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ネット通販が苦しむ配送料値上げの影響

インターネットサービスやスマートフォンの普及によってインターネットショッピングが大変身近になりました。今までは街に出て買物をしていたお客様はパソコンやスマートフォンを操作するだけで欲しい商品を購入できます。
実店舗ではありがちな「せっかく購入しに行ったのに、在庫がない」、「実は違うお店の方が値引きして売っていた」というようなリスクもインターネット上にはなく、在庫確認や値段比較が簡単にできます。
そしていざ購入となった際には購入するお店の所在地を気にする必要はありません。ネット通販では全国どこのお店からでも商品を送ってもらうことができます。

このように、実店舗よりもコストパフォーマンスをアップさせたネット通販は急成長をみせていますが、一方で軋みも発生し始めています。
ネット通販というデジタルサービスでも商品配送はアナログな運送業者が担っています。そしてネット通販の成長により運送業者の忙しさはピークを迎えています。運送業者の配送遅延や商品の扱いに対する問題が近々目立つようになり、サービスの質も低下し始めていたため、運送業者大手のヤマト運輸はいよいよ値上げに舵をきりました。

  • ヤマト運輸は配送量増加や再配達による収益悪化改善のために値上げせざるをえなかった
  • ネット通販は安くて手間いらずで買い物ができる
  • 配送料値上げは薄利多売通販業者にとっては死活問題である
  • 今後は通販業者も物流に関与を強めていく時代となる

ヤマト運輸が値上げせずにはいられなかった事情

配送料値上げをすれば、他の業者に注文が流れるかもしれないリスクがあります。にもかかわらず、なぜここにきてヤマト運輸は値上げに踏み切ったのでしょうか。理由は様々あるのでしょうが、アナログ的労働力でビジネスが成り立っているため、値上げの理由もやはりアナログ的な事由に起因します。

EC市場拡大による社員の確保

ECモールやECプラットフォーム、EC運営企業の増大などによりEC市場は盛り上がりをみせています。EC事業を行うにはECサイトを構築する必要がありましたが、モールやプラットフォームの登場により、随分とECサイトが運営しやすくなりました。
しかしその一方で商品を配送する宅配業者にのしかかる負担は増大しつつあります。一日に何件も配送先を回らなければならないし、効率よく回るためにしっかりとした配送計画を立てねばなりません。そして配送は時間との勝負です。通販業者や購入者から配送日を指定されているため、プレッシャーによる疲労は尋常でなく、人材の入れ替わりも激しいでしょう。
そのためニュースでも耳にする通り、配達会社は大変な人材不足に直面しています。人材を増やすためには配送料をアップして、雇用コストを確保する必要があります。

再配達増による収益の悪化

ネット通販利用者は忙しいビジネスマンが多いため、配送時に商品を受け取れないことがしばしばあります。その場合は配送業者が郵便ポストに不在票を投函して、後程配送に伺わねばなりませんが、現状、再配達に追加費用は必要ないので、運送業者からすれば完全なサービスです。そのため売上に上乗せできないのであれば再配達する分だけ、運送会社には余分なコストが発生し、収益を圧迫します。利用客が増えるとその分、再配達数も増えるので、この構造では収益を圧迫し続けます。

ネット通販の仕組み

今までと何ら変わりない商品なのに、お客様が支払うコストは増えるため、顧客を失う通販業者はたくさんいるでしょう。今までコツコツと関係を築いてきたお客様も一気に離れてしまいます。今までお得意様になってもらうようにしてきた色々な努力も一蹴されるほど送料の値上げは通販業者に暗い影を落とします。

ECサイトは手間いらずだから顧客はネットで買う

そもそもなぜお客様は実店舗ではなくて、通販で商品を購入するのでしょうか。ここを突き詰めればお客様がネット通販から離れていく理由が分かる気がします。
まずお客様がネット通販で商品を購入する理由は、利便性が高いからです。基本的に実店舗よりも安価で商品を販売している業者が多く、さらにお客様は自宅にいながら購入したい商品の値段比較ができますので、最安値の商品を手に入れることができます。
そして、ネット通販には手間がかかりません。ネット通販であれば本当に欲しい商品をじっくり吟味して購入ができます。わざわざお店に足を運ばなくとも欲しい商品を自宅で購入できて、配送で送られてくる利便性の高さは、それを必要とする消費者にはたまらないメリットなのです。

物流はネット通販の要となる仕組み

これらの便利なサービスをお客様に提供する要が物流です。ネット通販で商品を購入できたとしても、配送を代行してくれる会社(やヒト)が存在しなければ、このネット通販は成り立ちません。物流はこのネット通販を根底から支える仕組みなのです。
この物流を担ってくれて、全国に届けてくれる配送会社が存在するから成り立つのです。ネット通販業者は物流網を上手に活用して成長してこられたのです。その基盤となる配送業者からの値上げは、ビジネスで言うところの固定費の増加になります。変動費ならば幾分目をつぶれますが、固定費の増加は利益構造に大きく響いてしまいます。

薄利多売通販業者は廃業の危機

特に薄利多売のネット通販業者は廃業するところが多く出てくるでしょう。薄利多売企業の特徴は、供給が多い商品をいかに他店より安く販売するかにかかっています。そのため値段設定は最安値がスタンダードです。1商品ごとの利益の幅を少なくする分、たくさん販売して利益を稼ぐ方式ですが、お伝えした通りネット販売は低価格化が進みやすく、さらに今回の送料値上げで今まで獲得していた少ない利益を出すのさえ厳しくなります。今までの販売価格を維持するとしても利益は大幅に減りますし(場合によっては利益が出ない)、商品価格に上乗せするとお客様は離れていきます。薄利多売のネット通販業者は利益体質の改善を迫られています。


高付加価値商品企業は値上げ分を転嫁できるか

高付加価値商品、いわゆる希少価値が高かったり、オリジナル商品だったりを取り扱っているネット通販は薄利多売ネット通販業者よりは値上げ分を商品に転嫁させやすいでしょう。そもそも高付加価値商品を購入されるお客様は値段を理由に購入していません。商品の価値のみで判断しますので、価値があれば高くても購入するし、逆に価値がなければ安くても購入しません。そのため送料分の値上げでお客様がゾロゾロと離れていくことはないでしょう。高付加価値商品を扱うネット通販業者は値段よりもいかに他と差別化できるかが成功の重要なファクターとなります。

通販会社が物流への関与を強める時期に

既存のネット通販部門を改善する方向へ舵を切る業者もあれば、一方で大手のネット通販業者はこのような外部リスクをヘッジするために自らが物流まで担おうとし始めています。特に商品取り扱い数の多いアマゾンやヨドバシカメラは自前での物流網構築を急いできます。
このような大きな企業になると自ら物流網を作ってしまった方が将来的にはプラスになるかもしれません。小さなネット通販業者は、何十社かの連合で物流網を作るのも良いかもしれません。どちらにせよ、送料の値上げはネット通販業者が物流に関与、関心を強め、外部に頼らない体制を構築する良い機会になりそうな気がします。今後も通販業者が物流に関与していく流れは強まっていくでしょう。

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