のECサイトであるAmazonは、店舗を持たない業態であったことから、最近では「Amazon Go」のような無人での店舗展開にも動き出しています。

このような動きは中国でも見られます。中国の大手ネット通販業者である京東集団(ジンドン)は、Amazon GOオープンの三週間前にはスーパーマーケットの無人店舗を展開していました。


取り扱う商品は通常のスーパーマーケットと同様に生活用品から食料品までが並び、商品には全て無線タグが取り付けられているので、入場の際の個人認証によって特定されたユーザーが、退場の際に会計をそのまま行うことができます。もちろん店内にレジは存在しません。

このような無人スーパーは形式こそ実店舗ですが、実際の購入プロセスはコンピューターを相手に行われることから、オンラインショッピングと大きな差はないともいえます。オンラインのノウハウをそのまま店舗に生かしたようなシステムが特徴です。


店舗のニーズがあるからと言って、従来の実店舗のスタイルを再現するのではなく、ネット通販のメリットを実店舗にどこまで応用できるかが試されているのはネット通販業者ならではの店舗作りと言えるでしょう。


なぜ中国のネット通販が人気なのか

中国のネット通販市場がこれまでになく活性化しているのには、もちろん中国国内での経済成長が著しく、消費が大きくなっていることが理由として大きいのですが、それ以外にも考えられる理由があります。

中国国内の激安通販ニーズ

最近では中国製でも質の高い商品は増えてきましたが、やはり日本での爆買い需要のように、「安く買えるところで大量に買いたい」という購買理由がみられます。

とにかく大量に安く買いたいと言う需要は、一般に大量購入の需要がある業者による委託や卸売業者などが考えられますが、中国ではBtoCのネット通販においてもこの需要は大きいといえます。

グルーポン型ECサイトで安価に通販:拼多多(ピンドゥオドゥオ)
「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」は、「グルーポン型」での販売を行う新興ECサイトで、2017年には総勢で3億5000万人を超えるユーザーがこのサイトで何らかの商品を購入しています。このユーザー数は、アメリカの総人口を上回る、日本の総人口の3倍近い数値です。

ここではトイレットペーパーなどの日用品を中心に、おもちゃや家電なども扱っています。低価格での配送を実現するために、工場から直接配送を行っていることも特徴的です。

低価格の例として、1組50ロールのトイレットペーパーが5ドル弱、4枚1組の男性用下着が4ドル、お米が5キロで4ドルなど。しかも送料無料で販売されているのです。

このサービスを利用するのは、主に都市郊外に住む小さな町や村の人々です。中国の人口のほとんどは大都市ではなくこのような地方に点在しており、その数は10億人にものぼるとされています。

若者は都市への移住に意欲的なこともありますが、地方に住む人々の大半は都市部に比べて高齢の人々が目立ちます。
そこで拼多多(ピンドゥオドゥオ)では地方都市に住む低所得者、スマホに慣れていない高齢者などをターゲットに設定しました。

中国政府としては世界に羽ばたけるような高品質とブランド競争力の開発に多くの資金を投入したいと考えている一方、中国を支えるマジョリティのニーズとしてはいまだに「少しでも安いものを」と言う意識が優っている節もあることを拼多多(ピンドゥオドゥオ)のようなネット通販企業が示していると言えるでしょう。

参考:中国の新興ECサイト「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」とは。メリットから実際の販売ポイントまで解説

中国のブラックフライデー「独身の日」の世界展開も近い?

また、アメリカを筆頭とする先進国ではブラックフライデーやサイバーマンデーのように業界を挙げての大規模セールが行われ、一年の中で最も消費が活性化する日も存在しますが、中国では11月11日の「独身の日」がそれにあたり、中国国内で大きな消費の促進につながっています。

独身の日は毎年11月11日に開催されますが、これは1が4つ並ぶことに因んで名付けられました。この日はネット通販を中心に大規模なセールが行われ、毎年の消費動向の指標としても注目されています。

米中の貿易摩擦により今年の消費は落ち着いたものになると予想されていたものの状況は一転。2018年の独身の日は過去最高の売り上げを更新し、その額は2,135億元、日本円にして3.5兆円にものぼるものとなりました。


独身の日はアリババが掲げ始めたニューリテール(新小売)、つまり実店舗とネット販売の融合がキーワードになると言われており、今年最高の売り上げを記録したのもネット通販業界で積極的な実店舗とECの融合が行われてきた成果が現れ始めているためと考えられています。


また、独身の日は今後中国国内だけでなく世界規模で展開されることも見込まれており、中国内だけでも日本をはじめとする海外の企業が恩恵を受けていることから、越境ECの拡大などが進めば世界経済にも大きな影響を及ぼすイベントとなることが予想されます。

中国人は国内人口もさることながら、華僑のように海外を拠点とする人口の多さも特徴です。中国主導による大量消費のイベントは、必然的に世界的なイベントとなっていくことも考えられます。

中国の通販大手企業

中国の小売企業の売り上げトップ5は以下のようになっています。

  • 1位 天猫:2兆1100億元
  • 2位 京東/JD:1兆2900億元
  • 3位 大商集団:2808億元
  • 4位 蘇寧易購:2433億元
  • 5位 国美零售:1926億元

通販+実店舗で成長を続けるJD.com(京東集団)

天猫はアリババのBtoCプラットフォームとして、中国だけでなく日本でもその名を聞くことはあるほど有名ですが、今注目を集めているのはJD.com(京東集団)です。

JDは中国のAmazonとも称されるほどテクノロジーを生かした合理性を追求する中国の通販サイトで、その倉庫や配達プロセスは世界でも最新鋭と言えるでしょう。

倉庫では自律走行フォークリフトが作業を行い、配送も自社のドローンを採用するなど、Amazonの一歩先を行くハイテクの導入が盛んです。

これほど先進的な取り組みを行えるのには、一つに中国最大のハイテク企業であるテンセントが支援を行なっていること、そしてアメリカのGoogleもJDに600億円近い出資を行うなど、世界を牽引するハイテク企業が後押ししていることが大きいと言えます。


日本語対応も充実する中国の通販

中国はお隣の国だけあり、その充実した通販ラインナップの一部は日本からでも利用することができます。

中国通販アプリも日本で利用可能

中国のネット通販といえば淘宝と天猫が有名ですが、これらはスマホアプリとして利用することができ、Amazonや楽天を利用するように買い物を楽しむことができます。

これらはBtoCとして個人でも利用できるだけでなく、ほとんどが送料無料で発送してくれるため、まるで海外で買い物するとは思えないような手軽さを体感することができるでしょう。

ブラウザからの買い物は少々手間がかかるものですが、アプリから直接買い物ができれば国内外問わず気兼ねなく買い物を行えるでしょう。

激安ファッション通販にも注目が集まる

ファストファッション需要も気になるところですが、アリババの運営するAliExpressは価格は激安で、品質もよいファッションアイテムを購入することができます。

出典:https://www.aliexpress.com/


価格はほとんど卸売価格に近いものとなっているので、個人輸入を行う際にも活用できそうな価格設定となっています。もちろんアプリケーションもリリースされているので手軽に利用できますが、英語でのやり取りとなるため、少しハードルが高く感じる場合もあるかもしれません。

ネット通販代行業者の利用も

中国の通販利用に不安やハードルの高さを覚える場合は、昔ながらに代行業者を利用するのも手でしょう。個人レベルの買い物であれば代行業者を介してもそこまで料金も高額にはなりません。

CiLEL(シーレル)
CiLEL(シーレル)は3万円未満の買い物であれば一律3500円、それ以上の場合は8%の手数料となっています。

出典:https://cilel.jp/


タオバオ新幹線
タオバオ新幹線は10889円未満の場合980円+税金、それ以上は代金の9%+税に設定されています。

出典:https://taobaoshinkansen.com/


最もコストがかからないのは自分で注文することですが、このようなサービスが今豊富に存在していることも頭に入れておくとよいでしょう。

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