日本の技術を破壊するApple
日本で好調なAppleだが日本企業のソニーやパナソニックや東芝はもはやAppleをライバルとしてではなく、支配者として恐れている。Appleに部品を供給する各大手電機メーカーの業績はAppleの業績次第というレベルに達しているからだ。日本には20か所以上のiPhone向け工場があるが、どこも状況は厳しい。Appleの下請けになりつつある日本のメーカーのこれからはどうなるのか
Appleは日本国内において絶大な人気とイメージを持っています。しかしそこには隠れた側面があります。Appleの好調の一因は供給元の技術力によるものであり、そうした企業は見返りも受けますが同時に大きなリスクも背負っています。Appleに供給する各部品のマージンは低く、業量が多いうちは利益を確保できています。しかしそれはAppleの業績次第の経営であるということです。
それではiPhoneが売れなくなった場合、Appleに部品を供給する日本企業はどうなるでしょうか。供給元の業績は21世紀に入ってから急落しています。
例えばSonyの株価は2000年五月には16,300円だったのに対し、今年の11月の時点では2,000円ほどです。昨年の利益率は1パーセントに過ぎなかったのに対し、Appleは25パーセントを超えています。
Sharpの亀山工場で生産する液晶ディスプレイは100パーセントがApple向けに生産されていました。
Sonyの熊本工場で生産するカメラセンサーの五割、エルピーダの広島工場で生産する半導体メモリの五割がApple向けでした。
Appleと日本の関係は10年以上前の新潟県燕市にさかのぼります。
2001年に発売されたiPodのケースは同市の小林研業という中小企業で研磨されました。同企業は100万個近くのケースを生産しました。
スティーブ・ジョブズは直々に同企業を訪れてこの契約が実現しました。後にこの契約は終了し、今では小林建業は元の高マージン、少量生産の企業に戻っています。
神奈川県のモーター製造メーカーのシコーが昨年倒産しました。倒産はAppleが取引を打ち切ったことによる唐突なものでした。
Appleを選ぶか死を選ぶか、最近ではこれにサムスンという選択肢も加わりました。
サムスンは日本にとって救世主か否かという議論があります。日本向けにサムスンがAppleを模倣した製品を製造するにつれ状況は悪化しています。
日本企業は部品製造工場と化し、日本のイノベーションが危機に陥っているという声もあります。
部品の利益率はだいたい2パーセントほどでしかありません。デバイスの部品数が減少していることが原因のひとつです。
クリエイティビティの欠如により、かつて世界中を席巻したようなメイドインジャパンの製品が作れていないのが今の日本の電機メーカーの現状です。
これらのメーカーは多くのジレンマを抱えています。
SonyはAppleに低いマージンでハイエンドのカメラレンズを提供し、結果自社の経営を圧迫しています。
Sharpには液晶ディスプレイ以外に主力となる製品はありません。液晶ディスプレイは2011年の同社の売上の18.5パーセントを占めています。この数字は2012年には26.2パーセントに上昇しています。
この状況から抜け出すことは非常に難しいといえます。iPhone 5の売上が予想を下回った昨年、Sharpは倒産の危機に直面しましたが、サムスンからの1億1100万ドルの投資を受けることで何とか倒産を回避しました。
サプライヤーを追い詰めることは危険な状況を生みます。Appleは既に成熟した企業であり、戦略を見直してこれまでよりもサプライヤーを保護する必要があります。
そうしなければ信頼するサプライヤーを失い、多くの顧客を抱える地域の経済を悪化させることになります。結果的にそれはAppleの首を絞めることにつながるのです。
一企業でありながら国家経済を左右するほどの企業を持つAppleに、そうした自覚と自制を促すしか手立てがないのが今の現状です。
日本市場で躍進するApple
Appleにとって第3四半期の業績は芳しいものではありませんでしたが、日本という市場の重要性を再認識できるものでした。今や日本の携帯市場の34パーセントがAppleに占められています。この10年でひとつのスマートホンブランドが30パーセントを超えたのは初めてのことであり、そしてまだまだ成長の余地を残しています。しかしAppleはこれまではそれほどの影響力を持っていたわけではなく、携帯市場は長らく国内ブランドが独占していました。そうした電機メーカーに今やかつての輝きはありません。Appleに依存する日本企業
SonyやPanasonic、東芝、Sharpといった企業は恐れとともにAppleの動向を見つめています。それはAppleがライバルだからではなく、もはやこれらの企業はAppleに依存する収益構造となっているからです。これはもちろん好ましくない傾向です。Appleは日本国内において絶大な人気とイメージを持っています。しかしそこには隠れた側面があります。Appleの好調の一因は供給元の技術力によるものであり、そうした企業は見返りも受けますが同時に大きなリスクも背負っています。Appleに供給する各部品のマージンは低く、業量が多いうちは利益を確保できています。しかしそれはAppleの業績次第の経営であるということです。
それではiPhoneが売れなくなった場合、Appleに部品を供給する日本企業はどうなるでしょうか。供給元の業績は21世紀に入ってから急落しています。
例えばSonyの株価は2000年五月には16,300円だったのに対し、今年の11月の時点では2,000円ほどです。昨年の利益率は1パーセントに過ぎなかったのに対し、Appleは25パーセントを超えています。
Sharpの亀山工場で生産する液晶ディスプレイは100パーセントがApple向けに生産されていました。
Sonyの熊本工場で生産するカメラセンサーの五割、エルピーダの広島工場で生産する半導体メモリの五割がApple向けでした。
Appleと日本の関係は10年以上前の新潟県燕市にさかのぼります。
2001年に発売されたiPodのケースは同市の小林研業という中小企業で研磨されました。同企業は100万個近くのケースを生産しました。
スティーブ・ジョブズは直々に同企業を訪れてこの契約が実現しました。後にこの契約は終了し、今では小林建業は元の高マージン、少量生産の企業に戻っています。
Appleを選ぶか死を選ぶか
当時日本のマスコミは日本企業がAppleの供給元となることを喜ばしいこととしていましたが、この小林研業ほど幸運な企業ばかりではありませんでした。神奈川県のモーター製造メーカーのシコーが昨年倒産しました。倒産はAppleが取引を打ち切ったことによる唐突なものでした。
Appleを選ぶか死を選ぶか、最近ではこれにサムスンという選択肢も加わりました。
サムスンは日本にとって救世主か否かという議論があります。日本向けにサムスンがAppleを模倣した製品を製造するにつれ状況は悪化しています。
日本企業は部品製造工場と化し、日本のイノベーションが危機に陥っているという声もあります。
部品の利益率はだいたい2パーセントほどでしかありません。デバイスの部品数が減少していることが原因のひとつです。
クリエイティビティの欠如により、かつて世界中を席巻したようなメイドインジャパンの製品が作れていないのが今の日本の電機メーカーの現状です。
これらのメーカーは多くのジレンマを抱えています。
SonyはAppleに低いマージンでハイエンドのカメラレンズを提供し、結果自社の経営を圧迫しています。
Sharpには液晶ディスプレイ以外に主力となる製品はありません。液晶ディスプレイは2011年の同社の売上の18.5パーセントを占めています。この数字は2012年には26.2パーセントに上昇しています。
この状況から抜け出すことは非常に難しいといえます。iPhone 5の売上が予想を下回った昨年、Sharpは倒産の危機に直面しましたが、サムスンからの1億1100万ドルの投資を受けることで何とか倒産を回避しました。
経済を左右するApple
Appleの責任を指摘する声もあります。Appleは最高級の品質を最低のコストで要求します。DellやHewlett Packardも安いコストを求めますが求める品質も高くはありません。サプライヤーを追い詰めることは危険な状況を生みます。Appleは既に成熟した企業であり、戦略を見直してこれまでよりもサプライヤーを保護する必要があります。
そうしなければ信頼するサプライヤーを失い、多くの顧客を抱える地域の経済を悪化させることになります。結果的にそれはAppleの首を絞めることにつながるのです。
一企業でありながら国家経済を左右するほどの企業を持つAppleに、そうした自覚と自制を促すしか手立てがないのが今の現状です。
この記事はFatal addiction: Does Apple kill Japan’s tech industry?をOrange Blogが日本向けに編集したものです。