ECにおけるリッチメディア広告の可能性
ウェブ広告の売上が新聞広告やテレビ広告に迫ってきています。もともとウェブ広告に対して否定的な目を持っていた大企業でさえも今は当然のごとく、ウェブ広告を配信しています。新聞やテレビと違ってウェブのスペースは無限です。広告を載せる範囲に制限がないため既存広告と比べて相対的に高い費用対効果が期待できます。そしてウェブ広告はバナーや画像、GIFや動画まで広告方法は多岐に渡っています。
- インターネット創生期は画像やバナー、GIF広告が主流であった
- 最近は動画や音楽も使ったリッチメディアが注目を浴びている
- リッチメディアが台頭した理由はコーディング技術とインターネット環境の進化である
- YouTubeやクラシル、バウンシーが有名なリッチメディアだが、SNS自体もリッチメディアになりつつある
- EC事業者はリッチメディア広告を出すべき
- 自社でリッチメディアを保有し、さらにSNSを絡められれば、販促がかなり楽になる
インターネット創生期は画像やバナー、GIF広告が盛況
インターネット広告は、インターネット創生期から世に出回り始めました。当時は画像やバナー、GIF広告が一般的でした。画像やバナー、GIFはサイズが小さいため読み込み時間が早く、インターネットスピードが遅かった当時ではベストな素材群でした。
これらの広告はそれぞれの素材をクリックするとウェブサイトのリンクがその素材に貼ってあるので、閲覧者を誘導したいサイトに飛ばすことができます。
環境の変化によるリッチメディアの台頭
画像やバナー、GIFなどのいわゆる静的な素材(GIFはさまざまな見解がありますが)などの既存広告にプラスして、動画や音声などの動的な素材も活用しているメディアをリッチメディアと呼び、さらにそのようなメディアに出す広告をリッチメディア広告と呼びます。
リッチメディアは動画や音楽といったより人間の日常に近いコンテンツを使っているメディアなので、静的なメディアよりも上質なのですが、インターネット創世期ではリッチメディアを運営するための最適な環境が存在しませんでした。動画をウェブサイトに埋め込むのは簡単ではありませんでしたし、埋め込めたとしても、受け取るユーザー側の通信環境やデバイスの性能によって、リッチメディアコンテンツを読み込むスピードが遅すぎるという問題がありました。
そのため昔は動画や音声をメインとしたウェブメディアは存在しませんでしたが、昨今は環境変化によりリッチメディアが一般的になってきました。その環境変化は大きく2つあります。
1:IT技術の進化
コーディング技術の革新が、リッチメディアを簡単にさせました。動画や音楽のアップロードやウェブサイト上で、それらコンテンツを流す技術は決して簡単な作業ではありませんでしたが、HTML5登場により動画や音楽のウェブ公開がたやすくなりました。videoタグ、audioタグによるものです。<video></video>で動画ファイルを囲めば、ウェブサイト上で動画を流せるようになりましたし、<audio></audio>で音楽ファイルを囲めば、ウェブサイト上で音楽を流せるようになりました。
これら新設のHTMLタグを活用すれば比較的簡単にリッチメディアが作成できます。
2:ブラウザー、インターネット回線など環境の進化
ブラウザーの読み込み速度の進歩や、インターネット回線のスピードアップで、インターネットの利用環境改善もリッチメディアの存在感を高めました。スマートフォンの普及でインターネットが常に身近にある世界が実現し、インターネットが娯楽になったこと、アプリ市場の誕生で簡単に目的とする情報を享受できるようになったなどもリッチメディアの台頭には忘れられない要因です。
有名なリッチメディア
有名なリッチメディアには以下のようなメディアがあります。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
世界最大規模のリッチメディア「YouTube」
世界最大規模の動画メディアのYouTubeは、インターネットが出回り始めた時から世に知られていました。2000年代初頭は、まだ動画を見るための環境が整っていなかったため、動画を見ている最中に途中でストップするようなことも多くありましたが、今は環境の進化によりスムーズに動画が見られます。以前はアップロードされた動画がただ流れるだけでしたが、今は動画再生前にリッチメディア広告が流れています。
レシピのリッチメディア「クラシル」
レシピ動画のクラシルは最近有名になり始めたリッチメディアの一つです。レシピを画像や文章で紹介するメディアは多くありますが、クラシルは動画を活用した事で、よりリアルな料理作りの紹介に成功しています。
テクノロジー系リッチメディア「バウンシー」
未来のテクノロジーや商品を紹介するバウンシーは新しく、かつユーザーを驚かせる未来の商品を紹介するリッチメディアです。最新情報や未来の情報を発信しているためワクワクするコンテンツが多いです。
SNSもリッチメディア化の兆し
フェイスブックなどのSNSはもともと画像や文章がメインでしたが、現在は動画アップロードが可能となりました。動画の方がその場の雰囲気も伝わるため、動画投稿も増えています。
EC事業者がリッチメディア広告を出すべき理由
このようにリッチメディアが増えているので、事業者は既存形式で広告を出すべきか、動画や音楽にのせてリッチメディア広告を出すべきか選択できるようになりました。それぞれ特性はありますが、特にEC事業にとってはリッチメディア広告の方が費用対効果は高いように感じます。動画で広告を出す時の特徴を考えてみましょう。
商品購入後をイメージさせやすい
商品を売るためには、商品購入後のライフスタイルをイメージさせることが重要です。洋服であれば、洋服を着ている自分をイメージさせて、キッチン用具であれば、自宅のキッチンでそのキッチン用具で調理している自分をイメージさせると購入のきっかけになります。購入後をイメージさせることは物販ではとても重要です。
多くの商品を紹介できる
バナーや画像広告は不動で常に同じ表情しか見せませんが、動画は常に表示されているコンテンツが変わります。そのためたくさんの商品紹介が可能なので、EC運営者にはメリットしかありません。今までは断片的な広告しか出せなくても、動画にすればテレビコマーシャルのようにスムーズに多くの商品を紹介することができます。多くの商品が紹介できるということは、それだけ商品が購入される機会が増えることを意味します。ユーザーが見続けたい構成、内容で動画が作れれば、ユーザーは最後まで閲覧してくれるでしょう。
自社でリッチメディアを保有できれば最強
最近では企業のオウンドメディア所有率が高まってきています。オウンドメディアは自社商品に関連するコンテンツを提供するサイトが多く、そのコンテンツを見ることで自社商品への購入を促そうとするウェブマーケティング手法です。
そしてEC事業者がリッチメディアをオウンドメディア化できれば、それは最強の販促ツールに変わります。そのメディアでは自由自在に自社商品を紹介でき、クリック1つでそのまま商品購入が可能になります。これほど強い販促ツールはありません。
SNSを絡めて話題の動画に
現在、ユーザーにサイトを見てもらうには検索エンジンからの流入以外にSNSからの流入があります。特にSNS上でフォロワーを増やして定期的に動画を流せられれば、潜在顧客増が期待できます。またフォロワーは面白ければ簡単にリツイートやシェアをしてくれるので、拡散力も抜群です。今は画像よりも動画が拡散されやすい傾向にあるためぜひリッチメディアを上手に使って、自社のPRそして売上拡大を目指してください。