日本の小売業界にも変革をもたらす!アリババのニューリテール戦略~Interop Tokyo基調講演レポート~
6月13~15日に開催されたInterop Tokyoの基調講演の一つ、アリババグループのUnique Song氏による「中国と世界の小売業界に変革をもたらすアリババの『ニューリテール』戦略」と題したセミナーレポートをお届けします。
ニューリテールとは、アリババグループの創業者で現会長のジャック・マー氏が2016年に提唱したO2O戦略のコンセプトです。オンラインとオフライン、物流はそれぞれUX(ユーザー・エクスペリエンス)が限られていますが、それらをシームレスに融合することによって新しいUXを提供するのがニューリテール戦略です。
これは、オンラインとオフラインが融合していないとできないことです。
中国人の友人から聞いた話では、「日本での買い物は大変」と言います。銀座のドラッグストアや百貨店で買い物をしようとして、商品が売り切れていたら買うことができません。他の場所の店舗ならば在庫があるのにです。
大きな原因は、店頭では多言語化された商品情報がないことが多く、口コミに頼るしかないということです。外国人は口コミを見て同じ店に行き、在庫がなくなるという悪循環です」
オフラインでの情報がオンライン化されていれば、在庫がある店に行ったり、取り寄せたりといったことが可能というわけです。
こうしたボトルネックを解消するための戦略として、ニューリテール構想に基づいた様々な施策が生まれているとし、ソング氏は様々な事例を紹介しました。
オフラインの情報をオンライン化し、一元管理する部署が司令塔となってコントロールすることで、販売予測や在庫の最適化、商品の自動補充、配送経路の最適化ができるようになるのです。
ソング氏「アリババクラウドを提供するうえで、お伝えしておきたいのは「アリババは皆さまのデータには触れない」ということです。アリババはメソッドとテクノロジーを提供するだけです」
データだけではビジネスになりませんし、ビジネスはデータを活かしてこそです。
顧客サービスはUX中心でなくてはなりません。そのためには、IT担当者はビジネスの感覚を持たなくてはなりません。
業務側とビジネス側で分かれてしまっては、満足度の高い顧客サービスは生み出せません。」
最後に、アリババクラウドについて、ソング氏は以下のように語りました。
ソング氏「データは顧客の資産であり、アリババはデータ活用をサポートするだけです。
様々なコンプライアンスニーズに応え、世界的なデータセキュリティの保護基準にも準拠しています。
アリババでは日本にデータセンターを作り、ローカルアクセスできるようにしました。ユーザーのデータは日本国内で格納され、海外に持ち出されることはありません。」
オンラインとオフラインを融合した「ニューリテール」は、今後の日本の小売業界にも少なからず影響を与えるきっかけにもなるでしょう。
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- 小売業のボトルネックはオンライン、オフライン双方にある
- アリババのニューリテール戦略の実例
- オンラインとオフラインの融合を目指す
中国と世界の小売業界に変革をもたらすアリババの『ニューリテール』戦略
ニューリテールとは、アリババグループの創業者で現会長のジャック・マー氏が2016年に提唱したO2O戦略のコンセプトです。オンラインとオフライン、物流はそれぞれUX(ユーザー・エクスペリエンス)が限られていますが、それらをシームレスに融合することによって新しいUXを提供するのがニューリテール戦略です。
オンラインのボトルネック
- 成長スピードが遅い
- 顧客のコストが高い
- 商品やサービスを試すことができない
オフラインのボトルネック
- 運用コストが高い
- 人件費がかかる
- 顧客ニーズの的確な把握が難しい
小売店のボトルネックの例
ソング氏「たとえば、ある店舗で一人の客が入店したとします。その客が初めての来店なのか、何回か来店したことがあるのか、過去にどんな商品を購入していて、どんな商品に興味があるのか、そういった情報を店舗スタッフは瞬時に記憶や記録から引き出すことができますか?これは、オンラインとオフラインが融合していないとできないことです。
中国人の友人から聞いた話では、「日本での買い物は大変」と言います。銀座のドラッグストアや百貨店で買い物をしようとして、商品が売り切れていたら買うことができません。他の場所の店舗ならば在庫があるのにです。
大きな原因は、店頭では多言語化された商品情報がないことが多く、口コミに頼るしかないということです。外国人は口コミを見て同じ店に行き、在庫がなくなるという悪循環です」
オフラインでの情報がオンライン化されていれば、在庫がある店に行ったり、取り寄せたりといったことが可能というわけです。
こうしたボトルネックを解消するための戦略として、ニューリテール構想に基づいた様々な施策が生まれているとし、ソング氏は様々な事例を紹介しました。
中国で行われているニューリテールの実例
- ECサイト淘宝網(タオバオワン)の体験ストア
- 次世代型食品スーパー「盒马(ヘマ)鮮生」
- 無人カフェ
- スマートホーム
- デジタルコンビニ
- スマート自販機など
オフラインの情報をオンライン化し、一元管理する部署が司令塔となってコントロールすることで、販売予測や在庫の最適化、商品の自動補充、配送経路の最適化ができるようになるのです。
アリババクラウドについて
アリババのEC事業は独自のクラウドサービスである「アリババクラウド」で展開されています。さらに、アリババクラウドは2016年にソフトバンクとの合弁会社SBクラウドを通じ、日本市場にも参入しました。ソング氏「アリババクラウドを提供するうえで、お伝えしておきたいのは「アリババは皆さまのデータには触れない」ということです。アリババはメソッドとテクノロジーを提供するだけです」
二つのハブポイント「ビジネスハブ」「データハブ」
ソング氏「データのマネタイズという言い方は我々はしません。データは商用化され、ビジネスに活用されてこそだからです。データだけではビジネスになりませんし、ビジネスはデータを活かしてこそです。
顧客サービスはUX中心でなくてはなりません。そのためには、IT担当者はビジネスの感覚を持たなくてはなりません。
業務側とビジネス側で分かれてしまっては、満足度の高い顧客サービスは生み出せません。」
最後に、アリババクラウドについて、ソング氏は以下のように語りました。
ソング氏「データは顧客の資産であり、アリババはデータ活用をサポートするだけです。
様々なコンプライアンスニーズに応え、世界的なデータセキュリティの保護基準にも準拠しています。
アリババでは日本にデータセンターを作り、ローカルアクセスできるようにしました。ユーザーのデータは日本国内で格納され、海外に持ち出されることはありません。」
まとめ
アリババはBtoB ECからスタートし、現在では決済も含めた小売のインフラの大きな部分を担うようになっています。オンラインとオフラインを融合した「ニューリテール」は、今後の日本の小売業界にも少なからず影響を与えるきっかけにもなるでしょう。