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即時物流で物流の効率化を。中国での発端から日本のサービス事例を紹介。

「即時物流って最近よく聞くけど、どんな意味なんだろう…」

と思っている方に向けて記事を書きました。

近年、ECショップを中心に即日配達などの即時物流サービスが増えてきています。
とはいえ、即時物流サービスとはどのようなものなのか、具体的なサービス事例などはわかりにくいですよね。


そこで、この記事では「即時物流」を理解するために、
をお伝えします。


物流というと難しいイメージをお持ちかもしれませんが、概要を理解するだけならハードルは高くありません。


まずはこの記事で「即時物流」の概要を理解しましょう。


「即時物流」とは実店舗を活用した短時間宅配サービス

「即時物流」は主にEC(電子商取引)市場において、お客さまへ商品を配送するさいに使われる、いわばBtoCのサービスです。


これまでECショップでは、商品を購入すると主に専用の倉庫から出荷されていました。この場合、倉庫から近いエリアであれば早く商品を届けることができます。


しかし近年、商品の注文から配達までにかかる時間の競争が激しくなり、これまでの専用倉庫からの発送ではライバルに勝てなくなってきました。ここで登場したのが「即時物流」です。


「即時物流」の場合、注文を受けたECショップは商品を専用の倉庫からではなく提携している実店舗から発送します。実店舗は購入者の最寄りのスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ショッピングモールなどです。


この「即時物流」により、ECショップで購入した商品が数時間以内に届くというサービスが実現しました。


では「即時物流」はどのように誕生したのか。その経緯を続いて解説します。


即時物流の発端は中国のECサイト「アリババ」

「即時物流」を最初に始めたのは中国の大手ECサイトのアリババです。


当時の中国はITの普及によりEC市場が急速に成長したものの、成長モデルは限界が見え始めていた頃でした。各社新しいビジネスモデルを探しているなか、2017年にアリババは中国最大級の小売業者である「百聯集団」と提携します。


この提携により、アリババは「百聯集団」が持つ全国200都市にある4,700ヶ所の店舗を活用した新しい物流ネットワークを作りました。


アリババのECサイト「天猫(Tmall)」に出店しているドラッグストアのワトソンズは、この物流ネットワークを活用し実店舗から3km以内は2時間以内に配送するというサービスを開始しました。これが「即時物流」の始まりです。


今では、購入者が集中する住宅街やターミナル駅付近において、実店舗の争奪戦が始まっています。


ではこの「即時物流」はどのような考えから生まれたのでしょうか。


これからは顧客の購入体験を中心としたニューリテールが重要

即時物流は「ニューリテール」というビジネスコンセプトから生まれました。このニューリテールについて誕生した背景とコンセプトについて解説します。


ニューリテールとはアリババが提唱した小売のコンセプト

「ニューリテール」とは2016年10月に中国のECサイト「アリババ」の会長ジャック・マー氏が提唱した10年~20年先の未来に訪れるであろうリテール(小売)の考え方です。


このニューリテールは、小売においてオンラインとオフラインを融合させ、更にテクノロジーとデータを物流と小売に活用するというビジネスモデルです。


オンライン販売と実店舗販売はそれぞれ課題があります。これらの課題をテクノロジーの力によって解決させようというのがニューリテールの考えです。



では具体的にどのような課題があり、何の方法で解決しようとしているのでしょうか。


ニューリテールの中心は顧客の購入体験

ECショップの登場により顧客はいつでもオンラインで買い物ができるようになりました。しかしオンライン販売では、顧客は商品を手にとって試せないという課題があります。


一方、実店舗では顧客は商品を手にとって試すことが可能です。しかし、店舗は常に一定の在庫やスタッフを確保しなくてはならず、結果としてコストがかかります。


これまでの小売では、顧客の購入体験を中心に「商品」と「店舗」はそれぞれ課題を抱えていました。ニューリテールではテクノロジーで「顧客」と「商品」と「店舗」の3つをつなぎ、新たなビジネスモデルを構築します。

このニューリテールの考えのもと生まれたのが「即時物流」です。

即時物流のサービス事例

即時物流のサービスは海外の話に思えるかもしれませんが、意外と日本でも提供されています。ここでは事例として、
  • Amazon
  • 楽天
  • Yahoo!JAPAN
  • ヨドバシカメラ
  • イオン
  • ドン・キホーテ
  • LINE
が提供しているサービスを紹介します。


Amazon:最短2時間配達、当日配達など様々なサービスを展開

Amazonは次の3つの即時物流サービスを提供しています。
  • 当日お急ぎ便
  • Prime Now(プライムナウ)
  • Amazon フレッシュ

当日お急ぎ便
当日お急ぎ便は、注文当日に商品を届けてくれるサービスです。一部地域でのみ利用可能で、配達の時間帯を指定することはできません。


Amazon当日お急ぎ便は、送料に加えて以下の追加料金を支払うことで利用可能です。
  • 本州・四国(離島を除く):600円
  • 北海道・九州:640円

Prime Now(プライムナウ)
Prime Now(プライムナウ)は、Amazonが提供する最短2時間で商品を届けてくれるサービスです。現在は、東京都、神奈川県、千葉県、大阪府、兵庫県の一部地域で利用できます。


以下のいずれかのプライム会員になると利用可能です。
  • プライム月間:400円/月
  • プライム年間:3,900円/年

配達時間は朝8時から深夜0時まで2時間ごとの指定ができ、専用アプリを使えば配達の状況をリアルタイムで確認できます。


Amazon フレッシュ
Amazonフレッシュは、生鮮、食品、飲料などを最短4時間で届けてくれるサービスです。現在は、東京都、神奈川県、千葉県の一部地域で利用できます。


プライム会員に入りAmazonフレッシュに会員登録(月額500円)することで利用ができます。さらに1回の注文が6,000円(税込)未満の場合は、500円のフレッシュ配送料がかかります。


配達は朝8時から深夜0時まで2時間ごとの指定ができます。


楽天:追加料金なしで翌日配達、商品のジャンルが豊富

楽天は楽天市場において「今日買って、明日届く!」サービスあす楽を提供しています。正午までに注文すると地域限定で翌日に配達してくれるサービスです。


サービス利用手数料は無しで、楽天会員であれば誰でも利用できます。グルメや日用品、ファッションなど様々なジャンルの商品を取り扱っています。


Yahoo!JAPAN:様々なエリアで当日や翌日に配達

Yahoo!JAPANは、当日配達「きょうつく」と翌日配達「あすつく」を提供しています。注文の当日もしくは翌日に配達してくれるサービスで各ストアが指定したエリアでのみ利用ができます。


追加の料金は無しで利用できますが、配達時間帯の指定はできません。


ヨドバシカメラ:送料無料で追加料金なし、最短で当日に配達

ヨドバシカメラのネットショップ「ヨドバシ.com」は、最短で注文の当日に商品を届けてくれます。東京都、神奈川県、千葉県の一部地域のみで利用でき、13時までの注文で当日の配達が可能です。


配送料金は無料で、当日配達に追加の料金はかからず利用できます。


イオン:最寄りのお店やイオンショップから最短3時間で配達

イオンが提供している「イオンネットスーパー」は、食品や日用品を最短3時間で届けてくれます。


最寄りのお店やイオンショップから配達するため、広いエリアで利用可能です。
イオンネットスーパーに会員登録することで利用できます。


ドン・キホーテ:majica Premium Now(マジカプレミアムナウ):最短で58分以内に配達する驚きのサービス

ドン・キホーテの「majica Premium Now(マジカプレミアムナウ)」は、最短で58分以内に商品を届けてくれるサービスです。


現在はMEGAドン・キホーテ大森山王店(東京都大田区)の半径約5km以内でのみ利用ができますが、対象店舗は順次増やしていく予定です。


購入金額が2,000円以上で利用できます。配達時間と配達料は店舗からの距離によって変動。58分以内の配送は店舗から半径約3km以内のエリアが対象で配達料は750円かかります。


店舗から半径約5km以内のエリアでは、2時間ごとの配達時間帯から選ぶことができ送料は無料で配達してくれます。


LINE:タイで提供している即日配達のサービス

LINEの「LINE MAN(ラインマン)」は、LINEアプリを使って荷物の配送やフードデリバリーなどを当日中に提供するサービスです。現在はタイでのみサービスが展開されており日本では提供されていません。


荷物や食事など、それぞれにおける即時配達を提供する物流ベンチャーと提携しており、追加料金なしで利用できます。


ここまで即時物流のサービス事例を紹介しました。


では実際に商品を配達する運送会社は、どのような取り組みをしているのでしょうか。最後に運送会社の即時物流に対する取り組み事例を紹介します。


運送会社の即時物流に対する取り組み事例

即時物流に対応するために、運送会社も様々な取り組みを行っています。


ここでは、
  • 佐川急便
  • 福山通運
の2社について、即時物流に対する取り組み事例を解説します。



佐川急便:物流工程の上流から下流まですべてを最適化

佐川急便は物流工程の上流から下流まですべてを最適化し、即時物流を実現しています。物を運ぶという工程だけでなく納品方法や保管スペース、流通加工など、あらゆる工程の課題を解決したサービスです。


自社で実践したノウハウを活用して、物流のコンサルティングも行っています。


福山通運:日本全国で「福山通運流通センター」を開設

福山通運は「必要な時に必要なものを確実に供給」という考えのもと日本全国で「福山通運流通センター」を開設しました。各都市の福山通運流通センターは、いずれも物流における重要拠点に立地しています。


さらにハードとソフトの両面に最新のテクノロジーとノウハウを導入し、即時配達を実現しています。


即時物流を正しく理解して、物流の効率アップを図ろう

ここまでをおさらいします。


まずは即時物流の概要についてお伝えしました。


これまでのECショップは商品の注文を受けると専用の倉庫から出荷していましたが、より早く商品を届けるために購入者の最寄りの実店舗から配達するようになりました。これが即時物流です。


この即時物流の考えは、2016年10月に中国のECサイト「アリババ」の会長ジャック・マー氏が提唱した「ニューリテール」というビジネスコンセプトがもとになっています。


商品を手にとって試すことができないオンライン販売、在庫やスタッフの確保でコストがかかる実店舗販売、それぞれの課題をテクノロジーで解決するビジネスモデルがニューリテールです。即時物流はこのニューリテールの考えのもと誕生しました。


即時物流のサービスは日本でも多く提供されており、事例として次のものを紹介しました。
  • Amazon:当日お急ぎ便、Prime Now(プライムナウ)、Amazon フレッシュ
  • 楽天:あす楽
  • Yahoo!JAPAN:きょうつく、あすつく
  • ヨドバシカメラ:ヨドバシ.comの当日配達
  • イオン:イオンネットスーパーの当日配達
  • ドン・キホーテ:majica Premium Now(マジカプレミアムナウ)
  • LINE:LINE MAN(ラインマン)

また即時物流に対応するため、運送会社もテクノロジーやノウハウを導入した様々な取り組みをしています。


ますます競争が激しくなる小売業界で、即時物流は必須でしょう。ライバルに差をつけるためにも各サービスが提供している即時物流サービスを参考にしてみてください。

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