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【業界別分析】日本のEC市場規模とEC化率はこれからも伸びる?

ECサイトは訪問者がいつでも・どこでも閲覧することができます。販売を行うための営業担当も必要ありません。

そして、企業の営業日/時間外に関わらず、売上を増大させることに貢献する役割を果たします。SNS等を活用することで潜在的な顧客を掘り起こす可能性も秘めています。

近年、どの業界においてもECサイトを整えることが重要視されるようになりましたが、2020年以降は特にその傾向が顕著になっています。ステイホームによって多くの消費者がECの利便性に接し、ユーザの数は一気に増加しました。

本記事では、BtoB(Business to Business=企業間取引)、BtoC(Business to Consumer=企業と顧客間の取引)、CtoC(Consumer to Consumer=一般消費者間の取引)の市場規模とEC化率の変遷について触れてから、業界別のEC状況について、コロナの前後でどれだけ「常識」が変わったのか、最新のトレンドを交えて分析していきたいと思います。

現在だけでなく、すぐそこに来ているECの未来をデータから読み解いてみましょう。

BtoBのEC市場規模とEC化率

経済産業省の『令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)』という資料の中に、BtoBにおけるEC市場規模とEC化率についての数字があります。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

コロナ感染症対策の影響は色濃く、2020年のBtoB-EC市場規模は334.9兆円、前年比5.1%減(前年353.0兆円)となっています。

しかし一方で、BtoB-ECのEC化率は、33.5%で前年比1.8ポイント増となっています。

「EC化率」とは全ての商取引(対面販売やECでの取引等)全体で見たときのECの商取引の割合のことです。この割合が高くなるほどECサイトが全体に占める売上が高いということになります。

ちなみに2016年における広義のEC市場規模は291.17兆円、EC化率は28.3%でした。2020年は、コロナの影響で伸び悩んだと書きましたが、市場規模は約291兆円から334兆円へ、EC化率はこの5年で28.3%→33.5%と順調な伸びを見せていることがわかります。

実は、EC市場規模は2013年から2020年まで一貫して増加傾向にあります。そして特に伸び率が高いのが2020年です。

※ここでの広義・狭義の定義について、広義は狭義も含めたコンピュータネットワークシステム(VAN、専用回線、従来型EDI)を介したオンライン・オフラインを問わないもの、狭義は公衆回線上のインターネットの他、エクストラネッ ト、インターネットVPN、IP-VPNを介したオンラインでの取引を指します。

BtoCのEC市場規模とEC化率

同じ資料の中で、2020年のBtoC-EC市場規模は19.3兆円にのぼると発表されています。2019年は19.4兆円だったため、2020年は前年比0.43%減となり、ほぼ横ばいの状況です。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

BtoC-EC市場は、2013年以降ゆるやかな増加を続けてきました。市場規模がマイナスになったのは調査開始以降初の出来事で、コロナウイルスが2020年の経済に及ぼした影響の強さが表れています。

感染症対策の一環で外食や旅行サービスの利用が大幅に縮小したため、サービス系分野の市場規模は大きく減少しました。

とはいえ、BtoCは物販系ECが著しく伸長しています。感染症の世界的な影響があってもBtoC-EC全体の市場規模が前年と比較して横ばい状態なのは、ステイホームによって今までECを利用したことのない層にも利用が広がったため、低迷したサービス分野と相殺されたような形になっているためと考えられます。

BtoCのEC化率は8.08%(前年比1.32ポイント増)で、こちらは微増ながら堅調な伸びを見せました。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

特にEC化率が高かったのは、書籍や音楽ソフト、生活家電(AV機器、 PC含む)、生活雑貨およびインテリア用品の分野です。

■特集:BtoB ECサイト■

CtoCのEC市場規模とEC化率

CtoCは一般消費者間でおこなわれる取引のことで、オークションやフリマアプリを用いた物品の取引を指します。

オークションサイトが活発に利用され始めたのは2000年頃からですが、経産省の市場規模調査は、2016年から始まりました。2020年のCtoC-ECの市場規模は1兆9,586億円で、前年比は12.5%増(2019年は1兆7,407億円)です。

ちなみに、調査を開始した2016年のCtoC-ECの市場規模は3,458億円でした。

BtoB, BtoCと比べると市場規模は小さいですが、フリマアプリのような比較的新しいサービスは小さな改革を繰り返して進化しているので、今後も市場は伸びる可能性が高いでしょう。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

各業界におけるECの市場規模とEC化率の割合

物販分野の市場規模及びEC化率については、さらに詳しく業界別に見ることができます。

市場規模の内訳は「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」がもっとも高く、2兆3,489億円でした。

次に高いのは「衣類・服装雑貨等」の2兆2,203億円で、「食品、飲料、酒類(2兆2,086億円)」、「生活雑貨、家具、インテリア(2兆1,322億円)」と続いています。

この4分野が、BtoC-ECの市場規模では約70%以上を占めていました。

EC化率が高かったのは、「書籍、映像・音楽ソフト」の42.97%、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」の37.45%、「生活雑貨、家具、インテリア」の26.03%です。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

以下では、これらの物販系分野で特に市場規模が大きかった分野においてトップシェアとなっている企業や、分野別の動向について見ていきたいと思います。

家電業界でトップシェアの企業

家電は、型番や品番等を指定して購入すれば間違いなく目的の商品が買えること、どこでも同じクオリティの製品が買えることから、ECと親和性が高いと考えられてきました。

コロナ禍にあっては、遠くの家電量販店まで足を運ばなくても購入できるという利便性と、在宅勤務やオンライン授業の環境整備といった必要性から需要が伸びたと考えられます。

ヨドバシカメラ、ビックカメラといった、コロナ前からEC環境を整えてきた企業がシェアを獲得しています。

引用:業界動向サーチ「家電量販店業界 売上高ランキング(2020 - 2021年)」

衣類・服装雑貨等でトップシェアの企業

ユニクロやGUでおなじみのファーストリテイリングが、しまむらやアダストリア、ワールド、オンワードHD等を大きく引き離してトップを独走している状況です。

アパレルは、サイズ感や色味といった要素を実際に試着して確かめないと購買に結びつきにくいため、本来であればECとの親和性は高くありません。

ですが、自宅で試着できる「返品無料サービス」や着る人やサイズを選ばないベーシックなデザインを拡充させることで、アパレル業界はEC売上を伸ばしてきました。

また、InstagramをはじめとするSNSとは非常に相性がよく、スタッフの着用写真を投稿することでスタッフやブランドのファンを増やし、購入のタッチポイントを作るといった施策も功を奏しています。

引用:業界動向サーチ「アパレル業界 売上高ランキング(2020 - 2021年)」

食品、飲料・酒類でトップシェアの企業

食品産業の実店舗とECの全商取引は、66兆7,250億円です。

そのうち電子取引されているのは約2兆円で、ここから計算されるEC化率は3.31%、決してEC化の進んでいる分野ではありません。

これは、鮮度や品質を直接手に取って確かめたい消費者が大多数である、比較的近所にスーパーがあってECを利用するより自分で買いに行った方が便利と感じる人が多い、といった点に理由があると考えられています。

ですが、コロナによってその状況に少し変化が見えてきました。

2018年と2019年の「食品、飲料、酒類」のEC化率は、2.64%、2.89%でしたが、2020年にはEC化率が3.31%にアップしています。

これは、外出自粛によってネットスーパーの利用が広がったことだけでなく、食品産業が物流の課題に取り組み、スピーディかつ効率的な配送システムを整備したことも関係しています。 ダークストアや多店舗間在庫管理システムといった技術を活用した物流の効率化はまだ課題も多いため、解決に導くイノベーションによって今後さらなる伸長を見せるかもしれません。

サービス系分野・デジタル系分野のECの状況

コロナの影響が強く反映されたのが、このサービス系分野です。

飲食業や旅行業、コンサートやイベントのチケット取り扱い事業関連は、伸長率が前年比マイナス36.05%と大きく後退しています。

旅行やレストラン予約、チケット予約のEC化は早く、1990年代後半にはすでにサービスがスタートしていました。今後は、レストランや宿泊施設が感染対策をネット上に明示することで、ネット予約の需要が回復していくように期待されます。

一方で、電子書籍や有料音楽・動画配信、オンラインゲームといったデジタルコンテンツを扱うデジタル系分野は、市場規模が前年比14.9%と伸長が見られます。生活様式の変化によって自宅で過ごす時間が増え、余暇を充実させるための需要が高まった結果といえるでしょう。

コロナ前と後で変化が加速するEC業界

2020年4〜6月の実質GDPは、マイナス27.8%です。これは、戦後最大の落ち込みとされていて、改めてコロナが経済に与えた影響の大きさがわかります。

しかし、いわゆる巣篭もり需要は追い風ともなりました。ECは利用者数が増加しただけでなく、一人あたりの利用金額も増加傾向が見られます。

特に、日用品や食品等今までスーパーで購入していたものをネットで購入する動きが目立ちました。
動画やゲーム、電子書籍等のデジタルコンテンツのオンライン決済も、コロナによって大きく需要を伸ばしたものの一つです。

2022年現在、全ECユーザの約20%はコロナ禍の2020〜2022年に増加したユーザであると考えられています。

10〜60代までの各年代すべてでEC利用者は増加していて、40代にいたっては2019年から22.0ポイントも増加しています。

コロナ以前は、ECを敬遠している層がユーザとして加わるまでには10年単位の時間がかかると考えられていました。ですが、コロナによってその予測は一変しました。

結果として、EC利用に慣れている顧客とそうではない顧客が混在し、多様なアプローチが必要になっているのが現在のECの状況です。 これからECに進出する、あるいはEC部門の拡充を計画していく場合には、コロナ後の消費者を意識した戦略が必要になってきます。

細分化したEC顧客に対応するシステム構築がコロナ後の鍵を握る

ECを幅広いユーザが利用するようになった今こそ、細分化されたニーズを先読みしたシステム構築、EC設計が必要な時です。

ECを利用し始めたばかりの新規ユーザは、初めこそAmazonや楽天市場のような大手サイトのみを利用しているかもしれませんが、いずれは大手ECサイト以外でも買い物をするようになります。

これからは、そうした消費者が使いやすく、なおかつ長期的に使いたいと思えるECシステム作りが必要になっていくはずです。これは、新規ユーザのロイヤルカスタマー化にとって重要なポイントになります。

スマホでも使いやすい購入手順を構築

コロナ前後にECを利用するようになった消費者の中には、デジタルリテラシーがあまり高くない人も多く、「スマホでスムーズに注文できる」ことが購入にいたるきっかけになることもあります。

奇をてらったECサイトではなく、少ないアクションで欲しい商品をすぐに購入できる仕組みづくりが肝要です。

ニーズに対応した決済システムを充実させる

EC利用に慣れていない場合、クレジットカード情報を記入することにためらいを覚えることもあります。ネット上でのクレジット決済が不安な層に向けては、多様な支払い方法をフォローすることも必要でしょう。

SNSも活用してダイレクトアクセスを意識

ECサイト内を検索して欲しい商品を探す消費者もいますが、SNSやブログを見ていて目についたアイテムが欲しくなった、という人も若年層を中心に増えています。

こうした顧客を獲得するためには、とにかくタッチポイントを増やし、SNSやブログからダイレクトに購入できるシステム構築が何より重要になります。

最終的な目標としては、ショッピングと意識させないまま購買へとつなげるのが理想的です。

ヘッドレスコマースに転換する

ダイレクトアクセスを意識してたどり着く先が、このヘッドレスコマースです。

ECだけでなく、二次元コード、スマホアプリ、SNS、UGM(画像・動画・音声等のコンテンツ)といったすべての場所をショッピングの入り口にして、消費者の触れるすべてをECに変えてしまうというのがヘッドレスコマースの基本的な考え方です。

世界のEC化率と越境ECの可能性

世界のEC市場は、日本よりもさらに大きく成長を遂げています。

少し古いデータですが、2018年の世界全体のEC市場規模は313兆円となっています。313兆円とは、2017年から比較すると123.3%増という数字になります。

なお、この内の約61%にあたる190兆円は、アジア太平洋地域の市場規模です。

これに伴って、越境ECも年々その注目度を増しています。

この数年で、越境ECのネックになっていた法律や配送、言語の問題が徐々に解決されて仕組みが整いつつあること、そして海外渡航が難しいという世界情勢であることが、越境ECの追い風として機能すると予想されています。

まとめ

ECサイトはBtoB、 BtoC、 CtoCいずれもまだ伸長の余地を充分に残している分野です。特に、BtoC-ECはDX化によって顧客のユーザビリティを高めることによって、新規ユーザを獲得する、顧客を育てる(ロイヤル化する)ことができるでしょう。ECサイトだけにとどまらず、PCやスマホユーザが目にして触れるすべてのものをショッピングの入り口にすること、扱う商品・サービスによっては積極的に越境ECも検討することが重要になってきます。

これからのECは、コロナ後の価値観や生活様式に即した形に進化させる、これが鍵となるはずです。

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