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EDIを導入する上で知っておきたい特徴とWEB-EDIやECの可能性について

日本におけるBtoBのEC化の伸び率は年々上昇しています。経済産業省が発表したデータによりますと、日本のBtoB市場規模は2016年現在で前年より1.3%増しの291兆179億円、EC化率は前年より1%増しの28.3%でした。

出典:経済産業省ウェブサイト (http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001.html)
グラフを見てもらうと分かりますが、EC化率はこれまで0.4~0.5%増しの緩やかな増加傾向であったのにもかかわらず、2015年以降は年1%増しの上昇率になっており、これからますます上昇率、そして普及率は向上していくことが考えられます。そしてBtoBのEC化率の上昇に大きな影響を与えているのがEDIの存在です。

EDIは現代の取引業務の効率化にはもはや不可欠の存在となっており、最近ではWEB-EDIという新しいEDIの導入も企業では浸透しつつあります。今回はそんなEDIの特徴にフォーカスを当て、なぜEDIが優れているのか、そしてWEB-EDIとECへの可能性にも触れていきたいと思います。

  • メリットとデメリットを併せ持つEDI。いずれは使えなくなる点に注意
  • WEB-EDIへの切り替えも進んでいるがデメリットも
  • ECサイトの解説は1つの解決策

EDIの概要

EDI(Electronic Data Interchange)は直訳すると「電子的データ交換」、つまり取引の際に生じる文書のやり取りを全て電子化し、作業を簡略化してしまおうという取り組みです。 BtoBの取引において生じる工程には受注と発注、出荷と納品、請求と支払いといった取引情報のやり取りが発生し、1つステップを踏むごとに双方が処理の手続きをしなければならないというのが従来の方法でした。

データ入力簡略化を可能にしたEDI

EDIは双方を専用の回線で接続し、取引に必要な処理を画一化・電子化することで自動化し、取引にかかるコストを大きく減らすことを可能にしました。そしてEDIのメリットはコストの削減以外にも、BtoBの取引に様々な利点ももたらしてくれています。

EDIの導入によってもたらされるメリット・デメリット

EDIの導入によってもたらされるメリットは、

  • システム化によるミスの低減
  • 内部統制が図れる
  • 企業競争力を高める
の3点です。

システム化によるミスの低減

従来の取引におけるやり取りでは、FAXや電子メール、郵送というものが主流であったため、人間が手動で行う工程がどうしても多くなってしまいがちでした。
手動で行う作業にはどれだけ確認を行ってもミスや個人差が生じてしまうものですから、意思の伝達に不備や遅れが出てきてしまうことは仕方のないことでしたが、EDIはこういった人為的ミスを最小限にまでとどめることを可能にしてくれます。 取引に関する情報伝達を電子化・自動化することで人の手の入る余地を無くし、かつ常にお互いの在庫情報などのデータを共有しておくことで手元の管理にも行き違いが出ないようリアルタイムで把握することができるようになるため、ミスのしようがなくなるのです。

EDIは導入のコストがかかるとは言われますが、EDIはビジネスの規模が大きくなればなるほど効果が大きくなっていくため、結果的にはコスト削減、そしてデータ品質の向上によって、顧客サービスの向上にもつなげることができるのです。

内部統制が図れる

EDIは企業の内部統制にも良い影響を与えてくれます。内部統制はいわゆるコーポレートガバナンスを考える上での中心的な存在で、組織内部におけるルールやシステム、業務プロセスを整備して運用し、組織の目的の達成を効率的に遂行することを念頭に置いた考え方です。EDIの導入によるデータの電子化、そして外部の取引先などから送られてくるデータも共有しやすい形式で電子化された状態で送られてくることによって、この内部統制をスムーズに遂行できるよう手助けしてくれます。

企業競争力を高める

さらにEDIは企業競争力を高める役割も果たしてくれます。例えば取引における売り手と買い手の双方がデータの共有をEDIの導入により円滑に行うことで、需要予測と在庫計画をお互いに調整し、最適化することができるようになります。そうするとEDIによるやり取りが直接行われている二社以外にも生産・販売に携わる企業に需要の調整が自動的に働きかけられ、自然と間接的な計画の最適化が行われるようになるのです。 その過程で計画の遂行に必要な在庫や部品が足りていないことがEDIによる情報共有によって他企業から知ることができるようになれば、半自動的に受注し、速やかに注文プロセスを終えてしまうことができるようなシステムを構築することができます。
つまり企業同士がEDIの導入によりデータを共有できるようになることで、速やかにニーズを察知し、秒単位でそのニーズを埋め合わせることができるシステムを構築することができるのです。もはやEDIを導入しなければ最前線の需要すらも把握できないまま市場競争に敗れてしまいかねない時代に入りつつあるといっても過言ではないでしょう。

一方で深刻なデメリットも

一方でEDIは買い手が売り手のシステムに合わせる必要があるため、買い手主導の取引を生みやすいこと、そして固定電話回線を用いたシステムが主流であり、日本における固定電話回線の順次廃止が決定しているためいずれは既存のシステムが使えなくなってしまうことが決定的であるという欠点も明らかになっています。こういった局面の代替措置として現在導入が進められているのがWEB-EDIの存在です。

WEB-EDIについて

WEB-EDIは従来のEDIとは異なり、電話回線は使わずにインターネット回線を用いて企業間のデータ共有を行うシステムです。加えてWEB-EDIはブラウザ上で起動させることができるため、これまでのEDIのように専用のマシンを用意して専用のソフトウェアをインストールするといったコストを考える必要もなくなり、よりEDIを身近なものにすることができるようになったのです。


クラウドベースで提供されるEDI

インターネットを経由するという特性から、WEB-EDIはクラウドサービスを用いて行われることも多く、現在のWEB-EDIの大半はクラウドベースで動作しています。

回線速度の速さ・セキュリティの高さ

WEB-EDIのメリットは上記のような導入のしやすさやコストの低さに加えて、回線速度の速さも大きなポイントです。EDIはリアルタイム性が利点でしたが、これまでの電話回線では不十分だった共有速度をインターネット回線を利用することで再び活用することができるようになりました。加えて現在のインターネット回線は電話回線に比べてはるかにセキュリティレベルも高く、データの共有には欠かせないセキュリティ対策も万全に行うことができるようになるのです。
ただWEB-EDIを用いる上で気をつけておかなければいけないのは、従来のEDIとは違って標準化が行われていない点です。

システムの多様化という特徴にどう対処するか

これまでのEDIであれば買い手のシステムにさえ合わせておけば1つのシステムを共有し、システム上のトラブルも最低限に抑えることができましたが、クラウドベースでのWEB-EDIを採用すると、取引先が変わるごとにEDIも異なるものを用意する必要があるため、異なるWEB-EDIを導入するぶんだけ導入コストがかかってしまうことは致し方ないと言えるデメリットです。

とはいえWEB-EDIの登場により、従来の買い手主導のEDIという立場の不均衡は消滅したともいえますから、システムの多様化はある意味でメリットをもたらしたといえます。
これからEDIを導入する場合には、1つにインターネット回線を用いるWEB-EDIを採用する必要があること、そしてもう1つにWEB-EDIはシステムが煩雑化し、従来のシステム以上にコストがかかってしまう可能性もはらんでいることを念頭に置いておく必要があるでしょう。

ECサイトへの転換という可能性も

BtoBビジネスの効率化の1つとして、EDIの導入は有効な手段かもしれません。そしてもう1つ注目が集まっているのはBtoB企業によるECサイトの開設です。
これまではニッチな市場と考えられてきたBtoBビジネスにおいてECサイトを開設し、顧客管理を活用したデジタルマーケティングを可能にすることで、より適切なタイミングでマーケティングを行い、円滑な取引を進めていくこともできるようになるため、無駄の少ない業務を実現することができるポテンシャルに多くの人は注目しており、すでに実績も出始めているのが現状です。

EDIとは仕組みが大きく異なりますが、企業のEC化、業務のスマート化を考えている場合にはECサイトの解説も悪くない選択肢と言えるでしょう。