成長を続ける中国のEC市場、理解するための5つのポイント
中国のEC市場は年々拡大を続けています。
調査会社のiResearchがまとめた中国EC市場の成長率と総流通額(GMV)で、折れ線グラフが成長率、棒グラフが総流通額を表しています。成長率に着目すると、2012年から2019年にかけて毎年2桁の成長を続けています(2016年から2019年は予測値)。
また、以下のグラフはStatistaがまとめた中国の2008年から2018年までの予測も含めたEC市場の流通総額です。
2008年には2兆9千億元だった流通総額が、2018年には約10倍の27兆千億元の規模にまで拡大すると予測されています。2009年から2018年までの流通総額は、上記のiResearchがまとめた調査結果と比較しても大きな数字の乖離はありません。
中国のECサイトで有名なものといえばアリババグループ(ECサイトはTmall, Taobao)とJD.comで、この2つが中国のEC市場の8割の売上高を占めています。また、中国のEC市場は2018年までに1兆ドルを記録し、世界のEC市場の4割を占めると予測されています。
Singles’ Dayは毎年11月11日に開催されます。もともと独身を祝うためのイベントでしたが、アリババが2009年から大きな割引を行う日としてマーケティングを始めたことがきっかけとなり、今やそれが小売業界における一大イベントとして定着しています。
Singles’ Dayで大きな利益をあげるのはアリババグループのTmallとTaobao, またJD.comです。2017年のTmallおよびTaobaoにおけるSingles’ Day 1日の売上は250億USドル以上を記録しました。
JD.comでは190億USドル以上の売上を記録しましたが、JD.comでは11/1~11/12までの11日間の売上で190億USドル以上だったのに対し、アリババグループは11/11の24時間で上記の数字を叩き出しました。
中国のEC市場を活発にさせているのは、中流階級〜富裕層の消費の増加です。特に中流階級以上の中国人の消費活動における価値観の変化があります。
可処分所得が増加した分、高品質の商品や国内では手に入りづらい商品を越境ECを利用して購入する傾向があります。越境ECでは医薬品、食品、化粧品など安全性と品質が高い製品が人気です。
越境ECを利用する中国人が増えたもうひとつの理由として、ハイエンド商品やニッチなブランドの商品でも注文することができるオンラインプラットフォームが増えたことも挙げられます。国内にない商品でも手軽に注文できるプラットフォームが増えたことで越境ECの利用が増加しました。
Online to Offline(O2O)マーケティングは小売業界のビジネスモデルを変えました。消費者がどちらでも買い物をしやすい環境を整えることはもちろん、オンラインとオフライン間にある障害を取り除きシームレスな環境づくりをすることで両方のチャネルからの売上を期待できます。
中国で多くの人に用いられているのがAlipayとWeChat Payです。これらは生成されたQRコードを読み取るだけで決済を完了させることができます。中国では実店舗や交通機関などいたるところでデジタルペイメントでの決済が可能ですが、ECサイトでの買い物にも用いられます。
例えば日本ではECサイトで買い物をする際には先に代金を支払います。
しかしAlipayを利用した支払いでは、商品購入時に一旦Alipayに代金が支払われたあと商品が消費者に届けられ、その後AlipayからEC事業者に代金が支払われるしくみになっています。
理由としては偽物商品や不良品が届けられる可能性があるため、消費者が実際に商品を受け取って確認したあとに代金を支払うしくみになっています。Alipayを用いることによって消費者は安心してECサイトで買い物をすることができます。
WeChat Payは銀行口座に紐づけて利用することができ、Alipayと同じくECサイトでも支払い手段のひとつとして頻繁に利用されています。
ソーシャルメディアは潜在的な消費者と関わる上では重要なマーケティングツールのひとつと言えるでしょう。
上記に挙げたポイントを整理すると、このような理由がありました。
調査会社のiResearchがまとめた中国EC市場の成長率と総流通額(GMV)で、折れ線グラフが成長率、棒グラフが総流通額を表しています。成長率に着目すると、2012年から2019年にかけて毎年2桁の成長を続けています(2016年から2019年は予測値)。
また、以下のグラフはStatistaがまとめた中国の2008年から2018年までの予測も含めたEC市場の流通総額です。
2008年には2兆9千億元だった流通総額が、2018年には約10倍の27兆千億元の規模にまで拡大すると予測されています。2009年から2018年までの流通総額は、上記のiResearchがまとめた調査結果と比較しても大きな数字の乖離はありません。
中国のECサイトで有名なものといえばアリババグループ(ECサイトはTmall, Taobao)とJD.comで、この2つが中国のEC市場の8割の売上高を占めています。また、中国のEC市場は2018年までに1兆ドルを記録し、世界のEC市場の4割を占めると予測されています。
参考:JETRO中国のEC市場はなぜこれほどまでに大きく成長しているのでしょうか。中国のEC市場の成長には5つのキーポイントがあります。以下では5つのキーポイントについて解説していきます。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2017/12/a93c240657c03189.html
1. 中国のEC事業者にとって最も重要な日「Singles’ Day(独身の日)」
アメリカでは毎年11月の第4週の金曜日に繰り広げられる小売店舗の安売りイベント「ブラックフライデー」が有名ですが、中国でも買い物のためのイベントがあります。近年中国で定着してきた「Singles’ Day(独身の日)」と呼ばれる日には、莫大な金額が動きます。Singles’ Dayは毎年11月11日に開催されます。もともと独身を祝うためのイベントでしたが、アリババが2009年から大きな割引を行う日としてマーケティングを始めたことがきっかけとなり、今やそれが小売業界における一大イベントとして定着しています。
Singles’ Dayで大きな利益をあげるのはアリババグループのTmallとTaobao, またJD.comです。2017年のTmallおよびTaobaoにおけるSingles’ Day 1日の売上は250億USドル以上を記録しました。
JD.comでは190億USドル以上の売上を記録しましたが、JD.comでは11/1~11/12までの11日間の売上で190億USドル以上だったのに対し、アリババグループは11/11の24時間で上記の数字を叩き出しました。
参考:ReutersSingles’ Dayは中国の小売事業者にとって非常に重要なイベントであることは明白です。中国国内のみならず、国外のブランドなどの小売事業者もこのSingles’ Dayにおけるプロモーションやマーケティングを重要視しています。
https://www.reuters.com/article/us-singles-day-jd-com/chinas-jd-com-alibaba-rival-reports-19-1-billion-in-shopping-event-sales-idUSKBN1DC0H9
2. 消費のアップグレード
世界銀行の統計によると、2016年における中国人の1人当たりのGDPは8,123USドルと発表されています。同年の日本の1人あたりのGDPを比較すると38,894USドルと約4分の1の数値ですが、中国では都市部と農村部において貧富の差がまだ大きく見られるため、一人当たりのGDPで中国人の消費活動について論じることはできません。中国のEC市場を活発にさせているのは、中流階級〜富裕層の消費の増加です。特に中流階級以上の中国人の消費活動における価値観の変化があります。
可処分所得が増加した分、高品質の商品や国内では手に入りづらい商品を越境ECを利用して購入する傾向があります。越境ECでは医薬品、食品、化粧品など安全性と品質が高い製品が人気です。
越境ECを利用する中国人が増えたもうひとつの理由として、ハイエンド商品やニッチなブランドの商品でも注文することができるオンラインプラットフォームが増えたことも挙げられます。国内にない商品でも手軽に注文できるプラットフォームが増えたことで越境ECの利用が増加しました。
3. New Retail:オフラインとオンラインショッピングの融合
アリババの創始者であるJack Ma氏は2016年に「New Retail(新しい小売)」という言葉を投げかけました。New Retailが意味するものとは、製品・サービス・物流・ビッグデータ・マーケティング・管理などオンラインとオフラインでの買い物に欠かせない要素の統合を重視することです。Online to Offline(O2O)マーケティングは小売業界のビジネスモデルを変えました。消費者がどちらでも買い物をしやすい環境を整えることはもちろん、オンラインとオフライン間にある障害を取り除きシームレスな環境づくりをすることで両方のチャネルからの売上を期待できます。
4. 広がるデジタルペイメント
中国では急速にデジタルペイメントが浸透しています。スマホひとつあればすぐに決済が完了する便利なデジタルペイメントは、中国人の生活になくてはならないものになっています。中国で多くの人に用いられているのがAlipayとWeChat Payです。これらは生成されたQRコードを読み取るだけで決済を完了させることができます。中国では実店舗や交通機関などいたるところでデジタルペイメントでの決済が可能ですが、ECサイトでの買い物にも用いられます。
Alipayが広まった理由
Alipayは約5億2千万人のユーザが利用しています。実店舗でもQRコードを読み取ることで支払いを行うことができますが、Alipayがオンラインショッピングで広く利用されるようになった理由としてEC事業者と消費者との間で安心して商品の取引ができるしくみがあるからです。例えば日本ではECサイトで買い物をする際には先に代金を支払います。
しかしAlipayを利用した支払いでは、商品購入時に一旦Alipayに代金が支払われたあと商品が消費者に届けられ、その後AlipayからEC事業者に代金が支払われるしくみになっています。
理由としては偽物商品や不良品が届けられる可能性があるため、消費者が実際に商品を受け取って確認したあとに代金を支払うしくみになっています。Alipayを用いることによって消費者は安心してECサイトで買い物をすることができます。
WeChat Payが広がった理由
WeChat Payも中国人がよく用いるデジタルペイメントアプリです。月間のアクティブユーザ数は約8億人にも登ります。WeChat Payは友人や家族間で小額のお金を送金するのによく用いられます。元々コミュニケーションアプリとして広まったので、WeChat Payも受け入れられやすかったと言えるでしょう。WeChat Payは銀行口座に紐づけて利用することができ、Alipayと同じくECサイトでも支払い手段のひとつとして頻繁に利用されています。
5. オンラインプラットフォームからメディアプラットフォームへ
ソーシャルメディアも非常に重要です。商品のレビューはソーシャルメディアにおいて拡散されるため、影響力を持ちます。モバイルコマースへの集中は、EC事業者の広告エコシステムをオープン・ループからクローズド・ループへと変化させました。これにより、どのチャネルにおけるマーケティングが効果を上げやすいのかを詳細に分析することが可能になりました。ソーシャルメディアは潜在的な消費者と関わる上では重要なマーケティングツールのひとつと言えるでしょう。
参考:World Economic Forum
https://www.weforum.org/agenda/2018/01/china-ecommerce-what-we-can-learn/
まとめ
中国のEC市場が大きな成長を見せている理由として、複数の要因が存在していることも関係しています。上記に挙げたポイントを整理すると、このような理由がありました。
- 中国国内の消費を後押しするイベント「独身の日」
- 消費のアップグレード
- オンラインとオフラインショッピングの融合
- 広がるデジタルペイメント
- オンラインプラットフォームからメディアプラットフォームへ 0l>
中国人の消費における意識が変化したことや中流階級以上の可処分所得額が増加したことによって消費を増加させる要因となっていますが、中国人の消費を促進させる環境が整っていることがEC市場の急激な成長にも繋がっていると考えられます。
消費を促進させる環境として、効果的なマーケティングの分析と実行、支払い方法の簡素化、安心できる取引、消費者にストレスを感じさせない買い物体験の提供が挙げられます。
中国のEC市場は今後も順調に成長していくと予想されており、中国の例から学ぶところは多くありそうです。
以上、中国のEC市場を理解するための5つのポイントでした。