送料自由化を考える!ECサイトZOZOTOWN(ゾゾタウン)が始めた独創的な取り組み
2017年10月EC業界に大きなニュースが飛び込んできました。今までの常識を覆すアイデアです。それは「送料自由化」。送料均一や送料無料化は聞いたことがあるかと思いますが、送料自由化?という若干クエスチョンマークがつくようなサービスが始まりました。
送料を0円でもいいし、何なら1000円でもいいの?という少し理解に時間がかかるサービスですが、あながち思いつきのアイデアではなさそうです。
昨今、再配達問題や送料の値上げ、配送ドライバーの過重労働など、EC業界にも大きく関わる「配送料」の問題に、新しい視点を与えてくれる「送料自由化」について考えてみます。
このような事態はあらかじめ経営に疎い人でも予測できたように感じますが、それにもかかわらずZOZOTOWNがこの送料自由化を始めた理由は一体なんでしょうか。推測の範疇を出ませんが、あり得る可能性を考えてみることにしましょう。
さらに全国規模の企業となると多くの優秀な従業員が必要となります。人手不足が騒がれる中、知名度が上がってユニークな会社と分かれば、優秀で独特の感性を持つ方がスタートトゥディ入社を希望するようになるため、採用活動にもプラスになります。
送料という観点だけで見ればマイナスですが、サービス価値や企業価値というブランディング視点も含めればプラスになるのかもしれません。数あるECサイトの中で唯一送料自由化をやっているであろう、企業の名前やサービス名はおそらく忘れないでしょう。
唯一、近い文化としては神社の御賽銭がそれに該当するのかもしれませんが、サービスという意味で言うと日本にPay What You Want方式のサービスはほぼありません。
日本の場合は、どちらかと言えば「無料は申し訳ないから」という後ろめたさから、このPay What You Want方式が浸透するかもしれません。
しかし、できる事なら後ろめたさよりも本心で感謝の意を示す、前向きな感情で好きなだけ支払いたいものです。
そもそもこの創造性あふれた斬新なアイデアにメリットを感じる企業は今のところ少ないのではないでしょうか。企業価値やサービス価値の向上が想像できるメリットですが、もしかしたら今のところ想像不可なメリットをZOZOTOWNにもたらすかもしれません。
これで何らかのメリットをを感じられたら、他の企業も追随するかもしれませんが、おそらくZOZOTOWNほど大きいECサイトでないとメリットもなく、広告にもならないため、真似するとしても大手ECサイトではないでしょうか。
何はともあれ、先行してリスクを取りながらも、斬新なサービスを世に提供し続けるZOZOTOWNが、EC業界に新たな視点、考え方を与えてくれたニュースでした。
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送料を0円でもいいし、何なら1000円でもいいの?という少し理解に時間がかかるサービスですが、あながち思いつきのアイデアではなさそうです。
昨今、再配達問題や送料の値上げ、配送ドライバーの過重労働など、EC業界にも大きく関わる「配送料」の問題に、新しい視点を与えてくれる「送料自由化」について考えてみます。
- 送料自由化はユニークな社風が生み出したサービスである
- 送料はマイナスだが、送料無料化でサービスや企業価値が上がる
- Pay What You Wantの概念は欧米では一般的だが、日本ではなじみが薄い
- 追随する企業は今のところ見られない
仕掛けたのはZOZOTOWN
その仕組みを考えたのは、スタートトゥデイが運営するECサイトのZOZOTOWNです。ZOZOTOWNは比較的オシャレな商品を取り扱っていて、特に若者に人気のECサイトです。社長の前澤さんがとてもユニークな発想の持ち主で、最近では商品をツケ払いで購入できるサービスを導入したり、社員の労働時間は6時間でボーナスも一律にしたり、など、一般的な慣習などとは一風変わった取り組みを行っている会社です。企業としても成長著しく、東証一部市場にも上場しています。送料自由化の仕組みとは
送料自由化の仕組みはこうです。送料を設定する箇所は、プルダウン方式と自由記入方式どちらかを選んで設定ができます。 プルダウンの場合は100円から1500円まで100円刻みで選択ができ、自由記入欄は0円~3000円までを1円単位で記入ができます。もし、自由記入方式で0円を選択した場合は送料無料で利用が可能です。プルダウンも記入も選択せず、空白のままであれば一律400円が送料として設定されます。スタートトゥディ社長の考え
スタートトゥディ前澤社長は、自身のツイッターで「自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います。」と発言しています。実際、宅配業界(=ここで言う、運ぶ人)の労働環境は日に日に厳しさを増しています。EC市場が拡大するにつれて、宅配業界は人手不足になり、従業員一人に対する負担もかなり大きくなってしまいました。さらに再配達サービスがあると何度も同じ自宅に伺わないといけません。最近では送料無料サービスも増えてきたためその影響でモノを運ぶ人の相対的価値が低下し、横柄な対応をするお客様も存在しています。この送料自由化が直接的に宅配会社の利益になるわけではありませんが、ある意味では送料が運ぶ人に対する感謝の意として扱えるようになるかもしれません。Array【送料自由】本日よりZOZOTOWNの送料は、お客様のお気持ちやご都合で自由に決めていただけるようになりました。0円でも500円でもお客様の自由です。自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います。よろしくお願いします。
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2017年10月1日
もし想定以上に送料が支払われたら
ZOZOTOWNから宅配会社に支払う費用は決まっていて、このサービスが始まったことで宅配会社の利益が増えるわけではありません。送料が低かろうが高かろうがZOZOTOWNは一定の金額を支払うようです。ただし、想定以上に送料が支払われるようであれば、その金額は物流サービスのレベルアップに投資するようです。ZOZOTOWNにとってのメリットとは
実際この制度を開始して、一定期間のデータを分析したところ、お客様が本来支払うべき送料よりも多く支払ったお客様はたったの0.2%だったそうです。つまり全体の99.8%の方は実際の送料よりも少ない金額を支払っていることになります。そのためゾゾタウンから運送会社に支払う金額は一定により足りない金額はZOZOTOWNが補填せねばならず、ZOZOTOWNとしてはマイナスになってしまいます。このような事態はあらかじめ経営に疎い人でも予測できたように感じますが、それにもかかわらずZOZOTOWNがこの送料自由化を始めた理由は一体なんでしょうか。推測の範疇を出ませんが、あり得る可能性を考えてみることにしましょう。
サービスの認知度が上がる
これだけ独特な新しい取り組みはtwitterやFacebook、ブログなどで一気に拡散されます。今までにないサービスなので情報の爆発力は高いでしょう。おそらくこれだけでかなりの広告効果が得られるのではないでしょうか。 それに伴って、今までZOZOTOWNを利用したことがないお試し客も登場するでしょう。実際に自由な送料で頼めるのか、チャレンジするかもしれません。サービスの認知度アップにはかなり貢献しそうです。企業のユニークさが伝わる
さらにプラスなのは、サービスに対してだけではありません。このユニークな送料自由化のサービスを考えた会社はどのような会社なのだろうかと多くの方は考えるでしょう。当然インターネットや書籍でスタートトゥディを調べ始めます。スタートトゥディは株式公開していますので、株価にも影響を及ぼすでしょう。(良くも悪くも)さらに全国規模の企業となると多くの優秀な従業員が必要となります。人手不足が騒がれる中、知名度が上がってユニークな会社と分かれば、優秀で独特の感性を持つ方がスタートトゥディ入社を希望するようになるため、採用活動にもプラスになります。
送料という観点だけで見ればマイナスですが、サービス価値や企業価値というブランディング視点も含めればプラスになるのかもしれません。数あるECサイトの中で唯一送料自由化をやっているであろう、企業の名前やサービス名はおそらく忘れないでしょう。
Pay What You Wantの概念
このような、お客様が自由に値段を設定してその分だけ支払う概念をPay What You Want(払いたい分、払ってください)方式と呼ばれています。これは欧米などでは割と浸透している概念ですが、日本ではあまり見受けられません。唯一、近い文化としては神社の御賽銭がそれに該当するのかもしれませんが、サービスという意味で言うと日本にPay What You Want方式のサービスはほぼありません。
欧米では受け入れられやすい
欧米にはチップ文化があります。飲食店やホテル、タクシーなどを利用したときに、サービスを提供してくれた個人に対して感謝の意を表して支払うお金です。これは支払っても支払わなくても良いですし、支払う金額もいくらでも良いです。お客様が自由に決めてよい値段です。ZOZOTOWNの送料無料もまさにチップと同じ感覚です。チップがサービス提供者に対して支払うのに対して、ZOZOTOWNの送料は物流業界に支払っているのです。日本では後ろめたさから浸透するかもしれない
では、日本でこのPay What You Want方式が浸透するか否かですが、そもそもチップ文化のない日本では欧米人と同じ感覚で好きなだけ支払うという感覚はないかと感じます。飲食店ではサービス料として10%を求められる場合もありますが、価格の中に既に含まれている場合も多いため、提示された価格以上に支払うことに慣れていないのです。日本の場合は、どちらかと言えば「無料は申し訳ないから」という後ろめたさから、このPay What You Want方式が浸透するかもしれません。
しかし、できる事なら後ろめたさよりも本心で感謝の意を示す、前向きな感情で好きなだけ支払いたいものです。
追随する企業はあるのか
ZOZOTOWNが送料自由化を開始してからまだ日が浅いため、他の企業は動向を見守るといった様子で、まだ真似をする企業はいないようです。そもそもこの創造性あふれた斬新なアイデアにメリットを感じる企業は今のところ少ないのではないでしょうか。企業価値やサービス価値の向上が想像できるメリットですが、もしかしたら今のところ想像不可なメリットをZOZOTOWNにもたらすかもしれません。
これで何らかのメリットをを感じられたら、他の企業も追随するかもしれませんが、おそらくZOZOTOWNほど大きいECサイトでないとメリットもなく、広告にもならないため、真似するとしても大手ECサイトではないでしょうか。
何はともあれ、先行してリスクを取りながらも、斬新なサービスを世に提供し続けるZOZOTOWNが、EC業界に新たな視点、考え方を与えてくれたニュースでした。
参考:http://toyokeizai.net/articles/-/191904※送料自由化キャンペーンは2017年10月31日で終了しています。
https://www.bengo4.com/internet/n_6746/
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