無印良品も賛同し協業へ!JD.comから発信されるボーダーレスリテール
中国の大手ECサイトを運営する「JD.com 京東集団(ジンドンしゅうだん)」は、運営する大手ECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)」に無印良品が初出店することを発表しました。今後は、オンラインとオフラインの境界線を取り去る新たな小売概念「ボーダーレスリテール」によって協業の姿勢をとるとされています。
本記事では、京東が目指す新たな小売概念「ボーダーレスリテール」や、賛同する大手小売企業との協業について解説します。
会社創立記念日である6月18日に合わせて開催された大規模なセールイベント「京東618」での2017年の取引高は、1,199億元(約1,9兆円)でした。また、中国のネット通販ではおなじみの独身の日(11月11日)には、1,271億元(約2兆1,607億円)という取扱高を記録しています。
この膨大な注文では、24時間対応できる人工知能搭載のAIサポートが活躍したといわれています。JD.comが独自開発した感情分析システムを活用することで、顧客の感情をチェックするなど、顧客満足度のアップにも力を入れています。
・JD.com
無印良品は、包装の簡略化や製品の素材選びなどにこだわったブランドであり、生活者視点を重視して家具や生活用品の販売をおこなってきました。海外からの人気も高く「MUJI」という名称でも知られています。
そんな無印良品が中国で取り組むのは、JD.comが提唱している「ボーダーレスリテール」という新たな小売概念による協業です。
ECと実店舗の垣根を低くすることは、近年の小売業界における重要課題でした。オムニチャネルも、その施策や考え方の一つです。消費者が欲しいと思った時に購入できる世界の実現は、国内外すべてのECサイトの目指す高みといえるかもしれません。
それを現実のものにしようとする動きがボーダーレスリテールです。京東の劉強東CEOは、ボーダーレスリテールに対して「シーンは無限、貨物に国境はなく、人と企業の間にも壁はない」と発言しています。
これにより、中国で販売されている無印良品の展開商品すべてがJD.comから購入できるようになりました。
ちなみに、両者の連携は2017年9月、物流分野において開始されています。協業という姿勢をとっているため、今後は販売のみにとどまらずさまざまな相互的取り組みやマーケティングをおこなっていくとしています。
ウォルマートはパートナーとなった同年10月に5,000米万ドルを出資、提携を強化しました。
この提携により中国のウォルマート実店舗およそ200店が「達達-京東到家」の配送サービスを利用するようになり、結果として中国30都市に1時間以内の配送を可能にしています。
配送版人海戦術といっても過言ではないこのシステムによって、「達達-京東到家」はその注文の99%を1時間以内に配送するサービスを実現しました。
5,000万人以上のユーザーが1日に最大1,000万件の注文をしていることを考えると、これは驚くべきことです。通販で頼んだ商品が1時間以内に配送されるのであれば、実店舗で購入するのと同じくらいスムーズな購買が体感できるでしょう。
ボーダーレスリテールの理念を最大限発揮させた大型ショッピングフェスティバル「88セール」も、共同開催することを発表しています。この「88セール」は「618セール」、「独身の日ショッピングセール」に次ぐ大型のショッピングイベントとして、大々的におこなわれました。
今後は、ウォルマートだけでなく全世界の小売パートナーと連携して、ボーダーレスリテールの連合を作るべく、さまざまな戦略を展開していくとされています。
注文、調理、配膳、会計をすべてロボットが対応する未来型のスマートレストランです。
調理もロボットがプログラミングに則って行い、出来上がった料理も客自身が取りに行くのではなくロボットが行うところが、これまでにないスタイルのレストランということで世界的な注目を集めています。
京東は「ロボットレストランを通して、AI技術と飲食業界を融合させ、積極的なイノベーションを継続させながら、ボーダーレスリテールの実現を目指す」としています。単なるテクノロジーの集結ではなく、無人スーパーやスマート物流と組み合わせてビッグデータを収集、活用し、スマートシティへとつなげる未来図を描いているということです。
ニューリテールは、ボーダーレスリテールと同様、オンラインとオフライン、物流を融合することによって、新しいユーザー・エクスペリエンスを提供するという構想です。商品の仕入れにビッグデータを活用できるアリババの独自開発したプラットフォームを用いたり、オンライン決済で実店舗のレジに並ぶことなく商品を購入できたりするプロジェクトを展開しています。
JD.comのボーダーレスリテールも、アリババのニューリテールも、O2O(Online to Offline)施策の一つであり、新しい小売の概念と言われています。
今後は両者ともそれぞれよりよい融合を目指して、さまざまなプロジェクトを展開していくことが予想されます。
今後は、中国から発信されたボーダーレスリテールという概念が世界中に広がり、さらなる進化を遂げていくのではないかと思われます。今後の動きにも注目したいところです。
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本記事では、京東が目指す新たな小売概念「ボーダーレスリテール」や、賛同する大手小売企業との協業について解説します。
- 京東が目指す新たな小売概念ボーダーレスリテール
- ボーダーレスリテールとは
- ボーダーレスリテールの理念に一致した無印良品
- 米ウォルマートとのパートナーシップ
- ボーダーレスリテールとの違い?アリババのニューリテール戦略
京東が目指す新たな小売概念ボーダーレスリテール
「JD.com 京東商城」は中国最大手のECサイト
京東が運営する「JD.com 京東商城」は、中国直販ECサイトの最大手です。会社創立記念日である6月18日に合わせて開催された大規模なセールイベント「京東618」での2017年の取引高は、1,199億元(約1,9兆円)でした。また、中国のネット通販ではおなじみの独身の日(11月11日)には、1,271億元(約2兆1,607億円)という取扱高を記録しています。
この膨大な注文では、24時間対応できる人工知能搭載のAIサポートが活躍したといわれています。JD.comが独自開発した感情分析システムを活用することで、顧客の感情をチェックするなど、顧客満足度のアップにも力を入れています。
・JD.com
無印良品の子会社法人「無印良品(上海)商業有限公司」が初出店
膨大な取扱高を誇るJD.comに、2018年6月1日、初めて出店されたのが「無印良品」の子会社法人「無印良品(上海)商業有限公司」です。無印良品は、包装の簡略化や製品の素材選びなどにこだわったブランドであり、生活者視点を重視して家具や生活用品の販売をおこなってきました。海外からの人気も高く「MUJI」という名称でも知られています。
そんな無印良品が中国で取り組むのは、JD.comが提唱している「ボーダーレスリテール」という新たな小売概念による協業です。
ボーダーレスリテールとは
では、JD.comの戦略「ボーダーレスリテール」について詳しくみてみましょう。オンラインとオフラインの境界線を消しさる「ボーダーレスリテール」
ボーダーレスリテールとは、オンラインとオフライン(実店舗)、そしてそれらの物流機能を融合させたビジネスの総称で、従来のボーダーを越えて気軽にそして快適に消費できる世界という概念でもあります。ECと実店舗の垣根を低くすることは、近年の小売業界における重要課題でした。オムニチャネルも、その施策や考え方の一つです。消費者が欲しいと思った時に購入できる世界の実現は、国内外すべてのECサイトの目指す高みといえるかもしれません。
それを現実のものにしようとする動きがボーダーレスリテールです。京東の劉強東CEOは、ボーダーレスリテールに対して「シーンは無限、貨物に国境はなく、人と企業の間にも壁はない」と発言しています。
ボーダーレスリテールの理念に一致した無印良品
無印良品は、「生活者の”感じの良い暮らし”にとって、役に立つ商品開発・サービスの追求」という姿勢と、消費者が欲しいと思ったものを、買いたい時にオンオフの区別なく購入できる小売を目指すというJD.comの理念が一致しているとして、JD.com出店に踏み切っています。これにより、中国で販売されている無印良品の展開商品すべてがJD.comから購入できるようになりました。
ちなみに、両者の連携は2017年9月、物流分野において開始されています。協業という姿勢をとっているため、今後は販売のみにとどまらずさまざまな相互的取り組みやマーケティングをおこなっていくとしています。
無印良品によるJD618キャンペーン
「JD618」は、京東が6月の会社創立記念日に合わせて毎年開催している大型販促キャンペーンです。このキャンペーンに合わせて、無印良品「MUJI」は、実店舗と公式アプリ、微信(ウィーチャット/SNSチャットツール)、微博(ウェイボー/ミニブログ)などで大々的に販促を展開しました。米ウォルマートとのパートナーシップ
京東は、米ウォルマートとも手を取り合ってボーダーレスリテール戦略を展開しています。無印良品の次は、ウォルマートの動きについてみてみましょう。ウォルマートは配送サービスに共同出資
ウォルマートは、2016年6月に「達達-京東到家(ダダ)」と戦略的パートナーシップを締結しています。「達達-京東到家」は、京東集団の参加である子会社とクラウドソーシング物流プラットフォーム「達達」が合併して設立された物流配送会社です。ウォルマートはパートナーとなった同年10月に5,000米万ドルを出資、提携を強化しました。
この提携により中国のウォルマート実店舗およそ200店が「達達-京東到家」の配送サービスを利用するようになり、結果として中国30都市に1時間以内の配送を可能にしています。
誰でも配送員になれるシステムを使ってスピードを実現
中国の物流配送会社「達達-京東到家」の配送システムは、システムに登録することで、市民の誰もが「配達員」になって活動できるという大きな特徴があります。配達員となった登録者は、空いている時間を利用して自分がいるエリアの配送を請け負います。彼らはブルーのポロシャツとキャップを身につけ、配達員であることが分かるようになっています。配送版人海戦術といっても過言ではないこのシステムによって、「達達-京東到家」はその注文の99%を1時間以内に配送するサービスを実現しました。
5,000万人以上のユーザーが1日に最大1,000万件の注文をしていることを考えると、これは驚くべきことです。通販で頼んだ商品が1時間以内に配送されるのであれば、実店舗で購入するのと同じくらいスムーズな購買が体感できるでしょう。
2018年さらなる強化へ、大型ショッピングフェスティバル開催
2018年8月、京東集団とウォルマートは「達達-京東到家」に5億米ドルを共同で出資し、ボーダーレスリテールの理念の下でさらなる連携強化をアピールしました。ボーダーレスリテールの理念を最大限発揮させた大型ショッピングフェスティバル「88セール」も、共同開催することを発表しています。この「88セール」は「618セール」、「独身の日ショッピングセール」に次ぐ大型のショッピングイベントとして、大々的におこなわれました。
今後は、ウォルマートだけでなく全世界の小売パートナーと連携して、ボーダーレスリテールの連合を作るべく、さまざまな戦略を展開していくとされています。
最新型ロボットレストランを開店(※2018年11月追記)
2018年11月、JD.comは中国天津市にロボットレストラン「京東X未来レストラン」を開店しました。注文、調理、配膳、会計をすべてロボットが対応する未来型のスマートレストランです。
調理もロボットがプログラミングに則って行い、出来上がった料理も客自身が取りに行くのではなくロボットが行うところが、これまでにないスタイルのレストランということで世界的な注目を集めています。
京東は「ロボットレストランを通して、AI技術と飲食業界を融合させ、積極的なイノベーションを継続させながら、ボーダーレスリテールの実現を目指す」としています。単なるテクノロジーの集結ではなく、無人スーパーやスマート物流と組み合わせてビッグデータを収集、活用し、スマートシティへとつなげる未来図を描いているということです。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000034149.html
ボーダーレスリテールとの違い?アリババのニューリテール戦略
Amazonと並ぶ世界有数のシェアを誇る中国のEコマース企業「Alibaba Group(阿里巴巴集団)」も、2016年にニューリテール戦略なるものを掲げています。ニューリテールは、ボーダーレスリテールと同様、オンラインとオフライン、物流を融合することによって、新しいユーザー・エクスペリエンスを提供するという構想です。商品の仕入れにビッグデータを活用できるアリババの独自開発したプラットフォームを用いたり、オンライン決済で実店舗のレジに並ぶことなく商品を購入できたりするプロジェクトを展開しています。
JD.comのボーダーレスリテールも、アリババのニューリテールも、O2O(Online to Offline)施策の一つであり、新しい小売の概念と言われています。
今後は両者ともそれぞれよりよい融合を目指して、さまざまなプロジェクトを展開していくことが予想されます。
まとめ
これまで、ECサイトは宣伝ページから購入画面までを自然に遷移させるにはどのようなアプローチが有効か、また、実店舗と連携した在庫管理でムダを減らすためにどのようなシステムを組むべきかといった観点からマーケティングがなされていました。今後は、中国から発信されたボーダーレスリテールという概念が世界中に広がり、さらなる進化を遂げていくのではないかと思われます。今後の動きにも注目したいところです。